天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフト番外編125話プロローグ編『おかしな家を訪ねる』

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「怪しいうちがあるのよ」
そう言い出したのは典子だった。
「怪しいうち?」
怖い顔して、精神はおばちゃん、もちろん食らいつくのは野長瀬だ。
「どんなどんな?」
可愛い顔して、精神はおばちゃん、我が弟溝口正広まで食いつくのを見て、由紀夫は深いため息をつく。
「あっ!」
「なっ!なんですかひろちゃん!」
ぎ・ぎ・ぎ・と正広は首だけで振り向いた。
「兄ちゃん、今、バカにしたでしょ!」
「どうやったら尊敬できるのか教えてくれ!」
「楽しいのにねぇ〜」
「ねぇ〜」
典子と正広は顔を見合わせる。野長瀬もうんうんと頷き、それで、怪しいうちって?と話を元に戻す。
「あ、そうそう」
腰越人材派遣センターは、ヒマじゃなくても、会話が途切れない時がある。そこへ持ってきてヒマだと、大変なことになる。
まだマシなのは、社長である奈緒美がジュリエット星川とエステに行ってしまって社内にいないこと。彼女までいた日にゃあ、ここは井戸端か!というすごい騒ぎになる。
「変なのよ、そのうち」
典子は声を潜めた。
「うちのマンションの隣に一軒家があるんだけどね、そこに、引っ越して来た人がいたのよ」
「うん」
「でもね。姿を見たことがないの」
「え?」
正広が首を傾げた。
「見たことないって?」
「引越しのトラックは見たんだけど、その部屋に人がいるのを見たことがないのよ・・・!」
「まだ、人が来てないだけじゃなくて?」
「時々車は止まってるの!」
「でも、典子ちゃんがいない時に出入りしてるんじゃないですか?」
野長瀬が、いくらの自分だってそれくらいは解ると、こともなげに言う。
「でも、もう二月よ?私、色んな時間に出入りするもん!」
結構自由な時間に出社し、かなり自由な時間に退社する典子は、さらに、夜遊びの余り早朝帰ってくることもある。その典子が、丸々二月、誰の姿も見ていないって言うのは、確かにおかしい。
「これは何かあると思って・・・!」
「うん・・・!」
正広はわくわく!と続きを待つ。キラキラお目々が星のようだ。
「それで・・・!?」
野長瀬もわくわく!と続きを待つ。激しい鼻息で書類が飛びそうだ。
「それで・・・?」
しかし、典子は、きょとん、と言い返した。
「それでって・・・?」
正広がその倍、きょとんとする。
「ぞれで、どうしちゃってたの?」
「解らないわよ、そんなの」
「えぇー!典子ちゃん、それってどーゆーことよー!」
ワクワク度合いが激しかった野長瀬はがっくりと机に突っ伏す。
「それで、その不思議な家って何だったのか知りたかったのにぃーー!」
「私だって知りたいわよっ!」
「えー!典子ちゃん、マジで知らないのぅー!?」
正広も、心の底からがっくりする。心象風景通りにするのなら、その場で仰向けに倒れて、手足をバタバタさせたいくらいだった。
「ねぇー!マジで?!マジっ?」
「マジによ!知りたいのよ!」
「ただ、引っ越して2月経つのに、車が止まってるのしか見たことないって、それだけなのぅーー!?」
「だって不思議じゃないのよぉーー!!!」

「オチのねぇ、話すんなよっっ!!」

最後に怒鳴ったのは由紀夫だった。

都会は、コンクリートジャングル。
隣の家の人間のことなんか知らなくて当たり前だ。
そんな中、2ヶ月もよそのうちが気になってしょうがない典子は、若いのにしっかりおばちゃんだ。
そして、正真正銘のおばちゃんと言えばこの人。
腰越奈緒美。
このおばちゃんがそんな話に黙っているはずもないのだった。
「それはね、絶対週末婚ね」
タバコ片手に、彼女は断言した。
「なるほどぉ!」
さすが社長!と野長瀬は感激する。
「つまり、狙うなら週末よ!」
「じゃあ、典子ちゃんちに週末泊まり込んで!」
「え!?それは辞めてよ!ご近所から誤解されちゃうじゃない!私が、美青年と美少年を引き込んでおかしなことをしてるって!」

「なんで俺が行くんだよ!!」

・・・自分のことを美青年だと思ってるんだ。

誰とも無く、叫んだ由紀夫を見ながら思ったが、確かに由紀夫は美青年。
そして。
美青年だなんて、そんな♪
たった、誰も想像できなかった勘違いを一人でしている野長瀬は、うっとりと美青年である自分を思い浮べていた。

<つづく>


ぎょー!みじけーー!最近こーゆーの多いねぇ。なぜって遊び過ぎだから!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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