天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

ギフト番外編40話『ポルシェが届いた』

今回の理由
「ゴールデンウィークだから(笑)」

yukio
 

「ゴールデンウィークだよ!」
「ゴールデンウィークだな」
「黄金週間!」
腰越人材派遣センターは、4月29日から、5月5日までお休みとなる。
その前日、4月28日の夜、家に帰った正広は、大きな目をキラキラさせながら声をあげた。
「どーするぅ〜?兄ちゃぁ〜ん!黄金週間だよぉ〜っ?」
「黄金週間って何だよ・・・」
「あー、嬉しいぃ〜」
きらんっ、と輝く瞳は、くるっと振り返って由紀夫に向けられる。
「どこ行くっ!?」
「えっ?」
「ねぇ、兄ちゃん、どこ行くのっ?どこ連れてってくれるのっ?」
「・・・どっか連れてかなきゃいけない訳?」
「あったりまえじゃん!ゴールデンウィークだよ!家族サービス!」
「家族サービスぅ?」
「そーだよぉ!お父さんは、家族サービスぅー!」
「・・・お父さん・・・?」
「お父さんは家族サービスだよねー、お父さんの家族サービスのためにゴールデンウィークはあるんだよっ。ねー、しーちゃぁーん?」
『そーですよ、由紀夫おとーさぁ〜ん♪』
「待て、待て待て待て」
「しーちゃんは、お父さんにどこ連れてってほしいぃ〜?」
『そーですねー、私はぁ、んーっとぉ』
「えっ?ディズニーランドぉ?」
『えっ、私そんなことゆってませんけど・・・』
「そっかぁ、ディズニーねー、兄ちゃん、ディズニーランドだってぇ〜っ!」
しーちゃんを指に乗せて、キスするかのほどに顔を近づけ、きゃあきゃあ正広は言葉を続け、由紀夫は、頭痛を治めるため、こめかみを押さえた。

「えーっ、ディズニーダメなのぉ〜?」
「あのな、おまえ東京に住んでんのに、なんでこんな混んでる時期にディズニーよ」
「なんか、ドナルドのイベントがあるってぇ〜・・・」
夕食を食べながら、正広はぶ〜っ、と頬を膨らませる。
「ドナルド〜・・・。しーちゃんも会いたいよねぇ〜?」
『え、私ですか?え、私、ディズニーランドとか、行けるんですか?』
「しーちゃん、可哀相〜・・・」
小松菜食べる?と傍らにいるしーちゃんに小松菜を差し出す。
『あ、ありがとうございますっ』
ぱくぱくっ!としーちゃんは元気に小松菜を突つき、可愛らしく小首を傾げたりなんかする。
正広もそれを見て、一緒に小首を傾げたりする。

「しーちゃん、おとーさん、ディズニーだめなんだってぇー、じゃあ、どこ行くぅ〜?あ!そっか!ズーラシアだよねー、やっぱりー!」
「ズーラシア?」
「でっかい動物園!横浜に出来たんだって!」
正広は、日本最大だとかいう動物園について、うきゃー!!!と説明したが、お父さん由紀夫は首を振った。
「出来たばっかりだろ?混んでるに決まってんじゃん」
「もー、お父さぁん!」
「だぁから!なんでお父さんなんだよっ!」
「家族サービスすんのは、お父さんだもぉ〜ん・・・」
うー・・・と上目遣いする正広。大きな目をうるん、とさせているけれど、由紀夫お父さんは気にしない。
「ゴールデンウィークは、疲れたお父さんを休ませるために、あんなに長いの」
「兄ちゃん、疲れたお父さんじゃないもん」
「おまえがお父さんだっつったんだろーっ!」
「疲れてないもーんっ!!」

「んねぇ、んねぇ」
「あー?」
「あのねぇ」
じっとプロ野球中継を眺めていた正広は、肩に乗せたしーちゃんに耳を寄せて、雑誌を見ている由紀夫に言う。
「しーちゃんねぇ、パレットタウンに行きたい、んだって」
「却下」
「なぁんでぇ〜っ!?」
「あのなぁ」

雑誌を置いた由紀夫は、正広の顔をじっと見詰める。
「あそこは人手最高潮だろうが。人ごみ苦手なヤツが何言ってんの?」
そーだけどぉ〜・・・。

正広はしーちゃんを手の中に入れて胸の前に抱き、しくしくと泣き真似をする。
「家族さぁびすぅ〜・・・」
「あのな、人を家庭を振り返らないお父さんみたいに言うな」
「お出かけぇ〜・・・」
「だから、どこも混んでるんだって!」
「でも、もう、大丈夫だもん〜、もう平気ぃ〜!」
「出かけるのは別にいいけど、もっとすいてるとこにしろって」
「ゴールデンウィークにすいてるなんてぇ、絶対つまんねぇよぉ〜!」
「つまんなくてもっ!ぜってー、人の少ないとこっ!」
「やぁだぁ、お父さぁん〜っ!」
「お父さんじゃねぇっ!」

