遠い声
平成十六年度山梨県高等学校演劇大会参加作品
山梨県立甲府昭和高等学校演劇部上演


キャスト

女1
女2
女3
女4
女5



  舞台にライトスタンドが並んでいる。
  中央に二重舞台。
  田舎の一軒家。

  1

  幕開け
  音楽

  舞台下手、女1に灯りが入る。

女1 『遠い声』を読んで。三年二組山中ようこ。
わたしはその一行を読んでああ、とても懐かしいと思いました。
主人公は旅に出ます。行く先は決めていません。
主人公は、ただ、旅に出ます。
主人公は、ただ、どこかに行ってしまいたいと思ったのです。
主人公はだれにも告げずに旅に出ます。
ただ、一応、メールはしておこうかと思ってしてみました。


  女1、携帯を取り出し、メールを打つ。

「ごめんごめんごめんごめん」
主人公は「ごめん」が一個多いような気がしたので、打ち直します。
「ごめんごめんごめん」
これでよし。
「大好きなパパへ」
ははははは。
「ようちんはしゅこーし疲れたの」
どんな主人公でしょう。
「ひゅるひゅるひゅるどどーん」
自分でもどうしていいか分からない気持ちを擬音語で表現。
「そういうわけで」
どういうわけだ。
「探さないでね」
あ、バス出る。送信。
主人公はとりあえずバスに乗ることにしました。


  女1、去る。

  2

  点いては消えるライト。
  胸に明かりを下げて、舞台に人が入ってくる。次々に。
  立ち止まる。
  ホリゾントが薄く入る。
  歩き出し去っていく。
  女4、5二人が残る。
  下手のライトスタンドの下に立つ。
  胸の明かりが消え、ライトが点く。

女5 聞こえた?
女4 聞こえたよ。
女5 もうすぐだよ。
女4 もうすぐだね。
女5 すぐそこまで来たよ。
女4 すぐそこだね。
女5 帰ってくるんだね。
女4 帰ってくるんだよ。
女5 待とうか。
女4 待とうよ。


  明かりが入る。

  田舎の一軒家。縁側。
  夜。虫の声。

女5 もうすぐだよ。
女4 もうすぐだね。
女5 来たよ。
女4 来たね。
女5 迎えに行こうか。
女4 迎えに行こう。


  上手のライトが点く。
  女3、ライトの下に現れる。

女5 ここですよ。
女4 ここです。
女5 暗いよ。
女4 気をつけて。


  3

  女3、中央へ。

女5 お帰りなさい。
女4 お帰りなさい。
女3 ここ?
女5 ここですよ。
女4 ここです。
女3 ああ。


  女3、縁側に腰掛ける。

女3 なんだか懐かしい。


  虫の声

女3 どこから来て、どこへ行くのか分からないけど、ここで休んでいいんだね。なんだかずっと歩いていて、前にいつ休んだか分からない。気が付いたらずっと歩いていた。覚えているのは遠くにぼーっと明かりが見えて、狭い山道を登っているのか下っているのか、ただ歩いてきたことだけ。
ここはどこ?


  どこからか音がする。

女3 何の音?
女5 何の音?
女4 何の音?


  先ほどの音。

女5 山に獣がいるんだよ。
女4 獣だよ。


  音。
  虫の声。

女3 前にここに来たことがあるような気がする。
女5 気がする。
女4 気がする。
女3 というより、ここに住んでいたことがあるような気がする。
女5 気がする。
女4 気がする。
女3 初めて来たのにね。
女5 のにね。
女4 にね。


  虫の声。

女5 来るよ。
女4 来るね。
女3 だれ?
女5 子どもだね。
女4 子どもだ。
女3 ここの家の子?
女5 違うね。
女4 違う。
女3 どうする?
女5 いいよ。
女4 いいね。
女3 いいの?


  女4、女5、顔を見合わせて。

女4、5 うん!


  女3、4、5、奥へ。

  4

  女1、荷物を持って歩いてくる。

女1 こんばんは。


  返事がない。

女1 ここでいいんだよね。


  女1、縁側に腰掛け、荷物を下ろす。

女1 違う家に上がってたりして。遠すぎ。遠すぎ。あり得ない。おなか空いた。


  奥から女3が様子をうかがっている。女1は気づかない。

女1 (気配を感じて)え?(振り返る)


  隠れる女3。

女1 あれ?だれもいないよね。(前を向く)


  女3、出てきて女1の後ろに座る。
  気づかない女1。

女1 だれもいないのかな。
女3 いますよ。
女1 うわー。


  驚く女1。

女1 うわ。うわ。
女3 大げさだなあ。


  女1、言葉にならない。

女3 何言ってるんですか。
女1 おおお。
女3 え?
女1 驚かさないでよ。
女3 驚いたの?
女1 驚くよ。
女3 驚くことないでしょ。
女1 声くらいかけてよ。
女3 声?
女1 声。
女3 声かけるの?
女1 うん。
女3 ああ。
女1 なに。
女3 声、かけるんだ。


