天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

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ギフト番外編127話中編『ゴールデンウィーク合戦』

ナレーション(八嶋智人)『人は、やや長期の休暇を貰った時、どういう過ごし方をするのか。ここで、ある一つの家族について、検証してみよう』

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黄金週間が始まった。
しかし、早坂由紀夫にとって、それらは、黄金とは言いにくい日々だった。

<早坂家、GWの予定(正広案)>

4月27日:買い物

4月28日:映画(モンスターズインク吹き替え版)

4月29日:(やっぱりいっとけ、しかしあえて)東京ディズニーランド。もしくは、買い物&映画&ゲーセン&カラオケ

4月30日〜5月2日:初夏の逗子旅行

5月3日:USJ(日帰り)

5月4日:ピクニック

5月5日:かしわもち作り、買い物

5月6日:サイクリング

『・・・。仕事入らないかなぁ〜・・・」
こんなものを見せられて、わーい、楽しみだね、なんて大人がいたら見てみたい。由紀夫は心から思い、その後、おもむろにつっこんだ。
「なんだこれ!ピクニックいってんのに、2日後にサイクリングって!」
「ピクニックは、電車で近くまで行って、歩くんだよ。サイクリングは、最初っから自転車じゃん」
「そんなに行くとこねーだろー!」
「えっ!?」
予定表を、壁に貼ろうとしていた正広は、心の底から心外だという顔で振り向いた。
「行くとこなんて、いくらでもあるんだよ!?いくらでも!」
「い、いくらでもって・・・」
「お台場だって行きたいし、渋谷だって、原宿だって、青山だって、横浜だって、房総だって、東京ドームだって!行きたいんだよ!?いくらでも!!」
「あ、あぁ、そぉ・・・」
房総と東京ドームが並列で並ぶっていうのはどうなんだろうと思いながら、さらなる、いや、かなり大きな疑問もぶつけてみた。
「なんで、USJは日帰り?」
「えっ」
正広は、背中を向けたまま、兄を見ない。
「・・・ん?なんで・・・?」
その緊張した背中に、由紀夫は不信感を覚えた。何かある。絶対に何かある。
「なんで、日帰り!?」
「えっとぉーー!!」
ぴち!ぴちっ!と、画鋲で予定表を貼りながら、正広は一生懸命考えていた。えっとーえっとー、なんて言えばいいのかな、えっとぉーー!!!
「・・・正直に言いなさい」
「・・・えっと。テレビが・・・」
「テレビぃ!?」
「Nスペ地球の情熱(1)が!!」
「・・・Nスペ?なんで、そんなの見るために帰るの?大阪まで行って?ビデオ録ったら・・・、あぁっ!?」
「あぁー!!だってー!だってーー!!」
「誰が出るんだ!それに!!」
「だって、木村くんが、ゲストってめったにないからぁ〜〜!!」

なら、そんな日に、USJに行く必要がホントにあるのか??

「あ、だからさ、夜行バスとかで行って、夕方に帰ろう?」
「そんな必要がどこにある!」

却下!と、USJは消されてしまった。
「えーー!USJ〜〜!」
「それと、何これ、初夏の逗子旅行って!!」
「・・・字面がいいかなぁと思って。こう、逗子って、なんかいい感じじゃない?」
「いや、しんねーけど・・・」
「ま、ここは字面で書いてみただけど、初夏の房総でも、初夏の箱根でも、初夏の金沢でも、初夏の沖縄でも、初夏の北海道でもいいの」
「いいのじゃねぇーー!!」
「もぉー!」
正広は、膨れた顔をした。
「兄ちゃん、文句ばっかりゆってー!楽しむ気ないでしょー!」
ないでしょー!ぱたぱたーー、としぃちゃんも羽ばたいている。
この一人と一匹の首を、まとめて、きゅっ、とネジってやったら、さぞやいい気分だろうと、由紀夫は静かに思った。