ゴールデンウィークなのに、うちにいるのが贅沢なんだよ!
由紀夫は力説した。
「家でできることをあれこれすんのがいいんじゃん!」
「例えばぁ?」
「ビデオ見るとか」
「ビデオぉ〜?俺、兄ちゃんみたいに映画好きじゃねぇもん」
「ん?そーいや、俺、これ預かってたわ」

スーツの内ポケットから、由紀夫は、ちゃきっ!と取り出したモノ。正広の目の色が変わった。

「FF!?」
「それからこれ」
「ポケモンスナップぅ〜っ!!」

田村がもうすんだから、と取りに来いと言っていたものだった。
「正広くんは、FFより、大混みでなーんも見られないようなズーラシアとかに行きたいのかなぁ?」

しかし正広の返事はなく、すでにコントローラーを握っていた。

やれやれ・・・。
ゴールデンウィークなんて、ダラダラすごすのが一番だぜ、と思っていた由紀夫はソファに仰向きに寝て、雑誌の続きを眺め、正広は夢中でコントローラーを操って、こんな感じでゴールデンウィークはすぎるだろうなーと思っていたら。

どぉん!

と大きな音に激しい衝撃。早坂家は突如、直下型の地震に襲われた。

 

パックをして、アロマキャンドルをつけて、腰越奈緒美は一番楽しい、休みの前夜を過ごしていた。
「ゴールデンウィークねぇ〜」
豪華な雑誌(EX.家庭画報)をぺらぺら眺めながら、どこか行こうかしら、と考える。
「湯河原ねぇ・・・」
春の温泉というのもいいわねぇ、と呟く。湯河原には木村拓哉がきたりするらしい。
「由紀夫に似てるのがたまに傷だけど、いい男よね〜」
日帰りか、一泊くらいで温泉。まぁ、顔の利く旅館もあるし、今からでも大丈夫よね。
それから、鎌倉とか、ゆっくり散策してみようかしら。もうがつがつ遊ぶなんて真似もしたくないし。

女も一人で遊べるようになったら、一人前かしら。
ほほほほ。

ワインを傾けながら、心の底から上品モードに入っていた奈緒美の携帯がなった。

「はぁい?」
ご機嫌で出た奈緒美は、正広のおずおずとした声を聞く。
『あの、正広ですぅ』
「ん?ひろちゃん、どうしたの?」
『あのぉ、今、いいですか?』
「いいわよ。どうしたのよ」
『あの、あのですね』
「由紀夫とケンカでもした?」
『いえ、してないです。そーじゃなくって、なんて言うか・・・』
『あーもーっ!代われっ!』
声は由紀夫のイライラした声に変わる。
『あのさぁ、ここのビデオ屋って、誰のもん?』
「は?ビデオ屋?誰のって、どーゆー事よ」
『誰の所有な訳?』
「あんたんとこの1階でしょ?それは、うちの所有物件よ」
『あっそ』
「何よ。どーしたって言うの!?」
『お気の毒って言うのかどうかしんねーんだけどさぁ、奈緒美のビデオ屋、潰れたぞ』
「そのビデオ屋は前から潰れてたでしょーが」
『いや、物理的に潰れた』

なぜって、車が突っ込んで来たから。

「車が突っ込んで来たぁ〜!?あんた何したのよ!ヤクザとトラブルでも起こしたのっ!?」
『俺が関係あるか!』
上品かなぐり捨てて叫ぶ奈緒美に、由紀夫も怒鳴り返す。
『事故だ事故!オートマ車で、ブレーキとアクセル間違えたってヤツだよ!』
「サイッテぇ〜・・・!!どこのバカよ!そんな事やったヤツ!」
『ここでちょっといいお知らせです』
「はぁ!?」
『つっこんできたおばはん、今救急車で運ばれてったけど、金は取れるぞ』
「え?」
『だって、ポルシェ乗ってたし』
「よっしゃあ!!絞りとったるぅーっ!!」
『そんでさぁ、悪いんだけど、修理の手配とかって』
「あら、ダメよ」

奈緒美に言われ、由紀夫は言葉を失う。
「だって、保険会社に被害状況を調べさせなきゃいけないし。そのままにしといて?」
『バカ言えよぉー!玄関全損してんだぞー?生活できねーだろー!』
「どーせゴールデンウィークだし、どっか遊びに行けば?」

これでは、また家に帰ってきてからの話が1からスタートしてしまう。
呆然とする由紀夫に、奈緒美は言う。
「なんなら、湯河原の温泉でも行く?」
『湯河原ぁ〜?』
「木村拓哉も来ることらしいわよ」
由紀夫はSMAPファンの弟をちらりと見る。見られた正広は、ん?と首を傾げた。

「・・・奈緒美が温泉でも行くか?って」
「温泉?」
「木村拓哉も来るかもしれないって」
「行くーっ!!」

何でこんな事に・・・。
由紀夫は、軽く天を仰いだのだった。

「木村拓哉っ!木村拓哉っ!」

正広は、東京にいる間一度も見たことがないことを忘れてはしゃぎつづけた。


ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしょう。お仕事ですか。そうですか。私もお仕事の日もありますが、たくさん皆さん働いてますわ。すげー。いやいや大変。部屋の片付けしてぇ〜(笑)
そして来週、ゴールデンウィークの話になるかどうかは神のみぞ知る!!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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