  女1、まだドキドキしている。

女1 ああ、死ぬかと思った。
女3 え?
女1 死ぬかと思った。
女3 やだ、それ面白い。


  笑い転げる女3。

女1 どうして笑うの?
女3 だって死ぬかと思った、なんて。
女1 どうしてそれがおかしい。
女3 おかしいよ。死ぬかと思ったって、だってさあ。
女1 意味が分からない。
女3 あれ?
女1 なに?
女3 おかしくない?
女1 おかしくないよ。
女3 あの。
女1 なに?
女3 だれ?
女1 だれって、ここ山中さんの家だよね。
女3 うん。
女1 孫ですけど。
女3 え?
女1 孫。
女3 だれの?
女1 おばあちゃん、いませんか。
女3 ああ。
女1 えーと。近所の人ですか?
女3 あ、ごめん。じゃあさあ、まだなんだ。
女1 まだって?
女3 あらあ。
女1 あの、近所の人ですか?おばあちゃんはいますか。ようこですけど。
女3 ごめんごめん。えーと。あ、じゃさあ、まだなんだ。
女1 だから何がまだ?
女3 おばあちゃんね、おばあちゃん。あの。


  奥から声がする。

女2 ようちゃん?来たの?
女3 あ。
女1 あ、さっちゃん?


  女2、入ってくる。

女2 ここにいたんだ。どうしたの?
女1 ごめん、こっちに来ちゃった。
女2 久しぶりだもんねえ。一人で来たの初めてでしょ。
女1 うん。
女2 ゆっくりしてってね。うちはいいから。おとうさんも大変だね。
女1 あの、これ。


  女1、鞄からお土産を出す。

女1 あの、父もよろしく申していました。
女2 かしこまらなくていいよお。
女1 なんか。
女2 久しぶりだねえ。
女1 うん。
女2 おかあさん、どう?お見舞いにも行かないで。おとうさん病院に泊まってるんでしょ。
女1 あ、だいぶいいです。
女2 事故なんてねえ。怖いねえ。
女1 大丈夫です。たいしたことなくて。
女2 よかったねえ。軽くて。
女3 ほんとだねえ。
女1 え?
女3 うん。
女1 あの。
女3 じゃ行くね。
女2 はい。気をつけて。
女1 はい。
女3 じゃ。


  女3、奥へ。

女1 えーと。
女2 だれ?
女1 え!さっちゃん知らないの?
女2 うん。
女1 近所の人じゃないの?
女2 知らないよ。ようちゃんの友達じゃないの?
女1 違うよ。ここに座ってたら、いきなり後ろに座ってたんだよ。
女2 どこから入ったんだろ。


  女2、奥をのぞきに行く。
  鐘の音。

女1 え?


  奥から女3、女4、女5出てくる。

女1 え?


  女3、4、5、庭先に下りる。
  下手のライトが点く。

女3 驚いてるね。
女5 るね。
女4 るね。
女3 ああ、人に会うのは久しぶりだ。
女5 見てるよ。
女4 見てるね。
女3 いいよ。そのへん一回りしてこようか。
女5 こようか。
女4 ようか。


  女3、4、5、去る。

女1 さっちゃん、さっちゃん!


  女2、入ってくる。

女2 どこにもいないんだけど。
女1 いたいた!いたよ!
女2 どこに?
女1 今出てきた。
女2 え?
女1 よく見えなかったけど、あたしの横、すーっと通り過ぎていった。そしたらなんかそこにぼーっと明かりが見えて。向こうに行った。
女2 どっち?
女1 あっち。


  女2、縁側を下りて、女1の指す方を見る。

女2 向こう、川だよ。
女1 家の奥から出てきたみたい。
女2 奥?
女1 なんか人が増えてたような気がする。
女2 気がするって。
女1 なんか気配しか感じなくて、変だよ。あの人。
女2 お盆だからねえ、だれか帰ってきたのかもしれないよ。
女1 気持ちの悪いこと言わないでよ。警察呼ぼうか。
女2 警察?
女1 だってなんかされたら。
女2 警察か。そういう発想は出てこなかった。
女1 ね、呼ぶ?
女2 ま、いいよ。害はなさそうだし。この辺の家に夏休みで遊びに来た人かもしれないし。
女1 いいのかな。
女2 行っちゃったみたいだし。


