天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って？
『Gift番外編』
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ギフト番外編１５９話ちょびっとだけ前編『プレゼントがたんまり届いた』
＜これまでのお話＞
それは11月13日。自分の誕生日に、各地に散らばるファンからたくさんのプレゼントをもらった由紀夫。大荷物とともに帰ってきた由紀夫が、慣れ親しんだ事務所で見たものは、なぜか、クリスマスツリーだった。
なんでクリスマスツリーなのか、まったく解らないままに、由紀夫はそのツリーの前に戻ってきた。
どうやら、本当に腰越人材派遣センターには人っ子一人いないようだ。
業務時間中になんたる自由な会社か！
きぃぃ！となりながら、ツリーの下に自分がもらったプレゼントを積み上げていく。
とりわけ几帳面という訳でもないが、もらったプレゼントはちゃんとラッピングしなおしてある。
その見た目にも可愛らしいプレゼントでツリーの足元を埋め尽くしたもんだから。
「おっ、これは・・・！」
由紀夫は二歩後ろに下がり、ツリーの全体像を見た。
由紀夫よりも背の高いクリスマスツリーには、ごく伝統的なディスプレイがされている。天辺には星があって、赤やら、青やらの丸い玉が下がり、電飾がぴかぴか。
その足元に、たくさんの、色とりどりのプレゼント。
「美しいといってもいいかも」
ふふ、と微笑み、しばしクリスマスツリーを眺める。それはまるで幸せの象徴だった。
が。
いつまでもそんなものを眺めていてもしょうがない。
由紀夫はのんきな事務所の人間たちが戻ってくるまで自分ものんびりしよーっと、ソファに深く座り込んだ。と同時に、横倒しになる。
腰越奈緒美様を舐めるなよ、の、価格以上の気持ちよさのあるソファが由紀夫は好きだった。
でも、いつもと少し空気が違う。
なんか寒いなと由紀夫は体をちょっと起こした。エアコンは入っているけれど、いつもと違い一人っきりなのがいけないらしい。
いつもは人数も多くて、ざわざわした空気で、その中で寝るのがいい感じなのだが、今日はやっぱり静かだ。
だからといって、寂しいとか言ってる由紀夫ではない。
一人の時のお供はあれだ！と軽い足取りで毛布を取りにいく。これまた、腰越奈緒美様をなめんじゃねぇぞ！という特別な毛布で、軽いし、あったかいし、手触り最高、色最高という品。
「ん？」
そして、ようやくそれに気づいたのだ。
由紀夫の机の上に置かれた一通の封筒に。
会社に氾濫している茶封筒とは違う、白い綺麗な封筒だ。
『早坂由紀夫様』と、ワープロで打ち込まれている。
由紀夫はその封筒を人差し指と中指で拾い上げ、裏表を確認した。封は、白地に金のラインで花が描かれたシールになっている。
その封をあけて、中を見てみるとカードが1枚入っている。
これも、白地に金のラインで、周りに花のデザインが描かれていて、書かれている文字は一行。
『一つだけお持ち帰りください』
「・・・一つだけ、って・・・？」
しばらくなんのことか解らないまま、由紀夫は立ち尽くした。
何を。どう。一つだけ持って帰れっていうのか・・・・・・・・・・・？
「・・・・・・・・・・・あ！？」
しかし、今日は11月13日。自分の誕生日。あのクリスマスツリーの下にあるのは、自分へのプレゼントだったということか？それで、その中から１つ持って帰れってことか？
で、なんで一つ？
振り向いてツリーを眺める。足元には、たくさんのプレゼント。9割が由紀夫がもらって帰ってきたもの。
その山の奥に、最初からあったプレゼントがあるはずだった。
今はなぜかここにいない腰越人材派遣センターの面々が由紀夫のためにくれたものなんだろうが。
そして由紀夫は、一つ選びだした。
その上、持って『帰れ』というくらいだからと、事務所を出る。今日はもうよく働いただろうという気持ちからだった。
その時、事務所の空気がはっきりとざわめいたのだ。
誰もいないはずの事務所に、なぞのメッセージ。謎を超えたクリスマスツリー。
けれど由紀夫は振り向かずに事務所を出ていく。
片手に１つのプレゼントを持ち。
この事務所では何があっても不思議ではないと、もう彼は知っているのだから。
「ちょっと、由紀夫！それ違うわよ！それじゃないわよ！」
「えっ？由紀夫さん、あれ天然？マジボケ！？」
「兄ちゃん、戻ってきてー！」
「由紀夫ちゃーん！私のがいいんですってばーー！」
「・・・・・・・・」
由紀夫は何を持って帰ったのか？？？
短っ！ごめんっ（笑）２！
今回もひろちゃんやや登場せずですわぁ（笑）
次回更新は、来週水曜日！の予定は未定にして決定にあらずっ！