天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフト番外編132話前編『誕生日プレゼントを届ける』

yukio
 

「あっ!しまったぁ!」
仕事中に、突然正広が声を上げた。
「な、何っ!?」
小心者野長瀬がびびったところで、正広は、あ、なんでもないですと手を振りながら、じっとカレンダーを見つめている。
今日は、7月11日。
「どした?」
前の席から由紀夫に尋ねられ、困った顔で兄を見た。
「・・・忘れてた・・・」

そう。2日前の7月9日は、早坂兄弟んちの可愛い白文鳥、しーちゃんの面倒を見てくれている、稲垣アニマルクリニック永遠の助手、草g剛の誕生日だった。

「いつもお世話になってるから、ちゃんとプレゼントと思って、あっちこっちのカレンダーに書いたのにー!」
一度書いたら油断して、案外気にしなくなるものらしい。
「兄ちゃんが気付いてくれたっていいんじゃん〜?」
「はぁ〜?だって、カレンダーみたら、なんか解んないマーク描いてあるから、正広なんかあんのかなーくらいにしか思わなかったし」
「えぇ!解んないマークってどゆことよ!草g先生でしょー!?」
「あれがかぁ〜!?」
いくらぷっすま絵心バトルが好きだとゆって、自分の絵まであのレベルにすることはないんじゃないかと由紀夫は思った。
まして、『あれ』を草g助手だと思って描いているとは・・・!
「プレゼントも色々考えてるんだけどぉ〜」
会社からの帰り、しーちゃんを連れてプレゼントを渡しに行くという正広に、由紀夫も付き合っていた。
あの病院は好きではないが、別に草g助手に罪はない。あくまでも院長が悪いだけだ。
「草g先生、なにげにおしゃれさんだから服とかはあげたくないんだ」
「え、おしゃれさんなのに?」
「きっと好みがはっきりしてるからー。でも、優しいから着てくれちゃいそうでしょ?」
「あぁ、まぁな」
「だから、何がいいかなぁと思って」
これで以外と、男に対する誕生日プレゼントは難しい。女性なら、アクセサリーでも、小物でも、雑貨でも、結構なんでも喜んでくれるが、その辺りのチョイスが色々と難しいのだ。
「それで、目をつけていたのが、これです!」
とある雑貨屋に入り、正広が指差したのは、人間の形をしているクッションだった。
「これね、気持ちいいの、触って触って!」
中に極小のビーズが入っていて、外の布はしなやかで、ぎゅっと抱き締めると随分と気持ちがいい。
「あ、いーじゃんこれ」
「丸いのとか色々あるんだけど、普通だから、ここはあえて人型で」
高さにして、4・50センチくらいの、鮮やかなオレンジ色をした人形型クッション。
「いいんじゃん。あ、じゃあ、俺もなんか買おうかな」
んー、と、雑貨屋を見まわした由紀夫は、これ、と一つの品物を取り上げた。
「・・・兄ちゃん・・・」
「なんか似合いそうじゃない?」
「似合いそうって・・・。それ、長いこと正座できるって椅子じゃん・・・」
「うん」
「・・・正座、するかな、草g先生・・・」
「さぁ」
でも、なんか面白いから。そんな理由で、由紀夫は正座椅子を買ってしまう。正広はリボンをかけてもらいながら、そんな椅子もらったって・・・と懐疑的だ。

こうして、正座椅子と、可愛いクッションを持ち、正広は肩にしーちゃんを乗せた状態でやってきました稲垣アニマルクリニック。
いつもと変わらず、可愛らしい外見で、待合室にはまだ患畜が待っている。
「こんにちはー」
「あらー、ひろちゃん、しーちゃん!」
正広は、顔なじみの飼い主さんたちと挨拶をする。稲垣医師も草g助手も、忙しくしているようだ。
「今日、どうしたんですか?ポールくん」
「夏でしょー?食欲がなくってー」
ポールくんは、セントバーナードだ。しかも、相当毛深い。
「脱がしてあげたいですよねぇ・・・」
「ほんとよねぇ。衣替えできたら、どんなに楽だろうって思うわぁ〜」