  虫の声

女1 おばあちゃんは?
女2 お寺。
女1 遅いね。
女2 お祭りがあるからね。おこもりって言って今日は泊まるんだよ。
女1 え?今日は帰って来ないの?
女2 うん。
女1 じゃ、二人だけ?
女2 うん。
女1 どうしよう、また来たら。
女2 大丈夫だよ。
女1 大丈夫かな。
女1 どうする。
女2 どうするって言っても。
女1 おこもりってなに?
女2 お寺に泊まるんだよ。
女1 どうして?
女2 お祭りだよ。
女1 お祭り?
女2 うん。
女1 そんなお祭り聞いたことないよ。御神輿出るの?
女2 出ないよ。
女1 盆踊り?
女2 ないよ。
女1 誰か来るの?あの、売れない演歌歌手とか。お笑いの営業とか。
女2 来ないよ。
女1 どんなお祭りよ。
女2 なんて言えばいいのかな。お祭りに興味あるの?
女1 興味ないよ。お祭りなんて。あたしが好きなお祭りは山崎春のパン祭りだけだよ。
女2 何それ?
女1 地元の祭りだよ。
女2 へえ。
女1 高い櫓を組んで、下にいる人にパンを投げるんだよ。
女2 変わったお祭りだね。
女1 すごい盛り上がるよ。
女2 へえ。見たい。
女1 来年もやると思うよ。
女2 見に行きたい。
女1 来年来れば?
女2 行こうかな。
女1 白いお皿ももらえるよ。
女2 ほしい。
女1 行く?
女2 行こう。浴衣着ていこうかな。
女1 でもお祭りでお寺に泊まって何するの?
女2 昔からあるんだよ。一年に一回。なんかみんな拝んでるよ。
女1 拝むの?
女2 うん。
女1 何を?
女2 何をって?
女1 何を拝むの?なんか願い事?
女2 違うよ。拝むのって、願い事するとかじゃないんだよ。
女1 違うの?
女2 うん。ご先祖様を拝むんだよ。
女1 ご先祖様って。
女2 お寺の奥はずっと山でさ、死んだ人は山に行くんだ。
女1 なんかさっちゃん、昔の人みたいになったね。
女2 どういうこと?
女1 おこもりとか、拝むとか。
女2 そう?なんかこの辺に染まってきたかな。
女1 山に何かあるの?
女2 何かあるんじゃない。行っちゃいけないんだよ。
女1 おばあちゃんに会いたかったな。
女2 明日の夜帰るよ。それよりお風呂入ったら?あたしご飯の支度するから。おなか空いたでしょ。
女1 うん。
女2 疲れたでしょ。バス遅れなかった?
女1 酔った。
女2 あのバスだれでも酔うんだよね。大丈夫?
女1 うん。
女2 お風呂分かるよね。
女1 うん。


  女1、2、奥へ。

  5

  女4、5、出てきて座敷へ上がり込む。

女5 おばあちゃんは?
女4 お寺。
女5 どうして?
女4 お祭り。
女5 どんなお祭り?
女4 東映アニメ祭り。『ドラえもん のび太の球団再編』
女5 ドラえもん、パリーグにもう一球団ほしいよ。
女4 タラタラッタラー。ライブドア。
女5 ライブドア、落選したよ。
女4 あ、間違えた。


   女2、覗いて。

女2 ようちゃん?


  女4、5、逃げる

女2 あれ?


  6

  深夜。
  虫の声。

  布団を敷いている女2。

女1 ここで寝るんだよね。やっぱり。
女2 うん。
女1 ここでね。
女2 じゃお休み。
女1 雨戸は…閉めないよね。
女2 閉めたら大変だよ。いくら山の中だって。夏なんだから。
女1 うん。
女2 なんか久しぶりに話してたら遅くなっちゃったね。じゃおやすみ。


  女2、奥へ。

女1 おやすみなさい。


  女1、携帯を出す。

女1 わーい。思った通り圏外だ。


  女1、携帯を放り出す。

女1 寝る前にメールを打たないのは携帯買って初めてだ。まあ圏外の方が都合がいいか。もう寝る。


  女1、明かりを消す。
  虫の声が大きくなる。

女1 寝ますよ。


  虫の声、止む。

女1 え?


  虫の声がし出す。

女1 寝るからね。


  虫の声、止む。

女1 何なんだよ。


  布団をかぶる女1。
  行灯に灯が入る。
  女4、5、提灯を持って登場。
  縁側に腰掛ける。

女4 寝てるよ。
女5 寝てるね。
女4 夜は寝るんだよ。
女5 夜は寝るんだね。


  女4、5上がりこみ、布団の脇に立つ。

女4 寝てる。
女5 寝てる。
女4 来たんだ。
女5 来たね。
女4 こんな遠くまで。
女5 遠くまで。


  女1、目覚める。

女1 ぎゃー。


  布団をかぶる女1。

女4 寝言だ。
女5 寝言だね。
女4 よかったね。起きなくて。
女5 よかったよ。


  女4、布団を見て。

女4 これ、間違えてない?
女5 間違えてない?
女4 間違えてなくない?
女5 間違えてなくなくない?
女4 やばくない?
女5 意味分かんない布団の。
女4 街の言葉は難しいよ。
女5 難しいね。
女4 じゃ。
女5 うん。


