天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフトプチ番外編193話プチ後編『テレビを届ける?』

 

<これまでのお話>

実は、テレビっ子の正広に負けないエレクターマニアの由紀夫。
新しくテレビを買うのなら、壁面システムから構築したいと狙っているのだが!?

『恐ろしいものが出た・・・』
由紀夫はそのニュースに接した時、途方にくれるような気持ちになった。
世界初の、HD DVDレコーダーの発売が報道発表されたのだ。
1テラのハードディスクを搭載し、ハイビジョン画質での録画可能時間ほんの130時間。ハイビジョン画質でHD DVDにムーブ可能。
そしてお値段、ほんの。

39万8千円。

残念ながら、由紀夫にとってこの金額は、たいして高いハードルではない。(ごく普通の稼ぎのOLさんにとって、79600円くらいの感覚と思っていただければ目安となるでしょう)
由紀夫のAVマニア心がざわざわと騒ぐではないか。

しかし、結局早坂家のテレビは、まだ息の根を止められていなかった。

「つきますよーに・・・!」
家に帰ってくると、正広は拝みながら、テレビの主電源を入れる。
「あっ、ついたついた!」
「なんだよー、おまえ、チキンだなーー」
「何言うの!テレビは大事な資源だよ!」
一昨日まで、正広はテレビを激しくつけっぱなしにしていた。なんなら、でかけてる間もつけっぱなしにしたいくらいだった。
しかし。
「もーーー、昨日びっくりしたんだからーーーー!」
ワールドカップの影で、ひっそり行われていたプロ野球を見ている途中、突然テレビが切れたのだ。
「えっ」
その時、正広は、一度大きく瞬きをした。
「え?え??」
リモコンのONスイッチを何度も押したが、テレビはうんともすんとも言わない。
「え?えええ???」
「壊れたっ?」
由紀夫の声に、ウキっと感があったのは否めない。
「やだー!今はやだーっ!」
正広はテレビにへばりつき、主電源を切って入れなおす。
「あああ、映った、映ったっ!」
「映ったか・・・」
「今舌うちしたでしょー!」
「だからぁ、こんな状況になったんだから、明日にでも新しいテレビを買ってだなぁ」
「ダメー!」
「なんで!」
「今晩一晩で、兄ちゃんが、どのテレビにするかなんか決められるはずないもん!」
「・・・」
そうだった。
由紀夫の楽しみは、どのテレビにしようと、世の中に存在するテレビの中からどれでも選べる!という部分にある。
なぜって、今はこの世になるすべてのテレビを買うことができるのだから。
じゃあ、これ!となり、買って設置してしまえば。
それはもう、どこにでもある普通のテレビだ。あの無限の可能性は由紀夫の手の中からこぼれ落ちてしまう。
決められない・・・!
いや、決めたくない!

それをぐっとこらえて、由紀夫は常識的な言葉を発する。
「じゃあ俺が決めたらいい訳?」
「えーー、でも、今切れたのはたまたまかもしれないしーー」
「だから、500万回目にもう1度聞くけど、なんで、変な画面が見たいんだよ!」
「面白そうだからだよっ!!」

そして正広は、びくびくしながらテレビを見ている。
今、テレビが壊れたら困る。
でも、野長瀬のうちで起こったという、徐々に壊れていくテレビ画面を見られるものなら見せてもらいたい。

「何やってんの?あんたたち。そんなの新しいテレビ買えばいいじゃない」
奈緒美はあきれ果てたように言った。
「んーー」
由紀夫は難しい表情をしながら首を振る。
「なんか、頑固なやつがいて・・・」
「それは負けだよ!」
頑固正広登場。
「意味が解らないわ、ひろちゃん」
「テレビは一生懸命働いてくれてんだよ!それを最後まで看取るのは人として当然のことだと思う!」
正広は、あのハラハラ感が忘れられなくなっていたのだ。
どうしよう。
見えなくなったらどうしよう・・・!
その綱渡り感が、擬似恋愛感情となってテレビに向かっている。世に言うつり橋理論、揺れるつり橋を一緒に渡った男女は、そのハラハラ感を恋と勘違いするというやつだ。

プチ変態と言えないこともない。

「な、意味解んねーだろ」
「解らないわーー。でも、あんたも、どのテレビにするか決められないんでしょ」
「そーーーなんだよなーーーー」
由紀夫のデスクは、日本、海外を問わず、テレビのカタログが山積みされている。MONOマガジンとかもある。特選街とかもある。
「とりあえず、HDDVDレコーダーは欲しいなーと思ってて、その実力を遺憾なく発揮させるためにはテレビも大事じゃん?画面もでかいのがいいじゃん?だけど、部屋のサイズってもんがあるからさーーー、液晶か、プラズマか、でも、とりあえず今は適当に買っといて、SEDに買い替えようかとかさーーーー」
「あーあーあーあーー何語か解りませーーーーん」
奈緒美は両耳を押さえ離れていく。

とても残念なことながら。
早坂家に新しいテレビが届けられるのは、まだまだ先のことになりそうだった。


ついに出ました、HD DVDレコーダー。編集もできてムーブもできるHD DVDレコーダー。お値段ほんの39万8千円。
これが、3万9800円になるのには何年待ったらええのん!?

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!

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