天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

yukio

このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

第18話パラレル特別編プロローグ『花束が届いた』

めっちゃ短い予告のような話。

「早坂由紀夫は、腰越人材派遣センターで届け屋という仕事をしている。ゆかいな仲間、楽しい上司、可愛い弟に囲まれ、それなりに楽しい日々を送っていたのだが、ある日、突然それはやってきた」いや、特別編やからね(笑)

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その日、日の出銀行業務本部秘書課の水木小夜子は不機嫌だった。
秘書と言えば、大都芸能の水城か、日の出銀行の水木か、と言われる程の、有能美人秘書である彼女は、本当に機嫌が悪かった。
顔には、いつもの穏やかな微笑みを浮かべているのに、、心の中では、壁を蹴っ飛ばしている。蹴っ飛ばして、蹴っ飛ばした、朝からもう何枚の壁をぶっ壊した事だろう。
気分はまさしく『チョー!ムカつく!!』
「水木さん、これお願いします」
「はい。社長にお渡ししておきます」
表面上、見事な笑顔を浮かべながらも、「社長」と口にした途端、彼女の心の中で、また1枚壁がぶっ壊される。

日の出銀行では、先日社長が替わった。
まぁ、支店の方で、ごちゃごちゃと問題があったのが、徐々に本店にまで上がってきて、とりあえずトップも替えとけやという程度の気持ちで、替わった。

その新しい社長が。

不細工なのよぉーっ!!!!!

不細工なのよ!不細工なのよっ!不細工なのよぉーっ!!!

自他ともに認める高い美意識の持ち主、水木小夜子は、朝から800回を数えた、絶叫をする。
なんであんな不細工オヤジが私のボスなのよぉー!!!

ちぃーくぅーしょぉー…!

思えば、最初のボスはロマンスグレーだった。二人目のボスは、とても穏やかな笑顔が魅力的だった。
なのに、このオヤジは…!

下品なのよ!下品なのよ!!下品なのよぉ!
不細工なのよぉーっ!!!!

い、いかん…!

さすがに表情にでそうになって、小夜子は心を落ち着けようと思った。彼女が気持ちを落ち着かせる方法は決まっていて、それは、自分の好きなもの、美しいものを、次々に思い出して行くというやり方だった。
綺麗な、花。そうね、例えばバラだったら…。
そう。「オフェリア」がいい。
あの、淡いピンク。可憐で、上品な、まろみのある花びら。ピンクから、クリーム色への、夢のようなグラデーションがあって、なのに、香りはあくまでも豊か。
鮮やかに香りまでを再現させ、本当の微笑みが彼女の顔に浮かぶ。
あ、いい調子…。
そして、ふと、頭に浮かんだ顔があった。
思えば、今までたくさんの人間を見てきた。仕事柄、外国人と接する事も決して少なくない。
そんな彼女が、もしかしたら、自分が知る人間の中で、一番美しいかもしれないと思った顔。
直接話した事はない。
ただ一度、ちらりと見た事があるだけの、男。

あぁ…。綺麗だったわ…。
あの若さで、あんなにグッチのスーツが似合うなんて、そうはいない。
たまたま出かけた支店で、彼を見た。
名前と、会社はあっと言う間に覚えたわ。今だってすぐに言える。腰越人材派遣センターの、早坂由紀夫。
あんな人がうちのボスだったらいいのに…。
そして、私は秘書。
仕事するわぁー。仕事めっちゃめちゃする。もう、プライベートまで入り込んで、そうね。なんだか、酷薄そうなところもあるから、付き合った女に手切れ金とか渡したりなんかして…。でも、私はあくまでも秘書。彼にとっては手足の一つに違いないのね…!

秘書水木。夢見がちな性格であった。

さらに、彼女の憂さ晴らしは、やや独特であった。
買い物で憂さを晴らす女性は多いが、彼女も基本的にはそういうタイプ。幸い、給料は多い。
ネイルサロンで綺麗に手入れさせた指が、電話に伸びる。

「オフェリアを3ダース、リボンは藤紫で」
電話したのは、日比谷フラワーセンター新宿店。
送り主は日の出銀行業務本部秘書課・水木小夜子で、届け先は、腰越人材派遣センター・早坂由紀夫様。

この、ほんの気まぐれで送られた豪華な花束が、腰越人材派遣センターをパニックに陥れる事になるのだが、それをまだ誰も知らない。

<つづく>

すんません、大都芸能のミズキさんって、どんな漢字でした!?昨日から、我が社はガラスの仮面ブーム(笑)
日の出銀行ってのは、ギフトの2話で出てきた銀行であります。え?そんな事を元木が知ってるなんて、おかしい!そう思ったあなたは正しい。何故私が日の出銀行なんて名前を知っているかは、18話のラストでねぇーん(笑)

次回、来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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