天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフトプチ番外編187話プロローグ編『もちろん誕生日がやってくる』

 

もうすぐ兄ちゃんの誕生日。
11月のカレンダーを見つめ、正広は思った。
先日、いつも怒られてばかりだから、たまにはいい子にしてみたいとやってみたがまんまと失敗した正広は、今度こそ兄を喜ばせねばなるまい!と強く思うのだった。
しかし。

「かいがないのよね」
奈緒美は言う。
「何を渡してもあーでもなければこーでもなくってねぇ」
「そうですよねぇ」
特に、奈緒美から渡されたものに関して、由紀夫は大げさな感謝などしない。あまりに日常的であるために、あ、ありがと、くらいのことになっている。
場合によっては、もう置く場所ない、と断りかけることさえある。
「奈緒美さんがくれるものはー、高すぎてー・・・」
「いやいや、だからって受け取らないってことはないじゃな。全部受け取るじゃない」
「あぁ、だって、服とかサイズもあわせてくれてるしー」
「そうよそうよ。オーダーしてるのよ、あたしは。受け取る以外にないんだから、もうちょっと愛想あってもいいじゃないねぇ。あ、ひろちゃん、これ」
「わー!ありがとうございますー!」
正広は、きゃー!とお気に入りのチョコレートの箱を受け取った。
「ねー、ひろちゃんだったら、チョコでもこれくらい喜んでくれるのに」
正広は美味しいものであれば、いつだって全力で喜べるお人柄なのだ。
「あぁ、喜ばせたい・・・」
正広に渡したチョコレートの箱を自分であけて、パクパクと口に放り込みながら、奈緒美はつぶやく。そのつぶやきは、正広にとっても同じなのだ。
びっくりさせたい、喜んでもらいたい。
「どうしましょうねぇ」
「そうねぇ。サプライズパーティーも散々やってきたしねぇ」
そして今年の11月13日は日曜日。
会社ではないのだから、自分がなんとかせねば・・・!

さて、誕生日パーティーをどうするか。
それについて、正広はいくつか考えてみた。
まず、ほのぼのと二人でお祝いする。料理を作って、ケーキなんかも作って、ケーキも焼いて、デコレーションして、年の数のキャンドルを立てて、ハッピーバースデーを歌う。
誰が?
・・・俺だな。
・・・料理、はやったことあるけど、手作りデコレーションケーキ、というのはハードル高い。
さらに、一人でハッピーバースデーを歌うというのが。
・・・無理だ。
一人じゃ無理すぎる・・・!
でも、手作りものはいいかもしれない。
片思いの彼にマフラーを編むのは反則だとしても、家族なら許されるんじゃないだろうか。でも、手作りものは、実際に使えるというのが最低限のレベルだよな。美術品じゃない限り。
えーっとえーっと・・・。

と。

『陶芸』

という言葉が、唐突に正広の頭の中に飛び出してきた。
陶芸。
手作りのイヤープレートっていうのはどうだろう。
兄ちゃん生まれてきてくれてありがとうの記念に、イヤープレート作り。って楽しいんじゃないかな!どうかな!
わ、わ、楽しそう。
えとえと。じゃあ、陶芸教室を探さなくっちゃ。いや、でも陶器だけとは限らないかぁ。
仕事中の正広は、職業別電話帳をめくって見た。陶芸教室はもちろんある。でも、他にも・・・。たとえばガラス細工とかどうだろうか。後、ホントのイヤープレートって、陶器とはなんか違うような気もする。
・・・磁器?
磁器と陶器って一緒?違う?絵を描いたりできるのが磁器?え?何?全然違う?
じーっと考えながら、まずは、どういったものを作りたいかを考えることが重要だと思った。
飾る用にするのは、多分、無理。使ってもらえるということを大事にしなきゃいけない。
陶芸教室でできるのは、なんか、焼いただけって感じの素朴ーな感じだよね。絵を描いたりできるのは、えっと、どっちかってゆーと、観光地とかでやれるやつかなぁ。
出来上がってるお皿に絵を描いたりするの、あるよねぇ。

んっ?
何かヒントになるものはないのかとタウンページをめくっていた正広の手が止まった。
「・・・運命分析学・・・」
誕生日プレゼントに、占いっていうのはどうだろう。
てゆーか、占い教室多すぎない!?
わ!これなんだ!国際心霊学研究財団って!何で各種学校なんて欄にこんなところが!何を教えてくれるんだ!むしろ行ってみたい!!

などと、あっさり横道にそれてしまう正広は、よく言えば好奇心旺盛であり、一般的には、集中力がない、と言える。
しかし、集中力がない分、一つの考えだけにはとらえられない正広は、タウンページをめくりながら、由紀夫の誕生日のために使えそうな情報を、どんどんピックアップしていった。
「どうしよう!」
一時間後、正広が書きなぐったメモは、8枚に渡り、それらをすべて実行するためには。
由紀夫の誕生日が、一週間くらい続いてくれないとできそうもなくなってしまった。
「どど、どうしよう。どれを削れば・・・!?」

今年もまた、由紀夫の誕生日でてんやわんやの騒ぎが起こりそうだった。

「・・・なんかあんだろうな、今年も・・・」
ほら、由紀夫も遠い目になっている。

<つづく> 


もう、由紀夫にいちゃんの誕生日も何度目なのか。過去のことは決して振り返らないので。解りません・・・(笑)。)

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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