天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

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ギフト番外編151話後編『GWに届ける」


 

ゴールデンウィーク。
黄金週間。
そんな、キラキラ輝く日々を、早坂兄弟と野長瀬は、列車の中で過ごしていた。
手には、セクシィなたまねぎのイラスト。
セリフは、『あたしを一杯刻んでね♪』

絶対ヤダ!と正広は思う。
彼はどういう訳か、やたらとたまねぎに弱く、いつも号泣寸前まで行く。
たかがたまねぎでなぜこんなに泣けてしまうのか、という自分自身に対して泣きたくなるらしい。
「やだからね。絶対やだからねっ」
「大丈夫だよ、こんなのは得意なヤツがいるから」
弟に優しく言いながら、由紀夫はじっと野長瀬を見つめる。正広も、たまねぎと思っただけでウルウルしちゃう目で野長瀬を見つめる。
「・・・」
「な!」
「いや・・・、あの・・・」
「お願い、野長瀬さん・・・!」
「ひ、ひろちゃん・・・!」
頼られてる・・・!
俺!今、頼られてる・・・!頼りにされてる・・・!
その気持ちは野長瀬を高揚させる。
「任せて下さい・・・!」
よし!と、小さくガッツポーズの早坂兄弟だ。
「それなら、まずですね!」
野長瀬はバックの中からゴーグルを取り出した。
「これさえあればばっちりです!」
「なんでそんなもんもってんだよ!」
「いえね、ミステリー列車ってことは、どこにいくか解らないってことでしょ?それが海だったらいけないなーと思って」
「・・・5月だぞ、まだ」
「で、でも、波に足をつけるくらいは・・・!」
もちろん、波打ち際、というのは野長瀬にとって、大切な場所だ。
夕日でもいい。朝日でもいい。真昼間でも、深夜でも、とにかく、波打ち際というのは素晴らしい。
打ち寄せる波。それは、目でも、耳でも野長瀬を楽しませる。
足元で崩れてゆく砂。
足跡は、うっすら残り、ゆっくりと消えてゆく。
あぁ。
そんな波打ち際を、あの人と歩けたら・・・!

うっとりする野長瀬の脳の中。現れるあの人は、必死に必死に想像しても、野長瀬智子(ミニウサギ大・♂)のものでしかなかった。

「ま、いいや、そんな妄想はどうだって」
「妄想って兄ちゃん・・・」
「ともかく、たまねぎはそれでいいとして。ん?」
由紀夫は、たまねぎの紙が出てきた封筒を取り上げた。
「まだ入ってんじゃん」
「えっ!?」
封筒のサイズぴったりに折られた用紙が、もう1枚出てくる。その紙には。
「・・・・橋・・・?」
「橋、だなぁ」
中央よりも、ちょっと右上くらいの場所に、橋の絵が描かれている。
童話に出てきそうな、小さな可愛らしい橋の絵だ。
それには、特別言葉はない。
「橋と、たまねぎ」
「それにタコ」
「しゅ、シュールだね、兄ちゃん!」
3人は眉間にしわを寄せる。
橋と、たまねぎと、タコ。
一体どういうことなのか。
「出てきた順番関係ある?タコ、たまねぎ、橋」
「でも、この封筒には、たまねぎと橋と両方入ってたんだぞ?」
「あ、そっか。えっとー、た、で始まる・・・」
「始まらねぇだろ!橋!」
「違う読み方あるかもよ!タで始まる・・・」
「はぁっっ!」
突如野長瀬が大声を上げた。
「オですよ!オ!」
「オ?」
「オニオン!オクトパス!」
「橋」
そして由紀夫に瞬殺される。
「えー?橋ってブリッジー?ブリッジブリッジ・・・、レインボーブリッジ。ベイブリッジ」
「そこらだったら、新幹線乗ってる意味ねーだろ」
「だよねー。タコ?オクトパス??」
「並べ替えとかするんじゃないですか?たこ・はし・たまねぎ・・・。これだったら、例えば〜・・・。ねぎしたまこた」
「誰それ!」
「ってゆーか、たまこた、って名前変だろうが!!」
「じゃさじゃさ、やっぱりオクトパス、オニオン、ブリッジなんじゃないっ!?」
えーっとね!と、その文字を書いた紙を見下ろし、正広は硬直した。
「・・・ま。無理だわな・・・」
オク、オブ・・・お、おり・・・?とどうにか言葉を作ろうしている正広を見、由紀夫はため息をついた。

