天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

このページの画像は、すべてyen@galleryhttp://www.alles.or.jp/~yen/様から使わさせていただいております!皆様も遊びにいらしてくださいね!

ギフト番外編159話ちょびっとだけ後編『プレゼントがたんまり届いた』



<これまでのお話>

それは11月13日。自分の誕生日に、各地に散らばるファンからたくさんのプレゼントをもらった由紀夫。大荷物とともに帰ってきた由紀夫が、慣れ親しんだ事務所で見たものは、なぜか、クリスマスツリーだった。足元に大量のプレゼントがおかれたクリスマスツリー。
そして、机の上に残されたメッセージ、『一つだけお持ち帰りください』。
大量のクリスマスプレゼントの中から、由紀夫が選んだものとは!?

「ちょ、ちょと!!」
しかし、慌てているのは正広だった。
「ちょっと!何!由紀夫ほんとに帰っちゃったのっ!?」
奈緒美でもあった。
「ちょっとどーすんのよこれー!」
そして奈緒美が怒っている場所は、ものであふれかえっている空間だった。
「ちょっと!あんた!由紀夫の部屋にもカメラあんでしょ!?」
「えええ!やめてくださいよー!」
「どーなのよ!タムラ!」

お忘れの方も多いと思うが、私も忘れていたのだが、タムラ、という男が腰越人材派遣センターに、一応、所属している。タムラは、基本的には自宅から一歩もでたくない、どこにでもいる平凡な犯罪マニアだ。
奈緒美は、何が生息しているか、何が繁殖しているか、何が召喚されているか、まったく想像できないタムラの部屋が大嫌いだが、今日ばかりは仕方がなかった。
「いいから!あるんでしょ!どーせ!」
「ど、どーせって!うそでしょ!タムラさん!」
「ものとかー、前におかれてなかったらー」
「うっそぉん!なんでうちに隠しカメラとかあんのよー!タムラさんってばーー!!」
「えーっとー・・・」
盗聴盗撮なんてお手の物。問題は、カメラや盗聴器を仕掛けにいかなきゃいけないってことだけで、その作業を嫌がらないタムラだったら。
あなたのおうちの夫婦喧嘩も。あなたの会社の密談も。あなたのお風呂の水音も。
何もかも筒抜けになりかねない勢いの立派なマニアでもある。
そんなタムラが、腰越人材派遣センターに隠しカメラを設置したのは、ずいぶん昔。まだ、早坂由紀夫も、溝口正広もいない時代のことだった。
当然、それを知っているのはタムラ一人だったのだが、ふとしたことが元で、それがバレてしまった。
が、その話は長くなるので、また別にさせていただくとして。(えっ!?)
とにもかくにも奈緒美が激怒。
カメラは奈緒美のデスクを捕らえるところになく、入り口に向けて設置されていたのだが激怒。
あんな部屋今すぐ火をつけてやるーー!!大騒ぎをしたのだが、正広の言葉でとりあえず思い直した。
すなわち。
早坂由紀夫お誕生日おめでとう記念!
由紀夫をもっとも理解しているのは誰だ!グランプリ!

『で?な、なんなの、その企画は』
『だから、みんなで一つずつ、兄ちゃんにプレゼントを買ってくるんです』
『いつも買ってますよお〜?』
野長瀬から出た当然の疑問に、正広は首を振った。重々しく。
『でも、兄ちゃんが持って帰るのは、一つだけなんです・・・!』
『一つだけ?って、なんで?ひろちゃん』
『みんなが買ってきたプレゼントの中から、一番自分が欲しいって思ったものを持って帰る。つまり、そのプレゼントを選んだ人が、兄ちゃんを一番理解してる、兄ちゃんを一番愛してるってことなんですよ!』
だったら俺が圧勝だけどね!
とココロの中で思った正広は、奈緒美、野長瀬、典子の表情を見て、うっ・・・!と息を呑んだ。
こ、この人たち・・・!
まったく負ける気がない・・・!!
さすが、腰越人材派遣センターのアイドル!早坂由紀夫!!
『でっ?』
急にビジネスウーマンのキリリ!表情になった奈緒美が、正広に問いかけた。
『今まさに、この会合を覗き見しているであろう、あのバカタムラとなんの関係があるのかしらっ!?』
片手には、携帯が握られている。今すぐにでもどこかに電話をして、由紀夫のプレゼントを調達しかねない勢いだ。
『あっ、だ、だから・・・!』
しかし正広にだって、血のつながった家族であるという意地がある。負けるものか!と奈緒美と真っ向から見詰め合う。
『兄ちゃんを一人にして、このカメラで、何を選ぶのか見たらどうかと思ったんです。それぞれコメントも聞けるじゃないですか!』
『わ!それは楽しいですねぇ〜!』
野長瀬がはしゃいだ声を上げた。ウキウキしていた。由紀夫の誕生日プレゼントのことを考えただけでウキウキしてしまうらしい。
『素直なコメントっていうか、そういうのが聞けるんでしょうね!』
『野長瀬さん・・・』
うきうきしている野長瀬を見ながら、典子が気の毒そうな声でつぶやいた。
『多分、けちょんけちょんですよ・・・』
『そうよね・・・』
『普段以上に歯に衣着せぬ由紀夫さんですよ・・・』
『夢を見させておいてあげましょうよ・・・』
そんな典子も、なかなか自分のセンスはイケてるんじゃないか?と思っている。
少なくとも、野長瀬さんには圧勝!だと。
『OK、趣旨は解ったわ。このくされカメラはその時まで置いておきましょう。でも!タムラぁぁ!』
集音マイク部分に奈緒美は怒鳴りつけた。
『それまではスイッチ切ってなかったら、ほんっとに!あんたの部屋焼き払うからねぇぇっ!!』

