天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

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ギフト番外編156話前編『ピンクキャッツのルリちゃんに届ける』


 

<これまでのお話>
変態ヤクザをヒモにもつ、ピンクキャッツのルリちゃん。そのルリちゃんと何やら抜き差しならぬ関係になったとかならなかったとかどうだとかこうだとかいう野長瀬。二人の愛の逃避行が、今、始まろうとしていた!
…違う…?

<今回のお話>
「じゃあ、そろそろ決めましょう」
キリリ。
今日も、ばっちりスーツで決めて、指に光るわハリーウィンストン〜自分で買ったってのが哀しいね♪〜の、腰越奈緒美は、両手を腰もあてふんぞり返った。
現在、パート2放送中の、帰ってきたロッカーのハナコさんポーズ。
そういえば、ハナコさんの衣装ってめちゃめちゃ可愛いわ。
私に似合わないはずないと思うの。
だって、私にとってはリアルタイムのお洋服だから。

うっっ!!

自分の考えに自分で傷ついた奈緒美だったが、0.02秒で態勢を立て直す。
「決めるって、何をです?」
可愛い社員、溝口正広にたずねられると、奈緒美の機嫌は大変よい。
「野長瀬を、どこに逃がすかよ」
「野長瀬と、ピンクキャッツのルリちゃんを、だな」
「あー、どこがいいですかねー」
典子が遠い目をした。
「何温泉ですかね〜…」
「温泉決定なんですか!?」
野長瀬の言葉に真実はあったけれども、なぜだか誰の心にも響かなかった…。
「温泉。温泉なんだけど、ひなびてなきゃダメなのよ」
遠いお空を見るような目を、奈緒美がする。
「でも、ひなびすぎてて、さびれてちゃダメなの」
女社長の顔だった。
世間のニーズを敏感にキャッチする有能な女社長がそこにいた。

「ストリップと射的は必須!」

「女の言うことかぁーーー!!」
「あらっ!由紀夫ったら、まだ女に夢を持ってるの!?」
「おまえにだけは持ってねぇ!」
「じゃあ、私はどうでしょうっ!!」
きゅるん♪と擬音つきで、典子がすっ飛んできた。由紀夫の前で、一度ターンしてポーズを決める。
キラキラとした瞳は、可愛くないことは、別になかったけれども。

「北過ぎるよりも、中途半端な場所の方がよくないか?」

「無視っすかーーー!!!」

夏場ミニスカートを捲り上げて扇風機にあたっているような人物に対して、どんな夢を見ろというのか…。

「そろそろ冬だから、日本海がいいっ!」
はいっ!と元気に手を上げたのは正広だ。
「いいわねぇ〜、冬の日本海!」
「いいですよねー!カニ〜!奈緒美さん、カニ〜!」
「いいわねー、ひろちゃん、カニよねー!カニ!カニに酒!」
「やっぱりそれか」
「酒、カニ、海鮮、冬の海、温泉、訳ありの男女。ああ〜、冬の日本海は完璧ねーーー!」
「じゃ、日本海と。どうするかな。北陸とか、山陰とか…」
「山陰!」
奈緒美の声が跳ね上がる。
「逃げていく男女。たどり着いたのは、山陰…!」
「そのうっとりの仕方は、むしろ、逆に、山陰の人に失礼なんじゃあ…」
「いいえ。決定よ、決定。山陰。じゃ、野長瀬、あんた、ピンクキャッツのルリちゃんと、山陰に逃げなさい。もちろん、夜行で」

「てことは、社長!山陰には、ストリップの射的もあるんですね!?」

「おまえ、アホだろ」
「野長瀬さん、しっかりして〜」
早坂兄弟は哀れみをこめた目を野長瀬に向けた。
「えっ?あ、そ、そうか!」
「そうだろ〜?」
何本気になってんだ、このバカ、という由紀夫の思いは、哀しくも裏切られることになる。

「ルリちゃんがいるのにストリップなんて!俺のバカバカ!」

「山陰でも、天国でもどこでもいきやがれーーーー!!」

アンティークのどっしりとした一人がけソファを、軽々と頭上にまで持ち上げ、今にも野長瀬の頭上に向けて振り落とそうとしている兄に、正広はすがりつく。
「やめてーー!人殺しはダメーーーーー!!!」
「人か!これが人なのか!?」
「人じゃなくっても、殺しちゃダメーーー!逃げてーー!野長瀬さーーん!!」

「哀れ野長瀬、前門の由紀夫、後門のヤクザ。どこへ逃げればいいものか。野長瀬の明日はどっちだぁ〜〜♪」

腰越人材派遣センターの付属品のひとつ、カラオケマイクを手に、奈緒美は謎のメロディーを熱唱する。

ドアがけたたましい音を立てて空いたのは、その時だった。

「野長瀬さーーん!?」

茶を通り越した金髪。
目力200%アップ?な、マスカラびしびしのでっかい目。
肌は、やや焼きの入った感じで、素足はぎりぎりまでむき出されている。
この寒いのに。

「ルリちゃん!!」

野長瀬以外の人間が、絵に描いたようなルリちゃんっぷりに声を合わせた。

しかし、入ってきた少女(推定18歳)は、きょとん?と首をかしげる。
「…誰。ルリって」
怒った様子で野長瀬を睨み付ける姿に、全員の心に、まさか…がよぎった。

まさか。
この野長瀬に限って、まさか、だが。
野長瀬。
この子と、ピンクキャッツのルリちゃんと、二股かけた!?
それがバレて、揉めてる!?
その上、ルリちゃんには変態ヤクザがついてる!?

「だから!ルリちゃんは関係ないってゆってるじゃないですか!」
「はっはーん、あぁいうってことは、ルリちゃんはほんの浮気、本命は、こっちだな」
「兄ちゃん、そんな、はっきり聞こえるようにゆっちゃあ…」
たしなめながらも、正広は笑顔だ。
「いや、だから、あのですねぇぇ!」

必死の野長瀬の声は、真実に満ち溢れているのだけれども、やっぱり、人々の胸には届かないのだった。

どうなる。ルリちゃん。

どうする野長瀬。

そして、この子は誰!?

<つづく>


あー、冬の日本海〜、いつでもいってるような気がするけれども、素敵。温泉素敵。でも、長時間入ってられなんだけども(笑)ただなー、高いんだよ、温泉―、なんであんなに高いんだよー、温泉―――!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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