こうして、早坂兄弟の黄金週間が始まったが、二人は激しく戦うことになった。
「買い物って、何買いに行くんだよ」
「んっとねー。雑貨屋さーん!いでっ!」
頭のてっぺんに拳骨を落とされ、正広は頭を押さえる。
「いったいなぁ〜!」
「雑貨で何を買うんだ、何を」
「んっとー。こう、おうちをカフェにするために、いででっ!」
ほっぺたを両側にびよーーーん!と引っ張られる。
「いったいぃ〜・・・」
「大体、おまえは、カフェ飯とか、全然好きじゃないだろうが」
「うん。全然興味ない」
「じゃ、なんで雑貨屋でカフェ風なんだよ!」
「・・・ゆってみたかっただけじゃーーん。別にさー、アロマショップで、新しいアロマランプとぉ〜でもいいんだよぉ〜!いだだだだ!」
コメカミを拳骨でグリグリグリ・・・。
「もぉー、解りましたぁ。100円ショップとぉ、靴流通センターに行きますぅ〜」
しぶしぶ靴を履いた正広は、あ!としぃちゃんを肩に止まらせる。
「その前にペットショップー!」
「え!まさかしぃちゃんを売りに!?」
「出さないよぅ!でも、売れるよねー、しぃちゃん、可愛いもんねー」
・・・それについては、コメントしない由紀夫だった。

翌日のモンスターズインクでは、早坂兄弟、やや涙目。
思わずモンスターズインクグッズを買ってしまう。

そして、4月29日。
「・・・行くのか・・・」
「行くよ」
正広は楽しそうだった。時間は、6時。もちろん、もう明るい。
「出遅れてるかも・・・!」
「なんで、おまえは休みの日になったら、そんな早起きなんだよ!」
怠け者の節句働きというらしい。
「兄ちゃん、急がないとー!今日はね、遅くまではいられないから急いで急いでー!」
「なんで・・・」
「今日は、だって、チョナン・カンSPがあるし」
「・・・ふーん。じゃあ、10時には間に合うように帰るんだ」
「・・・いや、それは、9時に・・・・・・・・」
木村拓哉のドラマを見ていないはずのない正広だった。
「だから急がなきゃいけないのっ!しぃちゃんもいこーね!」
ディズニーランドにペットは連れてっていいんだっけ?と思う由紀夫だ。この白文鳥をつれて、スプラッシュマウンテン?服の中でぺっちゃりしちゃってたらどうする?

思わず怖い考えになってしまった由紀夫は、しおしおと準備をして、正広にくっついて出かけていった。

GWの人出の多さ予想ランキングベスト10に、もちろん、ディズニーランドは入っている。入っているが、トップではない。トップは、博多どんたく、そして2位が、広島フラワーフェスティバル、ってそれはどういうイベント!?というもの。東京ディズニーランドは9位に予想されていた。

そして、その予想は外れていなかった。

「久しぶりにこんなたくさんの人見た・・・」
「遊びに来たって感じすんなぁ」
正広は呆然としたが、由紀夫は、逆にやる気になってしまう。すでに出遅れの感はあるが、ディズニーマニアに負けない勘働きで、さくさくとアトラクションをこなしていった。
「に、兄ちゃん、すごい・・・!」
「まぁな」
これでも、一応、病弱なはずの弟を気遣う兄だ。なるべく待たないというのが基準になる。
弟も満足していることだろうと彼は思った。
これなら、ディズニーシーでもいけたかも・・・!と正広が思っていることなど知る由もなく。

さて、早坂兄弟の、初夏の旅行は、『初夏の群馬旅行』に決定された(どうやら、正広は頭文字Dを読み始めたらしい)。
しかも、5月3日〜5月5日。
「・・・渋滞にはまるかな・・・」
「頼むからワクワクしないでくれ・・・」
運転するのは、偽造免許を持っている由紀夫に決まっていた。
「でも、大丈夫!ちゃんと渋滞対策グッズが買ってあるし!」
それらは、ゲームだったり、ドリンク剤だったり、足ツボマッサージグッズだったり、ヒヤロンだったりする。
「それに、カーナビついてるじゃん♪」
大丈夫〜、大丈夫〜、と嬉しそうな正広は知らなかった。
カーナビにも、色んな種類があることを。

正広が日頃、『カーナビ』と呼んでいるのは、腰越人材派遣センターの社用車。実質的に奈緒美のものである立派なおベンツに積まれている最新鋭カーナビだ。
しかし、由紀夫は車を持っていない。
日頃は自転車で出かけるし、仕事の時は、そのおベンツだし、別段自分で持つ必要性がないのだ。
今回のように、車で群馬♪なんて時はレンタカーを借りることになる。
そんな車に積まれているカーナビは・・・?

どうなる早坂由紀夫!

どうするゴールデンウィーク!

レンタカーで峠を攻めるつもりか!?

<つづく>


GWは終わってしまいましたね・・・。いいなぁ、まだお休み気分だよ、早坂兄弟。って、なんだか、高橋兄弟みたい・・・(笑)(←イニシャルDに出てくる兄弟。兄が大好き・・・!)

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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