何かが発酵しているに違いない部屋で、ヘッドホンをつけたまま、タムラは横倒しに倒れた。

それからの日々は楽しいものだった。
由紀夫には知られないよう、あれこれプレゼントを吟味した。
そして、それぞれのメンバーがやたら由紀夫と会話したがった。
由紀夫は時に困惑めいた表情を見せたが、それぞれとの会話をなんとなく続けていたりもした。
あぁ。
それぞれのメンバーは思う。
こんなにも日々、由紀夫のことを考え続けたことがあろうか、と。

そうまでして、もうこれでパーフェクト、というプレゼントを用意した。
せっかくだから、と、自分の誕生日プレゼントを、自分に届けるため、出かけていった由紀夫を見送り、盛大なクリスマスツリーを飾った。
もちろん本物のもみの木だ。
もみの木の下に由紀夫への誕生日プレゼント。クリスマスには一ヶ月早いけど、でも、カンのいい由紀夫なら解ってくれるはず。
そこらの顧客からじゃない。
これは、僕からの!あたしからの!私からの、俺からの!!
プレゼントなんだあぁぁぁと!

『ちょっとー!あたしも仲間に入れてよーー!!』

でっかいダンボールを抱え、首にリボンを巻いた、あまりにベタな姿の千秋もいたが、プレゼント用意しなおしてこーーい!と叩き返したりもした。
(もちろん、あ・た・し♪プレゼント以外のプレゼントがあったので、それもツリーの下におかれた)
急いでタムラのアパートに移動し、由紀夫が帰ってくるのを、ウキウキと。
ウキウキウキと!
待ち続けていたっていうのに・・・!

「ななな、なんで!なんで!?兄ちゃんっ!」
「ちょっと、由紀夫!それ違うわよ!それじゃないわよ!」
「えっ?由紀夫さん、あれ天然?マジボケ!?」
「兄ちゃん、戻ってきてー!」
「由紀夫ちゃーん!私のがいいんですってばーー!」
「・・・・・・・・」
「やだーー!由紀夫ぉ〜〜!」

たくさんのプレゼント。
たくさんの、山盛りのプレゼント。
あけたもの。
あけてないもの。
そんな中から、早坂由紀夫が選んだもの。それは。

「あー、帰ってきたぞー」
タムラが別のモニターを指差す。
「ぎゃ!!ほんとにうちだ!なんで!?これ、どこにあんですか!カメラ!」
正広は心から慌てたが、画面の中の由紀夫はもちろん気がつかない。
「にいちゃーん!兄ちゃん、後ろ後ろー!後ろにカメラがーー!」
懐かしい、8時だよ全員集合を見ている子供のような状態にもなったが、やっぱり由紀夫は気がつかない。
気が付かないまま、ソファに横になり、『事務所から持って帰った』気持ちのいい毛布にくるまって目を閉じてしまう。

「に、兄ちゃん・・・」
「由紀夫の寝顔、かぁわいい〜・・・♪」
そして全員が、すよすよと昼寝する由紀夫の寝顔を、モニターごしにじっと見つめるのだった。

こうして。
由紀夫の誕生日企画は不発に終わった。
選ばれなかったプレゼントは、選んだ人の総取りというルールまで決まっていたのに、誰も選ばれなかった。
もちろん、これらのプレゼントは、その夜、自宅ですよすよ寝ている由紀夫をたたき起こしたのち、渡されることになる。
当然、隠しカメラも外されることになる。
さらに翌週の月曜日。

「えーーーー!!スマスマにパクられたーーーー!!!」

SMAP×SMAP、木村拓哉の誕生日企画が、自分の考えた企画と酷似していることに、たまらない幸せを覚えた正広だった。

「・・・なんか、もうちょっと普通に祝えよ・・・」
(プレゼントまみれの由紀夫さんによるコメント)

<ちょびっとちょびっとエピローグにつづく>


短っ!ごめんっ(笑)3!
長い間をかけてバカな話を書いていたら、もう来週は吾郎様の誕生日。あーん!グズでごめーん!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

今までのGift番外編へ

What's newへ

SMAPレポートへ

SMAPメニューへ

トップへ