◆ブギーポップは笑わない
著(上遠野浩平)、イラスト(緒方剛志)


◆第8巻「ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ侵食」

「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでゆく。
我らが雛だ、卵は世界だ。
世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでゆく。
世界の殻を破壊せよ、世界を革するために!」by少女革命ウテナ
というわけで、ブギーポップの第8巻。
今回は、人から眠れる才能を引き出すことのできる「エンブリオ」と呼ばれる卵が登場。
その卵が中心となって今回は物語が紡がれて行く。
うむうしかし、人の未知なる力を引き出すエンブリオは、ジョジョ的にいえば、「弓と矢」なのな(笑)
まあ、ブギーポップがジョジョの影響下にあるのは明らかだからねえ。
それはともかくこのエンブリオにより覚醒・・突破させられた3人・・、
高代亨(相手の隙を見つける能力)、穂波顕子(生命が見えて、それをどうにかできる能力)、本木三平(パニックを他人に移す能力)、
が、様々に入り組みながら今回事件に巻き込まれることになる。
そして、空間を操ることのできる「最強」の男・フォルテッシモと、
変装能力を持ち、統和機構を裏切ったパールと邂逅することになるのであった。
まあ、今回は前半なので結末は後回しなんだけども、
いつも通り情感たっぷりに、ちと強引な所もあるけども、上手いこと入り組ませながら話を進めていくので面白い。
相変わらず、ブギーポップの出番も少しだけだしね(笑)
で、重傷を負ってしまった正樹の生死やいかに、そして「最強」対「稲妻」の戦いやいかに、ってことで以下次巻。


◆第10巻「ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド」4
著者(上遠野浩平)、イラスト(緒方剛志)

というわけで、ブギーポップの第10巻。
今巻は、謎の昏睡事件が起こる中、<炎の魔女>霧間凪と<傷物の赤>九連内朱巳が出会い、そして事件の黒幕であるフェイルセイスとの戦いを迎えるって話。
なかなか面白かった。
今巻は凪が中学の頃の話であり、凪が<炎の魔女>と呼ばれるきっかけとなった出来事が描かれ、凪が大活躍であった。
「そんなものはオレの怒りで焼き尽くしてやる! そうとも、おまえがそうなら、それならばオレは、“炎の魔女”だ!」のくだりはメチャクチャ格好良かった。
あと、凪と同種の人間であり、世界や絶望といったものと戦い続けている少女、九連内朱巳のキャラが非常に良かった。
そして相変わらず独特の雰囲気や世界観、キャラクターの描写やセリフ回しを持っていて面白い。
しかし、いつものように時間や空間や人々が、ジグソーパズルのパーツのように、ミステリータッチにシャッフルされ再構成されてるような作りなので、全体的な話自体が進んでるのかどうかわかりにくいな(苦笑)
まあ、ある程度の世界観の全体像の把握自体はできるけどねえ。
で、どうやら今回の事件にはあの<イマジネーター>こと水乃星透子が絡んでいるようで、エンブリヲにも出てきた穂波顕子も登場していた。
そのうち、彼女たちが関わったであろう話も出るでしょうな。


◆第11巻「ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト」3
著者(上遠野浩平)、イラスト(緒方剛志)

というわけで今回は、些細なきっかけで出会った、「ホーリィ&ゴースト」のカップルは、世紀悪党スリムシェイプの命令のもとに様々な犯罪を重ねる。
そしてついには、世界の敵である「ロック・ボトム」へとたどり着くって話。
まあまあ面白かった。
正直かの悪党映画のように、ホーリィ&ゴーストのカップルが、もっと破天荒な生き方をしてド派手にやらかし、そしてそれがとんでもない終わりへと向かうのかと思っていたのだが、思ったより地味な感じであったな。
正直、期待外れであった。
ブギーポップは、カバーの「あらすじ」の所の書き方や、緒方剛志のイラストやらが上手すぎて、本編が期待に裏切られるってことがたまにあるんだよねえ。
今回は特にそんな感じであった。
やっぱ、もっとド派手に破天荒にやって欲しかったね。
もう一押し欲しかった。
まあ、アンバランスなカップルである「ホーリィ&ゴースト」や、包帯イタチの「スリム・シェイプ」のキャラは結構良かったんだけどねえ。
しかし、「アンバランス」な存在といえば、自分も自分自信をアンバランスな存在ではあると感じてはいるな。
アンバランスな存在は、それゆえにバランスを取ろうと必死にもがく。
そしてそれが力となるのであろうな。
でも、自分はアンバランスだと感じていても、傍から見るときちんと「力と意志」が一致した、バランスの取れた存在なのかもしれない。
気づいてないのは自分だけだったりしてね。
やれやれだね。


戻る