天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

このページの画像は、すべてyen@galleryhttp://www.alles.or.jp/~yen/様から使わさせていただいております!皆様も遊びにいらしてくださいね!

ギフト番外編165話中編『歩こう』



<これまでのお話>
稲垣獣医に誘われ、マラソン大会に参加することになった早坂兄弟。実際は、マラソンではなく、マラソンがスタートした後に行われるウォーキング大会だ。ど
うやら、ハワイはホノルルマラソンをぱくった企画だという。早朝、夜明けの海を眺めながら10km歩く。
素敵だ。初夏にはぴったりだ!早坂兄弟は盛り上がっていたのだが。

『朝5時集合ですからね、前の日からいかなきゃいけませんよ』
「前の日から、ですか?」
『そうそう。だって、5時に集合なんて、家からできないでしょ?』
「あ、そっか。場所聞いてませんでした。どこですか?」
『えっ?行ってなかったっけ!』
電話の向こうで稲垣獣医が驚いた声を上げるのに、正広は笑った。
「聞いてなかったですー。でも、海沿いだって聞いてたから」
『そうそう。海沿いだからね、もちろん』
「そうですよね。だから、早くに車で出ればいけると思ってて。遠いんですね」
『遠いよ?』
「あ、じゃあ泊まらないと?」
『泊まらないと無理だねぇ。まぁ、夜行列車を使うって手もあるかな?あ、それじゃ間に合わないか。だって、到着するの、七時とかでしょ?歩き終わっちゃっ
てるよね』
「や、夜行列車?」
元々、稲垣獣医は難しいことを喋るから、どうも自分には解りにくいや、と思っていた正広だが、『夜行列車』にはさすがにひっかかった。
「あ、あのっ。どこなんですか?会場って!」
『え?あいかっぷ』
Iカップ!!
A・B・C・D・E・F・G・H・Iカップ!いるのかそんなグラビアアイドル!
坂下ちりこがAカップだとか!MEGUMIがHカップだとか、小倉優子は最近巨乳になったとカミングダウトで行っていたとか、そんなことは聞いたことがあるけども、Iカップって!!
正広とて男の子。巨乳ちゃんたちがあたまの中を一瞬にして駆け巡ったが、会場がIカップって何!?と我にかえるのも早かった。
「な、なんですか?Iカップって!」
『魅惑のIカップ女子高生滝沢乃南?』
「はぁぁ????」
あぁ、おとうさん。ぼくには、もう、なにがなんだか、わからないのです・・・
不条理の世界に正広は落ち込みかけた。足元が緩み、足と、地面が一体化していくような感覚。このぬかるみと一体化することによる至福とは・・・

「何受話器もったままぼーっとしてんだ?」
その正広は不条理のぬかるみから救い上げたのは、兄由紀夫の言葉だった。
「電話中?」
「え・・・・・・・・あっ!あのっ?だからIカップってなんですかっ?」
「Iカップといえば微妙に不細工な根本はるみ?」
後ろから兄に言われ。
「あぁ〜、あれがIカップかぁ」
ぶるんぶるんだね♪ぷるんっ♪じゃなくってね。
などと思っていると、受話器の向こうからのんびりとした声がした。
『だからー、あいかっぷだからね〜』
「は、はい。Iカップ・・・」
『だから、どうしたって前の日から入らないと無理だから』

Iカップだから・前の日から入らないと・ウォーキングには参加できない。

なんという無意味語なのか訳がわからず、思わず正広は受話器を兄に渡してしまった。
だって!だって兄ちゃんならどうにかしてくれるはずだもん!それが兄ちゃんなんだもん!!

「もしもし?お電話変わりましたけど・・・。さっきから何IカップIカップって」
『だって、正広くんが、場所がどこだって言うからー』
「場所・・・?Iカップ?」
『あいかっぷ』
「カップといえば、ハスカップ?」
『あ、関係あるのかな。どっちも北海道だもんね』
「北海道!?」

