天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

ギフトプチ番外編191話中編『カフェをやってみたい???』

 

<これまでのお話>

おされカフェ、インターネットカフェ、はんだごてカフェと、様々なカフェをこらしめてきた溝口正広。
続いてはメイド喫茶だ!と意欲を燃やしたのだが、もうそんな時代ではないのだ。
もっと新しいカフェを作るべく、腰越人材派遣センターが動き出した。

「お父さんカフェって・・・」
由紀夫は、遠い遠いお空を眺める。
いったいそれはなんなんだ。どういうものなのだ。
「お父さんカフェはやっぱり、遅い!とかって言うのがいいかしらねぇ」
「でも、それ難しいですね」
正広は、変にまじめな顔になった。
「メイドさんは、優しくてー、可愛くてーとか、なんていうか、決まってるでしょう?イメージが。でも、お父さんって色々いるじゃないですか」
「うーん。そうよねぇ。怖いお父さんもいれば、優しいお父さんもいるし、影の薄いお父さんもいるしねぇ」
ちなみに、由紀夫の実の父は、相当ファンキーだ。
「単純にお父さんカフェって、難しいかしらー・・・」
正広の実の父は、もう亡くなっているが、優しい父だった。
「そうですねぇ。お父さんの属性っていうのは種類が多いですからねぇ」
「何よ、属性って」
野長瀬を奈緒美が睨む。
「いや、属性って言うのはー」
「特徴じゃいけないの!?特徴じゃ!」
なんとなくおたくっぽい言葉を嫌う奈緒美であった。
「と、特徴は、お、多いですから・・・!」
「んーーーー!」
怯えた野長瀬の返事を奈緒美はすでに聞いておらず、事業家としての頭脳を回転させていく。
じっと目線を下げていた奈緒美は、きりっ・きりっ・きりっ・と音がするような動きで黒目を動かし、由紀夫に視線を向けた。
軽くビーーム。
「な、なんだよ・・・っ」
その、非人間的な視線。
由紀夫を『人』ではなく、『モノ』のように分析していくかのごとき視線はとても強い。
由紀夫は背筋に寒いものを感じながらも、目線は外さなかった。
「うちのバカオヤジに話とかつけねーからな、っていうか、話したくねーし!」
「んー・・・」
なおきりきりっ、と奈緒美の目線が動き、今度は正広にロックオン。
「ええっ・・・!僕んちのお父さんはもういません〜・・・!」
その後も、奈緒美のレーザー光線的視線は、典子、野長瀬と、どんどんロックオンしていった。

「ふん」

そして、最後に小さくうなずく。
「しゃ、社長・・・?」
「いや、いいのいいの。どうぞ、普通にお話して。いつもどおりに」
ひらひらと手を振り、奈緒美は自分のデスクに戻る。
「え、奈緒美さん・・・?」
もうカフェの話はいいの?と正広は名残惜しかったが、とっとと働けと兄に首根っこをつまみ上げられデスクまで引きずられてしまった。
「もーー。つままないでよーー」
「つままなきゃいけねーことをするな!」
「えーーっと。じゃ、お茶でも飲みますか!」
典子が朗らかに宣言してから、給湯室に消え、野長瀬は椅子を転がして正広のところにやってくる。
「結局、ひろちゃんはメイド喫茶には行ってない、と」
「言ってないですー。言われたいなぁ〜、おかえりなさいませ、ご主人様」
「それだと、ちゃんとお店を選ばないとねぇ。今ね、それ言わない店もあるから」
「えっ」

がつん!

「いだだ・・・!」
「人の弟にアホなことゆってんじゃねぇ!」
由紀夫、怒りの鉄拳であった。
「はーい、由紀夫さんコーヒーでーす」
「ありがとー、・・・インスタントを」
「・・・なんで解るんですか」
「解るだろ!普通!」
「だってインスタントしかなかったんですもんーー。ひろちゃんココアでいい?」
「はーい」
「はい野長瀬さん、お茶ー」
「給茶器のお茶だ・・・」
「社長もコーヒー・・・、インスタントですけど・・・」

「ふむ」

恐る恐る出したコーヒーに、奈緒美は興味を示さず、もう一度うなずく。
「解った」
「何が」
「お父さんに限定するから難しいんだわ」
奈緒美の笑顔は、キラキラと輝いていた。
金の鉱脈を見つけた時のような顔をしていた。
その奈緒美を見る由紀夫の笑顔は、うっすらとした自嘲を含んでいた。
あぁ、これまた、ろくなことが起こらない・・・。
それは間違いないのだ。
だって、正広の笑顔も、奈緒美と同じようにキラキラと輝いているのだから・・・!

<つづく>


由紀夫父と言えば緒方拳ですが、ファンキーな素敵な人だった。
・・・と思います。多分(笑)

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

今までのGift番外編へ

What's newへ

SMAPレポートへ

SMAPメニューへ

トップへ