  女4、5、布団の端を持って向きを変える。

女1 ぎゃー。


  ふるえ出す女1。

女4 寝言だ。
女5 大きい寝言だ。
女4 よかったね。起きなくて。
女5 よかったよ。


  女4、5布団の周りを回る。

女4 声が聞こえますように。
女5 聞こえますように。


  女4、5、行こうとする。
  女1、恐る恐る布団から首を出す。
  女4、5、急に振り返る。
  女1、布団にもぐる。

女4 ほんとに起きないでよかったよ。
女5 ほんとに起きないでよかったよ。


  女4、5、庭先から去る。
  女1、しばらくして布団から首を出す。

女1 何だったんだ!


  あたりをうかがう。
  虫の声がしだす。
  しだいに大きくなる虫の声。

女1 さっちゃん、さっちゃん!


  女1、奥へ。
  溶暗。
  しだいにやんでいく虫の声。

  女3に灯り。

女3 昨日、「また明日」って別れたでしょう。
ごめんなさい。もう会えないの。
遠いところに行くことになりました。
今まで黙っていました。
もう、帰ってくることはありません。仲良くしてくれてありがとう。
あたしのことは忘れてもいいです。ほんとうに。
つらいことは、もう終わったと、思っていました。
でも、あたしのつらいことはまだ続いています。
父も、兄も、遠い国からまだ帰りません。
もう、あたしの家は暮らしていけなくなりました。
さようなら。
元気でいてください。
あたしたちはいい友達だったね。でもね。
もう、笑って会えることはないと思う。
幸せでいてください。


  溶暗
  虫の声

  7

  朝。

  女1、女2、朝食を乗せたお盆を持って入ってくる。

女2 びっくりしたよ。いきなりあたしの布団にもぐり込んできて。
女1 だから来たって言ってるでしょ。
女2 だから何が?
女1 あの二人だよ。
女2 二人って、増えてるじゃん。
女1 きのうの人じゃないよ、あれは。
女2 来るわけないでしょ、夜中に。
女1 来たんだって。
女2 ま、いいからご飯にしようよ。


  女2、ちゃぶ台を出す。

女2 ここ並べて。
女1 うん。


  女1、2、茶碗を並べる。

女2 はい。
女1 はい。
女2 はい。
女1 はい。
女2 はい。
女1 はい。
女2 はい。
女1 はい。
女2 はい。
女1 はい…(大声で)ちょっと待ってー!
女2 何?大きな声で。
女1 おばあちゃん泊まりでしょ。
女2 うん。
女1 どうしてこんなに茶碗があるの!
女2 え?


  女2、茶碗の数を目で数える。

女2 えーと。


  女2、もう一度数える。

女2 あれ?
女1 あれじゃないでしょ。二人しかいないんだよ。
女2 なんで茶碗が五個もあるの?
女1 さっちゃん、しっかりしてよ。ご飯よそったのさっちゃんでしょ。
女2 あたし、五個もよそった?
女1 だって五個あるじゃん。
女2 えー、どうして?
女1 自分でやったんでしょ。


  女1、みそ汁のお椀を並べる。

女1 はい。
女2 はい。
女1 はい。
女2 はい。
女1 はい。
女2 はい…
女1 はい。
女2
女1 はい…どうしたの?
女2 見て。
女1 え?えー!
女2 どうして五杯もよそったの?
女1 よそってないよ。
女2 だってあるじゃん。
女1 よそってないよ。


  二人言い合っている。
  その間に女3、4、5、自分の箸を持って入ってくる。

女3 いただきまーす。
女4 いただきまーす。
女5 いただきまーす。
女2 はい召し上がれ。
女1 なんだかよく分かんないよ。
女2 どうして五杯もよそったんだろう。
女3 (みそ汁を飲んで)おいしい。
女4 おいしいよ。
女5 おいしいね。
女2 ミョウガだよ。
女4 ミョウガだって。
女5 ミョウガだよ。
女1 ミョウガのみそ汁なんだ。どれ。
女2 どう?家畑のミョウガだよ。
女1 ミョウガってショウガ?
女2 ミョウガはミョウガだよ。
女3 懐かしい。
女1 あたし初めてだよ。
女2 やだ、どっちよ。
女1 え?
女2 懐かしいって言ったり初めてって言ったり。
女1 え?
女2 懐かしいって言わなかった?。
女1 初めてだよ。
女2 ふうん。
女1 変なの。


  しばらく食べ続ける五人。

女1 えーと。
女2 うん。
女1 ねえ。
女2 そう。
女1 さっちゃん、お笑い好き?
女2 好きだよ。
女1 シュールな方が好き?
女2 けっこうベタな方が好き。
女1 じゃあさあ、ノリツッコミって知ってるよね。ボケたら、そのボケにつきあって、しばらくしてからツッコむやつ。
女2 知ってる。偶然だね。
女1 え?
女2 あたしも今ノリツッコミのこと考えてた。
女1 偶然だね。
女2 うん。
女1 じゃあ。
女2 うん。


  目を見交わす女1、2。

女1 わー!
女2 わー!


