天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

ギフト番外編26話前編『チケットを届ける』

ご挨拶
「久々に帰ってきました元木沙夜子!大丈夫か!大丈夫なのか!それはこれから書いてみなくちゃ解らない〜♪」

yukio
 

「やっぱりね、インターネットだと思うんですよ」
「ふんふん」
「インターネットにホームページとか載っけて、それで宣伝をするんです」
社長以下、役職者が勢揃いする、腰越人材派遣センター月例営業会議の席上である。
「インターネットねぇ」
奈緒美は、コンピュータが得意ではない。何せ、腰越人材派遣センターには、在宅コンピュータ犯罪マニア、田村がいるのだからそんな事を知る必要もなかった。実を言うと、電卓よりそろばんの方がずっと得意だ。
「インターネットってすごいんですよねっ!なんかねっ!」
「解らないクセに口走らないの」
野長瀬を横目で睨んだ後、奈緒美は、初めて月例営業会議で発言できたぞ!と満足感で瞳を輝かしている正広を見た。
「それは、具体的にどういう事をする訳?」
「えっ?」
その輝いた瞳は、きょろんと、宙を泳ぐ。
「えっと、あの・・・」

それは、聞かないでほしかった・・・!
もちろん、具体的な考えなんて、これっぽっちもなかった正広は、おどおどと目線を逸らし、はっ!と顔を上げた。
「田村さんが!」
「却下!!」
0.02秒。恐ろしく素早い却下である。
「あんなのに!あんなのに任せたら、どんな下品なものになるか!この腰越人材派遣センターは、伊達に『腰越』の冠を被ってる訳じゃないのよ!このあたし!この、腰越奈緒美にふさわしい品格ってものがね!」

「社長ー、お電話ですー」
ドアの外から典子の声。立ち上がった奈緒美は、正広に言った。
「とりあえず、ひろちゃんがなんとかしてみなさい」

がーん・・・!

10月度の、腰越人材派遣センター月例営業会議の決定事項はそういう事だった。
役職者って辛い・・・!と正広が思ったかどうかは解らない。
ちなみに、腰越人材派遣センターの役職者とは、営業第1課課長の野長瀬と早坂由紀夫担当課長の正広の二人だけである。

 

「俺、そんなん解んねーもーん!」
「あれ?ひろちゃん、インターネットしてなかった?」
「してないよぉ。だって、俺、パソコンなんて、これしか使ったことないもん!」
奈緒美、野長瀬が外出し、由紀夫は最初から仕事でいなかったため、典子と二人になった時、正広はぷーっ!と頬を膨らませて、自分のデスクにあるパソコンに触った。
「あぁ、そっちは繋がってないもんね」
「え?」
正広のパソコンは、奈緒美が、すぐできますよー!とショップで言われて買って来たオールインワンのデスクトップ。典子のは、それに先立つこと1年、経費で落ちるギリギリの値段で買いたたいて来たブックタイプ。
「だって、そっちの方が古いんじゃないの?」
「別に新しいからできるってもんじゃないもん」
「すごー!典子ちゃん、詳しいんだ、パソコーン!」
「えっ?それほどでもぉー!」

