天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフト番外編184話プチ中編『伝説に挑戦したい』

 

<これまでのお話>

なにか『伝説』に挑戦したい、と正広は思っていた。
何か一つのものを食べ続けるとか。
一ヶ月を1万円で生活するとか。
スケルトンハウスで一週間暮らす、とかはイヤだけども。が、なかなか、挑戦できることでもなく・・・。

「やっぱり無理だなー」
正広は、家計簿を前に、鉛筆でテーブルをコンコン叩く。
といっても、その家計簿は、ついさっきファンシーショップで買ってきたリラックマの家計簿で、書かれているのは1ページ目だけだ。それは、月の予算をたてるページだった。
「うーーん・・・」
鉛筆も、わざわざトンボ鉛筆HBを1本買ってきて、わざわざ削ったもの。その鉛筆のお尻をくわえて、上下上下させている正広の目線は、ちらり、と、兄に向けられる。
兄、由紀夫はそれに気づかないような体で、DVDを見ていた。
何をしようとしているのか、なんとなーく解るが、そこに関わるのは、そんなに本意ではない。
「無理ー、かなーーー・・・?」
正広は、そっと立ち上がり、家計簿を持って、兄に寄っていく。
「どーー思うぅーー??」
そして、1ページ目を広げて、DVDに熱中している体の兄の眼前につきつけた。
「あ、中はリラックマじゃないんだ」
「そーなんだよ!!どう思う!?リラックマの家計簿だ!と思って買ってんのに、表紙だけってひどくなーい!?」
「そりゃひどい。消費者として、こんな欺瞞を許していいのか?」
「なにゆってっかよく解んないけど、許しちゃいけないと思う!」
「ウソ、大げさだろ!」
「JAROに言うジャロ!?」
こうして、早坂兄弟は、あのCMはどうなんだ!?という話でしばし盛り上がった。

「確かにそう思うよ、兄ちゃん。あれはよくないっていうか、なんか、頭悪そうでやだ」
「だろ?車でスキーのジャンプ台を上がっていくってCMに、CM上の演出です、とかってテロップいるか?どうやっても真似できねーだろあんなもん!」
「なんでもかんでも、真似するなとかって言うのもバカバカしいよねぇ!そんなの、やらない人は何も言わなくてもやらないし、やる人は何書いてあってもやるもんねー」
「だよなー。集合に遅れたヤツがいる!ってそいつが来る前に怒るようなもんだよなー。その段階で来てるヤツは、遅れてねぇのに」
「そうそうー。・・・そ、そう?それと、それって、同じ話・・・?」
「どうかな・・・」
・・・・・・・・。
「なんか飲むか?」
「あ、冷たいのほしいー。ジュースあったっけー」
「あったあった。なんか、どこぞのたっかい100%ジュースが・・・」
「奈緒美さんとこ、ほんとたくさん贈り物くるよねぇ」
キッチンに入りながら、由紀夫はやれやれ、とひっそりため息をついた。あれはおそらく一ヶ月1万円生活に挑戦しようとして、予算だけたてて無理だ、と判断したんだろう。
「グレープと、ブラッドオレンジあるけどー?」
「ブラッドオレンジー!かっちょいいから」
「何が・・・?」
氷をいれたグラスに、正広用にブラッドオレンジをいれ、自分用にはグレープジュースを持って由紀夫はソファに戻り。

「・・・・・・・・・忘れてないのか・・・・・・・・・・」

小声でつぶやいた。

「あのさぁ、あのさぁ、1ヶ月食費1万円生活ならできると思わないー?」
「・・・このジュース、多分普通に買うと、1リットルで1600円くらいだな」
「ぎょーー!」
「で、おまえが毎日毎日買ってる500mlペットボトル。あれが150円×30日で4500円」
「んーーーー。それはーーーー、じゃあガマンするぅー」
「1ヶ月1万円って、1日300円だぞ?おまえが毎日のように買ってくるスナック菓子はどうするんだ。100円としても、×30日で3000円」
「うーーーーー・・・!」
「これから暑くなったら、おまえが毎日買ってくるアイスはどうすりゃいいんだ。幸い100円アイスが好きとは言え、×30日で、こっちもやっぱり3000円。ペットボトルと、スナック菓子とアイスで、すでに10500円。無理だろ」
「うーーんうーーーん。えっとーーー。あっ!」
ぽん!と正広は手を叩いた。
「アイスは作ったらいいんじゃない!?作れるよね、アイス!」
「アイスは作れるけど、スナック菓子はどうだろう?」
「んーっと。・・・ん!?ポテトチップスは作れるじゃない!?あれ、ジャガイモを薄く切って揚げたらいいんじゃないの!?」
「・・・そうだな」
「じゃがいもは、まぁ結構安いしぃ、油はー、何回も使ったらいいんじゃないの?」
いけそう・・・!
正広は、ひっそり手ごたえを感じた。
「そうだよね。作ったらいいんだよねぇ」
「・・・えーー・・・?」
「材料で買ったら安いじゃん。あ!やった!いけるよ兄ちゃん!」
「いけるって!?え!?」
「早坂&溝口家、一ヶ月一万円生活・・・!」
「待て待て!早坂家を巻き込むな!」
「だって、伝説に挑戦したいじゃん!それにさ!安い材料でお料理するのって、かっちょよくない?生活を楽しんでるって感じしない?」
「だから、それは溝口家でやってくれよ・・・!」
「協力しあおうよー!この世にたった二人の兄弟じゃなーい!」
「俺はそんな伝説には参加したくないんだって・・・」

こうして、正広は伝説に挑戦する・・・、と自分の中ではとりあえず決めてみた。ま、明日から、明日からと思い、なかなかスタートはできなかったのだが、そんな正広は、ある日からいやおう無しに伝説に挑戦させられる羽目に陥ることをまだ、まだ知らなかった。

<つづく>


ちょっとした材料で、ささっと料理を作る。かっちょいい。一人暮らしがこんだけ長いのに、人に出せる料理が作れない・・・・・・・・・・。
長いこと彼がいないせいね、きっと。
多分・・・

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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