◆天国に涙はいらない
著者(佐藤ケイ)、イラスト(さがのあおい)
というわけで、第7回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞作である、佐藤ケイの「天国は涙はいらない」。
霊能力を使い占い師のバイトをしていた賀茂是雄は、クラスメイトの律子に現場を目撃され、学校で噂の「呪いの教室」の除霊を引き受けるハメになる。
そして、守護霊のロリコン天使アブデルを召喚した賀茂は、呪いの教室は悪魔が原因だとつきとめ、2人は悪魔捜しを開始するって話。
まあまあ面白かった。
一応コメディタッチで笑える所もあるんだが、基本的には死人とか出てハードでシリアスな展開を、無理にギャグにしてるので、微妙に笑えない感じはあった。
特に、失礼極まるアレな性格な律子のキャラが好きになれないかな。
まあこれが「シニカル学園コメディ」な所以なのかもしれないが・・。
あと、文章力やキャラ表現なども並って感じで、可もなく不可もなくって感じの作り。
これが<金賞>なのか・・まあ、<銀賞>や<特別賞>って感じではあるな。
まあ電撃大賞は、結構甘めだからなあ。
それと、カバーのあらすじで、話のネタをばらし過ぎ・・あれでは、読む楽しみなくなる。
あと、イラストの方もまあコレといったオリジナリティもなく、押し出しのない感じかな。
それはともかく、内容はお約束の葉鍵以降の、キャラに不幸ぶっかぶせて泣かそうっていう、「泣かせエロゲー」タイプな話で、ちこっとパチモン臭くて、たまちゃんの声は堀江由衣って感じであった。
話も結構タラタラ進んで、ちとテンポが悪かったかな。
でも、アブデルのオタ臭さ全開のセリフは笑えて、アブデルのキャラだけは異様に立っていて良いね。
特に、後半の飛ばしっぷりは凄い。
あと、独自の霊的描写や、最後に主人公は死んじゃう辺りは意外性があって良かったね。
まあ、今後に期待である。
◆第2巻「畜生道五十三次」3
著者(佐藤ケイ)、イラスト(さがのあおい)
というわけで今巻は、悪魔っ子たまの妖気にあてられて命を落とした賀茂是雄は、畜生道に落ちた結果狐に転生した。
そして人間の姿を取り戻すために東京へとやって来た賀茂は、猫娘である真央に出会うって話。
まあまあ面白かった。
まあ、前と同じく「キャラに不幸ぶっかぶせて泣かせて萌えさせよう系」な、出来の悪いC級エロゲーみたいな感じではあったが、前巻よりは話のテンポが良かったかな。
作者がエロゲーなどを熟知してるのか、「萌え」に対するこだわりや、ちょこっとマニアックなネタなどは面白く、笑える。
でも、キャラは自己中のわがままなヤツが多く、微妙に萌えないし、どうも好きになれない所があるな。
特に暴力女の律子は嫌いである。
まあでも、「萌え」に対するこだわりに熱いアブデルは笑えるので好きである。
あと、オカルトもちょっと凝っていて雰囲気があるのは良いね。