  驚く女3、4、5。

女3 どうしたんですか。
女1 わー!
女2 わー!
女4 わー!
女5 わー!


  逃げる女4、5。

女1 さっちゃん!
女2 なに!
女1 さっちゃんこの人!
女2 なに!
女3 ごちそうさまでした。あとお願いしていい?


  立ち去る女3。

女2 どうして気づかなかったんだろう。
女1 何が!
女2 ようちゃんもあたしも知らないうちに、ご飯、五人分出してたよね。
女1 だから何が!
女2 あれだ!
女1 何!
女2 座敷わらしだ!
女1 だからそれ何!
女2 説明したくない!
女1 やだ説明して!
女2 したくない!
女1 どうして!
女2 後で調べて!
女1 やだ今知りたい!
女2 やだ教えたくない!


  女2、いそいで片づけだす。

女1 やだ!かたづけないで!


  女2、食器を運ぶ。

女1 あたしも行く!


  女1、2、奥へ。
  食器の割れる音。
  溶暗

  8

  昼間
  女4、5上手から手をたたきながら登場。

女4 はいどうもー。
女5 はいどうもー。
女4 右でーす。
女5 左でーす。
女4、5 右左です。
女4 そういうわけでね、暑いですね。
女5 そうですね。
女4 どうしてました?夏休み。
女5 夏休みですか?部活と課外でほとんど休んでないですね。
女4 ほんとですよ。宿題はあるし、休めないですよ。
女5 しかもですよ、部活って言ったって、大会の台本できないから毎日基礎練習ですよ。
女4 そうなんですよ。毎日基礎。ここは腹筋部かってことですよ。
女5 そうですね。
女4 ここは背筋部かってことですよ。
女5 そうですね。
女4 ここはストレッチ部かってことですよ。
女5 もういいです。
女4 あなた言ってやってくださいよ。
女5 え?
女4 だからガツンと言ってやればいいじゃないですか。
女5 何を?
女4 台本遅いって。
女5 だれに?
女4 だれって、そりゃ作者に。
女5 作者ってだれだか分かってるんですか?
女4 分かってますよ。作者は顧問じゃないですか。
女5 言えるわけないじゃないですか。あなた言えるんですか。
女4 え?
女5 言えないですよね。こないだ怒られて泣いてたじゃないですか。
女4 あれはまあ、あたしも悪いところがありますからね。
女5 なにを反省してるんですか。じゃあなたガツンと言ってくださいよ。
女4 ガツンとね。
女5 ガツンと。
女4 言いますよ。
女5 どうぞ。
女4 ガツン。
女5
女4
女5 ドンドンドン。
女4 なんですか。
女5 ベタベタ。
女4 そんな暗い顔でふざけないでくださいよ。
女5 時間ですよ。
女4 なんですか。
女5 落としてください。
女4 あたしですか。
女5 そうですよ。
女4 落とす。
女5 そうです。
女4 落とすんですか。あたしが。
女5 そうです。
女4 どうやって落とせばいいんですか。
女5 そんなこと知りませんよ。
女4 分かりました。落とします。
女5 はい、お願いします。
女4 というわけで、見事に予選を落ちました!
女5 縁起でもないこと言うなー!
女4 どうも、失礼しました!


  女4、5ハケる。が、途中で立ち止まる。

女4 今の、受けたと思う?
女5 この場面、ホントに必要?


  歩き出す。

  蝉の声

  9

  女1に灯り。

女1 読書感想文です。
わたしも主人公と同じで、あまり友人がいません。
わたしも主人公と同じで、家が好きではありません。
わたしも主人公と同じで、どこかへ行ってしまいたいと思うことがあります。
わたしも主人公と同じで、生きてる感じがしません。
わたしも主人公と同じで、嘘つきです。
主人公は電車とバスに乗って、遠いところに来ました。
すこーしです。ほんとにすこしです。すこしですってば。
主人公が来たのは田舎です。
来たくて来たのではなく、他に行くところがなかったからです。
定番の渋谷とかは行ったことがないし怖いし。
主人公は来たのを少し後悔しています。
携帯も圏外です。バスも気持ち悪いです。変なものにも会いました。
でも帰りません。
だっておとうさんがいけないんだから。
ところで、読書感想文を書くようにと言われたので、こうして書いていますが、まだどの本か決めていません。
なので、この主人公がだれなのかよく分かりません。
こういう主人公が出てくる本を誰か知りませんか。
でも、やっぱり本は読まないことにします。
物語はキライです。
物語は理由があったりするのでキライです。
何かする時には理由があるってみんな言います。
だからみんな「なぜ」と言います。
なぜ、学校休むの。なぜ、言うこと聞かないの。なぜ、そんな顔するの?
でもわたしが何かする時、別に理由はないです。
だからわたしに「なぜ」とか言わないように。
そういうわけで、読書感想文は出しません。


