天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?
『Gift番外編』
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ギフトプチ番外編189話『カフェに行ってみたい』
そういえば、カフェに行ったことがない、と正広は思った。
喫茶店には行ったことはあるし、ケーキ屋さんだって、甘味さんだってあるけど、カフェに行ったことがない。
「兄ちゃん、カフェ行ったことある?」
「あるよ」
「えぇっっ!」
正広は大きくのけぞった。
「えぇって!?」
そのリアクションの大きさに、由紀夫ものけぞる。
「な、何、何」
「・・・!いつの間に・・・っ?」
「いつの間にって・・・、行くだろ、カフェぐらい」
「えぇぇーーーー!」
「えぇーーって、おまえも行くじゃん!」
「行ったことないよー!カフェなんてー!」
「はぁーっ?おまえ、昨日も行ってたじゃねぇか!」
「えっ?」
由紀夫に言われ、正広はぴたっと動きを止めて、前日の動きを思い出してみた。
会社が終わってから、ケーキを食べに行った。
行ったけど・・・。
「あれはカフェじゃなーい!」
「カフェじゃないって・・・。カフェめしもあったじゃん」
「ちーがーうー!」
昨日早坂兄弟が行った店は、可愛らしいケーキ屋さんだった。ウッディな店内。木のテーブルに、キャンバス地のソファ。フルーツたっぷりのパウンドケーキには、クリームがたっぷり添えられていて、キャラメルカプチーノなんぞを正広は食べたのだ。
別のケーキも食べたいと、兄には、豆乳チーズケーキなんぞを食べてもらったのだ。
「あれはカフェだろ」
「ちーがーうーのー!」
正広はダダをこねる。家にいたので、実際に床に転がって手足をばたばたさせさえした。
「あれはぁー、カフェだけど、カフェじゃないのぉー!」
「寝言は寝て言え」
「違うよ、違うよぅー。もっとー、なんかこう、パリにあるようなカフェー!OLさんが脱サラして、趣味のお菓子作りを仕事にしちゃいましたぁーって言うんじゃなくってぇー!素人さんは手が出せないようなカフェに行きたいのぉー!」
「だから、おまえにとってのカフェってのはなんなわけ!」
床でじたばたしている弟を、つま先で押しやりつつ由紀夫は一応聞いてやった。
せめてもの優しさだった。
「え。だから、パリにあるような、カフェ」
「・・・パリにあるような・・・?」
「えっとねぇ、えっとねぇ」
ソファに座っていた由紀夫につま先で押しやられ、正広は仰向けになったままうごうごうごと這い戻る。這い戻っては押しやられるを繰り返す。
「Tシャツに、ジーンズみたいなカジュアルなかっこの店員さんはいないのー。バンダナとかしてないのー」
「はぁー?」
「だから、だから、兄ちゃんみたいな感じのお兄さんが店員さんなんだよー。かっちょいんだよー。白いシャツに黒いパンツで、男前で、カフェエプロンなんだよー」
「あ??あぁ、あぁ・・・」
由紀夫にもなんとなく解ってきた。
「コーヒーとかじゃなくて、シャンパンとか飲むような感じ?」
「それ!」
ぴょこん!と正広はその場で正座する。
「南青山にある感じ!」
「あんのか、南青山に・・・」
「それで、席は店の外にもあんの!んで、向かい合わせとかじゃなくて、席は全部外に向いて並んでんの!そーゆーカフェに行きたいです!」
「もしかして、おまえはアホなのか?」
由紀夫は、弟に向かって、しみじみと言った。
しかし、いくらアホだと思っても、由紀夫にとっては可愛い弟だ。
カフェに行きたいと言うのなら、連れていくことに関してはやぶさかではない。
やぶさかではないし、どのくらいアホなのか、本人にも解ってもらいたかった。
「ただいまー」
仕事から帰ってきた由紀夫は、正広に言う。
「ご希望通りのカフェあったぜ、南青山に」
「え・・・っ」
「行ってみる?」
「行く行く行く!」
うきゃーー!!と正広は喜びいさんで由紀夫について行き・・・。
「さぶいーー!さぶいよ兄ちゃんー!」
「だからおまえはアホなのかっつったんだよ!」
お店の人が貸してくれたブランケットにくるまり、一応ちょっとした暖房的なものもそばにはあるのだが、正広はぶるぶる震えている。シャンパンー!と言って由紀夫から、ゲンコツをくらい、勢いでジンジャエール(辛いやつ)を頼んだりしたのもはっきりとした敗因だった。
2月なのに、カフェの外の席に座ろうというのがどういうことか、身を持ってしった正広だった。
そういうカフェと、あーゆーカフェと、何がどう違うのか。どちらもカフェですが、昨今多いのは、手作り感のあるカフェですか。
カフェめしは高いので憎いです(笑)
私が行きたいのは、ひろちゃんが行きたいのと同じ方です。そっちそっち!西村しのぶのマンガに出てくるようなカフェ(笑)
てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!