天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフトプチ番外編191話前編『カフェをやってみたい???』

 

おされカフェ、インターネットカフェに続き、はんだごてカフェにまで足を踏み入れた溝口正広。
もうこうなったら、あそこに行くしかない!
正広は固く心に誓い、兄に言った。
「兄ちゃん!」
「メイド喫茶はいかねーからな!」

ガーーーン!!

よろり、と正広はめまいを覚えてふらついた。
「な、なんで・・・!なんでなの兄ちゃん!」
「なんでなんですか!由紀夫ちゃん!」
正広の後ろで、野長瀬もふらついていた。
「なんでおまえまで」
「行きましょうよ由紀夫ちゃん!」
「いやいや、やめてやめて。そのマジな視線、やめて」
由紀夫は手を降って、うるうるしている4つの瞳に背を向ける。
「大体、正広はともかく、野長瀬は、もっと、こう、本気のフーゾクいきゃーいいと思うけど・・・」
「それとこれとは違うんですぅーー!」
野長瀬はあくまでも乙女チックな人柄なのだから。イメクラよりもメイド喫茶という人柄なのだから。
「いいからおまえら仕事しろ、仕事。何メイド喫茶の話してんだ」

「甘い!甘いわね、あんたたち!」
そこに割って入ってきたのは、仕事をするように推進すべき社長だった。
「いまさらメイド喫茶?全国各地に雨後のたけのこのごとく出来上がってるメイド喫茶!?遅い!むしろ遅すぎる!」
「えーー?奈緒美さん行ったことあるのぅー?」
「あるわよ」
「社長、あるんですかっ?」
「あるある。接待接待」
「メイド喫茶で接待って、おめ、何やってんだよ」
「海外からのお客さまには面白がってもらえるんだものー」
「すしー、すきやきー、ふじやまー、げいしゃーー、くらいで接待してろよ」
「あのねぇ」
奈緒美は、やや哀れみをこめたまなざしで由紀夫を見つめる。
「今は、ハリウッドスターでさえ、akibaに行きたがる時代なのよ?」
「えぇ〜・・・?」
実際にそういうスターもいないことはないらしいが、奈緒美はさらに先を見すえ
ている女だ。
「今からメイド喫茶に手を出すんじゃあ遅すぎる。一周半どころか二周遅い」
その差は一体・・・?と思っても口に出さないのが由紀夫の分別。
「そうねぇ、今ならせいぜい妹カフェってところかなぁ〜」
「え?妹カフェって?」
小首を傾げる正広に、奈緒美は優しく教えてやった。
「お帰りなさい!お兄ちゃん!って妹が出迎えてくれるカフェよ!」
「えええっ!そ、そんなものまで!」
メイド喫茶では、ウェイトレスさんはメイドの格好をしている。じゃあ妹カフェっていうのはウェイトレスさんはどんな格好してるんだ?
「ま、まさかブルマ・・・っ!」
「あんた、性根の底から変態ね」
遠い目になった野長瀬から、すすす、と奈緒美は離れる。
「具体的には解らないけど、ブルマじゃないでしょ、ブルマじゃ!それ絶対風俗じゃない!」
「えー、でも、一目見て妹ってわかるってどーゆー格好?」
「普通の格好じゃない?小学校5・6年生くらいの」
「そーなんだぁー」
しかし正広は、妹カフェにはあまりそそられなかった。何せ自分も弟なので、変に対抗心も湧いてきたりする。
「兄ちゃん」
「あ?」
「妹カフェにはいかないでよねっ」
「え?」
「兄ちゃんには弟がいるんだからいいでしょーっ!」
「いや、行こうって言われても行かないから。行かないから」
「約束だからねっ!ゆーびきりげんまん!メイド喫茶に行っても♪妹カフェにはいきませんっ♪うーそついたら、はーりせんぼん、のーますっ!」
「いだだ!」
小指折れるわ!という勢いで、正広に無理やり指きりさせられた由紀夫は、かなり釈然としない想いを感じたが。

いつものことなので、流れに身を任せるだけだった。

「妹カフェがあるんだったら弟カフェがあってもいいじゃないですかねぇ、奈緒美さん」
「だったら女社長カフェがあってもいいんじゃないの?」
「営業マンカフェがあってもいいでしょう」
「何なんだよそれ。営業マンカフェって、普通の喫茶店じゃねぇか」
「違いますよ。営業マンが迎えてくれるカフェですよ?」
「どうやって挨拶すんだよ」
「『お世話になっておりますー!』」
「・・・」
「『弊社へようこそー!』」
テンション高く言う野長瀬。聞いていた一同は、意外にありかもしれない、とは思ったが、調子に乗ると何をしでかすか解らない野長瀬なので、あえてスルーする。
「お茶は、紙コップで出てくるんですよ?コーヒーも。机は、会議テーブルで。あ、会議テーブルより、なんか打ち合わせコーナーみたいな方がいいですかね」
「どんな需要があるのかまったく解らないわよ」
そんな話をしながら、奈緒美は、かつて実行しようかと思っていた計画を思い出した。
「カフェ、にはこだわらないんだけど」
「何」
ふと、口調がまじめになったので、由紀夫もまじめな顔を作って聞く。
「イメクラが流行ってた頃に、こういうのはどうかと思った店があったのよ」
「どういう店?」
「『お父さんパブ』」
「お、お父さん!?」
「昔から、お袋の味を食べさせるって店はあるじゃない。お母さんみたいな人がいて、優しくしてくれたり、体気遣ったりしてくれる店はあるから、お父さんみたいな人がいるパブってどうかなと。パブじゃなくても、スナックでもなんでもいいんだけどね」
「それも、需要が見えねーよ!」
「父親から愛された娘は、男運がいい、という説があんのよ」
「そうなんですかっ?」
話に入るための糸口を狙っていた典子が見事に食いつく。
「男の人に愛されることになれると、男の人に対して構えなくなるって言うんだけどねぇ」
「じゃあ、お父さんパブに行けば男運もよくなる!?」
「直接は関係ないかもしれないけど、娘時代にこじれたお父さんとの関係を再構築する、という切り口で店を作ったらどうかなーと思ってたのよ」
このややこしい世の中に、劇場型とも言えるお店はこれからも増えて行くのでは?

まさかビジネスチャンス!?
女社長、腰越奈緒美の瞳は、キラキラを超え、ギラギラというレベルで輝き始めた。

<つづく>


妹カフェってものがどういうものかまったく知らないんですが・・・。お父さんパブは、占いパブに行った日に、友達のまりちゃんたちと、あったらええんちゃう!?と言い合った店でございます(笑)他にどんなカフェがあるかなーー。行ってみたいなぁーー(笑)

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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