踝(くるぶし)編

平成16年11月


平成16年11月16日(月)

 

もうあと少しで今年も終わりである。

はやいものだ。

今年もいろんなことがあった。

そのうちの一つが、自分の大先輩の1人であるYま兄の結婚式である。

家族以外の結婚式に行ったのはそのときが初めてだった。

そう、およばれした時はほんとうに心に緊張が走った。

 

2004年4月吉日

今日は大先輩の晴舞台、絶対に粗相は許されない。

ましてや他にも学生時代ずっとお世話になった先輩の方々も大勢来ている。

そのYま兄の同期である先輩たちは、みな親友の結婚式だというだけあり、

オシャレにビシッときまったスタイルで、

後輩の自分はさすが兄貴たちだ、とばかりの羨望のまなざしで拝見していた。

そして教会での誓いの言葉がおわり、式場に向かうまで

花嫁と花婿はみなに祝福されながらゆっくりと屋外の晴れ渡った空の下を歩く。

そこでは皆が幸せを分かち合っていた。

皆が輝いていたのだ。

 

しかし!

 

次の瞬間自分は目を疑った!

 

ふとYま兄の同期の先輩たちの方に目をやると、

そこではなんとあの萩さんだけが拍手をしていないのだ。

拍手はおろか、何か不安そうな顔をしてもぞもぞと立っているのだ。

 

この人はなんて薄情な人なんだ!

親友の結婚式なのになんてざまだ!

いままで偉大な先輩だと思っていて損をした!

だが、それは違ったのだ。

 

良く見ると、萩さんのオシャレなズボンは、

おしりのところが裂けて破れていた。

萩さんはそれがばれないか心配で、片手でおしりを隠していたため、

拍手ができなかったのだ!

 

自分は愚かだった。

萩さんは自分に起きた悲劇を、

親友の結婚式の場であからさまにすることができない、

そう思って一生懸命耐えていたのだ。

自分はそのことを瞬時に悟り、

涙をこらえ、萩さんの分までYま兄に盛大な拍手を送った。

 

結婚という幸せ、友情の素晴らしさ、

其の二つをしっかり身にしみて感じることができた

忘れられない1日だった。


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