天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフト番外編165話前編『歩こう』



稲垣アニマルクリニックの稲垣獣医は、あぁ見えてスポーツが嫌いではない。
しかも、観戦よりも、自分がやる方が好きだ。
あぁ見えて。

「走るっていいんだよ。正広くん」
「そうなんですかー」
正広もスポーツは好きだ。見るのもやるのも好き。特に野球好き。野球なら早朝だろうが、深夜だろうが、すかさず起きてやりにいく程度に好き。
本当は、シアトルだろうが、ニューヨークだろうが行ってみたい程度に好き。
「今度、マラソン大会があるんだけど」
「稲垣先生出るんですか?」
「僕はね、そっちじゃなくて、歩く方に参加しようかなと思って」
「歩く方?」
「ホノルルマラソンって知ってるでしょう?」
「はい」
「ホノルルマラソンをやる時に、10km歩くってイベントがあるんだなー」
「・・・ホノルル行くんですか?」
「ホノルルも行くかもしれないけど、あれは12月だから」
稲垣獣医は、スポーツの中でもとりわけマラソンが好きだった。自転車も好きだし、水泳だって嫌いじゃないんだけども、トライアスロンの趣味はない。
「え、じゃあ、日本ですか?」
「そうそう。近場だし、どうかな?」
「10kmか〜」
とまぁ、しーちゃんの健康診断に比べると、3倍以上の時間をかけて、二人はそんな話をしていたのだった。

「兄ちゃんも歩かない?」
「『も』?」
その夜、正広は由紀夫にそう言った。
「『も』ってことは、おまえが行くのは決定な訳?」
「んー、だって歩くだけだから」
「まぁ歩くだけだよなぁ」
人間は一般的に時速4kmで歩くといわれている。そうすると、2時間半で10km歩けてしまう計算だ。
なんでも、ホノルルマラソンの時のレースデーウォークは、早朝スタートで、朝日と海を見ながら歩くなんていうものらしい。
それをそのままパクったとすれば、海沿いの、たとえば湘南とか?そういうところを歩くんだろうなと由紀夫は思った。
「で、場所はどこだって?」
「あ、場所」
「どこ?」
「・・・どこだろ」
「・・・でも、まぁ。近場だよな」
「だよね。海を見ながら走るってゆってたよ」

さて。
実際のところ、そのマラソン大会は、海辺で行われる。レースデーウォークも、朝日の上る美しい海を見ながらできる。
「ほんとに行くんですかー?」
「10km歩くだけだから、すぐ帰るし。そんなに迷惑はかからないと思うけど?」
「ほんっとに歩くだけでいくんですかー?」
「走るとさすがに帰ってこられないからねぇ」
「もー・・・」
草g助手は困った顔をしている。実際のところ、一日や二日稲垣獣医が休んだところで、稲垣アニマルクリニックの大勢には影響はないのだが。
それならそれで、ゆっくり休んでもいいんじゃないのかと思うのに。
「早朝スタートだからー、午後からの診療には戻れると思うよ」
「・・・僕はそうは思わないですけどねぇ・・・」

「ウォーキングかぁ♪」
なんだか正広はウキウキしている。
マラソン、といわれたら無理、と思うけれど、ただ歩くだけって言うのはいいんじゃないかなぁ〜と。
「靴買っちゃお♪ウォーキングシューズ♪」
とスポーツショップを眺めてみたりなんかして。どんな服がいるのかなと雑誌を眺めてみたりなんかして。
「いや、これは関係ないだろ!」
デューク更家のDVDとかを買って由紀夫からつっこまれたりなんかして。
「でも、なんか・・・、結構難しい、よ・・・っ?」
シュ!シュッ!と声を上げつつ、体をひねりながら歩く正広だ。
「おまえ、ほんっとにミーハーだな」
「ねぇねぇ、シューズどんなのにするー?」
「シューズ?」
「ジョギングシューズより、ウォーキングシューズの方がいいのかなぁ〜」
シュッ!シュッ!と声を立てながら、正広は買った雑誌を由紀夫の座っているソファまで運んでくる。
「怖い怖い怖い!」
ソファの隅に逃げつつ、由紀夫は腕を伸ばして雑誌を受け取る。
「なんだよ、ジョギングシューズと、ウォーキングシューズの違いって・・・」
「いや、デザインとか」
「デザインかよ!」
などと、どこかで聞いたような突込みを入れながら、やっぱりいいよな、靴。なんて思う。由紀夫は走ることが好きな上に得意だ。本当ならマラソンの方に出て見たいくらいだった。
「あ、これカッコいいな」
「どれどれ?」
「これ」
「普通?」
「普通なとこがいいんじゃねぇか」
「そっかなぁ。俺はねー、こういうヤツの方が」
「・・・夜道で目立ちそうな色だな・・・」
「後はー、末續慎吾モデルとか」
「短距離だろ!」
「高橋尚子モデルとか!」
「ほんっとに!ドミーハーだな、おまえは!」

などと言いながら、結局早坂兄弟は、靴を新調してしまった。
ウェアも新調してしまった。
歩くだけなのだから、そこまできばったスタイルにする必要はないのに、つい買ってしまった。由紀夫の中には、いや、でも、緊急でもマラソンに参戦できるものなら?と、朝のランニングまで初めてしまった。
いけるのか、いけないのか。
それぐらいのことは稲垣獣医に確認すればすぐに解るはずのことだったのだが、由紀夫はそれをしなかった。
なんとなくうさんくさいなーと稲垣獣医のことを思っているからだった。
そしてそれが、小さな過ちの始まりだった。

<つづく>


なんですか。こないだ関西のテレビで今井さんがゆってたんですけどね。今井さん、最初はギフトで刑事役だったんですって。倍賞美津子の!でも、今井さんだと木村さんが負けちゃうから事務所が変えるようにゆったって!えーーー!そうなんやーーー!!驚き。それはそれで見たかったわぁ〜。でもそうするとあの愛らしい野長瀬もいなかったってことで・・・!むーーー、そうかーーーそうなのかーーーー!

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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