◆古墳バスター夏実
著者(七尾あきら)、イラスト(そえたかずひろ)
◆第1巻「もしかして大団円」3
著者(七尾あきら)、イラスト(そえたかずひろ)
というわけで、七尾あきらさんによる「古墳バスター夏実」の第1巻。
今巻は、南町高校魔法科1年の三輪夏実は、失恋の傷を癒すためにバイトで入った次元古墳の中で、黒い小箱を見つける。
そして、その黒い小箱を開けたために、中のゴースト兵器「じゅげむ」が目覚めて町は大変なことにって話。
なかなか面白かった。
あとがきにも書かれてあるように、作者さんの好きな作品である「うしおととら」や「GS美神」なオカルトタッチな感じで、それほどオリジナリティのある世界や展開でもなく、結構ありがちな感じではあった。
でも、パラレルワールドである魔法が発達した世界の描写とか、なかなかに個性あるパワフルなキャラクターや、派手なアクションなどはなかなか良かった。
特に、途中に入る辞典やら、ドクターTのモンスターの解説やらが、上手いこと世界の雰囲気を表現してくれているのが良いね。
やはりライトノベルにはそういう演出も必要だよね。
あと、これ目当てで買ったともいえる、アニメーターである「そえたかずひろ」さんの可愛いイラストも良かったです。
では、次の夏実の冒険を楽しみに。
◆第2巻「太陽より愛をこめて〇」4
著者(七尾あきら)、イラスト(そえたかずひろ)
というわけで、古墳バスター夏実の第2巻。
今巻は、エイプリルフールの日に、神谷真という金髪の美少年に告白された夏実は指輪を渡される。
そして、実はその指輪はどんな願いもかなえる事のできる魔神を召喚できる「魔神の卵」の鍵で、陰謀渦巻く大事件に巻き込まれる事になるって話、
なかなか面白かった。
相変わらずパワフルなキャラクターが、次々と話を進めていく展開は面白かった。
特に今回のキーキャラクターである、神谷真君の関西弁でしゃべる飄々としたキャラが良かったねえ。
実は彼自体が魔神であり、元に戻るために魔神を探していたっていうオチも意外で良かったしねえ。
まあでも、やはり少々「GS美神」とか「仙術超攻殻ORION」とか既存の漫画やアニメの影響が強くて、ちとお約束で型にはまった感じがあり、オリジナリティやコレという押し出しに欠けるのは否めないが、それでも丁寧な文章や描写がなかなか良いです。
あと1巻にはあった、ドクターの横の説明が無くなったのは残念ですな・・あれ結構好きだったんですが。
で、どうやら次巻が最終巻のようです。
◆第3巻最終巻「ドラゴン・ソング」4
著者(七尾あきら)、イラスト(そえたかずひろ)
というわけで、古墳バスター夏実の最終巻。
今巻は、次元魔法能力を失い始めた夏実は、平行世界の自分自身の平行存在(ドッペルゲンガー)と戦うことになるって話。
うむ、面白かった。
最終巻、ならではのドデカイ話で、色々と風呂敷広げてて面白かった。
特に、次元魔法が実は「宇宙創造の魔法」であり、あらゆる事象を変換できるというネタが面白かった。
その神と同等の力が上に奈津魅は、人も世界も物同然と思い、そしてその強大な力がゆえに孤独にさい悩まされているっていうのが良いね。
あと、平行世界やら、ドラゴンが実は銀河中心部から来た超種族っていうネタとかなにげに、SFチックな所もいい。
そして、今巻のクライマックスである、夏実と奈津魅の魂が融合し、それぞれがぞれぞれの記憶(周りの人間に利用されるだけだった奈津魅、周りの人に優しくされた夏実)と感情を交じり合わせ、全世界を修復して元に戻していく所は泣けた。
でまあ、ラストは夏実と奈津魅が復活するのはいいんだけど、鉄之進で閉めるのはあんまり納得いかなかったかな(笑)
あんまこれまでそういう描写なかったからなあ・・どっちかっていうと氷見香の方が良かったかも(笑)
まあ、それはともかくなかなか面白かったです。
で、総論。
なかなか面白かった。
確かにちょっと小さくまとまっていて、オリジナリティというのもちょっと少ない気もしたんだけど、結構独特の魔法世界や魔法描写もあって良かった。
特に、丁寧な文章と、展開とかは良い感じであった。
まあ、巻数が少ないせいか、キャラの掘り下げがまだ少なめで、もちっと巻数があって掘り下げて行けば、世界もキャラももっと良くなったのにねえ。
まあなかなかの佳作でした。