天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

ギフト番外編29話というかお遊び編前編『王子様を届ける』

前回までのあらすじ
「由紀夫の誕生日は、高級スパで行われた。後日、どうしても由紀夫をエステにこさせろ!と腰越奈緒美は言われたが、言を左右にして確証をつかませない。エステ側の狙いは分かっている、宣伝に使うつもりだな!ピンポーン!」だからなんやっちゅーねん・・・。

yukio
 

「鏡よ、鏡よ、鏡さん。この世で一番美しいのはだぁ〜れ?」
『こぉーのぉーおぉーでぇー、いぃちぃばぁん、うぅつぅくぅしぃい〜、そぉれぇわぁ〜』
「あたしよねっ!あたしっ!」
『しぃらぁゆぅきぃひぃめぇ、でぇ〜すぅ〜!』
「このっ!腐れ鏡がっ!」
『あぁ〜れぇ〜!』

お后様のナオミ様は、45枚目の真実を語る鏡・スーパーエクセレントスペシャルを、正面蹴りでぶっ壊してしまいました。
お后様は、お后様ですが、後妻です。お后様が嫁いだ王様には、先妻さんが産んだ、それはもう美しい、白雪姫、というお姫様がおりました。なにせ、自分の美しさには自信アリアリだったお后様は、正直、ムっ!としました。
可愛く、美しい上、育ちがいいもんで、気立てもいい。後妻さんであるお后様にも、にっこり笑顔で懐いてこようとする。
けっ、このいい子ちゃんぶりっこがっ!
実はお后様は、少々ひねくれた魔女だったりしたもんですから、安直に「ジャマ者は消せ」という思考に囚われてしまいました。
「ノナガセ!ノナガセっ?」
下僕のノナガセを呼び、お后様は赤ワインで満たされたグラスを片手に(ナオミ違い)、命じました。
「白雪姫を森に連れてって、殺しておしまい。そして、その証拠に」

内臓を取って来いだなんて・・・!お后様は、なんて野蛮なんだよぅ!
下僕のノナガセは、何度も心の中で声を上げましたが、もうすでにここは森の中で、白雪姫様は、ノナガセの少し後ろを、楽しそうについて来ているのです。
白雪姫様は、雪のような白い肌をしていて、白い雪の上に落ちたような赤い唇も綺麗です。
「どこまでピクニック、行くんですか?」
にこ、っと笑いかけられ、ノナガセはおどおどおと、不細工に微笑み返します。
「も、もう少し、先、です」
「そうですか」
何分、気立てがいいもんだから、素直に、こっくりと肯き、白雪姫様はノナガセについて歩きます。
けれど、可愛らしく小首を傾げ、じゃあ、急ぎましょうね、と笑顔を向けられたノナガセは胸を引き裂かれたような気持ちになりました。
「で、できない・・・っ!」
「ノナガセさん?」
「私にはできないっ!」
「あ、あの・・・?」
「白雪姫様!逃げてくださいぃぃぃぃーーーー!!」
斧を手に、ダーッシュ!したノナガセを、呆然と白雪姫様は見送りました。
「逃げて、って、何・・・?」

たった一人、森の奥深く置いていかれ、白雪姫様は首を傾げていましたが、初めての森の中です。白雪姫様は、あっさり道に迷ってしまいました。

「あれ、あれれれ・・・?」
とことこと歩いても、歩いても、見知らぬ風景。日は段々暮れてきて、おっとりとした白雪姫様も、さすがに心配になってきました。
なんだかおなかも痛いです。それは、白雪姫様にとっては初めての感覚、「空腹」でした。
少し悲しくなっちゃいます。あ、なんだか、泣けてきちゃう、かも・・・。
とことこをとぼとぼに変化させ、木々の中を歩いていた白雪姫様は、突然、広場に出ました。夕日の中に、小さなおうちが一軒だけあるのが見えました。

白雪姫様は、小さなドアをノックしましたが、お返事はありません。お留守かぁ・・・、とドアにもたれたら、ドアはあっさり内側に開いて、ころん、と白雪姫は転がり込んでしまいました。
「いったぁ・・・!」
後頭部を押さえながら立ち上がると、小柄な白雪姫様の頭でさえつっかえそうになる、低い天井です。
一体どんな人が住んでるのでしょう。キョロキョロと、小さいけれど、清潔なお部屋を眺めていると、ベッドがありました。子供用の小さなベッドが、7つ。
それを見た途端、こんなに長い間歩いた事のない白雪姫様は、自分がとても疲れているのを思い出してしまいました。
「ちょっとだけ・・・」
白雪姫様は、その7つ並んでいるベッドを横に使って、眠ってしまったのでした。

「ヤダー!何これぇー!」
「人、じゃん」
「そぉんなのわかってるぅー!なぁんで寝てるのよぉ〜!」
キーン!と甲高い声が耳元でして、白雪姫様ははっ!と体を起こしました。
ベットサイドに、7人の小さい人がいて、お揃いのとんがり帽子に、お揃いのお洋服を着て、じっと白雪姫様を見ています。
「あ、あの・・・」
「あんた誰よぉ〜!」
白雪姫様を起こした甲高い声は、この女の子なのでしょう。きっ!と白雪姫様を睨みつけながら、指差してきます。
「あの・・・、白雪姫、です」
「あら、お姫様だわ。ちょっと、チアキちゃん、やめなさいよ」
「おっ、お姫様ったってっ、あ、あたしだって、このおうちのお姫様だもんっ!」
「誰がお姫様だ、誰が」
バシン!と小さいけど、カッコいい、髪の長い男の人が、チアキちゃんの後頭部をはたきました。
「お姫様が何してんの?」
「あの・・・。逃げてください、って言われて・・・」
「逃げて?」
「はぁ・・・」
そう言えば、一体自分は何からどう逃げてるんだっけ?と白雪姫は不思議に思います。
「タムラぁ」
その人は、どんどん、と床を蹴りました。
「白雪姫、ってどうなってんの〜?」
「ソンナトコニハイナイっ!」
けれど、声は天井から降ってきます。
「マジョノカガミダナ」

