天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフト番外編92話前編『証人を届ける』

あー、もうHEROも最終回なんだ・・・。つれーー!!

yukio
 

「お届けモノでー・・・す」
由紀夫は、おずっ、と部屋の中を覗きこんだ。
ここは、以前、普通に入っていったら、すべてのドアが開いて大騒ぎになった東京地検城西支部。
しかし今日は、眼鏡の女性が書類を抱えているだけで静かなものだった。
やっぱり朝一が狙い目だったな。
「あ、どぉも〜」
書類をおいた女性に、もう一度お届けものです、と由紀夫は告げた。
「あの、中村様は・・・」
「すみません。まだ来てないんです」
「あ、そうですけ、じゃあ・・・」
この人でいいか、と写真を撮ろうとした時、電話がなった。
「すみません」
軽くお辞儀しながら、その女性が電話に出て、由紀夫は取り出そうとしていたポラロイドを落っことしそうになる。

「えぇぇーーーーーーー!!!!!」

ものすごい声で驚かれたからだ。
「すっ、末次さんがっ!?末次さん、ですかっ!?」
「おはよー」
「うわ・・・っ」
何事?と呆然とする由紀夫の後ろにやってきて、ちょこん、と肩に顎を乗せたのは、華奢な割に妙に色っぽい女性。
「あ、中村、美鈴さん、ですか?」
「そうだけど?」
肩に顎を乗せられるのが苦手で、由紀夫はさりげなく身をかわすのに、どうしても中村はそこに顎を乗せたいらしい。
「美鈴さん!大変です!」
「なぁによ、雨宮、うるさーい」
「末次さんが!」

「末次さん?」
「江上さん!」
「末次さん、どうかしたんすか?」
由紀夫は、軽くこめかみを押さえた。
また二人やってきた・・・。
すでに、あの時いたメンバーが揃いつつあるではないか。ただ、自分は、あのやけに色っぽい中村美鈴と届けものの写真をとって帰りたいだけなのに。
しかも、今日は、分刻みで動かなきゃ間に合わないほど、届け物スケジュールがびっしりだというのに!
「あ、あのー・・・」
もう1度おずおずと声をかけようとしてみると、背の高いの、おじさん、そして、自分と同年代という三人も登場して、ついに勢ぞろい。
と、思ったけれど。
一人、まだ足りない。
「雨宮ぁ、何騒いでんだよ」
「くっ、久利生さん!大変なんですっ!」
「だからぁ、さっきから、何?って聞いてるでしょぉー?」
「末次さん!捕まっちゃったんです!!」

「「「「「「「えぇーーーーーーっ????」」」」」」」

「何?どゆことなのよ、雨宮!」
「あの、えっと」
「末次さん、何したの?」
「末次さん、捕まったって、何よ、それーー!」
「別れた奥さんと揉めて刃傷沙汰とか!?」
「遠藤、好きだなー、そーゆーの!」
「雨宮くん!だからどういうことなんだっ?」
「さ、殺人、って・・・!」

「「「「「「「殺人ーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」

さ、殺人・・・?
由紀夫はこの場にいる全員の顔を見て、末次、というのは、前回ダンスシューズを持ってきた男だと思い出した。
てことは・・・。
「殺された女性と最後に会っていたのが末次さん、らしくって・・・」
「女性!?」
「末次さん、付き合ってる人いたの!?」
「そーゆーこと言ってる場合じゃ・・・」
雨宮が困った顔で、部長、とおじさんに話しかける。
「あっ、と、とにかく、警察に事情を聞くから!おまえたちは・・・」
仕事、と言おうとしたのだろうが、全員が、そして由紀夫までも、部長にくっついて電話の内容を聞くことになった。

電話から解ったことは、今朝未明、公園で女性が死んでいるのが発見された。死因は後頭部強打によるもの。
カバンの中に財布がなく、持っていた手帳から、その夜は、社交ダンス教室に行っていたことが解った。
「それが末次さんの・・・」
「末次さんのパートナーで、末次さんが教室から送っていったっていうのは、まずいわよねぇ・・・」
全員が深刻な顔をして集まってる中に、由紀夫もまざって深刻な顔をしていたが、死亡推定時刻はまだはっきりしないが、深夜十一時から、十二時ぐらいだろいうという話を聞いて、はい、と手を上げた。
「はい」
指差した遠藤は、あれ?と目を見開く。
「誰?久利生さんかと思ったら」
「久利生はこんなスーツは持ってないだろぉ〜」
「いや、持ってませんけど」
背の高い男から言われ、久利生は横にいた由紀夫を見る。
「たかそー・・・」
「制服(みたいなもの)なんで」
「ま、通販じゃ、買えないわね」
そんな会話を聞きながら、多分、この人たちと、腰越人材派遣センターの人間は似てるんだろうと由紀夫は思う。ものすごく深刻な状況であっても、なんでもないって顔をして見せて、頭だけは使ってる感じ。
・・・まぁ、うちの場合は、使ってるような顔をして、全然使えてないヤツもいるんだけど・・・。
「あ、そうじゃなくって、こちら、届け屋さんで・・・」
「あぁ!こないだ、末次さんに、ダンスシューズ持ってきた!」
「すごいな、久利生選手」
「ですよね?」
「はい、持ってきました。だから、その末次さんの顔は覚えてます。で、昨日、11時半ごろに、末次さんを見てます」

