天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

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ギフト番外編151話前編『GWに届ける」


 

ゴールデンウィーク。
黄金週間。
なんでも、この時期に映画館に一番お客さんがきたことから、この名前がついたらしい。
映画好きの由紀夫は、このGWは、あっちこっちのシネコンを巡り巡る予定にしていた。由紀夫はともかく映画というものが好きなので、超大作でも、マニアックでも、なんでも見る。映画館そのものもちょっと好きだったりするので、あちこち巡ってみようと思っていた。
「六本木に行くんだね・・・!」
その兄の計画を聞き、正広の目はキラキラと輝いた。
びっくりするほど物見高い正確をしているので、そーゆースポットには出かけずにはいられない。それが溝口正広だ。
「六本木ヒルズのヴァージンシネマズ六本木に行くんだねっっ!」

「行きません」

「えーーーーーーっっ!やだー!うそぉーーー!!」
「嘘じゃない!」
「やだーーーやだーーー!!なんかー!高い席があるのにーーー!」
「プレミアスクリーンにもいきません!」
「なんでー!なんでー!!」
床にひっくり帰って、真剣に手足をばたばたさせている弟を見て、不憫な・・・という言葉が沸いて出た。
不憫だ。
色んな意味で、不憫な弟だ。
もちろん由紀夫だって、新しくできたヴァージンシネマズ六本木に興味はある。しかし、東京に住んでるものとして、平日の夜だって十分いけるのに、なんでゴールデンウィークの真っ只中、人ごみの中に、わーざーわーざー出かけなくてはならないのか、さっぱり解らない。
「同じアホなら踊った方がいいんだよ!絶対!」
「いやです。だって、おまえとそんなとこいったら、すぐに腹減っただの、眠いだの、ぐずるじゃん」
「眠いではぐずりません」
「腹が減ってではぐずるんだな!?」
「じゃあどーすんの?!俺が腹が減ったってぐずらないまま衰弱して死んだら!それでもいいの!?」
「訳の解んねぇキレ方すんな!!」

今日も仲良し(?)な早坂兄弟は、GWを満喫するつもりだった。それぞれのスタンスで。
やっぱり休日は家族サービスだよね!と己に対して兄からのサービスを期待する正広と、やっぱり休日はリフレッシュだよな!と、己に対するご褒美を希望する由紀夫と。

ところが。

「野長瀬、ゴールデンウィーク、何やんの?」
「え?」
もちろん、由紀夫にそう尋ねられた野長瀬にだってゴールデンウィークの計画はあった。
例えば部屋の模様替えをしようかしら。
思い切ってリフォームはどうかしら。
野長瀬智子ちゃん(ミニウサギ大(♂))とおべんともってピクニック?
いっそのこと温泉〜!?
って、おまえはペットしか友達のいないさびしいハイミス(死語)か!!というような計画だ。
「そーですねー。ここは一発海外にでも」
「すっげー、いい度胸してる!たった3連休で海外!」
「思い切ってグアムあたりに!」
「小せぇ〜!すがすがしいほどに!!」
もちろん、野長瀬は、戦争だー、SARSだー、となっているときに海外にいけるような度胸はどこにもない。でも言うのはタダなので。
「由紀夫ちゃんは?」
「ちょっとした旅行に」
「いいですねー」
「ねぇ野長瀬さん!一緒に行きませんっ?」
にこっ!と正広が野長瀬に笑いかける。
「えっ!どこなんですかっ?」
残念なことに、わざわざ由紀夫が野長瀬を旅行に誘うなんて、おかしい、という発想は野長瀬にはない。
「解らないんだけど」
「は?」
ただ、「誘われたっ!」ってことに食いついてしまっている。
まったくもって、ペットしか友達のいないさびしいハイミス(死語)度の高いおっさんである。
「わ、解らないって・・・?」
「ミステリーツアーなんだよね、兄ちゃん」
「電車に乗って、指示をもらって、それでゴールを目指すってやつなんだけど、3人一組で参加することになってて」
「ええっ・・・!そ、それは・・・!」
「予定あるんならいいけど。グアム行くんなら」
「いやっ!グアムはキャンセルしますっっ!」
常磐ハワイアンセンターの似合う男、野長瀬は、架空のグアムの旅と決別した。

「あの、あの、あれですか、あの、トリックのやつですかっ?」
5月2日。今日まで働きましたという早坂由紀夫、溝口正広兄弟と、野長瀬は、東京駅にいた。興奮気味に野長瀬が言ったのはJRでやっているというTRICK−旅行版−のことらしいが、由紀夫は首をふった。
「これ」
ぺらりとしたカラーコピーのちらしを、由紀夫は野長瀬に渡す。
「ゴールデンウィークの黄金の謎・・・・・・・・・お宝じゃないですか!」
「ま、どーゆーお宝かは解らないけど、そーゆーのってちょっと面白かと・・・、野長瀬っ!?」
ゴールデンウィークの黄金の謎、というちらしには、謎を解いて眠っているお宝を勝ち取るのはあなただ!と書いてあった。
夢見がちな野長瀬は、たとえちっちゃなお土産みたいなものであっても、そこにある果てしないロマンを感じとってしまう。
さわやかな五月。
気の合う素敵な仲間たちと手に手をとりあい、助け合って、全員でお宝を目指す・・・!

美しい!
美しいじゃないか!!

「さっ!いきましょう!早くのりましょう!!」

まずは東海道新幹線で西を目指すことになっていた。
西。
という方角は、野長瀬にとって、ほんの少しだけ縁起の悪い方角なのだが、でも、この旅は素敵な仲間たちと一緒の旅!
恐れることなんてありはしないさ!
怖いことなんて、何もないさ!あるはずないさ!!

「楽しみだねー!兄ちゃん!野長瀬さん!」
「楽しみだねー!ひろちゃん!由紀夫ちゃん!」
「・・・どんだけ食うつもりなんだよ・・・」
駅弁どれにするか決めかねて3人で5つ。お茶。冷凍みかん。おかき。つまみ。
そんなものを一生懸命もっている二人に、何やらめまいを覚える由紀夫だった。

それいけ、ごーるでんうぃーく!


トリック旅行版,気になっております・・・(笑)楽しそうだ。ホントにドラマでやってくれないかな(笑)

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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