◆キノの旅−the Beautiful World−
著者(時雨沢恵一)、イラスト(黒星紅白)
◆第1巻4
著者(時雨沢恵一)、イラスト(黒星紅白)
というわけで、時雨沢恵一の「キノの旅−the Beautiful World−」の第1巻。
連作短編形式で、今巻は、
「森の中でa・b」、「人の痛みが分かる国」、「多数決の国」、「レールの上の三人の男」、「コロシアム」、「大人の国」、「平和の国」、の7話である。
なかなか面白かった。
ファンタジーというか、残酷な童話的世界観によって描かれるキノの旅が印象的であった。
暗く淡々と描かれて行く、それぞれの国や人々の描写が面白い。
星新一のショートショートや、松本零士の傑作漫画である「銀河鉄道999」、榛野なな恵の「Papa told me」とかを思い出した。
まあしかしライトノベルとは思えない、毒があり、寓話的、風刺的描写のために、少々偽悪的感覚が強いので、人を選ぶ作りではあるな。
でも、それぞれの話で、それぞれのテーマを持ち、人間の愚かさや、暗部を描き出している所はやはり面白い。
連作短編形式なので、読みやすいのも良い。
あと、電撃ならはの凝ったブックデザインと、作品世界になかなか合っている黒星紅白のまるで絵本のようなイラストが物語を盛り上げていて良いね。
小手先的手段ではあるが、やはりこういう演出が作品を良くして行くのではないかとも思う。
少女キノと、モトラド・エルメスの旅に幸あれ。