天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

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ギフト番外編150話第2回『4月になったので』


 

「おはようございますぅ〜・・・!」
しっとりと全身を濡らした状態で事務所のドアをあけようとした正広は、重い手ごたえに阻まれた。
「あり・・・」
鍵がかかっている。
濡れた腕の、濡れた腕時計を見た正広は、時間的には遅いことを知って、どうしたんだろうと首を傾げた。
「くち・・・っ!」
その瞬間くしゃみと寒気に襲われ、慌てて鍵をあける。
「さむーーーーい!!」
人気のないオフィスの冷たい空気に、正広は声をあげながらシャワーに突進した。
「さぶいさぶいさぶいさぶいさぶい・・・!!」

思いっきりお湯を出しながら、急いで服を脱いだ正広は冷えた体をシャワーの下にもぐりこませる(サービスショット)。
「さーーぶーーいーーーーー!!!!!」
誰もいないのをいいことに大声を出すと、なんだか楽しくなってきた。兄弟二人暮しだし、その前は病院生活もあったし、さらにその前は家族と、だから、一人だけ、という経験はあまりないのだ。
してはいけないことを、する。
それは楽しいことだと、子供なら誰でも知っていた。

「じゃん!」
シャワー室から、意味もなくポーズをつけて登場した正広は、頭にタオル、腰にはバスタオルというザ・風呂上りスタイル(サービスショット2)。
カーペット張りになっているフロアを、ぺたぺたと歩いて冷蔵庫に向かう。
「暖かいとこでアイスが幸せだよねー」
冷凍庫からアイスを取り出し、エアコンも相当高く設定してソファに座った。
ま、そこはさすがに、タオルを何枚も敷いて、ソファそのものは濡らさないように気をつけたが。
「ストロベリーー、おいちーーーー!!」
もちろん、そのアイスは、奈緒美がどこぞから取り寄せた限定品。美味しくないはずがない。
体も温まり、濡れた髪はエアコンで乾かしつつ、美味しい冷たいアイスクリーム。
しあわせぇ〜〜!と、このまま寝たい!くらいの勢いだった正広だが。
「・・・にしても、みんな遅くない・・・?」
と首を傾げた。
もちろん、今誰かにこられても困るのだが。

「あ、電話」
あられもない姿のままソファを離れた正広は、急いで電話に出る。
「はい、腰越人材派遣センターです。あ、お世話になっております」
かかってきたのは、日頃付き合いのある会社で、なんということのない問合せだ。
「はい。じゃあ、FAXさせていただきます、はい。失礼いたします」
ふぅ。
解ることでよかった。
一安心した正広は、そのまま書類を作り始める。濡れた服を乾かす間は、このまんまでいいやとは、さすが子供!
「あ、はい。腰越人材派遣センターです」
そこから、電話が2本続き、どうにか処理し終えた正広は、まだタオルを頭に、腰に巻いたまま、というサービスしたおしショット姿だった。

「・・・おかしいよ、ねぇ・・・」
そろそろ11時を迎えそうな時間。
なのに、事務所には半裸の正広一人。それは異常としか言いようがない状況だろう。
「・・・どこかいくとかって、言ってたっけぇ?」
先期のことを思い出して見る。
当然それは、3月31日、つまり一日前のことだ。
「別に、誰も、なんとも言ってなかったよねぇ・・・?」
自分の兄が休みなのは解ってる。奈緒美は、社長なだけに、遅く来ても不思議はない。
おかしいのは、いつも自分より早い野長瀬や、自分と同じくらいにやってくる典子までがいないこと。
「電話しよ」
まずは野長瀬の携帯に電話をした正広は、すぐに留守番電話サービスにつなげられてしまう。
「あれっ?」
じゃあ、自宅にかけても、出る人がいない。
「と、智子ちゃん・・・?」
野長瀬と同居している、ミニウサギ(大)野長瀬智子(♂)の名をつぶやいたところで、智子が電話に出られるはずもなく・・・。
「じゃ、典子ちゃん」
だが典子の携帯も、自宅も、返答がない。
「あれぇ!?」
正広の頭を、???が埋め尽くす。
「今日は、今日は・・・・・・・・・・・」

はっ!

正広は思わず立ち上がった。

「エイプリルフール!!!」
正広にはその瞬間、すべてが解ったのだ。
なんて大掛かりな四月バカ!
自分ひとりをだますために、事務所を空にするとわ!!
「負けるもんか・・・!」
正広は、両手の拳を握り締めてつぶやいた。
「仕事、する・・・!たった一人でも、無事、仕事してみせる!!」
ぱん!と両頬を叩き、気合を入れた正広は、このカッコではいくらなんでもいかん!ということで、シャワー室に向かった。
濡れた服を乾かしていたのだ。
もうそろそろ乾いてるかなと思った正広が見たものとは。
濡れている浴室の床にぐちゃり、と、落ちている自分の服。

「・・・・・・」

湿り具合最高。
手にした正広は小さく笑った。
果たしてどうするべきか。
エアコンの風があたる場所でもう一度乾かすべきか。
レンジでチンするべきか。
奈緒美の、派手すぎて笑えるために、ただ置いているという服だか仮装だか解らないような服を黙って借りるべきか。

もう一度兄に電話したい気持ちに、正直、なった。
すごいエイプリルフールだね。みんなひどいや、あはは、と電話して、服を持ってきてもらう。
その誘惑に負けそうにもなった正広だったが。
「いや!!負けるもんか!!!」
レンジでチンしてやる!!と、パンツ片手にレンジを開けた正広は、う、と、固まった。
これまで、このレンジでは、さまざまなものをチンしてきた。
お弁当。
お茶。
インスタントコーヒーは、水に溶かしてレンジで2分加熱すると美味しいとききやったこともある。
そこに。
おニューとはいえ、ぱ、パンツを・・・!パンツをいれてしまうのか、自分!?
レンジでできるパンを作ったこともあった。
そのレンジに、パンツ!?
「で、できない・・・!」
がっくりと肩を落とした正広は、エアコンの風にパンツを躍らせるという選択をするしかなかった。
頭は乾いたため、腰にバスタオルという姿の正広は、お客さんが来ませんようにと祈りながら、仕事を続けるのだった。

<つづく>


サービスショット満載(笑)!!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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