天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフト番外編181話プチ後編『ウソは言わない』

 

<これまでのお話>

なぜ、日本のエイプリルフールは盛り上がらないのか?
それって、日本人がウソを嫌うからじゃないのか?
そう考えた正広は、あえて、この4月1日、一つのウソもつかずに生きていこうと決めたのだ!

「何よ野長瀬、変な顔して」
「いつものことじゃん」
「ゆ、由紀夫ちゃん・・・」
二日酔いのため、朝っぱらからぐったり疲れている野長瀬は、思いやりのない言葉の数々に、ガラスのハートをズタズタに引き裂かれていた。野長瀬は、昭和の女学生なみに傷つきやすい生き物だ。
「野長瀬さん、でも、いつもひどいけど、今日特にですよー?」
実際のところ、今の時代の若い女子も傷つきやすいものだが、典子は図太い部類なので野長瀬のガラスのハートにはまったく共感できない。
「うわ、くさっ」
なので、そういうこともハキハキと言う。
「えっ、くさいのか!おまえこっちくんなよ!」
ひゃひゃ!と楽しそうに由紀夫はからかっていたが、そこに、寝癖と寝顔を直した正広が登場。
「兄ちゃん!」
と、キリリ!とした顔で言った。
「野長瀬さんは、こんっっなに!ひどい顔してんだよっ?こんっっな!ひどい二日酔いなんだから、帰してあげないとダメでしょ!?」
「ま、正広・・・」
「ひろちゃん・・・」
優しいんだか、ひどいんだか解らない・・・。そんな感想を持った、兄、そして社長だった。

ガラスのハート野長瀬は、二日酔い、よりも、同僚や上司の言葉にハートブレイクして帰って行った。
正広は大変満足だった。
これで、野長瀬もゆっくり休めることだろう。
「えーっと、ひろちゃん」
「はーい」
奈緒美に呼ばれ、正広はにこにこと立ち上がった。
「今日なんだけどもー」
「はい」
「新年度ってことで、ご挨拶周りをしようかと思ってるのね」
「はい」
「ところが・・・」
奈緒美は難しい顔になった。苦悩の顔といってもいいだろう。
「どうしたんですか・・・?奈緒美さん・・・!」
「て・・・」
「て・・・?」
「手土産を、買い忘れたの・・・!」
「て、手土産を・・・!」
「という訳で」
野長瀬は、デスクの上に、はい!はい!はい!と情報誌を並べた。
「こ、これは?」
「いつも、『さすが腰越人材派遣センターさん!』と言われているのよ。私たちは」
「は、はい」
「だからこれだけの品が必要なのよ!」

奈緒美的ショック。
奈緒美的勘違いが、そこにはあった。
今年、3月31日は木曜日。
奈緒美はその日程を、勘違いしていたのだ。つまり・・・。
3月31日は金曜日だと。翌週から四月だと、思い込んでしまっていた。そのため、前日には用意しておくべき手土産の一切が!用意されていなかった。目が覚めて、うそ!今日4月1日!?となった時の奈緒美の驚きといったらなかったのだ。
急いでかき集めなきゃいけなかったのだが、そういう時の重要な要員の一人、野長瀬は二日酔いで顔がひどいという理由から家に帰っていた。

「えっとねぇ。いつもの手土産を集めようと思ったらぁ」
「は、はい・・・」
「デパ地下で集められるだけ集めて、二ヶ所でしょー・・・。後、和菓子があって、塩こぶが・・・。これはね、ほんとは大阪で買いたいんだけど」
「大阪・・・」
「それは無理だからー、えっとね、じゃあ、ひろちゃん、デパ地下回ってもらえる?」
「は、はい・・・」
こうして、場所が離れたところは奈緒美が車で回り、正広がデパ地下に回ることになった。
「悪いわねー」
「いいえー」
デパ地下はまったく嫌いじゃないので。というか、むしろ好きなので、デパ地下巡りは嬉しいから笑顔で返事をする。
「それでねぇ」
そこで、もう一段階奈緒美は悪いわねぇ、という顔をした。

「お昼には出たいから、二時間で帰ってきてくれる?」

新宿と、銀座のデパートを一軒ずつ回って、手土産かって、たった二時間で帰ってこいってか??

「やですぅぅーーー!!」

ウソはいけない!と正直に答えた正広だったが。

「いだだだだだだ!!!」

その唇を由紀夫につまみあげられ捻られた。
「どの口がそーゆーワガママをゆってるか!」
「いだいいだいいだいいだい!」
「空気を読め、空気を!」

は・・・っ!

正広はその一言で横っ面を張られたような気持ちになった。
そうだ。
そうだった・・・!
日本人は、ウソは嫌いだ。

でも・・・!
『ひどい顔してる?』と聞かれた時には、『ひどいです』じゃなくて、『疲れてますか?』なんて風に聞き返すのが日本人のたしなみだったんじゃあないのか!?
「あ・・・!ぼ、僕・・・!」
ショックのあまり、正広の顔は真っ青になった。
「野長瀬さんにひどいことを!」
「そうそう!おまえはそーゆーキャラじゃないから!おまえがひどい顔って言ったら本当みたいだから!本当だけど!」
「そうそう!本当だけどひろちゃんはゆっちゃダメ!」
「ダメよひろちゃん!キャラ違っちゃダメ!」
典子にも言われて、正広はさらに深く反省した。
「あの、奈緒美さん・・・」
「何」
「僕、あの、今日、謹慎します」
「は!?」
「だって・・・。なんか・・・!」
正広は混乱してしまっていた。野長瀬にひどいことを言ったことが、ぐるぐる頭をめぐる。

その正広の頬を、由紀夫がびしっっ!と挟み込んだ。
「目ーをーさーまーせーーーー!!!」
そしてがくがくと頭を前後に揺さぶる。

「・・・・・・・う!?」

「ま、まさか・・・!?まさか、由紀夫!ウソでしょ!」
「起きたか!?」
「・・・・・ここ、どこ・・・!?」
「事務所!おまえはこれからデパ地下にお遣い!」
「で、デパ地下に・・・」
かくんかくんと正広は由紀夫の手で無理やりうなずかされた正広は、ようやく目が覚めたように何度も瞬きをし、そして大人しくデパ地下へ出かけていった。
由紀夫も、別口の仕事で出ていった。

「・・・で、さぁ」
それからすぐにでかけなければならなかった奈緒美は、一人留守番の典子に尋ねた。
「・・・あれは、大掛かりなエイプリルフール、だったの・・・?」
「・・・さぁ・・・」

正広に何がおこったのかは、正広にも、実はよく解っていないらしい。


印象的なエイプリルフールがないとゆーてましたが、デイリーポータルZってサイトは素晴らしかったです!えぇ!それまでデイリーポータルZってだったのに、4月1日になると、全国ペッティング連合会、通称「全ペ連」になりましたと言い張って、活動してました。あぁ・・・!全ペ連!手触りで本を選ぶとか、濡れてで粟をペッティングとか!そんなアホな企画ばかりをやってくれて・・・!もう大好きだ、デイリーポータルZ(笑)!
にしても、ひろちゃんに何がおこったのやら(笑)

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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