  電話。

女1 電話も鳴ってます。終わり。


  女1、座敷に。
  受話器を取る。


女1 もしもし。はい、さち子です。こんにちは。お久しぶりです。
ようちゃんですか?いえ、来ていませんよ。
え?違いますよ。よう子じゃありません。
おじさん、どうしたんですか?
ダメ?
ばれた?
そりゃばれるよね。
だからー。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。え?おばあちゃんを出せ?
おばあちゃんお祭りで昨日からいないんだよ。
だってさあ、家はさあ。
おかあさんっていってもなあ。
分かってる。だからおかあさんって言ってるでしょ。
来たかったんだよ。帰るから。
もうちょっといていい?
迎えに来る?来なくていいよ。
悪いの分かってるよ。でもさあ。
分かりました!
ごめんごめんごめんごめんごめん。


  電話を切る。
  すぐに電話が鳴る。

女1 気象庁発表の午前九時現在の気象情報をお知らせしません。


  電話を切る。
  すぐに電話が鳴る。

女1 本日の業務は終了いたしました。ご用の方は明日午前9時から営業…
そんなに大声出して怒らなくてもいいじゃん。
分かったよ。おばあちゃん帰ったら電話してもらうよ。それまでいいでしょ。
すぐ帰れないし。
大丈夫だよ。
じゃ、また電話するよ。じゃあな!


  女2、入ってくる。
  女1、受話器を置く。

女2 電話?
女1 あ、ちょっと様子はどうかなと思って。
女2 大丈夫?おかあさん。
女1 え?
女2 怪我。
女1 え?ああ、大丈夫みたい。
女2 おやつにしよう。
女1 なんか食べるの?
女2 うん。
女1 また来ないかな。
女2 お昼だって大丈夫だったでしょ。
女1 また五つ出さないでよ。


  女2、おやつを出す。

女2 ところでさあ。
女1 うん。
女2 ようちゃんさあ。
女1 なに?
女2 おとうさんに黙って来たでしょ。
女1 えーと。
女2 そうなんでしょ。
女1 うん。
女2 なにしてんの。まったく。
女1 ごめん。
女2 なんかあったんだ。
女1 まあね。
女2 おとうさん、心配してるよ。
女1 するよね。
女2 人ごとみたいに。
女1 ごめん。迷惑?
女2 うちはいいけどさあ。おかあさんの事故って嘘なんでしょ。
女1 うん。
女2 そんなことで嘘つかないでよ。
女1 だって。
女2 だってじゃないよ。
女1 うん。


  蝉の声

女1 さっちゃんのおとうさんはまだ帰らないの。
女2 うん。
女1 なにやってんだろうね。一人娘をこんなところに置いて。
女2 しょうがないよ。
女1 カンボジアだっけ。農業指導?
女2 ベトナム。
女1 まったく。
女2 こんなところって言った?
女1 え?
女2 言ったでしょ。
女1 こんなところ?
女2 いくら田舎だからってこんなところって。
女1 え?
女2 たしかに山の中だけどさあ。
女1 え?なに?なんのこと言ってるの?
女2 こんなって。
女1 え?あたし?
女2 そうだよ。
女1 言ってないよ。なにも。
女2 言ったじゃん、こんなところって。
女1 言ってないよ。
女2 言ったよ。
女1 言ってないって言ってるじゃん!


  女3、奥からのぞいている。

女2 いいけど。
女1 思ってったって言わないよ。
女2 思ってるんだ。どうせ圏外ですよ。最寄りの駅までバス一時間半ですよ。空気薄いですよ。駅で買ったポテトチップスの袋はうちに帰るまでぱんぱんに張ってますよ。
女1 え?どうして?
女2 袋の中の気圧よりここの気圧の方が低いから。
女1 へえ。すごい。さっちゃん賢い。
女2 こんなのだれでも知ってるよ。
女1 高校、通信なのに。
女2 あ。
女1 ねえ。
女2 通信だけどちゃんとやってますから。不登校より賢いですよ。
女1 不登校じゃないよ!
女2 夏休み前に三〇日休む人は不登校って言うんだよ!
女1 この田舎もの!
女2 なんだとこの家出娘!


  二人立ち上がる。
  辺りを見回す。
  座布団を手に取る。

女1 なんだよ。
女2 その座布団で何をするつもり?


