天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

このページの画像は、すべてyen@galleryhttp://www.alles.or.jp/~yen/様から使わさせていただいております!皆様も遊びにいらしてくださいね!

ギフト番外編164話ちょこっと前編『ウソが届いた』



今日は四月一日。
由紀夫は目が覚めそうになった時、心の中でつぶやいた。
今日はなるべく平静な心持で過ごさなくてはならない日だ。
大事な日だと、言える。
まずは深呼吸をして・・・と、呼吸を整えようとしたその時。

「お菓子をくれないといたずらするぞー!」

うつ伏せ寝していた由紀夫の耳元で大声がした。
「お、お菓子っ?」
と目を開けると、目の前には、巨大なかぼちゃのおめんがあったのだ。
「・・・正広・・・」
絶望の声を、由紀夫は上げる。
「お菓子をくれないといたずらするぞー!」

なんで、ハロウィンなんだよ!!!

そんな叫ぶ気力は、由紀夫にはなかった。
彼の弟は、かぼちゃのおめんを本当にかぶっていた。一体どこでどうやって手にいれたのだ。
または作ったというのだ。
ほんもののかぼちゃだった。
あぁ・・・!
神様。
どうして、あなたは、うちの弟をおばかとして創られたのですか・・・!

「ねー!お菓子くれないといたずらするってばー!」

すでにその神に創られたおばか物体は、兄の背中に馬乗り状態になっていた。
これをいたずらじゃなくて、何をいたずらだというのだ、この物体は!!
「ふん!」
「わっ!」
由紀夫は、正広を背中に乗せたまま勢いよく立ち上がった。
「っぶないなー!」
かぼちゃの頭のまま、ベッドから転がり落ちそうになっている弟を放りだし、ずかずかとシャワーに向かう。
「あー!お菓子ー!」

そして由紀夫はお菓子をあげなかったため、バスルームの外にバリケードをはられる、といういたずらをされたのだった。

「というわけで、兄ちゃんは愉快じゃない人だと思います!」

頭にたんこぶを作って腰越人材派遣センターにやってきた正広は、はい!と手をあげて文句を言った。
「まー、可哀想に、どこ?ここ?痛い?」
「探さなきゃ解らない程度のこぶを探すな!」
「ひどいじゃない由紀夫。ひろちゃん叩くなんて」
「叩いてない!」

そう。正広のたんこぶは、由紀夫が直接つけたものではない。
ドアの前に、ダンボールだのを積み上げられた由紀夫が、ドアも破るぜ!という勢いでドアを蹴り開け、ダンボールが飛び散ったのだ。そこに、まだなにやらバリケードを築こうとしていた正広がやってきて、おっと危ない!とよけたところ、かぼちゃの頭につっかかり。
「わー!」
と、転んだ先で、机の脚に頭をぶつけたと。
「そういうことなんだからな!」
「だからって、由紀夫がお菓子をあげたらすんだことじゃないの?」
「だから、なんで4月にハロウィンなんだよ!」
「もー」
奈緒美は、心の底から呆れたようにため息をついた。
「ほんっと、由紀夫ったら面白みにかけるって言うかー」
「そうですよ、由紀夫さん。今日がいつだか忘れたんですか?」
「いつ?4月1日?」
「そうですよ!バレンタインデーですよ!」
「そうそう。いつもお前が自分でチョコ買っちゃあ、にきび増やす日な。あ、その歳だともうにきびじゃなくて、吹き出物か」
「・・・」
そういうと、言われた野長瀬以下、正広、奈緒美、典子が由紀夫を見つめる。
「・・・何」
「バレンタインデーじゃないだろ!とかってつっこまないの!?」
「つっこまなきゃいけないのか!」
「そこは、のりつっこみじゃないかー、兄ちゃーん!」

実は今、第何次かはしらないが、確かにお笑いブームがやってきていた。
なので、流行の波には乗るべきだろ。むしろのってけ!な腰越人材派遣センター一同は、とかく『笑い』というものを大事にしているのだ。
だが。
「由紀夫ったら、面白みのない。いいの、いい若者がそれで」
「いい男ですけどね、笑いもとれないとこの先どうするんですか」
「・・・いい男でもないのに、笑いもとれない男から心配されるほどのことでもないと思うけど」
「ひどっ!由紀夫さん、ひどいっ!」
「あのなぁ」
由紀夫は、周囲を取り囲む人々を見やった。
「そもそも、エイプリルフールは面白いことする日じゃないし。俺だって面白ければ笑うんだよ」
「えー・・・?」
面白くなかったのぅ〜?と正広は不服そうだが、そのふくれっつらは、一瞬にしたぽかんと口を開けた顔に変わる。

「ゆ、由紀夫・・・!」
「いやーん!由紀夫さん、フェロモン垂れ流し〜〜!」
これでどうだい!と由紀夫は微笑みを浮かべる。
正広は兄ちゃんすごい!と感心し、奈緒美は、しまった写真!と思う。俺ってきまってるよね、度全開の微笑みだった。
「別に面白くなくても、この程度は笑えるけど?」
そして、あらぬ方向にちらりと流し目。
「ウィットに富んだエイプリルフールのウソをつけるような連中がいたら、もっと笑うかもね」

こうして、第1回、早坂由紀夫の微笑み争奪、エイプリルフールのうそつき合戦のゴングがなったのだ!

つづく


日本にはエイプリルフールがなじまない。
そうですね。なんかこう、ウィットにとんだものがないからなんでしょうか。私の知り合いには何人か、うそをつけるものならつきたい。つく必要がなくてもウソをつきたい、むしろ積極的に!という人が二人ほどいますが、私はまったくそういう人ではないので、あまりウソはつきません。
ま、あくまでも、あまり、ですが(笑)
で、この話がウソかってゆーと、別に普通にほんとのことだったりするのです。

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

今までのGift番外編へ

What's newへ

SMAPレポートへ

SMAPメニューへ

トップへ