天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?
『Gift番外編』
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ギフト番外編181話プチ前編『ウソは言わない』
エイプリルフールは、あまり日本に馴染んでいない、と正広は思う。
だって、あんまり盛り上がらないから。
毎年、毎年、どうにか盛り上げようと、うまいウソをつこうと考える正広だったが、どうもこれだ!というバシっとしたナイスなウソがつけたためしがない。
正広はそれについて考えてみたのだ。
こないだテレビで、筑紫てつやが、ちょうどエイプリルフールだからといって、宇宙人と会談した、とかなんとか放送して、えらい怒られたことがあるって言ってた。
でも、4月1日の放送で、それだけ突拍子もない
つまり、日本人はウソを嫌うのだと。
決して、決して、決して!自分の能力が不足している訳ではない。日本人は、そもそもウソをつくことを潔しとしない民族なのだ!
「おーい。いつまで寝てんだー!?」
「起きたくない」
「はっ?」
年度初めが金曜日ってゆーのはなっとくいかねーよなー、と思いながらも、由紀夫は朝ちゃんとおきて、朝ごはんだって準備している。
トーストとコーヒーとバナナという簡単な朝食だが、今はピーナッツバターに凝っている由紀夫は、たっぷり塗ろうと思っている。塗るっていうか、乗せる?
で、いい加減弟を弟を起こさなきゃと声をかけたらこの返事。
「いや、起きたくないのは解るけど、起きないと」
「おきたくない・・・」
「正広ー?」
弟の様子を見に行くと、正広は頭から布団をかぶってふにふにしている。
「起きたくないよーー。眠たいよーーー」
「4月1日だぞ?」
新年度の一日(いっぴ)であるという意味で言った由紀夫は、はっ、と足を止めた。
『エイプリルフール・・・』
いつもいつも何かしでかす弟が、今日も何かしようとしているのか、と由紀夫は理解した。
「・・・えーっと。じゃあ、あの。俺は行くから」
「やだ」
「・・・。何が」
「一緒に行く」
「じゃあ起きろよ」
「起きたくない」
「じゃあなー!今日は休みってゆっとくなーー!」
「わーー!待ってーーっ!」
ウソをつくなという割に、正直に言ってもなんか怒られる・・・。
釈然としないまま、急いで飛び起きて、由紀夫と一緒に会社へと向かった正広だった。
今日はウソをつかないぞ、と、決めた正広は、会社についてからももちろん正直。
「おはよう〜、由紀夫〜、ひろちゃーん」
「はよ」
「おはようございますー」
「眠そうねぇ、ひろちゃん」
「はい。眠いです」
びしっ!
寝癖のついた髪、というか、寝癖のついた顔、といってもいいほどの正広の後頭部を由紀夫の平手打ちが襲う。
「起きろ!顔洗ってこい!」
「はーーーーい」
正広が顔を洗いに行き、奈緒美は。
「かぁわいいわねぇ、ひろちゃん」
と笑顔だ。
「顔に寝癖がついてても?」
「・・・ん。まぁ。ほら。それは」
ほほ、と奈緒美は大人の反応をする。
そんな奈緒美を、由紀夫は目を細めて見た。
「・・・何?」
「いや」
「何よ。気になるじゃないよ。いいなさいよ」
「いや、別に」
「困るわぁ。そんなギラギラして目で見つめるなんてぇ」
「目をツブした方がいい・・・」
「あっ、ひろちゃんも!」
洗面所に入った正広だったが、そこには先客がいた。
「おはようございます〜、野長瀬さん」
「いやー、昨日はねー、お得意さんの打ち上げについていっちゃって」
野長瀬は明らかに二日酔いの顔をしており、服は明らかに昨日と同じだった。
「もうダメだね。飲みすぎちゃうと、二日酔いどころか三日酔いになりそうだよ。ひどい顔だろー?」
「はい」
「うんうん。・・・ひろちゃんっ?」
「ひどい顔になってますよー。休んだ方がいいんじゃないですかー?」
正広は真剣な顔でそう言った。野長瀬の顔は確かにひどかった。ひどかったが。だからって、そこで『はい』っていっちゃあ!
顔を洗いながら、正広は、ちょっと気持ちよくなってきていた。
もしかして、正直って、素敵かも・・・?
だって、野長瀬さん、ひどい顔なんかしてませんよって言ったら、野長瀬さん休めないじゃん?ほんとにひどい顔だったんだから、あれじゃあ仕事があるって言ったってお客さんの前には出られないじゃん?
そうだよ!
こんな妙な思い違いをしてしまった正広が問題を起こさないはずはないのだった・・・。
<つづく>
思い込むひろちゃんの思考は謎なのです・・・。
てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!