◆イリヤの空、UFOの夏
著者(秋山瑞人)、イラスト(駒都えーじ)


◆第1巻「その1」4
著者(秋山瑞人)、イラスト(駒都えーじ)

というわけで、「EGコンバット」「鉄コミュニケーション」「猫の地球儀」の秋山瑞人による、「イリヤの空、UFOの夏」の第1巻。
これは「電撃hp」に連載されたもので、「第3種接近遭遇」「ラブレター」「正しい原チャリの盗み方・前編」の3本と書き下ろしの「そんなことだから」を収録。
で、今巻は、夏休み最後の日に、中学2年の浅葉直之は、夜中に忍び込んだ学校のプールで謎の少女に出会う。
そしてその謎の少女・伊里野可奈は、2学期最初の日に自分のクラスに転校してきてって話。
うむ、なかなか面白かった。
まあネタとしては、昨今流行りの少々リリカルな「鍵系」のエロゲー的ボーイミーツガールって感じではあった。
伊里野もセラムンの蛍、エヴァの綾波以降のお約束のダウン系だしね。
でも、相変わらず非常に独特な文体と描写力で淡々と情感たっぷりに描かれている残暑の学校の描写などが上手く、学校の雰囲気が物凄く出ていて懐かしい雰囲気が良いね。
新聞部などの雰囲気もなんか「究極超人あ〜る」的感覚もあり、パワフルなキャラである水前寺も鳥坂先輩のイメージがかぶる。
まあそれはともかく、少年と少女の出会いと残暑の学校生活、そしてUFO等のムーやXファイル的なオカルトな部分とミリタリーの部分を上手く混ぜこんであって面白かった。
なんといっても、文章表現がメチャクチャ上手いしね。
キャラも魅力があっていい・・話の展開は遅いけどね。
あと、これまた昨今のエロゲー的なデジタル彩色による駒都えーじのイラストも、ありがちな感じではあるのだけど、雰囲気を出していていい。
特に、口絵や挿絵が普通とはちょっと違う凝った装丁なのが良いね。
というわけで夏はまだ続くようなので、今後が楽しみです。


◆第2巻「その2」4
著者(秋山瑞人)、イラスト(駒都えーじ)

というわけで今巻は、「正しい原チャリの盗み方・後編」と「十八時四十七分三十二秒・前後編」と書き下ろし番外編「死体を洗え」の全4本。
浅葉と伊里野の初めてのデートの後編と、園原中学の文化祭・旭日祭でのドタバタと恋の鞘当てって話。
うむ、面白かった。
相変わらず非常に空気感・情緒感のある描写力で、伊里野の語る自らの過去の切ない描写や、「うる星やつら・ビューティフルドリーマー」や「究極超人あ〜る」を思わせる非常に密度の濃いドタバタな文化祭の描写力が素晴らしい。
そして、旭日祭のクライマックスであるファイアーストームに至るまでの浅葉と晶穂とのやり取り、でもって浅葉と伊里野との夕闇のフォークダンスはなんだか非常に切なくていい。
まあ、話自体はなかなか進まないが、やはり非常に情感ある描写力のおかげで、魅せるのが上手いよな。
浅葉と伊里野の今後が楽しみです。


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