衝撃の発言だったらしく、全員の動きが止まった。

前の夜、由紀夫と正広は、ぷらぷら夜遊びをしていた。会社が終わった後、奈緒美に食事に行こうと引っ張られ、なんだかなぁ〜、というヌーベル・チャイニーズをご馳走になった後のことだ。
グルナイで、ゴチバトルを見るたびに、その店に行きたがる奈緒美はどうかと思うが(もちろんどっちの料理ショーを見た後も行きたがる。当然、旅サラダの三ツ星レストランにも行きたがる。土曜の早朝の番組なので、見られないことの方が多いが)、食費が浮く!と早坂兄弟は、断らずに出かけることにしていた。
「・・・兄ちゃん、ぐるじぃ・・・」
「だから、食いすぎんなっていったろぉ?」
「おなが、ぐるじぃ・・・」
「ベルトキツいんじゃねぇの?」
「でも、ゲーセン・・・!」
奈緒美と食事となると、着飾る必要がある。ただ飯のためには、スーツは必須だ。
しかし、正広はめったにスーツを着ないため、いつものラフな服と同じ勢いで食べて、毎回苦しむことになる。
「おまえは、ほんとにっ!」
「いいの。ちょっとじっとしてれば、大丈夫だからっ!」
とにかく、ゲーセンに行きたい!と騒いでいた正広は、通りかかった公園のベンチで横になる。
「右を下に寝てたら、胃から腸に移ってくんだよ」
「あー、そーですかー」
右を横にして横になったまま、うーん、うーんともぞもぞしている正広の足の方で所在なげにしていた由紀夫は、公園を出ていく男を見かけた。
「あれ」
「何?」
「ん、知ってる人」

「・・・それが、末次さん」
「江上さん・・・」
雨宮が心配そうに江上に声をかける。
「その時間が11時半だったんですか?」
「そうです。こんな時間に、えらいご機嫌な人がいるなって思って」
久利生に返事をすると、でも、待って、と中村が言った。
「それって・・・、死体が発見された公園じゃない、の?」

しーん。

「えっ!で、でも!ご機嫌だったんですよ!?それで、その後、公園出て、目の前のショールームの前で、じぃーーっと中身見てたんですよ。ニコニコしながら!30分くらい!」
つまり、正広は30分近く、苦しい苦しいと膨満感と戦っていたのだが。
「そんな、人を殺した後に、現場の近くでできないでしょう!」
「そりゃそうだ・・・!あの、届け屋さん、じゃなくってっ」
「早坂、ですけど」
「早坂さん、それ、警察で話してもらえます?」
「あっ!お願いしますっ!」
久利生、江上にWで詰め寄られ、由紀夫は勢いで頷いた。が。

「でも・・・。俺、仕事があるんですよ、ね・・・」
「仕事?」
いつもは、ぺたんこのメッセンジャーバックが、今日はパンパンだ。
「これ、全部時間指定あるんですよ」
件数も13件(不吉〜)といつもより多い。
「解った」
久利生は、そのバッグを由紀夫から受け取る。
「これは、俺が届ける。早坂さんは、警察いって下さい」
「えっ!?久利生さん!?」
「雨宮!地図どこ!?」
「久利生!」
もう今にも飛び出しそうになってる久利生を止めたのは、江上だった。
「俺はバイクだ。俺の方が早い」
「でも、江上さんは・・・、末次さんのところへ・・・」
ねぇ、と遠藤が行ったところで、背の高い芝山が、その首根っこを捕まえる。
「こいつ使えば?」
「はいっ!?なんで、僕がっ!?」
「メッセンジャーボーイみたいな顔してんじゃん、遠藤」
「どーゆー顔なんすか!」
「あの!とにかく、2軒目のリミットまであんま時間ないんですよ!近所とは言え!」
「どれ!?」
由紀夫が出した書類を久利生は受け取り、住所の確認だけしていった。

どうなる!届け屋久利生公平!
助かるのか!末次隆之!
早坂由紀夫は、ちょっと呆然だ(笑)!


見てみたいわー。くりゅたんと由紀夫が並んでるところーー。色っぽい由紀夫にきゃわゆいくりゅたん!きゃ!!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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