「あぁ・・・」
「え、ゴロちゃん、何か知ってんのっ?」
「お后様は魔女で、真実を語る鏡ってのを持ってて、そこで、この世で一番美しいのは誰かとかってやってるって聞いたことある」
「どっからぁ?」
不思議そうに、浅黒い肌の人に尋ねられ、当たり前のようにゴロちゃんは答えました。
「患者から」
「動物じゃん!」
「動物?」
白雪姫の疑問に、カッコいい人が答えてくれました。
「ゴロとツヨポンは獣医だから」
「すごぉい」
白雪姫様は、何せ白雪姫様ですから、手に職など何もなく、獣医さんだなんてすごい!と素直に思いました。
「カツとシンゴは、人間の医者、そんで俺は届け屋」
「届け屋?」
「人とか、物とかを、あっちからこっちへ届ける仕事だよ」
その仕事は初耳だったので、白雪姫様はまじまじとその人を見ました。そういえばこの人はなんてお名前で、と思ったら。
「ユキオに近づかないでっ!」
チアキちゃんが二人の間に割って入りました。
「ユキオはあたしの恋人なんだからぁっ!」
「ちげーだろっ!!」
パシーンッ!と、チアキちゃんの後頭部でいい音が立ちます。
「これは、チアキっつってプータロウ、それでノリコはOL!」
「事務やってまぁーす♪」
「もぉー!フリーターってゆってよぉ!」
「プータロウだ、プータロウ。それと、ここに」
どんどん!と床を蹴り、『ソッチジャナァーイッ!』という天井からの声を無視して、ユキオちゃんは言いました。
「タムラってのがいるけど、そいつと顔合わすことはないから気にすんな」
「気に、すんな・・・って・・・」
「だから、逃げろっていわれたんだろ?だったらここにいりゃあいいじゃん」
あっさりとユキオちゃんは言い、どうやらチアキちゃん以外はそのつもりのようです。
今の白雪姫様は、この人たちに頼るよりすべがなく、素直にお願いしました。
「よろしくお願いいたします」
ググー。

ナァイスタイミング!でおなかもなり、楽しい夕食が始まりました。

 

それから白雪姫は、小人たちのおうちで暮らすようになりました。白雪姫用のベッドをいきなり作るのは難しかったので、乾燥したワラをいっぱい運んで、シーツでくるんでふかふかのベッドにしています。いい匂いがして、気持ちがいい。お城にいる時よりも、のびのびと白雪姫は暮らしていました。

「ただいまー」
「おかえりなさーい!」
森の動物病院の先生をやっている、ゴロちゃんとツヨポン、森の人間病院の先生をやっている、カツくんとシンゴちゃん、この4人の仕事は大体遅目です。森の総合商社に勤めているノリコちゃんも、ちょっぴり遅目。でも、ノリコちゃんは、森のファッションスクエアでのお買い物があるから、とユキオちゃんは言います。チアキちゃんは、本人曰くフリーターですので、いろんなバイトをしています。今は、森のライブハウスでお仕事をしているそうです。ユキオちゃんは、森の届け屋さんですが、届け屋という仕事は時間がまちまちで、はやーくに帰る時もあれば、何日も帰らない時もあります。
今日は早い日だったようで、夕方には帰ってきました。
白雪姫様は、ドレスの上に、シンゴちゃん作の可愛いエプロンをして、お掃除中でした。
「何、掃除?」
「はい。あの、ホントはお料理したいんですけど・・・」
「・・・やめとけ?」
「・・・はい・・・」
お姫様だけにナイフは毎日持ってても、包丁は持った事のない白雪姫様。自分の指を切るだけならまだしも、手から飛んだ包丁が、なぜか天井に突き刺さり、まだ見ぬタムラの命を奪いそうになった時から、台所出入り禁止がきつく言い渡されてしまっていました。
「今日、俺当番だし、なんか適当に作るわ」
「あの、あの、私・・・」
台所の入り口の外で、手伝いたいっ!って顔で、じっと自分を見る白雪姫様に苦笑したユキオちゃんは、もやしをザルに山盛りにして、白雪姫様に渡しました。
「これ、ヒゲ取ってくれる?」
ぱぁ・・・っと白雪姫様の顔が明るくなり、はいっ!と元気にお返事して、1つ1つ丁寧にヒゲを取り始めました。

そのうちに1人帰り、二人帰り、白雪姫様の周りに集まります。チアキちゃんでさえ、白雪姫様に、いろんなお話をしてくれます。
夕食は、ユキオちゃん特製の中華ディナーで、白雪姫様のもやしは、中華サラダと、スープの中に入れてもらっています。
みんなでごはんを食べながら、白雪姫は、幸せだなぁ・・・。と思いました。ずぅっとこんなに幸せならいいのに、と。

しかしもちろん、そんなにうまくいくはずがなかったのです。

つづく


どないやねん!!
いや、秋やなー・・・、秋なー、芸術の秋ー・・・、文化祭ー、劇ー・・・と思っていたらこんな事に!私は、お后様、ノナガセ、鏡を「スリーアミーゴス」と呼んで可愛がりたいと思っている!いいんだ!私はそう思うんだ!!
ってゆーかもう冬やし。12月やし(笑)

次回、来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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