そう。稲垣獣医が、気軽ーに正広を誘ったマラソンの開催地は、北海道だった。
「ほ、北海道?」
Iカップが北海道で、一体何?
正広の頭も、混乱したままだ。
『釧路空港から車で1時間ですから』
「ですからって、いや、先生!」
『早めに飛行機取った方がいいですよ?』
「早めも何も!この週末でしょうが!ちょっと!こらー!」
そうして電話は切られ、だから俺はあいつが嫌いなんだ・・・!という早坂由紀夫が残されたのだった。
「ほ、北海道って・・・?」
「北海道でIカップのおねえちゃんと歩きましょうっていう楽しい企画が、ある。・・・んじゃねぇよ!どこだ!アイカップって!」
「ね、根本はるみ?」
「だから、微妙に不細工な根本はるみじゃなくって、アイカップって場所が北海道にあるんだってよ!」
「・・・北海道にIカップ」
「いいかげん『あい』を『I』と読むのをやめてくれ・・・」
「えっ?これってトリビア?」
「確かに知らなくても生きてはいけるけども!」

こうして早坂兄弟は金曜日の夜、羽田から釧路へ飛んだ。
なんだってそんなあわただしいことするのよ!とゴージャス大好きな奈緒美にののしられながら、あわただしく飛び立った。
でも、土曜日の早朝のレースであり、土日ゆっくりして東京へ帰ろうと思ってもいた。
「釧路といえば、釧路湿原。そして丹頂鶴!ばーい早坂由紀夫」
「愛冠には愛の鐘ぺルアーチがある!ばーい溝口正広」
予習したことを語り合う二人。北海道や沖縄には、そこに行くというだけで人を高揚させてしまう何かがあるのだろう。
すっかり夜になってから釧路空港に到着し、レンタカーで愛冠がある厚岸にたどりつく間も、二人は朗らかだった。
「今日は早く寝ないとなー」
そんな話をしながらこじんまりとしたホテルにチェックインしたところ。
「何を言ってるの!」
突如現れた稲垣獣医に叱られた。
「ど、どしたんですか!」
「どうしたのって、今日は夕方現地入りをして、ちょっと走ってたんだよね」
稲垣獣医は当然いつもの白衣ではなく、ジャージの上下をお召しになっている。ジャージも白だ。
「は、走って・・・」
「明日はウォーキングだけど、僕、毎日走らないとダメなんだよね」
「そうなんですか・・・」
「それにここをどこだと思ってるの?」
「微妙に不細工な根本はるみ、のあいかっぷ」
「パチンコのCMだと、周りに女の子が多いから、明らかに肌の色が違うところが健康そうに見えなくて不幸をしょったよね、あの子はね。じゃなくって、ここはまだ厚岸でしょう!」
『厚岸』と書いて、『あっけし』と読む。
この場所はなにせカキが有名。
「カキを!そして魚介を食べずにどうするの!まったく君たちは行動が遅いよ!」
「え?でも、今日はまだ仕事・・・」
「厚岸のカキよしも大事な仕事!?」
「・・・そりゃあ・・・」
大事だろうといおうとした由紀夫は、正広に遮られた。
「すみません!俺・・・!俺そんなことに気づいてなくって!」
「このホテルは、夕食食べたかったら6時までに入らなきゃいけないってのに、こんな時間になって・・・!」
吐き捨てるように稲垣獣医はいい、しかし、その後で笑顔になった。
「ま、こんなこともあろうかと。大広間に準備はさせておいてもらったよ♪」
「稲垣先生・・・!」
「正広くん・・・!」
ジャージ姿の稲垣獣医に導かれて大広間に向かう早坂兄弟。
そこには、カキが待っていてくれた。
ぷりぷりのカキが。
エビも、カニも待っていてくれた。

あぁ・・・!このカキと、愛の鐘を鳴らしたい・・・!

正広は大変幸せだった。
由紀夫も、美味しい酒まであって幸せだった。
もちろん、稲垣獣医も幸せだった。

だからといって、ホテルの部屋に戻ってからも食べ続け、飲み続け、倒れるように意識を失ったのが、2時というのはどうなのか。
3時間後には、10kmウォーキングのために集合せねばならないというのに!どうする早坂兄弟!どうなる稲垣獣医!!

もちろん、稲垣獣医のいない金曜日を、草g助手がいつもの8倍パワーの微笑みを浮かべながら診察を続けていたことは言うまでもない!

<つづく>


どこか吾郎様に歩いていただけるいい場所はないのか、と、場所を探し。
Iカップのグラビアアイドルは誰かを探し。
インターネットって便利なものだなぁ、と思った今日でした。

 

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

今までのGift番外編へ

What's newへ

SMAPレポートへ

SMAPメニューへ

トップへ