天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフト番外編124話編『人形作家を届ける』

1週開いちゃいました・・・。その1週お休みの時にWhat’s newに書いた内容を移しとこっと。

今日はちょっと更新ができませーん!あらー!ギフトの日なのに!なので。
★ひろちゃんファンの方は。
今まで中居がドラマでやった役で好きなのは、第3位、グッドモーニングのおジョウちゃん。第2位、ナニワの灰原くん。そして第1位は、ギフトのひろちゃんという、可哀相に、ちょっと頭が弱い赤い怪獣のようなあなたは。
「あ、白酒。・・・でも、白酒ってどんな味?」
と雛壇のお酒に手を出したら、ただ、色が似ているというだけの理由でおかれたどぶろくだったため、お雛様たちをなぎ倒し、雛壇に仰向けになったままがーがー寝ているひろちゃんを思い浮べてやってください。
なお、中居キャラクターランキングから、SMAP全員で出たドラマは別格として外すことになっています。そりゃ、古畑の中居がいいよねぇ(笑)
☆由紀夫ちゃんファンの方は。
いつだって男前の由紀夫ちゃんを、そりゃもういつだって愛しているの、という私は。いや、いいの、私だけでも・・・!
そんな私は、お内裏様のカッコをさせられながらも、バックキリリと斜めがけ!で、チャリに乗って届けにいく由紀夫をちゃんを思って、ほわほわしています。ほわほわ〜〜・・・♪
★野長瀬ファンの方は。
「智子ちゃんの女雛・・・!」と、無理矢理着物らしきものを作って、頭からかぶせ、無理矢理雛壇の上に座らせて、前足、後足の、するどい爪の洗礼を受けている様を・・・。
あぁ、まざまざと思い浮かびすぎる・・・!
☆稲垣アニマルクリニックファンの方は。
「お雛様?あぁ、小さい頃よく言われたね、姉と一緒にお雛様みたいって」
と、本気でゆっている稲垣獣医をお楽しみあれ。本気だから、彼は。
もちろん草g助手は、あぁ、そうなんだ・・・とうなずいていたりする。むしろ彼の方がお内裏様っぽいのに(笑)!
★薔薇十字探偵社の稲垣ファンの方は。
いや、どんなことを想像していただいても、彼は常にそれ以上。だって、彼は!薔薇十字探偵社の!稲垣!なのだから!!

てなとこで、続きにどうぞ!

yukio
 

由紀夫は、幸いにも、スーツ姿で自転車に乗っていられた。
奈緒美の、あ、じゃあ、せっかくひな祭りだからって言葉の、『ひ』を言いかけた時には、すでに事務所を出ていたからだ。
3月の頭、風はまだ冷たいが、一月、二月に比べればそろそろすがすがしいと言ってもいいくらいだ。
とりあえず作家の家まで行って、いるかどうかの確認をして。
・・・いなかったらどうするか、だけど・・・。
由紀夫は小さく舌打ちした。家族がいるのか、どんな人相風体なのかを確認していなかった。解っているのは名前だけだが、その名前も。
「・・・なんか変わってるよな・・・」
いわれた住所を目指し角を曲がった由紀夫は、ともかく、到着してからだと運転に意識を戻した。

そうして辿りついた家は、ちょっと変わった一軒家だった。
多分平屋だよな?というルックスもさることながら。
「うるせぇ・・・」
由紀夫が、今、このうちの中は無人に決まってる!
と確信を持つほど、家の中がうるさかった。まともな神経をしていたら、この音の中にはいられるはずがなかった。
なんと、大量の目覚まし時計の音であろうか!
その上、遠くには微かにクラシックや、映画音楽まで聞こえている。
家の人間がいないのに目覚ましだけがセットされている状態に違いない。集合住宅でやったら、ドアを蹴破られてるところだ。
さーって、どうしようかな、と由紀夫が携帯を取り出した時。
「ん?」
うるさい大音量の中で、ふいに、一つの音が消えた。
時計が一つ止まったか?と思ったが、聞こえなくなっているのは、どうやらクラシック。これは、コンポのタイマーで鳴らしてるものだろうから、設定時間が止まったかと単純に由紀夫は思う。
にしても、ほんっとにうるさいよなと、事務所への短縮ボタンを押そうとしたのだが。

「あぁーーーっっ!もぉ、うっさいねん!!」
急にドアが開いて、若い男が一人出てきた。
由紀夫の目が驚きで丸くなるのは、こんなうるさいうちの中にいられる人類がいる、ということに対してだ。
「んっ?」
関西弁の男は、携帯片手に突っ立っている由紀夫に、何?あんた、と声をかけてきた。
「あ、あの。もしかして、前田さん?」
「前田?」
由紀夫が探している人形作家の名字は「前田」そして名前は「前」と言う。
「前田ー・・・まえさん?」
「あんたぁ、面白いこと言うなぁ」
「そうですか?」
ゼンダゼンさんだったかな。なんて思いながらしばし見詰め合っていると。

