◆武官弁護士エル・ウィン
著者(鏡貴也)、イラスト(義仲翔子)


◆第1巻「武官弁護士エル・ウィン」4
著者(鏡貴也)、イラスト(義仲翔子)

というわけで、第12回ファンタジア長編小説大賞準入選作である、鏡貴也による「武官弁護士エル・ウィン」の第1巻。
今巻は、元王国の王女様であった16歳の可憐な美少女(自称)であるミア・ラルカイルは、強盗の途中で武官弁護士の青年、エル・ウィンと出会う。
そして、彼の観察下に置かれることになったミアは、武官弁護士の秘書となって、武官弁護士の仕事を目の当たりにすることになるって話。
まあまあ面白かった。
はっきり言って、この作品は間違いなく神崎一の「スレイヤーズ」の影響受けまくりで、スレイヤーズ以来1ジャンルを築きあげた、キャラクター主導型のライトノベルの典型といった作りであった。
で、そういう意味でのオリジナリティというのはないのだが、やはりファンタジー世界に「弁護士」という設定を持ち込んだアイデア性はなかなか面白い。
その弁護士描写は、やはりライトノベルがゆえか、結構甘くて適当ではあったりしたのは、仕方なしという所か。
あと、これはスレイヤーズのリナと同じく、読みやすい一人称形式に語られるミアのキャラクター性が、良くも悪くも売りではあるな。
あのキャピキャピルンルン風な所は、人を選ぶだろうが。
まあ、部分的に「正義とは何か?」みたいな軽いテーマも入れながら、ストーリーのテンポも良く、キャラクターも生き生きしていて、軽く楽しく明るく、非常に読みやすい、ライトノベル的ライトノベルって作品でした。
神坂作品の「ロストユニバース」でイラストを描かれていた義仲さんの絵も、ぴったり合ってるしねえ。
どうやら1巻では足を引っ張って役立たず全開であったミアも成長するようなので、その辺り今後に期待です。


◆第2巻「ハタ迷惑な代理人」5
著者(鏡貴也)、イラスト(義仲翔子)

というわけで、今巻はかつてウィンの秘書だった女性・サラが事務所へとやって来て、ある町で流行っている謎の奇病の調査を依頼してくる。
そしてその事件の裏には、光学魔術師学院の陰謀と、ウィンの先輩武官弁護士であるルイ・ミュートが関わっていたって話。
なかなか面白かった。
今巻は、前巻以上にストーリのテンポも良く、魔法アクションも派手で良かった。
なんといっても、一人称で語られる、「キャピキャピルンルン♪」から「ラブラブファイヤー!」へと進化した、さらにハイテンションとなったミアの少女漫画ちっくな暴走っぷりが楽しく面白い。
前よりも若干役に立つようになり、色々と頑張っているしねえ・・キャラ立ってるなあ。
話も探偵形式で事件が進み、徐々に事件が解決され、最後にど派手なクライマックスが待っているという展開も、非常にRPGチックで良い。
もう、完璧にスタイルというのが確立されたようで、キャラも立っていて、ポンポンと話が進み、独自の魔法描写も派手で、最後にテーマ的なものを持って来る辺りも上手いね。
ポスト「スレイヤーズ」という感じがある。
で、どうやら今後は、傲慢な法の番人である「司法庁」が核となって、全体的な物語を形作って行きそうで、結構楽しみである。
ラストは結構泣けました。
明確なテーマ、テンポ良いストーリー、派手なアクション、生き生きしたキャラクターと、きちっと揃えて、なかなかに良質なライトノベルである。
もちろん「大味」ではあるのだが、ジャンクフードやハリウッド映画、Jポップなどと同じく、「大味」の方が多くの人に認められて好かれるんだよな。
ライトでポップとはそういうものだ。
で、アニメにする場合は、大地丙太郎か、桜井弘明がいいかも。
お約束の渡部高志でも別にいいけど(笑)


◆第3巻「検事官はお年ごろ」4
著者(鏡貴也)、イラスト(義仲翔子)

というわけで今巻は、ある森で突然すべての生き物が死滅する事件が起き、その生き残りである幼い少女の弁護をすることになったウィン達。
そしてそんな時、ウィンを慕う検事官の女性、メルが現れるって話。
まあまあ面白かった。
相変わらずミステリー形式にストーリーがテンポ良く進み、キャラクターも立っていて良い。
でも、ちょっと今回はアクションが薄めだったな。
まあメインは恋のさや当て部分だったからな。
あと、「罪と罰」というテーマも、もうちょっと深く踏み込んで欲しかった気もする。
まあ、その辺りはこれから、「司法庁」という主軸を中心に展開していくようなので、この物語がどのように最後、収束されて行くのかが楽しみではあるな。
しかし、ミアももうちょっと役に立って欲しい所だな。


◆第4巻「被害者はどこにいる?」3
著者(鏡貴也)、イラスト(義仲翔子)

というわけで今巻は、ウィンの元秘書にして、超迷惑美女であるサラの行動に巻き込まれたミア達は、火鳥王(フェニックス)失踪の真相について調べ始める、って話。
ネタ自体は悪くはないとは思うんだけども、なんだかとっても回りくどい話であったな。
しかも、あんまり弁護士関係ないしなあ・・ってそれはいつものことか(笑)
まあ、いつものように、ハイテンションなミアのキャラは立ってるので、それは良い感じであった。
あと、多少見え見えの感動劇っぽいところもあるが、それもこの作品の売りではあるので、良しである(笑)


◆第5巻「法廷の魔術師と呼ばれた男」4
著者(鏡貴也)、イラスト(義仲翔子)

というわけで今巻は、ある日、ウィンのかつての同級生だった美女・ユフィがウィンの元を訪ねて来る。
そして、彼女の父である「法廷の魔術師」と呼ばれたクァトロスが殺害され、ウィン達は事件の真相を突き止めるために動き始めるって話。
今巻は、ミステリ風に話が進められて行き、やっとこメインストーリーも動き始めたようで、なかなか面白かった。
まあ、全然弁護士関係なかったり、オチとかもお約束だったりはするけど、まあそこはライトノベルだから良しとしよう(笑)
で、新キャラのユフィもなかなかいい味を出していたのだが、早々に退場は残念である。
しかし、魔法やらに秘密があったりするのは、やっぱりちょっと「スレイヤーズ」ちっくだねえ。


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