天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?
『Gift番外編』
このページの画像は、すべてyen様の作品です♪
ギフト番外編183話プチプロローグ編『雨の境目を探す』
その日の天気予報は、曇り時々雨だった。
「とりあえず、今日は仕事なくってよかったな〜」
由紀夫は事務所のソファでごろごろしながら楽しげにいい、正広から羨ましそうな顔で睨まれた。
「ん?」
「兄ちゃんいいなぁぁぁ、ヒマでぇぇぇ」
「ヒマとか言うな」
「いいですよねぇ、由紀夫ちゃん、ヒマで・・・!」
「いいわよねぇ、由紀夫。ヒマで」
「正広と野長瀬はともかく、おまえにだけは言われたくねぇぇ!」
奈緒美は、こともあろうにネイリストを事務所に呼んでネイルアートをしてもらっている真っ最中だった。
「店でやってもらえ!店で!!」
「しょうがないでしょ!書類に目を通さなきゃいけないんだから!」
「だったら、仕事終わってから行け!」
「だってヒマなんだもん!」
ヒマだからネイリストを呼ぶ。
それは奈緒美の中で、なんの矛盾も不都合もない、当たり前のことだった。
そして、なんやかんやと書類を作らされている正広、野長瀬、そして典子は、せっせと机に向かっている。
「あー!もぉ!!」
最初にキレたのは奈緒美と正広の次に自由な典子だ。
「疲れた!甘いもの食べたい!」
「たべたーーーーい!!」
正広が倍の声で同意する。
「甘いもの食べたい!」
「食べたいです!」
もちろん野長瀬も同意し、何買う!?激しく身を乗り出し、ネイリストに舌打ちまでされたのが奈緒美だった。
「今食べたいのはねぇ〜」
正広が無駄に目をキラッキラ!させながら宙を見つめる。
「なんだろなんだろ。和かな、洋かな・・・、アジアン?」
「そんな大きなジャンル分けから始まるのか・・・」
「アジアンスイーツ!」
典子がきゃ!と手を叩く。
「マンゴープリン!」
「桃まん!?」
「カメゼリー!」
「それはやだー!」
ネイリストも参加し、まずは夢のアジアンスイーツについてのトークが大いに盛り上がった。ソファでごろごろしていた由紀夫は、しおしおと起き上がり、しおしおと靴を履きなおしている。
「でもでも、アジアンスイーツで決まりですかっ?」
自分で言い出した正広が、はい!と手を上げた。
「なんか、カスタードクリーム食べたくなってきたんですけど!」
「シュークリームーー!」
「懐かしいのがいいなー。パイシューもいいんだけど、今食べたいのは、もっとふわっふわのシュー!」
「タルト食べたいですー!ベリーがたっぷりのったヤツ!」
「きゃー!いい!」
この、『きゃー!いい!』が野長瀬のセリフだ。
「で!!」
トークが、カスタードから、フルーツ系に移り、和菓子を掠めた後、チョコレートに到達した段階で、身支度を整えた由紀夫が大声で呼びかけた。
「どこの!何を買ってくるんだ!」
「兄ちゃん!」
「由紀夫!!」
「「だから好き〜〜!!」」
社長と正広から言われ、解った解ったと生返事をし、典子から心のままにスイーツが書かれたメモを受け取る。
「ま、由紀夫さん、適当に♪」
「急いでね、由紀夫♪」
「よろしくお願いしますね、由紀夫ちゃん♪」
「兄ちゃん(の買ってくるスイーツ)大好き♪」
「私も(男前の届け屋さんが買ってきてくれるスイーツ)大好き♪」
ネイリストは、そもそも由紀夫のファンだが。
こうして由紀夫は曇り空の街に自転車で出ていった。
そしてナイス体験をし、さらに正広から羨ましそうな目で見られることになる・・・。
<つづく>
なんか、腰越人材派遣センターの人に聞くと、すごい美味しいお店に連れてってくれるんじゃないか・・・と思うことがあります。
奈緒美の力でしょう。ひろちゃんは、そんなに詳しくはないはずだが・・・?でも、行きたいとなったら何がなんでも行くんだろうなぁ〜。
てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!