◆ドラゴンズ・ウィル 全1巻5
著者(榊一郎)、イラスト(田沼雄一郎)

というわけで、第9回ファンタジア長編小説大賞準入選受賞作である榊一郎の「ドラゴンズ・ウィル」
内容は、明るく元気な少女であるエチカ・ライプニッツは、聖デルフォイの森に住むと言われる、スピノザという魔竜を倒すために森へとやって来る。
ところがその邪悪な敵であるはずのスピノザは、紅茶を愛す平和主義の竜だったって話。
うむ、面白かった。
流石に榊一郎の原点的作品だけあって、「運命に抗う者達」というギミックや、ファンタジーからSFへと移行する所とか、ミリタリー感覚とかがなかなかに面白かった。
人間の価値観を固定するための、「絶対悪」としての竜の存在が物悲しくも切なくて良いんだよね。
そして、実は心に傷を持った元気少女・エチカと、心優しき変わり者の竜・スピノザの心温まる交流のあとでの、あのクライマックスの悲劇と、ラストの墓標に刻まれた「優しき英雄、ここ眠る」という言葉がもう、泣ける。
ファンタジーでSFでミリタリーな所なんか、結構「ジブリ」テイスト溢れているんで、ジブリで映画化しないかなあ・・しないか(笑)


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