天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフト番外編183話プチ前編『雨の境目を探す』

 

<これまでお話>

その、曇り時々雨、という天気のある日。
腰越人材派遣センターの人々が珍しく書類と戦っている中、由紀夫はヒマだった。
それが、人々の神経を刺激し、大量の甘いものを買いにいかされる羽目に陥ったのだった。

「・・・カロリーとエンゲル係数の高ぇ事務所だな・・・」
自転車に軽やかに乗り、由紀夫は走りだす。なにせ正広の兄なので、正広が前から行きたい行きたい!!と騒いでいたような店店のことはよく知っている。
記憶力がいいのも良し悪しだと思いながら、まずは、正広がどっちの料理ショーで見て身もだえしていたシュークリーム屋へと向かった。
そこから、次はとろっとろの水羊羹を限定で販売している和菓子屋。これは奈緒美が家庭画報で見たという店。
「まぁ、申し訳ありません」
しかし、さすが限定の味。由紀夫が店に入り、水羊羹ありますか?聞いたところ、若い女性店員が深々と頭を下げた。
「水羊羹は売り切れてしまいまして・・・」
「あー、そうですかー」
参ったなーと、由紀夫は軽く宙を仰いだ。

その時。

老舗和菓子屋「あん」のアルバイト店員、ノリコははっ!とした。
いつもの通りのセリフをいつもの通りに行ったけれど、お客さんがいつもの通りじゃあない。
住宅街にあるこぢんまりした和菓子屋に、平日の昼間にくるお客さんは、たいていはマダムだ。
ノリコはマダムには慣れている。
けれど。
『素敵・・・!』
ノリコは目がハートになっていることに気付いている。
目の前にいるようなお客さんが、そうそう「あん」にやってくることはない。なにせここは和菓子屋だ。どうしたって、お客さんの年齢層は高いし、男性客自体が少ない。
マダムについているだんなさんとか、近所の昔からの常連のおじいちゃんとか。
「あー、そうですかー」
その若いちょっと驚くほどの男前は、わずかに困ったなという顔をした。
『あ・・・!困ってる・・・!』
ノリコの胸はきゅん、と高鳴る。
「じゃあ、いいです。すみません」
「あの!!」
だから、思わず呼び止めてしまっていた。
「でも、まだ午後からの分があるんですが・・・!」
「午後?」
『あん』のお菓子は、店の裏の工房でせっせと作られている。手作業にこだわる店なので、一度に作れる量は多くないが、時間をずらして、1日に何度か店にだせるように気を配ってはいた。
「はい。あの水羊羹は、午後2時頃もう一度店に出るんです」
「あ、そうなんだ」
「はい」
とっておきの笑顔でノリコは言った。
「よろしければ、お取り置きいたしますけど!」
そういうと、若い男前は、ちらりと腕時計に目をやる。
『わ!時計も高そう!でも、ギラギラしてなくてカッコいいーー!』

そんな目でみられるのはいつものことなので、別に気にせず由紀夫は時計を見た。時間は1時前。じゃあ、ちょっとランチを食べて戻ってくればちょうどいいかな、と思う。
「じゃあ、予約を・・・」
と口にした、その時だった。

『神様!!』
ノリコは思わずあらゆる神に感謝した。
男前が口を開いたとたん、笑うほどの轟音を立てて雨が降ってきたのだ。
「えっ?」
男前は振り向き、ガラス張りの店の外にある自転車を見る。自転車までカッコいい・・・♪
そしてその自転車は、今叩きつけるような雨に打たれている。
「・・・なんだこれ・・・」
「すごいですね♪」
おっと。ノリコはいかんいかん、と、口元を隠す。つい喜んでしまった。だってこんな雨で、自転車で、ちょっとここにいるしかないじゃない?うふ。ないじゃないっ!?
「あのー・・・」
ノリコはカウンターから出て、呆然と外を見ている男前の背後に近寄った。
「お茶でもお出ししますから、ちょっとお待ちになってはいかがですか?」
「え?」
振り向いた男前に、また、きゅん♪とノリコの胸が高鳴る。
「かまいわないですか?」
「もちろんです♪」
ノリコはたかがアルバイト店員だったが、それくらいのことは勝手にやるのだ。やってやるのだ!だって男前なんだもの!!

<つづく>


なんか、腰越人材派遣センターの人に聞くと、すごい美味しいお店に連れてってくれるんじゃないか・・・と思うことがあります。
奈緒美の力でしょう。ひろちゃんは、そんなに詳しくはないはずだが・・・?でも、行きたいとなったら何がなんでも行くんだろうなぁ〜。

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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