◆小娘オーバードライブ
著者(笹本裕一)、イラスト(むっちりむうにい)


◆第1巻A
著者(笹本裕一)、イラスト(むっちりむうにい)

というわけで、笹本裕一の「小娘オーバードライブ」の第1巻。
今巻は、練馬区の高校2年生・坂井美帆は、変な町内会の張り紙のバイトの面接に出てしまい、「正義の味方」に採用されてしまう。
そしてそんな美帆が、暴走する軍の無人戦車を止めたり、パワードスーツと戦ったり、軍の研究所で戦車隊と戦うって話である。
いや、面白かった。
いかにもライトノベル的展開、ストーリー、キャラクター、設定、が非常に良いです。
「正義の味方」になってしまった美帆がワタワタドタドタと振り回されるまくるところが、非常に可愛く楽しく面白いです。
やっぱライトノベルは「明るく楽しく面白く」ないとねえ。
で、読んでて思い出したのはやはり80年代アニメ感覚でで、「アッセンブルインサート」&「鉄腕バーディ」(ゆうきまさみ)や「プロジェクトA子」。
あと、「セーラームーン」(女の子がバトるから)と宮崎駿(戦車だから)とか。
なんつうか、「アニメテイスト」ってヤツです。
まあ笹本さんがアニメ好きってのもあるんでしょうが、非常にアニメ的、ビジュアル的なテイストがあって、「ちゃんとアニメ化したら面白いだろなあ」、つか「アニメで見たいなあ」って感じでした。
まあ、「第1話」とか「Aパート」「Bパート」なんてまんまアニメナイズですからねえ。
あと文章表現やセリフ回しとかが、非常にテンポ良く軽快で、良いです。
むっちりむうにいさんの可愛いイラストもいいですな。
今巻は、暴走する軍の無人戦車を止め、パワード・スーツと戦い、研究所の戦車隊と戦った美帆ですが、今後どんな騒動に巻き込まれるかが楽しみですな。
やっぱ、オタはメカとギャルですな(笑)


◆第2巻A
著者(笹本裕一)、イラスト(むっちりむうにい)

というわけで、小娘オーバードライブの第2巻。
今巻は、小石川研究所の地下にあるご先祖様の発明品が起こす騒動の数々って話。
いや、なんつうか意外な展開でした。
この作品は、もっとスチャラカでドタバタなコメディだと思っていたのですが、なんかいきなりSFでリリカルな展開に・・いや面白かったのですが(笑)
まあ、第3話の「練馬が静止する日」は、この作品っぽい話だと思ったのですが、第4話の「美夜の肖像」がなんかびっくりの展開で。
もっと、「突如赤ちゃんがやって来て大パニックな小石川研究所」って展開かと思いきや、まるで「アルジャーノンに花束を」のようなSFでドキドキする感じでした。
正直、こんな作品(失礼)よりも、もっとちゃんとした作品にしてSF小説として発表した方が良かったんではないかと思いました。
「遺伝子の書き換え」やら、「クローン」、そしてそこからもたらされる悲劇っていうのは今風ですしねえ・・まあ少々手垢付きまくりなネタではありますが。
まあ、作者の方があとがきに書かれているように、「子供だった登場人物が急速に成長していくネタ」というのはありふれたネタですから、他にちゃんとしたのがあるかもしれないですけどね。
しかし、ハッピーエンドだったのは、正直残念でしたな(笑)
あやめがみんなと交流を深めながら段々と成長していく過程を淡々と描き、それと共に衝撃の事実がわかりって感じで話が進んで行ってたので、読んでるときは「最後は悲劇なんだろうなあ、アルジャーノンなんだろうなあ」とドキドキしながら読んでたので、最後はちと肩透かしでしたな(苦笑)
なんでこのネタで、「アルジャーノン」のようなアンハッピーバージョンでの作品が読んでみたいですなあ、絶対泣けると思うんだけどなあ(笑)
まあそれはともかく、あやめちゃんの再登場に期待します。
あと、むっちりむうにいさんのセリフ付きの挿絵は面白くて良いですな。


◆第3巻「誰も知らない戦争(上)」B
著者(笹本裕一)、イラスト(むっちりむうにい)

というわけで、小娘オーバードライブの第3巻。
今巻は、突然父からの紹介で、のぼるが見合いをすることになる。
そしてその見合い相手である美女・李純麗は、恐るべき陰謀を携えていたって話。
なんかまるで軍事ミステリーのような展開で、ほとんど「押井守」の世界である。
「東京壊滅作戦」だからねえ。
少しづつ何らかの事態が進行しているという、ミステリータッチな緊張感が良かった。
まあ、まだ前ふりの段階なんで、それほどの荒事もなかったんで地味ではありましたが。
それにしても、この作品も当初のパーマンのような「ドタバタ女子高生ヒーロー」のイメージからはだいぶ違って、色々と手を替え品を替えて楽しませてくれますね。
で、今巻は上巻なので、次巻の下巻で物語を締め占めてくれることでしょう。
果たして美帆達は東京の壊滅を止める事ができるのであろうか?
そして、美帆はちゃんと「正義の味方」になることができるのであろうか?
というわけで、以下次巻。


◆第4巻「誰も知らない戦争(下)」B
著者(笹本裕一)、イラスト(むっちりむうにい)

というわけで、小娘オーバードライブの第4巻、「誰も知らない戦争」下巻。
今巻は、純麗の「東京壊滅作戦」を阻止すべく、美帆達が奔走するって話。
まあまあ面白かったです。
純麗との色々な駆け引きや、「水爆」を巡ってのチェイス、そしてなかなかに臨場感のある、航空機や船などののミリタリーな描写やアクションが良かった。
でも、その割りにはマスコミや警察などの動きがあまり描かれないために、少しリアリティにかける感じはあったかな?
「水素爆弾」というのもちょい単純でしたから。
あと、主人公の美帆の影が薄すぎですからねえ。
それにしても、今度のは結構シリアスだったな。
できれば第1巻から想像された、「パーマン」のような感じで、お気楽極楽美少女ヒーローアクションが見たいなあ。
「悪の秘密組織」を作った純麗との今後の対決を楽しみにします。


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