天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフトプチ番外編100ひろちゃんの懊悩』

プチでーす!100話だけど、プチ(笑)!

yukio
 

その日、正広は、朝から元気がなかった。
朝から、思い悩んでいるようだった。
今日はお休みなのに、空を見上げては溜息をつく、そんな正広に。

「うっとーーしぃーーー!!!」

と怒鳴ったのは由紀夫だった。
彼は、今日はDVDみーよおっと、と、お気に入り映画を次々見ている。今日のチャンネル権は由紀夫が持っているのだ。
正広の好きな情報バラエティーや、正広の好きな2時間ドラマ再放送や、正広の好きな旅番組は。
「だって・・・」
「見てるだろうがよ、そっちで!」
なんと恐ろしいことであろうか。
ただでさえでかいテレビを持つ早坂家だというのに、寝室用に、薄っぺらい、しかも、スタンドつきの液晶テレビが導入されていた。
もちろん、かの吉永小百合様が、ころころ転がしている素敵なヤツ!
そこでは、正広の好きな、土曜の朝のお楽しみ、旅サラダを見ている。
いや、眺めているだけで、真剣には見ていない。
いつも屈託ない正広が、屈託しまくっていた。

土曜のお昼は簡単に。
好きな映画を見ていい気分の由紀夫は、ちょぴっとカッコつけ、簡単イタリアン、なんかを作ってみる。
歌いたいような気分だ。
と、鼻歌まじりに窓の外を見ると、ちょっと陽が影ってきている。
「天気悪くなるのかな・・・」
朝は結構いい天気だったけど。
トマトを切って、オリーブオイルや、バジル、ニンニクなんかで冷たいトマトソースを作って、細めのパスタと一緒に冷やして食べる。後は、ガーリックラスクとかも美味しそう。
「正広ー、昼飯・・・。どした?」
正広は、窓をぼんやりと見上げている。
「あ、ううん」
ひろちゃん?大丈夫?としぃちゃんも、肩に止まっている。正広は、おまえはとらわれのお姫様かぁーーー!!といった風情でベッドに座り、出窓から空を見上げている。
「具合が悪いんだったら、インスタントおかゆにしようなぁ〜」
「そーゆーことじゃないじゃん!」
ぷりぷりっ!と正広は席について、冷たいパスタと麦茶なんぞを頂きながら、もの言いたげな視線を由紀夫に向ける。
そして由紀夫はにっこり笑顔で、正広の肩に止まっているしぃちゃんに小松菜を上げたけど、正広の視線には答えなかった。

土曜日の昼下がりはゆっくりと過ぎていく。
今日は一日ダラダラするんだぁ〜と決めていた由紀夫は、今度はどの映画にしようかな、なんてDVDソフトをあれこれ眺めている。
ソファでごろっと横になり、ビールなんて飲みながらのノンキな休日は、いいなぁと思う。
「はぁ・・・」
その由紀夫とテレビの間を、頭の上にしぃちゃんを乗せた正広が通過していく。ぺたぺたと、木の床を裸足で歩いている正広が消えていく先は、トイレだ。
回数は、明らかに増えていた。
「お腹、いたぁい・・・」
「梅干湯飲んで、温かくして寝てなさい」
「うー・・・・・・・」
うらめしやぁぁぁ・・・・・・・と、ぺたぺたした足跡でスタンプしながら、正広はベッドに向かう。
そして、また、空を見上げるのだ。

「だからおまえはとらわれのお姫様か!」

「おなかいたぁい・・・・・・・」

ぐすぐすしている正広を放っておいた由紀夫だが、正広は何度も、何度も、何度も、何度も!由紀夫の前を横切ってトイレに向かう。
おなか痛いとぐずぐず言う。
正広は、あきらかにぐずっていた。
もし、奈緒美がこの場にいたら、あぁ、どうしたの!ひろちゃん、大丈夫?すぐお薬のみましょうねぇ〜、なんて言うところだが、由紀夫は言わない。
もい、野長瀬がこの場にいたら、あぁ!どうしたんです!ひろちゃん!大丈夫?大丈夫?お医者行きましょう!さ!私の背中に乗って!とか言うところだが、由紀夫は言わない。

のんびりとした土曜日は、ゆっくりとくれようとしていた。しかし、夕焼けはない。
天気は、正広並にぐずついていた。今にも雨が降りそうな天気で、休日の夕方にはふさわしくないなぁと由紀夫は思う。
夕食はどうしようかと思ったが、出かけるのも面倒だし、あるもので食べようと思う。
奈緒美からかっぱらったいい肉があったから、焼肉でもするかな、と。
焼肉と、ご飯と、野菜もないとまずいか。そうそう、キムチもあったな。奈緒美からかっぱらったやつ。
「正広ー、焼肉するかー?」
「・・・」
「正広ー?」
おなか痛い、といおうとしていた正広だが、正広とて、今早坂家にある肉が、どういった肉かはよく知っている。それを食べずにはいられようか・・・!
でも、でも、おなか痛いのに・・・!
「やっぱり、レトルトのおかゆと梅干かー?」
「う、うう・・・っ」
やっぱりおなか痛いっ!とトイレに入った正広だが、思いは千々に乱れまくった。
そうだよ、正広。どうせ兄ちゃんは解ってはくれないじゃないか。
きっと、このまま、ほんとにおかゆしか食べさせてくれない!
大丈夫!
食べられるよ!正広!
だって、その頃には、もう・・・!はっきりしてるはずなんだ!

トイレから出た正広は、冷蔵庫を開けている由紀夫の後ろに近寄って、食べる、と小さな声で言った。
「ん。晩御飯何時?」
「・・・6時半・・・」
「6時半な」
そして、早坂兄弟は、なんとなく、窓の外を見上げた。
重たい雲が垂れ込めている。

「あ、雨」
ぽつり、と、最初の一粒が落ちた。
「うっとーしぃなぁ・・・」
「降って欲しいような、降って欲しくないような・・・」
正広は苦しそうな顔で呟く。

そして、焼肉の準備が出来あがり、もうDVDはやめて、テレビにしてあげましょうかね、とテレビに切り替えた由紀夫は、正広の悲鳴を聞いた。

「野球やってるぅーーー!!!」

「全然降ってねーじゃん、あっち」
「うわーー!!降ってないよー!そっかぁー・・・!!」

大好きな巨人戦のナイターはみたい。
でも、これが中止になったら、サタスマで、秘蔵トーク集が見られる。
巨人戦。
サタスマ。
巨人戦・・・。
サタスマ・・・。
巨人戦!
サタスマ!!
おなかいたぁーーーい!!!

このように、フジテレビで野球中継(ドーム除く)のある土曜日は、朝からぐずりまくる正広につきあってやれるほど、気の長くない由紀夫は、口をあけて松井の打席を見守っている正広を放って、どんどん肉を食べるのだった。


プチ。プチひろちゃんは、なんだか可愛い(笑)

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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