  机の周りを回る。
  女1、女2の後ろから座布団でたたく。
  しばらくたたき合い。

女3 あーあ。やめた方がいいですよ。


  続ける二人。

女3 やめないと来ると思うんだよね。


  女4、5入ってくる。

女3 やっぱり。


  座布団で女1、2を叩く女4、5。

女1 痛いって、痛い。
女2 もういいもういいから。


  二人座り込む。
  息が荒い。
  机をはさんで座る。
  女4、5後ろに立って見ている。
  しばらくして女4、女1の後頭部を座布団でたたく。

女1 いてー!


  逃げる女4、5。

女1 さっちゃん、この家絶対おかしいよ。
女2 何?


  辺りを見回す女2。
  女3と目が合う。
  女3、ピースサインを出して、逃げる。

女1 いた!
女2 何が!
女1 あいつ!
女2 え!


  女3のあとを追う女2。
  女1もあとを追いかける。

  蝉の声

  10

  夕暮れ
  女3、縁側に腰掛ける。

女3 あたしがいたころはこんなににぎやかじゃなかった。


  女4、5出てきて縁側に腰掛ける。

女3 もうここでいいや。もうすぐ帰る時間だし。あんたたちも帰りなよ。


  女4、5顔を見合わせる。

女3 こんなところいるなんてね。付き合ってくれてありがとう。


  女4、5、会釈。

女3 なんだか人間に染まってきたんじゃない?あまりいいことではないと思う。あんたたちは薄情なのがいいところだから。悪ふざけが好きで、薄情で。
人に慣れたりしたらいけないのに。
しっぽはどこにやったの?


  女4、5お互いのしっぽを見つけようとする。

女3 だいじょうぶ、うまく隠れているから。もう行きなよ。もう下りてくるんじゃないよ。


  女4、5、立ち上がり、女3を見ている。

女4 行くよ。
女5 行くから。
女3 ありがとうね。道案内は間違っていたけれど、ここでよかったような気もするよ。


  女4、5下手に去る。

女3 ああ、もう少しであたしも帰らなきゃ…


  女4、5引き返してくる。

女3 どうしたの。
女4 あっちだった。
女5 あっち。
女3 道を間違えたの?


  女4、5上手に去る。

女3 えーと。


  息を整える。

女3 ああ、もう少しであたしも帰らなきゃならない。あの子たちは仲良くしているかな。


  電話の音
  女1、出てきて電話を取る。

女1 もしもし。
女3 そうだよ。
女1 おとうさん。
女3 どこに行くんじゃない、こんな山の中のおばあちゃんを訪ねて来たんだ。悪い子じゃないよ。
女1 ごめん。
女3 家にいるのが一番いいこと。あたしみたいに帰れないものもいるんだから。
女1 うん。うん。
おかあさん、怒ってる?
うん。おばあちゃん帰ってきたら電話するから。
ごめんなさい。心配かけて。
うん。
じゃ、またね。


  女2座敷に出てくる。

女1 さっちゃん、明日お父さん来るから。
女2 うん。
女1 ごめんね。
女2 うん。


  女1、うなだれる。

女2 どうしたの?
女1 別に。
女2 泣いてるの?
女1 そんなこと口に出して言わなくてもいいでしょ!
女2 やーいやーい泣いてやんの。
女1 そんなしんみりとした言い方でからかわないでよ。
女2 だってあたしも悲しいから。
女1 どうして?
女2 おとうさんは帰ってこないし。
女1 ごめんね。
女2 いいよ。
女1 あ、家に来る?いっしょに行こうよ。
女2 また今度にするよ。
女1 うん。でも、来てね。夏休みのうちに。
女2 うん。
女1 来てよ。いろいろ案内するから。
女2 うん。


  どこからか木を打つような音がする。

女1 何の音?
女2 え?


  音。

女1 ほら。
女2 うん。


  音。

女2 なんだか、何か鳴いているみたい。


  音。

女1 寂しい音。
女2 おばあちゃん、遅いね。もう帰るはずころなのに。
女1 おばあちゃんが帰ってきたら、あの変な人たちのこと聞こう。おばあちゃんならきっと何か知ってるよ。
女3 変で悪かったですね。
女1 え?


