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◆第12話「タチコマの家出 映画監督の夢(ESCAPE FROM)」4
脚本(櫻井圭紀)、絵コンテ・演出(吉原正行)、作画監督(海谷敏久、樋口香里)

というわけで今回は、タチコマは9課を抜け出して、ある少女と出会うって話。
1話に2つのエピソードが入った、連作短編形式の今回。
まずは前編は、タチコマが家出して、犬を捜す少女と出会うって話。
タチコマと少女・ミキ(矢島晶子)が非常に可愛く描かれており、話も泣けた。
Aパートだけではもったないぐらいのネタだったな。
今更ながらだが、CGの融合具合も申し分なく、完璧。
そういやあの謎の少年は、多分少佐なんだろうけど、全然そういう説明はなかったな・・押して知るべしってことか。
で後半は、タチコマが拾ってきた箱の中にダイブした少佐は、映画監督の夢を見るって話。
こちらもまたまた濃いネタで、なかなかの良作。
「現実は夢、夜の夢こそ真実」
という江戸川乱歩の有名な言葉を思い出すな。
それにしてもあの箱は、「攻撃型装甲外骨格やまとん1号の記憶箱」ではなかったのは残念(笑)
といった感じで、前編後編ともにどちらも良作で、面白かった。


◆第9話「ネットの闇に棲む男(CHAT!CHAT!CHAT!)」5
脚本(佐藤大)、絵コンテ(神山健司)、演出(橘正紀)、作画監督(浅野恭司)

というわけで今回は、電脳空間内で行われる「笑い男」のチャットルームに参加する少佐って話。
電脳空間内で行われる「朝まで生テレビ」&「2ちゃんねる実況風」チャットといった描写は、現在のネットの延長線上の未来世界という感じとなっていて、なかなか面白かった。
ほとんどの人間がただ喋っているだけだというのに、チャット内の参加者が我々「視聴者」と共に「笑い男」の事件を推理していくという作りとなっていて、まるで自らもが「参加者」となっているかのような「錯覚」さえ起こさせ、非常に緊迫感があった。
インターネットの普及によって、ある「現象」(ニュースでもアニメでも、何でも)について、リアルタイムでコミニケーションを取るということは実際によくあるわけで、未来世界の一端を「生の感覚」で味わえるというのは、非常に面白い。
画面内の端にある「書き込み(ツッコミ)」なんかも、重要書き込みから、くだらない書き込みまで多岐にわたって細かく作り込まれており、その画面から発される「情報量」はなかなかのものがあった。
思わず読んでしまうからねえ。
そういえば、今回少佐が電脳内での肉体として選んだあの姿は、原作攻殻2巻のデコットの「クロマ姉さん」であり、1巻では少なかった電脳内での「ウィンドウ」描写なども2巻譲りであり、アニメ版はやはり漫画版を再構築した感じとなっていて、なかなか良いね。
で次回は、第10話、第11話をすっ飛ばして、第12話のようです。
ビデオ借りないといかんかな、やっぱ。


◆第8話「恵まれし者たち(MISSING HEARTS)」4
脚本(櫻井圭紀)、絵コンテ(川崎逸郎)、演出(布施木一喜)、レイアウト(谷津美弥子)、作画監督(新野量太)、メカ作画監督(玄馬宣彦)

というわけで今回は、ある少女の事が切っ掛けに、9課は臓器売買組織を調べることになるって話。
アニメ版の少佐は・・「優しい」な(笑)
漫画版だと、門斗無用で射殺するか、殴り飛ばしてそうだもんな。
ってな感じで、今回は近未来における「臓器売買」なネタ。
アニメ版攻殻は、士郎正宗の漫画版で提示された、電脳化や義体化技術の発展した「近未来世界」というのをモチーフとして、漫画版よりもよりわかりやすく、よりスマートに、テーマの掘り出しがなされており、非常に「上品」であり、「近未来刑事アクション」としてよくできている。
この「上品」さは、声優の山寺宏一やら、管野よう子の音楽やらもあるせいか、どうも「カウボーイビバップ」を思い起こさせる。
「出来の良い、がゆえの面白さ」があると同時に「出来の良い、がゆえのつまらなさ」をも含めて。
スキのない「完璧さ」というのは、ある意味鉄壁の「壁」があり、視聴者の「世界」への介入を許さないものがあるからね。
そういう意味で、原作の「下品さ」に比べると、アニメの方は「上品」過ぎる感じはあるな・・良くも悪くも。
まあ、それはともかくとして・・今回の見所の一つは、原作にも出てきた「ジェイムスン型サイボーグ」と、タチコマの小活躍であろう(タチコマ、結構可愛くなってきました)。
流石はプロダクションIGというか、どちらも非常に小気味よく動くCG作画であり、素晴らしい。
車のアクションもそうだが、線画との融合も違和感なくなじみ、本当によくできている。
ゾイドもそうだが、やはりCGを線でくくると安定度が増すな。
今後のCGの進化も非常に楽しみである。


