天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフト番外編164話ちょこっと後編『ウソが届いた』



<これまでのお話>
4月1日、エイプリルフールの日に、おまえたちのウソにはセンスってものがない、とばっさり断罪された腰越派遣センター一同。と、言うことは、ばっさり断罪した側である早坂由紀夫は、腰越人材派遣センター一同、の中に含まなくていいのだろうか。
おそらく彼は、こう答えるだろう。
『それでいい。むしろ、それがいい』
と。
そこで腰越人材派遣センター一同は、彼の微笑みを得るために、センスのいい笑えるウソをつかなくてはいけない羽目に陥ったのだ!
しかし思いつくウソはくだらないものばかり・・・!パンダネタまで到達したものの、そこから先が解らない。どうする!どうなる!腰越派遣センター一同ー!

『白浜に三つ子パンダが生まれた』
なんとも可愛らしく罪のないウソと言える。
ただ、言葉だけではインパクトがない。
『兄ちゃん、兄ちゃん!白浜で三つ子パンダが生まれたんだって!』
『おっ!見たい見たい!』
『見るのは、無理』
「これじゃダメですよねぇ!」
一人二役で演じてみた正広は、悲しい微笑みで迎えられる。
「無理だわ。それじゃ無理」
「HPとかー、無理ですよー私たちじゃあー」
「映像も無理だしー・・・」
はたしてどうすれば?
しかし、ローテク腰越人材派遣センターには、ローテクなりに得意な技があったのだ。

「野長瀬さん・・・」
それに気づいたのは、正広だった。
「これ、使えませんか?」
「これ?」
『それ』は、野長瀬の机の上にあった。
「それって、うちのちらしじゃあ」
「こういうの、いつも作るじゃないですかぁ」
腰越奈緒美は、節約が好きだ。今の節約ブームは、彼女の気分に激しくマッチ。そんな彼女は、自分の会社の宣伝に訳の解らない広告代理店を使ったりしない。
自分たちで考えたコピー。自分たちで考えたデザイン。自分たちで用意した用紙。そして自分たちで印刷。
最初は単なる節約からスタートしたものだったが、デザインや紙を工夫していくことでどんどん面白いものができていっていた。派遣先の会社にも、派遣されたい女の子たちにも、意外と好評でコレクションしている人もいるという。
・・・といった噂があるだけだが。
「作りましょうよ!」
「三つ子パンダが生まれたっていう号外ですね!」
野長瀬が目を輝かせる。
「バカかあんたは!」
奈緒美はその程度の輝きなら一瞬にしてかき消せるのだ。
「どこの世界に三つ子パンダが生まれたくらいで出る号外があんのよ!」
「でもちらしだってないですよー」
「あの、こういうのあるじゃん!」
正広がじっと見ていたのは、ちらしだけではなかった。腰越人材派遣センターが破格の値段で広告を載せているクーポンマガジンも見ていたのだ。
「これ、紙が荒いでしょ?パンダの写真を用意して、写真にとったりしながら組み合わせていって、最後こういう紙に印刷したらいけませんか?」
「あぁ、記事の部分にするのね」
「一番大変なのは、子パンダが3匹って写真だけど、それらしい記事もいりますよね」
「記事はあたしが書きましょう。あんたたち、まずは写真の準備よ!」

奈緒美は机に向かい、正広たちはパンダの写真を集めるため、書店に走った。
「か、可愛い〜!」
「子供パンダってなんでこんな可愛いのぅー!」
「あぁ・・・!智子ちゃんと一緒に子パンダが飼えたら・・・!」
本屋でもだえる怪しい3人組は、しかしすぐに自分たちの使命を思い出す。このパンダの可愛らしさとは違う種類の素敵なものがみられるはずなのだ。
「具体的にどうする訳?」
「この写真とかがいいと思うんですけど・・・」
双子パンダがじゃれている写真を正広は指差した。
「後ろにお母さんパンダがいるでしょ?この中に、他の写真からもってきた子供パンダを配置して、写真を撮るんです」
「写真。写真だと現像に時間かかるんじゃない?」
典子から言われ、正広は険しい顔になった。
「ここが、一つの山場だと思うんですけど・・・」
「う、うん・・・」
つられて二人も険しい顔になる。
「デジカメで撮って・・・」
「うん」
「プリンタで印刷します」
「うわー・・・!」
二人の顔には無理!と描いてあった。
「だって、プリンタで印刷ってことは、パソコンで取り込まなきゃダメなんだよね?」
「そうなんですよー!」
「あたし、やったことないー」
「僕も」
「私もです・・・」
でもこれを乗り越えなくてはいけない。いつまでも苦手だからといって放っておいては、あの、あの魅力的な笑顔にありつけないじゃないか!
パンダの写真の写真集3冊と、『簡単デジカメ♪〜これであなたもカメラマン〜』なんていう本を購入し、帰途についた。