  女1、2、女3に気づく。

女1 いたの?
女3 あまり驚かないね。もう慣れた?
女1 うん。
女3 もう帰るよ。
女1 うん。
女2 あの。
女3 なに?
女2 おばあちゃん、帰るからもう少しいませんか。
女3 おばあちゃんが帰る前に行きますよ。
女1 一つ聞いてもいいですか?
女3 何?
女1 あの、聞きにくいんですけど。
女3 うん。
女1 もう死んでますよね。
女3 うん。
女2 え?
女3 マサヨさんによろしくね。
女1 え?
女2 おばあちゃんだよ。
女3 マサヨさんがお寺で拝んでくれたのね。もうあたしの家もないというのに。
女1 おばあちゃんの友達ですか。
女3 うん。若い頃のね。
女1 じゃ、若い頃死んだんですか。
女3 言いにくいこと、気楽に訊くね。そうだよ。
女1 それにしては今風の格好ですね。
女3 ユニクロですが何か。
女2 あの、どうしてこの家に来たんですか。
女3 だってあたしの家がもうなかったんだもの。この辺も変わってね、久しぶりに来たらもう家がなかった。家族もちりぢりだ。
女2 もう、この辺りは、引っ越す人ばかりです。
女3 (女2に)あなたはおとうさんと来たんだね。一〇年前のことだね。
女2 知ってるんですか。
女3 知ってるよ。ピーピー泣いてたね。山の中で怖かったんだ。
女2 うん。
女3 おかあさんは残念だった。親より若くして死んでしまうの逆縁と言ってね、親不孝なんだ。あたしもそうだけれど。あんたたちのおばあちゃんもかわいそうにね。
女2 うん。
女3 おばあちゃんを大事にね。
女2 うん。
女3 あんたもだよ。
女1 はい。
女3 あんた家出だって?
女1 うん。
女3 プチ家出とかいうやつだ。
女1 なんでそんな言葉知ってるんですか。
女3 おとうさんはいい子だったのにね。
女1 あの、子どもとかいなかったんですか。
女3 それがいなかったんだよ。
女1 よかったね。
女2 ようちゃん!
女3 いいんだよ。
女1 おとうさんたちは?
女3 悲しんだよ。とても。
女1 そうだよね。
女3 一日いなくても悲しいからね。
女1 うん。
女3 家出もいいけどね。どうせつまんない理由でしょ。
女1 なんか、そうだったみたい。
女2 おばあちゃんに会っていかないの?
女3 お寺に寄って帰るよ。なんの偶然か、こうして来たんだから、村の中もいろいろ見て回ったよ。マサヨさんに挨拶だけして帰ります。腰は抜かさないよね。じゃ、もう帰るよ。驚かしてごめんね。
女1 あの、どうして来たんですか?
女3 さあ、気が付いたら来てた。
女1 死んだ人はみんな帰ってくるんですか?
女3 さあ。
女2 いいよ、ようちゃん。
女1 だって。
女3 待たない方がいいかもね。
女2 うん。
女1 だって。
女3 生きてる人を大事にね。
女1 さっちゃんのおかあさんや。
女2 いいんだよ。
女1 うん。分かった。
女3 帰るよ。


  女3、上手ライトの下に立つ。
  ライトが点く。

女3 あの子たちももう来ないよ。
女1 あれはいったい何ですか。
女3 あたしにもよく分かんないけど、山の方のものではないかなあ。じゃあね。山に行くには、川を渡らなきゃならないね。


  女3、去る。
  ライト、ゆっくり消える。

女1 よかったの?
女2 何?
女1 さっちゃんのおかあさんのこと。
女2 いいんだよ。
女1 帰ってくるかもしれないよ。あ。
女2 何?
女1 おばあちゃんはさ。
女2 うん。
女1 それを祈ってるんじゃないかなあ。おこもりして。
女2 そうかもしれない。
女1 帰ってくるかもしれないよ。
女2 いいんだよ。言ってたじゃん。生きてる人を大事にねって
女1 うん。
女2 ご飯の支度するよ。ようちゃん、明日帰るし、おばあちゃんも帰ってくるから、なんかごちそうにしよう。
女1 うん。


  女2、奥へ。

女1 そうだよね。つまんない理由だよね。


  女4、5、浴衣を着て登場。

女5 ごめんください。
女4 すみませーん。
女1 はい。
女4 あ、ようちゃん?
女1 はい。
女4 覚えてる?来てたんだ。
女5 覚えてないでしょ。昔、ちっちゃな時に会っただけだから。
女4 夏休みでおばあちゃんの所に来たんだ。おとうさんは?
女1 明日来ます。
女5 ひとりで来たんだ?
女1 はい。
女4 えらいねえ。あ、そうそう。これ、うちで作ったの。
女5 はい。


  手に持ったザルを渡す。

女1 あ、ありがとうございます。
女4 お祭りのお餅だよ。
女5 たくさん食べてね。
女4 おばあちゃんにおこもりご苦労様でしたって。
女1 はい。


  女5、上手を見て。

女5 あ、送り火。
女1 え?
女5 川縁に。ほら、あそこにも。
女4 ほんとだ。


  女1、出てきて上手を見る。

女1 あれですか?あの小さい明かり?
女4 もう送った?
女1 送るって、あ、今から。
女5 おばあちゃんが用意してると思うよ。
女1 あの、台所にあった白い木みたいなのですか?
女5 うん。
女4 じゃ、帰ります。またね。
女1 はい。
女5 じゃね。


  女4、女5出て行く。

女1 送り火か。


  電話の音
  女1、電話に出る。

女1 もしもし、おとうさん。おとうさん、ちいさいころ、いい子だった?


  音楽
  ライトスタンドが点く。
  溶暗
  ライトスタンドも消えていく。
  幕



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