◆第7話「偶像崇拝(IDOLATER)」4
脚本(藤崎淳一)、絵コンテ・演出(若林厚史)、作画監督(佐藤雅弘)

というわけで今回は、南米の英雄マルセロが来日し、9課は彼を追跡するって話。
原作に出てきた「ゴーストダビング装置」の別の見せ方な話であった。
原作の方では、密輸してきた子供を洗脳し、それを「劣化ゴーストダビング」してロボット(アンドロイド)にインストールして使っていたのだが、アニメではオリジナルからコピーすることで、複数の「マルセロ本人」を作るという感じになっていた。
ようは、心体一致した、近未来的な「クローン」ってヤツだな・・フセイン大統領のクローンがどうのこうのとか、昔やってたね。
アニメ版は、原作そのままではなく、原作の方のリアレンジ(別の見せ方)という感じになっていて、なかなかに面白い。
あと、今回の見せ場はそれぞれの肉弾戦だが、これもそれぞれに細かく動いていて良かった。
つうか、非常に地味な作りだよな・・アニメの方は。
かなりスマートに作ってあるせいか、地味に出来の良い作りとなっている。
そのため、派手さに欠けるのも確かではある。
9課の人間も結構プロっぽいというか、非常にドライに淡々と仕事してるからねえ。
原作の方は、もっとそれぞれのキャラにも人間臭さというか、ケレン味もあったから。
映画版と同じく、良くも悪くも「静か」な作りであるな。


◆第6話「模倣者は踊る(MEME)」4
脚本(藤瀬淳一)、絵コンテ・演出(橘正紀)、レイアウト(古川尚隆)、作画監督(後藤隆幸)

というわけで今回は、警視総監暗殺の当日、SPが遅効性のウィルスにかかり警視総監に襲いかかるって話。
「笑い男」編、第1部完結ってとこかな。
「笑い男なんていなかったんだ」という、いかにも押井系らしいオチになったな(笑)
「インターセプター疑惑」の警視庁による自作自演の隠蔽工作から始まった今回の事件も、
結局のところは「笑い男」というヌエのような存在を利用した模倣であり、その模倣が模倣を生み、よーわからんようになった、ってとこかな(笑)
「狂気は伝染する」といった感じか。
課長が、「スタンドアローンな複合体(コンプレクッス)」といったように、この「笑い男」事件が、アニメ版のテーマに関わってくるのかもしれない。
「スタンドアローン・コンプレックス」とは「それぞれが独立した複合体」といった感じかな?
そういえば士郎正宗の漫画の方では、「ホロン」という概念がよくでてきて、ようは「全体性を帯びた構成要素」「全は個に、個は全に」といった感じなのだが、それと似た感じかもしれない。
なんつうか、「同じ色に染まっちゃいかんよ」ってことだよね(笑)
日本人は、なぜかみんなと一緒になりたがるものだからね。
まあそれはそれとして、相変わらず地味な展開ではあるが、アクションなども数箇所あり、テンポ良く話が締められており、なかなか面白かった。
今後に期待である。


◆第5話「マネキドリは謡う(DECOY)」4
脚本(藤崎淳一)、絵コンテ・演出(中村隆太郎)、作画監督(須賀重幸)、メカ作画監督(川原智弘)

というわけで今回は、笑い男が警視総監暗殺を予告し、9課はその調査を続行するって話。
流石は「押井塾」の面々がやってるだけあってか、まるで幽霊のようにどこか「実体」のない事件を淡々と調査し追って行く辺り、とっても劇場版「パトレイバー」チックである。
そういうミステリ的展開は確かに面白いのではあるが、バトーの、
「荒事と電脳戦が俺たちの専門」
のセリフにあるように、原作の公安9課のイメージはそんな感じなので、この展開はやっぱりちょっと地味。
ホントに「近未来刑事もの」って感じだあね。
原作が「特殊部隊」の側面がデカイんで、もうちょっと派手なのが好みなんだが、その辺は今後に期待かな。
しかし特A級のハッカーである「笑い男」は、「人形使い」の別バージョンって風情がちょっとあるな。
所々、原作を思わせる描写などもある所から、その辺りは狙ってやってるんだろうな。
「人形使い」のいない、パラレルワールドって感じみたいだからね。


◆第4話「視覚素子は笑う(INTERCEPTER)」4
脚本(菅正太郎)、絵コンテ(神山健治)、演出(山本秀世)、作画監督(山口賢一)