「帰りましたー」
由紀夫が帰ってきたのは夕方6時近かった。
「あっ!兄ちゃん見てみて!」
正広がすっとんでくる。
「これ、可愛くない!?」
渡されたのは、あちこちで配られてるクーポンマガジンだ。
「中国の野生パンダ保護施設で三つ子パンダ・・・」
「白浜に双子パンダいるでしょー?でも、さすが中国じゃない?可愛い〜!」
二匹の小さなパンダがじゃれあっていて、もう一匹は母親パンダに抱っこされている。
「可愛いなぁ。やっぱ小さい動物って可愛いなぁ。この頭身が小さいところが可愛い」
「見に行きたいなあ〜」
正広はにっこり笑顔で、兄を見上げた。
「行こうか、白浜」
「白浜は双子でしょー。三つ子パンダー」
「だってこれ、白浜の隆浜と、秋浜だろ?」
「ち、違うよ」
「えー?じゃあ、どこの双子パンダだ?」
「三つ子パンダー!中国のー!」
きー!とじだんだ踏む正広を、由紀夫は面白そうに見た。
「これ合成って解るって!」
「うそだ〜!絶対解らないよ!こんなに上手に!」

そして正広は口を押さえた。
加勢に出ようとしていた奈緒美も立ち止まった。

「すっげ!ここまでやるかおまえら!」
由紀夫はクーポンマガジンのもって大笑いした。
「これ、今朝見たからこんなページないの知ってたから解ったけど、知らなかったら一瞬だまされたかも!」
ははは!と朗らかに笑う由紀夫を見て、かまかけるなんてひどい!と怒りかけていた正広は黙った。
あぁ、兄ちゃん楽しそう・・・!
輝いてます、由紀夫さん・・・!
あ、笑い涙が、目じりに・・・!由紀夫ちゃんの笑い涙は、ダイヤモンド・・・!
しまった、撮影しておけば・・・!

「あー、面白かった。土産買ってきたかいあったな」
満面の笑顔を浮かべながら、由紀夫はケーキの箱を取り出した。真っ白なそこの箱には、ロゴなどは入っていない。あくまでもシンプル。
「おみやげ?」
「あのプリン買ってきた」
「あのプリン?」
「ほら、最近有名じゃん。なんだっけ。パステルよりとろとろのプリン」
「パステルより!?」
正広の、そして野長瀬、奈緒美、典子の目の色が変わった。
シンプルなガラスの器に、いかにも美味しそうなプリンが入っている。
「おいしそー!」
「フランスのコンクールで優勝したんだよな。あ、そうそう、高山シェフ。日本に戻ってきて、白金に店だして」
「わ!おいしーー!」
正広が、さっきの由紀夫に負けないほどの笑顔になる。
「すご、これ美味しいですね、由紀夫さん」
「白金の高山シェフ、えーっと、なんて店だっけ、由紀夫」

「うっそーん」

「え?」
正広がぷっくらほっぺにプリンをつめこんだ顔を上げる。
「それ、俺が作ったの」
「うっそー!」
「ウソ」
「どっち!?」
「さあ、どっちでしょう?」

腰越人材派遣センター一同を混乱の渦に叩き込みながら、由紀夫は嫣然と、満足そうに笑った。


あぁ〜双子パンダ〜。また見に行きたいー。だってすぐおっきくなっちゃうもーん(笑)
おっきくなっても可愛いんでしょうね!二匹でうにうにしてて!もう!

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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