そんなことをしている間にも、新幹線はずんずん進む。富士山なんてとっくの昔に通り過ぎてしまい、そろそろ大阪に到着しようかという勢い。
このまま博多まで乗りつづけるしかないというのか!?
そこで、由紀夫が一度頭をリセットさせようと、3枚の用紙を重ね合わせた。

「あっっ!」

それを見て、正広が急に目の色を変える。

「どしたっ?」
「これ・・・。この紙が重要なんじゃない!?」
「紙?」
「だって、この絵、重ならないようになってる!」
透けるほどの薄さではないが、それぞれ3つの絵が重ならない位置に描かれているのが解る。
「真中がたまねぎでしょ?右上がタコ。その間が橋・・・」
「どういうことでしょう・・・」
「だから、順番は、たまねぎ・橋・たこなんじゃない?それか、たこ・橋・たまねぎか」
「たこ・・・橋・・・たまねぎ・・・・・・・・・・・。はぁっっ!」

おりしも、それは大阪駅に到着した瞬間だった。
ちっ、と舌打ちした由紀夫が、立ち上がり、通路に出ようとした野長瀬のすねに足払いをかける。
「いだだっ!」
「兄ちゃん!?」
「降ろすな、正広」
「え?え?なにが?なんでっ?大阪が正解なんじゃないの!?なんで野長瀬さん!?」
「いいから押さえろって!」
「いや、だって、押さえろって・・・」
兄ちゃんが、足で背中と、太もも踏んでるのに・・・。これ以上何をしろって・・・。そんな風に思う正広だった。

「そ、それで、ここはどこなの?」
大阪で降りたがる野長瀬を見事妨害し、今度は降りたがらない野長瀬を、新神戸で引きずりおろした早坂兄弟。
わーい、また神戸だー!と喜んだ正広は、レンタカーに乗せられ、揺られ揺られている。
「明石」
「あかし?」
「明石焼きで有名」
「明石焼き・・・。たこだ!」
「そして、あれが明石海峡大橋」
「橋!」
目の前に広がる長い橋に、正広は感動を覚えた。綺麗だった。
「・・・でも、たまねぎって・・・?」
「淡路島は、たまねぎが有名」
「そうなんだー・・・」
キラキラ輝く5月の陽光。高い橋の上からは、瀬戸内海が美しく眺められる。
いかにもゴールデンウィークらしい風景だった。

「それで、あのー・・・・・・・・・・」
しかし、その輝きの中に影を落とすのは、後部座席にまさに押し込められているといっても過言ではない野長瀬だった。
新幹線の中で暴れた野長瀬は、チャイルドロックをかけられた後部座席で今はもうぐったりとしている。
何もかもを諦めたかのようだった。
「これは一体、どーゆーことなの・・・?」
「奈緒美からの依頼でさ、野長瀬を届けなきゃいけなくって」
「奈緒美さんが?野長瀬さんを?」
「奈緒美の親戚が、淡路島で農業やってて、その田植えの手伝いがいるからって言われて」
「だったら、こんな凝ったことしなくても!」
「前にも、普通に野長瀬に頼んだんだって。でもさ、奈緒美の親戚だから」
「え?」
「人使いが荒いの荒いの荒いの。もう、絶対ヤダって嫌がったもんだから」

「何もこんな手のこんだ〜・・・・・・・・・・」

しくしくと野長瀬がつぶやく。
「ま、ちょっと遊び気分も楽しみつつ、楽しく労働ってのがいいんじゃないかと」
「え。じゃあ、あれ全部兄ちゃんの指示?」
「そうだよ」
「なぁんだーー!」
そうかそうかと何度か首を縦にふった正広は、はっ!と顔を上げる。
「で、でも、このまま野長瀬さんを連れていけば・・・!」
自分たちも田植えの手伝いになるんじゃあ!?
その意図を由紀夫は正確に受け止めた。
「奈緒美はそのつもりだろうけどな」
ニヤリ。
「こんなにいたいけで、体の弱い弟に、そんな無茶なことはさせられないからなぁ」
「こほん、こほんっ、兄ちゃん、苦しいよぅ(棒読み)」
「ひ、ひろちゃあああん!!」

こうして、野長瀬は奈緒美の親戚宅に放り込まれ、田植えもしたし、たまねぎも刻んだ(←自家製オニオンスープ作成のため)由紀夫たちは、淡路島観光を楽しんだのだった。

楽しかったね!ごーるでんうぃーく!


コンサート日程も発表になり、今年は忙しいぞーー!!って感じです。突拍子もないところがあんまりなくてよかった・・・。豊田は突拍子もないか・・・。横浜国立は、腹が立つな。ダニップ・・・。

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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