「たろおくぅ・・・ん」
よれよれ、と言った感じで、子供が出てきて、男の足にすがりつく。
「止めてよぉ」
「あっかんねん。ゼンのやつ、部屋、鍵かけやがって」
「え!人いるんですか!」
「信じられへんやろ!この音の中で、寝てるヤツがおんねん!!」
由紀夫、衝撃。
しばし、目の前が暗くなった由紀夫だったが、探している人間の名前が、マエダゼンらしいということを理解して、そりゃ起こさなきゃあと思った。
「あの、前田さんって、人形作家なんですよね」
「人形作家ぁ〜?」
「あ、あのね、前がね、ひな祭りの時に・・・」
「あぁ!あれか!え!?あれで人形作家!?」
「あれ!?」
「あれやろ、あの16段飾り」
「そうそう。今、展示会をやってて・・・」
「展示会!?あんた、しっかりしぃやぁ?あんなもん展示してどーすんねん!小学校のお祭り用に適当に作ったもんやで!?」
「そうなんですか!?」

そうなのだった。
原宿で、男3人、子供1人という構成で暮らしている前田前が、小学1年の明のために作ったのが、あの16段雛人形。
3人が訳あって預かってる明には、好きな女の子がいる。彼女の名はリカちゃん。クラスメートの可愛いリカちゃんに、バレンタインにチョコまで貰った明だったが(いや、リカちゃんはクラスメート男女問わずみんなに上げていたが)、彼女は、4月には転校が決まっている。
最初で最後になるかもしれない二人の(いや、学校行事だが)ひな祭り。手作りのお雛様を飾りましょうね、という担任の言葉に、明は、精一杯可愛いお雛様を作った。不器用な明が、精一杯作ったお雛様は、少々首を傾げていたが、ポップな色合いの着物を着た、可愛らしいものだった。
それを見ていた前が、それなら俺は、雛壇を作ってやる!と勢いで作り上げたのが16段飾り。
しかも、教室の後ろに置くことを考えた、奥行き極限まで薄い型だ。
ひな祭りでは、子供たちのお雛様をおいて、それはそれで楽しかったのだが、前の手作り魂に火がついてしまったため、前は雛人形を作りつづけた。
編みぐるみ、紙粘土、ペットボトル、折り紙、木彫り、様々な素材で人形を作り、最終的には、ハギレの着物と、編みぐるみの本体という可愛らしい人形を完成させた。
それを見た父兄から、話が、伝わり、伝わりして、雛人形の展示会に登場することになったのだが。

その作者である、前が起きてこない。
この大音量の中でまだ寝ている。
「でも、鍵って・・・、合鍵とかないんですか?」
「ないない。鍵っていっても、あるやん。こーゆー、かちゃってなるヤツ」
太朗は指でわっかをつくり、その中に、曲げた指をいれて見せた。
「田舎のトイレとかについてるやつ」
「あぁ」
「そんで、前もな、かけようと思ってんじゃないねん。勢いでかかっただけやから、誰か起こしてくれる思って寝てんねんな」
「前、昨日も、遅かったからぁ・・・」
「遅かったってゆーか、さっき寝たとこやしな。ん?拳ちゃんっ!?」
ドアの中を見ると、男くさいスタイルをした男がおり、まだこのうちの中にいられるのか!と由紀夫をさらに驚かせる。
「ちょ、何持ってんのよ!」
「あぁ〜〜・・・・・・???」
コメカミに、怒りマークを18個くらいつけた男が手にしているのは、斧、だった。
「何すんの!拳ちゃん!」
「ドア開けんだよ!」
「危ないって!それくらいやったら、窓ガラス割ったらええやん!」
太朗に言われ、不機嫌の具現した男は、ん?と考えてから、そうか、と玄関に向かってくる。
「いやいや!」
由紀夫は慌てて男を止めた。
「ひっかけるタイプの鍵でしょう!?」
押えながら太朗に聞き、由紀夫は部屋に入る。建物に入ると、音の大きさは、半端じゃなくなった。

これは、斧でドアを叩き壊したくもなるだろう。
「あ?誰、これ」
「人形会社の人」
背中での会話を聞きながら、うるっさい扉の前に行く。扉はしっかりと分厚い木製だった。ものすごいインテリアになってるけれど、家自体の作りはいいものらしい。
「だいじょうぶぅ・・・?」
うるさいだろうに、明は健気に由紀夫にくっついてきて、様子をうかがっている。
「んー、多分。開くだろ、これは」
そして、財布からどっかの店でもらったポイントカードを取り出した由紀夫は、扉と壁の隙間に差しいれて、下から上に動かす。

「ほらあいた」

かちゃん、と言う音とともに、ドアは簡単に開き。

「うるっせーー!!!」
「なんでここで寝られるんだよ!バカ野郎が!!」

大騒音の中で寝ていた前は、ルームメイトたちからぼこぼこにやられてしまった。

「信じらんない・・・!」
由紀夫の自転車の荷台に乗り、さっきから何度も前は繰り返す。
「ね、なんで!?なんで、俺があんな目に合わなきゃいけないの!!?」
「起きなかったからじゃない?」
「だって、俺、寝たの、さっきなんだよ!さっき!」
「さっきって言われてもぉ・・・」
「あ、でも、あれなのかな。ひょっとして、俺の16段雛飾り、売れそうなの?」
「ん?」
由紀夫は少々引きつりながら、にっこりと振り向く。
しかし、前からは、その5倍の笑顔が返された。
「ね。売れそう?」
「ん、んーー???」
それは、なんとも言えない。
あの16段飾りは面白いが、バイヤーが目をつけるタイプのものじゃあない。大体、いくら薄型とは言え、高さがありすぎる。
「うちさー、すげえ貧乏だから〜。すき焼きなのに、パン入ってたりすんだよー、肉の代わりにぃー!」
「それはまた・・・」
「だから売れてくれると助かるんだけどなぁ〜!」

