◆映画「銀色の髪のアギト」3(50点)
http://www.gin-iro.jp/


(劇場公開アニメーション映画)
2006/01/07 松竹系公開
監督:杉山慶一
原案:飯田馬之介
脚本:椎名奈菜・柿本直子
キャラクターデザイン:緒方剛志
アニメーションキャラクター設定:山形厚史
メカニックデザイン:安藤賢司・前田真宏
音響監督:若林和弘
副監督:吉川浩司
作画監督:山形厚史・恩田尚之
エフェクト作監:増尾昭一
美術設定:佐藤肇・中原レイ・菊地正典
3D監督:増尾隆幸
テーマ曲:KOKIA(ビクターエンタテインメント)
     オープニング「調和 oto〜with reflection〜」 
     エンディング「愛のメロディー」
アニメーション制作:GONZO
製作:銀色の髪のアギト製作委員会
配給:松竹 
製作年度:2005年 
上映時間:95分 

【出演】
アギト:勝地涼さん
トゥーラ:宮崎あおいさん
ヨルダ:古手川祐子さん
カイン:濱口優さん
ハジャン:布川敏和さん
シュナック:遠藤憲一さん
アガシ:大杉漣さん
ゼールイ: 金田朋子さん
ベールイ: 間宮くるみさん
ミンカ: 南央美さん
ジェシカ: 湯屋敦子さん

<あらすじ>
月面から樹木が巨大化し、龍のような怪物となって地球に襲いかかる。爆発による激しい閃光が地表を包んで、未曾有の大災害が地球全土を覆う。遺伝子を操作して植物をあやつろうとした人類の愚かな計画の失敗から、やがて300年の歳月が流れた・・・。

 "森"が意思を持って人を襲うようになってしまった地球で、人類は森と共生しようとする人々と、森と敵対する人々とに分かれて生き延びていた。森との共生を模索する『中立都市』に暮らすアギトたちは、そんな荒れ果てた環境にもめげずに、たくましく愉快に暮らしていた。ある日、アギトは親友のカインとともに、踏み入れてはいけないと言われている泉に水を汲みに出かける。そこで不思議な光を放つ機械を発見した彼は、その中から現れた美しい少女トゥーラと運命的に出逢う。彼女は300年もの間、眠りについていた過去の人間だった。
 中立都市に滞在することになったトゥーラは、変わり果てた世界に激しい衝撃を受ける。崩壊したビルに居を構え、電気も水道もなく、泉まで水を汲みに行かなければならない生活は、文明社会から来た彼女を困惑させた。中立都市の人々は彼女に優しく接してくれるが、森林が獣のように襲いかかって来たとき、ついにトゥーラは感情を爆発させてしまう。
 そんなとき、森と敵対している都市・ラグナから、やはり過去から来たという男・シュナックが現れた。彼は、トゥーラが世界を正常化する装置の鍵を握っていると告げて彼女を連れ出してしまう。だがその使命には、大きな危険がともなっていた。そんなトゥーラを救うために、"森"と契約して禁断の力を手に入れ"銀色の髪"に変わるアギト。ふたりを翻弄する<使命>と<禁断の力>は、謎に満ちた物語をどこへ導くのだろうか?


<感想>

・というわけで、GONZO初の劇場映画作品である「銀色の髪のアギト」を見てきました。
実はコレ、オリジナルアニメ作品ってこともあったんで、結構期待はしていたんですが・・う〜ん、ちょっとあんまりでした(苦笑)
・まず映像面ですが、流石にそっちでは力のあるGONZOだけあってか、緒方剛志さんのすっきりしたキャラデザを下地によく動く作画や、細かく描き込まれて非常に臨場感ある美術などは、ジブリの域までは行ってはないですが、見ごたえもありなかなか良かったです。
お得意のCGなどもそれほど違和感もなく見れ、よくできていました。
・次に音楽ですが、フルオーケストラを使った楽曲は広がりもあり、臨場感もたっぷりであり聞きごたえがあり素晴らしかったです。
特にKOKIAさんが歌う主題歌などがココぞという時に使われていて、その透明感ある声は場の雰囲気を最大限に盛り上げてくれて、これまた非常に良かった。
・声優方面は、ジブリチックに俳優さんなどで固める構成で不安ではあったのですが、一部以外はそれほど気にはならなかったです。
特に、今はNANAで有名な宮崎あおいさん演じるトゥーラのナチュラル感はなかなか良かったです。
本職の声優でない俳優さんなどを起用するのは色々賛否もあるでしょうが、 「ナチュラルテイスト(自然さ)」を表現するにあたっては悪くない判断だとも思います。
逆に、いかにもな「アニメ声」とも言える南央美さんの声が、若干浮いて聞こえましたから。
まあこれは、どうやら「別録り」でのアフレコという制作態勢だったというのが不味かったのではないかとも思いますが。
・で、問題はやはりGONZOらしく脚本方面の不備でしょうか・・コレが相変わらず弱い。
期待感を持たせる派手なOPから中盤辺りまではなかなか良く、荒廃した未来世界の情景や生活描写を丹念かつ丁寧に描き込み、後半への期待感を持たせてくれたんですが・・。
やはり問題は後半、特にアギトが森の力を受け入れた辺りから雲行きが怪しくなってきました。
前半の描き込みが嘘だったかのように、それぞれのキャラの心情はかっ飛ばされ、感情移入できない状態で性急に物語は進み、なんだかドタドタと段取りを踏まずに展開して行くので途中でついていけなくなり、最後はなんだかよくわからないうちに大団円に・・。
う〜ん、設定やらは悪くはなかったのですが、どうもそれらの要素を生かしきれずにワタワタと締めてしまった感じですかね。
やはり90分では尺が短かったのかも。
せめて120分ぐらいか、TVシリーズなどならもっと生かせたかもしれないですなあ・・もったいない事です。
・あと言わずもがなではあるのですが、あまりに「宮崎駿作品」テイストが現れ過ぎていて、「オリジナリティ」というのが感じられなかったのも問題ではあるでしょう。
所々のところで、あまりに「宮崎駿作品」との類似が目立つ部分がありましたから。
そのため、「GONZOがジブリを目指して(真似て)失敗してしまった作品」という印象に終わってしまいました。
せめて、きっちり締め切れていれば、もうちょっと評価もあがったのでしょうが・・。
とりあえず・・
上>映像、音楽
中>設定、声優
下>脚本
という感じの評価ですかねえ。
やり直して、TVやOVAでやらないかなあ・・。


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