天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

ギフトプチ番外編192話前編『GWの思い出』

 

<これまでのお話>

腰越人材派遣センター社長腰越奈緒美は、今年のGW、ほんの二週間ばかしバカンスに出かける。
しかも、全社員を成田で見送りさせての旅立ちだ。
しかし、その社員たちも翌日からGW。見送った後戻った会社では、なーーんの仕事もせんと、定時がくるのをおしゃべりしながら待っていた。

そこに荷物が届いたのだ。

「サインお願いしまーす」
「はーい!」
ぱたぱたと正広がダンボールを受け取り、ちょっと首を傾げながら戻ってくる。
「ちょっと重たい」
「誰にだ?」
「会社にー、だけど」
「開ける?」
典子がカッターを手渡す。
「誰から?」
「あ、送り主・・・」
と、送り状を見る前に、正広は一気にカッターを振るっていた。
「いやいやいや、誰からだって」
「同上、だって」
「は?」
カッターでガムテープの真ん中が切られた状態で、由紀夫が覗きに来る。
「腰越人材派遣センター御中・・・、で、送り主同上。誰が送ってきたんだ?」
このようなことは珍しくない。旅先などから自分あての荷物を送ったりすることはよくあった。ただ、普通そこには個人名が入ってくるもので、会社あてということはあまりなく・・・。
「なんなんだろうね、これ」
中身を見れば解るさ、と、正広がダンボールを開けて。
さらに首を傾げた。
「これ、何??」
「アンケート用紙?」

そのダンボールの中には、たんまりとアンケート用紙が入っていた。
「あ」
野長瀬が立ち上がる。
「それ、イベントでとったアンケートです」
「イベント?」
なんでも、何社か合同で派遣登録しませんかー?みたいなイベントがあり、そこで取ったアンケートが戻ってきていたようだった。
「あ、そーなんだ」
ふんふん、と、由紀夫はダンボールを閉じようとした。
その手を、野長瀬が止めた。
「やばいです・・・!」
「は?」
「こ、これ・・・」
一番上にあったアンケート用紙を野長瀬が由紀夫に見せる。
「何」
住所や名前、設問が色々あるというなんてことのないアンケート用紙。
「これが何?」
「ここ。ここです・・・!」
びしびし!と、用紙の一番下を野長瀬が叩く。
「え?」
そこに書いてあったのは。

『アンケートにお答えいただいた方全員に、GWに使ってね!パスネットプレゼント』

だった。
「・・・GWに使ってね?」
「は、はい」
「GWって、世間的には明日からじゃねぇの?」
「いや、あの、最悪、5月3日からとしてもいいんじゃないですかね・・・」
おどおどと野長瀬は言った。
「いや、そうだけど・・・。これ、送るんだよな」
「はい」
「このアンケート、何枚あるんだ?」
調子に乗ったイベントは、東京ドームが会場だった。参加者はやたらと多かった。
「なんでそのイベントの時に配らねーんだよ!パスネットをよ!」
「そんなことしたら、本当の住所名前書かないじゃないですか!」
「なーるほど」
ぽん、と、由紀夫は手を合わせて納得はしたが。納得はしたが。
「だからどーすんだよ!」
「お、送らなければなりません!」
「どーやって!!」

「はい!では、これから会議を始めます」
正広が宣言した。
残された腰越人材派遣センター社員4人は、会議テーブルについている。
「このアンケートにどうやってパスネットを返送しましょう!」
「はい!」
「はい!典子ちゃん!」
「まず、何枚あるのか調べた方がいいと思いまーす」
ダンボールにみっちり入っている枚数が何枚あるかということを知ることから、スタートさせるというのは確かに理にかなっていた。
「じゃあ、数えましょう!」
「待て待て待て」
早速数えようとする正広を由紀夫が止めた。
「一応、最後まで流れを考えておこう」
「あ、そっかー。じゃあ、まず数を数える。それから、・・・パスネットはあるんですか?野長瀬さん」
「・・・・・・・・・・」
「野長瀬ぇー?」
「・・・枚数が何枚になるのか解らなかったもんですから・・・」
「金券ショップ行って買ってこい!」
「でもその前に枚数数えないとダメなんだよ!」
「封筒はー?会社のでいいんだよねー」
「中にパスネットだけ放り込む訳にはいけないんじゃないの。文書つけとくだろ。野長瀬それは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「いや、おまえ何するつもりだったの?」
「もっと早くにつくと思っていてぇ」
そのイベントは、3日前に行われていた。届くのが格別遅いという訳ではない。
「おまえ、枚数数えろ!」
「あのぉー・・・」
正広がおずおずと手を上げる。
「住所は、どうやって書きますか・・・?」
「住所?・・・あ、そうか・・・。手書き・・・?」
「だから、これ何枚あるんですー!?」

何か恐ろしいことが起こっている。
このままGWがなくなってしまうのでは・・・!?
それだけは認識しながら、せっせとアンケート用紙を数える4人だった。

<つづく>


あーー、休みたい休みたい休みたい。週休3日くらいで暮らしたいわー。土・日・水が休みだったらなーー。

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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