ニコーっ!と笑う典子だったが、もちろん全然詳しくないのだった。
当時の典子のボーイフレンドがパソコンに詳しく、インターネットすればいいのに、と、奈緒美たちが留守の間にセッティングしてくれただけ。
「じゃあ、さぁ、俺のもできるようにしてよぉ」
「えっ?」
「だって、ほら、ここんとこに、インターネットって、書いてあんじゃん」
正広がパソコンのディスプレイを指差す。確かにそこにはインターネットの文字、そしてアイコン。
「でも、ここ押したら、なんか、色々メッセージ出てきて、結局ダメなんだもんー!」
そもそも、電話回線に繋がっていないんだからしょうがない。
「典子ちゃん、どうやったの?」
「えっとっ、昔の事だしっ。ほら、種類も違うしっ!」
「そっかぁー・・・」
そうだよなー、と正広は素直にうなずき、でもため息もついた。
「田村さんに相談しちゃ、やっぱダメかなぁ〜・・・」
「バレなきゃいいんじゃない?」
自分に頼まれないんだったら誰でもいい!なんの根拠もなく典子はうなずいた。
が。
「ねぇ、典子ちゃん、インターネットって、今、見られるの?」
奈緒美に黙って田村に頼むは最後の頼みの綱にしたい正広は、無邪気に尋ねてきた。
ちっ!内心で舌打ちしながら、見せるだけなら大丈夫か、と、ボーイフレンドが勝手に余ってた電話回線に繋げてしまったパソコンからインターネットと立ち上げる。
「わー、こんななんだぁー」
初めてみる正広は、画面を見るだけでワクワクしてる。
「インターネットって、何ができるのー?」
「えっ?」
「え、だって、俺使った事ないし」
「んーっと、か、買い物、とかぁ」
「買い物?」
「テレフォンショッピングみたいなもんよ」
「へー!」
見せて、見せてっ!と言われ、やっぱりショッピングがメインの典子は、あれこれ見せてあげた。
「わぁ。ブランドもんもあるー」
「そーなの。個人輸入とかもできちゃうしー」
「買えるんだぁー・・・」

自分で触れば?えっ、いいよぉっ、なんてやり取りをしつつ、あれこれ見ていて、正広は、あ、と典子の手を止めさせた。
「ねぇ、これって・・・?」
「え?掲示板?」
「これって、色々情報が載せられるの?」
個人売買のページで、ビジネス関係の紹介も、別にかまわないという場所だった。
「そっか。試しに載っけてみる?」

 

「来た!」
次の日の朝。全員揃って、野長瀬のいれた朝のお茶なんぞをすすっていた一同は、典子の声にびくっ!と顔を上げた。
「何が!」
「依頼・・・」
「は?どこに?」
「め、メールで・・・」
「メール?間違いじゃないのぉ?」
「WITH LOVEですね・・・!」
せつない恋愛ドラマが大好きな野長瀬が呟き、お盆で奈緒美に殴られた。
「メールって、昨日のっ?」
正広は驚いて典子のパソコンの前に回る。
「ほら、これ」
確かに、依頼のメールが来ていることを確認して、正広は驚いて目を真ん丸にした。
「すごい!昨日の今日なのに!やっぱり、インターネットってすごいんだ!」
別に自分が何をした訳でもないが、喜んでしまう。
「それで、それでっ?どんな依頼なのっ?」

飛び跳ねんばかりに喜んでいる弟を、由紀夫はなんだ??という目で眺める。
「インターネットぉ?」
「そー!昨日ね、CM載せてみたの!うちの!」
「え、そんなんできるんだ」
奈緒美の指示か、と、奈緒美の方に声をかけると、奈緒美は黙って首を振る。
「え?正広が自主的にやった訳?」
「あ、いや、俺が、って訳じゃあ・・・」
「いえ!ひろちゃんが!ひろちゃんがそれがいいんじゃないかなーって言ったんでっ!」
よくよく考えてみると、勝手にインターネットをやってた事がばればれじゃん!と、ようやく気づいた典子は、慌てて、自分の関与を否定に入ったが・・・。

「とりあえず依頼の内容は?」
あまりに唐突な話だったので、奈緒美の神経はそこまで行き届かなかったらしく、依頼内容についてしか聞いてこない。
「あ、依頼内容はですねぇ。えっと・・・。・・・えっ!!」
「何っ?」
後ろから覗き込んだ正広が、画面の文字をなぞって読んだ。
「竹の塚のチケットを、届けてください」
「タケノヅカぁ?」

どう考えても自分が届ける事になる、届け屋の由紀夫は、聞きなれない言葉に首を傾げた。

つづく


短ぇ・・・(笑)短いよ、俺!しっかりしろ俺!!ほんとは1回で終わるくらいの話なのに!つい・・・!後編がんばる!

次回、来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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