さて、このようにいつもと同じく和やかな稲垣アニマルクリニックだったが、草g助手は、なにやら不穏な空気を感じとっていた。
おかしい。
ここ何日か、病院の空気がおかしい・・・。
病院の空気がおかしいということは、イコール、稲垣先生がおかしいってことだ。
頭の中では、結構失礼な思考をしている草g助手。ポールくんを水につけてやりながら、ちらりと稲垣医師の様子をうかがう。
美人飼い主さんと、美人飼い猫さんを前に、結構機嫌よさそうだが、なんだか空気がおかしい。
それは、哀しいかな、彼と長時間働かざるを得ない草g助手にだけは解る気配だった。
「一体どうしたんだろう」
『いえ、あついんです』
そんなポールくんの言葉は、耳に入ってこない草g助手。

「あ、ひろちゃん」
別に診察でもないので、大人しく待合室で待っていた二人と1羽に、ようやく草g助手が気がついた。
「どしたの?しーちゃん?」
「あ、違います。今日はしーちゃんじゃないんです」
「え?じゃあ、ひろちゃん?」
「違いますよ!」
「あ、じゃあ、お兄さんが」
「なんで俺が動物病院に!」
その最中、正広は、草g助手の額に手を当てた。
「疲れてます?」
「うーん、ちょっとねー。暑いせいか、患者さんも増えてるし」
「そうですかぁ〜」
心配そうな顔をしながら、正広は、椅子においてあった、プレゼントを取り上げる。
「すみません。ちょっと遅くなっちゃったんですけど」
「え?」
「これ、誕生日のプレゼントです」
「・・・え?」
「え?」
草g助手に驚かれ、正広も驚き、由紀夫も首を傾げる。
「あれ?先生、7月9日が誕生日ですよね」
「え?あ、そう。ん?あれ?今日って、あ!11日?」
「しっかりしてくださいよぉー!」

「そう。しっかしりてもらいたいね」

美人飼い主さんと、じゃあ、今度はうちにお茶にいらしてね。えぇ、もちろん、なーんて約束をちゃっかりしていた稲垣医師が、診察室からすちゃっ!と登場。
やや、不思議な立ち姿で、しかし、すらりと立っている。
「稲垣先生」
「え、しっかり、僕何かやりましたっけ・・・」
「『何かやりました?』」
うふふ、と、稲垣医師は笑う。
「何かやりましたとは、面白い質問だね、草gくん」
あ。怒ってる。
草g助手のみならず、由紀夫も、正広も、しーちゃんさえ解った。
しーちゃんは、怖いよぅ、と、正広の衿から、シャツの中に入ろうとしてもがくくらいだった。
「僕はただ、一般論として、しっかりしてもらいたいといっただけだよ。何か思い当たることでもあるのかな」
「え、いや、特には・・・」
「自覚がないんなら、別に気にすることはないんじゃないのかな」
「そ、そうですか・・・」
「ま、もちろん」
するっと、稲垣医師は前髪を撫でた。
「悪気がないっていうのが一番タチが悪いんだけどね」
「え、そ、そうなんですか・・・?」
「あの人悪気はないのよ、って言うのは、無神経でどうにもならないって言う意味だからね」

・・・つまり、草g助手は、悪気なく何かをやったんだな・・・?
・・・そして、草g先生は、無神経でどうにもならないってことなんだ・・・!
ひろちゃーん!怖いのー!

早坂ファミリー、恐怖のおののくの巻だったが、草g助手の恐怖度合いに比べれば、可愛いもんだった。

何したの!?
何をしたんだ俺!?
早坂兄弟からのプレゼントをぎゅうと抱き締め、頭髪が一夜にして白くなるような恐怖を感じる草g助手だった。
「あっ、いてて!」
しかしぎゅうと抱き締めすぎ、由紀夫プレゼントの、正座椅子の角でみぞおちをつかれ、苦しんだりもしている。

しかし、そんな痛みは、稲垣医師の怒りの前には、天使のキッスだ!
どうする、草g助手!
どうなる、草g助手!!

<つづく>


ここんとこ、ずっと草g剛お誕生日特集みたいになってるわ・・・(笑)ぷぷぷ・・・(笑)

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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