天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

ギフト番外編1周年記念特別企画!大ゲスト大会!

『あの頃の早坂兄弟』(適当な題(笑)黒ラブちゃーんごめーん!!)後編の1

ご挨拶
「3人目のゲスト様!そーれーわぁー、
Toy kitchen
の黒ラブ様!なんで、後編の1、などという不思議な区切りになっているかというと、この後に控えている最後のゲスト様が、間に合わない!と泣いているから(笑)さて、このステキな黒ラブさんのGIFT番外編に合わせまして、イラストが届いております!イラスト!yenさんのイラスト!さぁ見に行って!可愛いわ!!とっても可愛いわ!」

yukio
 

由紀夫と正広は、ピクニックの荷物満載で由紀夫の自転車に二人乗りして、奈緒美の待つオフィスに立ち寄った。
 今日は由紀夫と正広の自主的な休暇で、オフィスはいつも通り営業している。
「あー、由紀夫。悪いわね。あらひろちゃん、あなたはよかったのに。」
「おはようございます。ふあー重かったぁ!」
「・・・凄い荷物じゃない、どした?」
「これから兄ちゃんとピクニックに行くんです。」
「ぴくにっくぅ〜?!・・・」
「あたしも行く〜!」
 千明の額を即座に押しのけ、正広が持っているバッグ(及び正広本人)を体でガードする由紀夫。
「由紀夫ちゃんが、ピクニック。ほほぉ、お花畑でランチボックス広げてサンドイッチに紅茶。デザートは家庭で漬け込んだドライフルーツを入れたフルーツケーキですか。あ、日傘!パラソル!いいですね〜。ちょっと由紀夫ちゃんには、ラブリー過ぎますけどねっ、ひろちゃんには、ぴったりだし、ねぇ!」
「野長瀬さーん、その想像が、ラブリー過ぎるだけじゃあ・・・」
「由紀夫だって、似合うわよー。だって由紀夫、綺麗だもんっ!」
 朝っぱらからおやつでぺとぺと汚れている千明の手を却下する。由紀夫に、といただいて食べきれないお菓子は、お腹空かせてやって来る千明の朝食代わりだった。
「和風でも洋風でもいいけど。まあ、休みの日にあんたたち兄弟が何しようと関係ないわね。千明、手を洗いなさい。」
「だったらその休みの日に、届け物受けるなよ・・・あ、奈緒美ー、そのクライアントさ、スカーフ被って、エプロンして、どこから声出してんだか、ってしゃべり方してんだよな?」
「そうよ。それがどした?」
「『バナナがないとねーダメよねー』みたいな?」
「凄い、由紀夫ちゃん、聞いてたんですか?」
「上手ですねー、由紀夫さん。」典子も感心する由紀夫の物真似。
「それよりあんた、なんで届け物の内容知ってんのよ。クライアントのことも、何か知ってんの?」
「んー・・・たぶんなぁ。」
「ねー。」
 顔を見合わせてうんうんと頷き合う早坂兄弟。

「っていうか、届け物の内容って何」
「それよりクライアントのこと、教えてちょうだい」
同時に言ったが、早坂家の負けだったようで、奈緒美に促されて続ける。
「あのね、うちの、溝口家の、隣に住んでたおばさんじゃないかと思うんです。」
「顔の半分は口ってくらい、でかい口してて、アイライン付けまつげばっちりって感じで」
「凄い行動力なんだよね」
「若そうなんだけどおばさんぽくて年齢不詳で」
「優しい人だったなー」
「引っ越したんだよな、確か。」
「うん。俺がまだ小学生で、兄ちゃんが中学・・・・」
「俺がグレだした頃。だから、俺は覚えてないけど。」
「すっごいお世話になったんです。」
 にっこー、と笑って由紀夫を見上げると、由紀夫も正広を見下ろして笑い掛けるところだった。今度は、なぁ?と確認し合って微笑む早坂兄弟。

「・・・おかしいわよ、あんたたち。」
 依頼書に記された名前は、確かにスカーフおばさんのものだった。
「こんなとこ住んでんだ。」
「遠いねー。・・・・でも、おばさん、元気だったんだー」
「それがねえ、そうでもないのよ。」