というわけで今回は、トグサのもとに警察本庁からの元同僚から連絡があり、トグサは彼の謎の死から事件を調べて行くことになるって話。
原作や映画のテーマに関わる「人形使い事件」とは違う、アニメオリジナルの「笑い男事件」のその序章。
公安9課でも、所帯持ちで子供もいる生身の刑事っぽいトグサが活躍しての、非常に「刑事もの」的なお話で、ちょっぴりミステリタッチに進む展開で、なかなかに面白かった。この「笑い男事件」がどのような解決を迎えるのか、楽しみである。
で、原作の方のトグサは、非常にプロフェッショナルな香り漂う公安9課の中でも新米で、結構熱血漢で地に足がついてないイメージなのだが、アニメ版のトグサは9課の中では新米ではありながらも、「刑事」としての側面をしっかり出していて、9課の中でも前面ではなく、バックアップとしての「刑事」方面での「渋さ」が漂っていて、良いね。
山寺宏一さんの渋いこ演技も、それを後押ししているし。
それにしても、「インターセプター」とは「盗聴」ならぬ「盗視」とでもいおうか、容疑者の視覚そのものを傍受してしまう、なかなかにプライバシーっつうか、人権無視なやり方ではあるな。
未来って、怖い(笑)


◆第2話「暴走の証明(TESTATION)」4
脚本(藤政淳一)、絵コンテ・演出(河野利幸)、作画監督(浅野雅司)、メカ作画監督(玄馬宣彦)

多脚歩行最高!!
というわけで今回は、剣菱重工の新型多脚戦車が暴走し、それを止めるため出動する公安9課って話。
士郎正宗といえば、やはり多脚歩行である・・格好良い多脚歩行を描かせたら、日本一でなのは間違いない(笑)
今回出てきた多脚戦車は漫画にも映画にも出てきたものであり、それを非常にレベルの高いCGで動かしていてくれて、大変満足である。
「ロボ」でなく「メカ」を動かす場合は、CGのアドバンテージは結構高くなるよなあ。
作画や美術レベルも非常に高くて、各種のギミックの細かい描き込みや、実在感ある美術描写はほとんど劇場アニメレベル。
いやあ、メチャクチャ金かかってるなあ(笑)
とはいえ、話自体はなんだかプロダクションIGなせいか、「パトレイバー」みたいというか、「未来刑事物」テイスト満載なせいもあってか結構地味目で、「ガチンコ」なバトルやアクションが見れなかったのは残念。
基本的には「追っかけてる」だけだったからねえ。
まあ、原作の「攻殻機動隊」の「パトレイバー」のような。近未来B級SFアクション的な所も結構好きだったりしたので、それはそれでこういう展開も楽しみである。
あと、TVアニメ版の攻殻は、多脚戦車である「フチコマ」がなぜか「タチコマ」っていうのになってるんだよな。
フチコマ自体は、士郎正宗メカニックの中でも1、2を争うほど大好きなメカだったので、フチコマでないのはかなり残念ではある・・ぜってえ、フチコマの方が可愛いし(笑)
(ちなみに他の好きなメカニックは・・ボナパルト、M66、ギュゲスDとかが好き)
でも、コロコロと結構動いて仕草も可愛いタチコマも悪くはないと思うので、まあ今後の活躍に期待だな。
それと、公安9課のそれぞれの面々にも、それぞれ細かく出番があって良いね。
表舞台と、裏舞台できちっとそれぞれが動いているところが、「リアルっぽい」って感じだからねえ。


◆第1話「公安9課(SECTION−9)」4(75点)
脚本・絵コンテ(神山健治)、演出(河野利幸)、作画監督(後藤隆幸)

というわけで、原作・士郎正宗によるついに「攻殻機動隊」がアニメ化して、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」として登場・・って随分前の話だけど(笑)
スタッフは、シリーズ構成・監督に神山治、キャラクターデザインは下村一、メカニカルデザインは寺岡賢司・常木志伸、音楽は管野よう子、でもってアニメ制作はプロダクションIGといった構成。
今回は、ある料亭で外務大臣が拘束され、それを救出する公安9課って話。
士郎正宗の原作の漫画の方は、かつて死ぬほど好きだったです・・よく理解はしてなかったんですが(笑)
で、今回のTVアニメ版は、「人形使い」のいない「攻殻機動隊」といった感じで、より「刑事ドラマ」風味となっていて、意外に地味目。
話自体は漫画版の第1話のリアレンジといった感じで、わかりやすくはなっていますが、それでも背後関係やら詳しい経緯やらを説明なしに進めるので、馬鹿の俺には2回見ないととちょっとわかりづらかったかな(笑)
でも、非常に密度の高い作画と美術により、きちんと空気感ある画面作りとなっていて、なかなか面白かった。
デジタル効果の技術も、流石に一級品だったしねえ。
まあ正直、もうちょっとアクションが欲しい所ではあったが、その辺は今後に期待。


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