こうして、事務所に到着した前は、バイヤー相手に、巧みなトークを繰り返し、一同を大笑いさせた。
奈緒美を筆頭に、コンパニオンたちも、結構瞳がはぁとになっている。明るくて、元気で、面白くて、見栄えもする前からすれば当たり前のことだったろうか。
しかし、雛壇のアピールをしている前の内心は、苦しいものだった。
確かにウケてくれる。
いや、しかし、ウケるだけで、買ってもらえなかったら困るんだ。
せめてこれを売ったお金で肉が食いたい・・・!豚でも、いや、鳥でもいいが、たまにはお目にかかりたい!牛さんに!!
けれど、展示会の時間は終わり、前と契約したいというバイヤーはついに現れなかった。

ふぅ。
明るい顔を翳らせてそっとため息をついた前に、正広が近づく。
「あの、前田さん」
「はい?」
「バイヤーの方じゃないんですけど、前田さんの雛壇が欲しいって方がおられて。あ、個人なんで、1つだけなんですけど・・・」
「え!そうなんですかっ!?」
前は目一杯の笑顔を見せた。嬉しい、という気持ちが、3倍増しで伝わる笑顔で。
「そうなんです!!」
だから、正広も目一杯の笑顔で答える。正広も、嬉しかったのだ。

しかし。

「いでっ!」
「正広?」
猫の子をつまむように、由紀夫が正広の首根っこをつかんでいた。
「な、何・・・?」
「その契約書の名前、溝口正広、って読めるけど・・・?」
「はうっ・・・!」
だってだって!
つまみ上げられたまま、正広は言った。可愛いし!そんなに高くないし!自分のお金で買うしっっ!
「買う金はお前のでも、置くスペースは俺のもんでもあるんだよ!!」
「いや、お兄さん!」
そこに前が割って入る。
「これは、省スペースが売りなんですよ!」
キラッキラ♪輝く瞳が由紀夫を見つめた。
「そうだよ!省スペースだよ!」
なんとか振り向いた正広も、キラッキラ♪の瞳で見上げてくる」
『省スペース』と言う言葉について、由紀夫は深く考えてみる。
奥行きがなくても、高さがあれば、使われるスペースの総量は変わらないんじゃないだろうか。

しかし、今の由紀夫は、この子犬、うちで飼えないからお母さんが捨ててこいって言うの、と泣いてる子供と、それじゃ、うちで飼ってあげようよ、ねぇねぇ、可哀相だよ、お母さんという友達の両方から見つめられている状態。
そんな犬、うちでも飼えません!!と言い張ったらどうなるか、目に見えていた。

子供らは、それを、内緒で飼うのだ・・・・・・・・・・・。
この場合、この事務所に、雛壇が置かれることになるのだ・・・・・・・・・。
そして、しばしば奈緒美からイヤミを言われるのは、自分なのだ・・・・・・・・・・・・。

「・・・勝手にしなさい」
「うんっ!ありがと兄ちゃんっ!」
「ありがとうございます!お兄さんっ!」
それじゃあ、おうちに届けますね!これ!と前は元気よく言う。正広は、支払いはどうしましょう!と浮かれている。
「あー、嬉しいなぁ〜。これでお肉が食べられるぅ〜。赤い肉だよ、赤い肉〜。赤いウィンナーじゃないよぅ〜?」
「赤いウィンナー、好きですけど」
ちっちっち。
正広の言葉に、前は指を振った。
「それは普段普通に赤いお肉を食ってる人の言うことなのっ」
配送の手配、しますね、と事務所を出る前は、最後に振り返り、
「スリーピース!!」
と指を3本立てた。
「スリーピース!!」
正広も答える。
ピースより、もっと、幸せ、という意味のスリーピースだが、階段を雛壇で占拠される予定の由紀夫には、幸せ、という言葉は、遠かった。
「兄ちゃん!スリーピース!」
正広から催促され、とりあえず3本指を立てた由紀夫だった。

そうして、翌日届いた雛壇は。
確かに薄型だったが。
人形の数が倍に増えており。
圧迫感は大変なもので。
毎日、階段の上り下りのたびに、早坂兄弟(もっぱら兄)を苦しめることとなった。


「買う金はお前のでも、置くスペースは俺のもんでもあるんだよ!!」
っていうのは、とあるマンガでゆってたもの。さぁ、なんてマンガのセリフでしょう(笑)あぁ、懐かしい♪本来のマンガでは、二人姉妹の妹がゆっていたのです。ふふ。

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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