 脚を骨折して、自力では動けないのだと言う。命に別状はないが、この近くの病院から、車椅子で乗り付け、依頼をまくしたてて帰っていったそうだ。
「お見舞いに来た息子さんが、忘れていったらしいのよ。入院中なのに、どうしても必要だっていうんで、お医者を説得して抜け出して来たみたいなのね。『うちの息子は慌てんぼさんで、しょうがない子なのよ、あの子が取りに行くって言ったけど、そんな危険なこと、させるわけにはいかないでしょう?』って、涙ながらに言われちゃったのよぉ。それだったら、お怪我されてるお母さんに来ていただくより、うちの方で病院に取りに行く方が早いと思うんだけど、って言ったんだけど、断られたわ。焦ってたのねえ、きっと。・・・・それで、これが届け物よ。」

「あ・・・・!」
 兄弟が同時に叫んだ目線の先には、バナナが一房。黄色く熟して食べ頃で、懐かしい香りを撒き散らしながらそれは堂々とそこにあった。
正広は思わず、肩に掛けたままだった荷物を確かめる。俺の荷物、飛び出しちゃったのかなっと思って。そして、バッグの上から形を確認した。
「・・・これ、これを届けるために、病院抜け出してきたの、あのおばさん?!」
「これはおまけ。ほら野長瀬、肝心のほう、どこやったの」
「あーはいはい、これです。」

 出てきたのは、「お医者さん鞄」。手提げがあって、底が広がっている太いマチが付いていて、茶色い革製で使い込んであって。普通イメージするよりもちょっと大きいサイズだった。
「出張した息子さんの、仕事道具なんですって。」
「兄ちゃん、おばさんちの息子さんって、職業なんだったっけ?」
「知らない。そーいや、知らなかったわ。」
「緊急ってことよ。届け先はここ。」

「何だこれ」
 由紀夫のあきれた声に、自分でも覗き込んでみた正広も大声になる。
「動物園ー?」
住所は、ここからさほど遠くない、小さな昔からの動物園だった。
「獣医さんだそうよ、息子さん。さ、行ってちょうだい、詳しいことは先方に会ったらわかることになってるから。あ、おまけのバナナも、ちゃんと届けてよ」

 

 1分後には、よくこの短時間でこれだけ・・と思うほどの弁当やらおやつやら飲み物やらを詰めたバッグを斜め掛けした正広が、由紀夫の自転車の後ろに乗っていた。
ピクニックの目的地を動物園と決めたらしい。
 荷物は正広の両肩に、クロスさせて掛かっている。
 パンパンに膨らんだお弁当バッグの反対側には、いつもの由紀夫用メッセンジャーバッグ。(今日は何も入っていないが)
 そして、正広のお腹と由紀夫の背中で挟むようにして、スカーフおばさんの息子のお医者さん鞄が。落とさないように、正広はしっかり由紀夫につかまっている。

「にーちゃん、終わったらさー」
「見舞いだろ?」

 アミューズメントなデートスポットと化している新しい動物園とはかなり違うその動物園は、小高い丘の上にある。最終アプローチは、急な坂だった。自転車を降りて、正広はお弁当のバッグを斜め掛け、由紀夫は届け物を自転車の荷台に載せて歩く。

「なんかさー、ピクニックって感じになってきたねー」
「まぁな。動かないと、腹も空かないっしょ!」
「うんっ!」
 ライオンの彫刻が乗っている門柱と門柱の間には、鉄製の華奢なアーチが掛けてある。緑青に変色した看板が、この園の歴史と、市民に愛されてきた誇りを物語っていた。
 入り口で尋ねたとおりに進んでいくと、小さな街中の動物園のこと、目的の場所はすぐわかった。いわゆる動物園らしい動物が多いところで、キリンとかゾウとか、子供に不動の人気を持つメジャーな動物が結構ぎしぎしと並んでいる。

 ゴリラ舎の裏側が、依頼の場所。きぃ、と小さな音を立てる鉄パイプ製の扉を開けて中に入ると、迎えてくれたのは、
「先生・・・のわけないよなー」
しーちゃんの主治医、イナガキアニマルクリニック院長の稲垣吾郎、を10歳老けさせたような後ろ体重の男だった。

つづく


そして次回ついに最終回!お楽しみにー!!

次回、来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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