◆ティルト・ワールド
原案(安田均)、文(友野詳)、絵(弘司)

◆第1巻「天下無敵の冒険者」

これの前作である、コクーン・ワールドを読んでから、はや幾年月。
あれのラストには、もの凄く呆れ返った思い出があったな・・嫌な思い出だ。
この世界は「ファイブリア」といって、あのソードワールドの世界である「フォーセリア」をパロディにして作ってあるんだけども、
そのパロディっぷりや、あかほりよりも「すちゃらかおとぼけいいかげんでたらめ」っぷりには、
非道く人を小馬鹿にした印象を受けて、頭を痛くした記憶があったな・・嫌な記憶だ。
なぜ読んだのだろうな・・まあ、弘司さんの絵があのころ気に入っていたのと、盗賊娘ウィブが可愛かったから、っていうだけだったのかも・・。
で、続編であるこのコクーン・ワールド、なぜかこれが手元にあって、非道く暇だったので読んでみた。
では、感想〜。

・第1章「草原妖精よ帰れ」
というわけで、地底世界クリュアから帰ってきたソアラ、ウィブ、ピコ&ポコと、
セルファ、グンバル、カタルの3人の出会いが語られる第1話。
そういえば今回のシリーズは、誰かの視点による1人称&3人称みたいな形式で書かれている。
最初はその初めの語り手である、カタルの使い魔であるカラスのカーマッケンの召喚から始まる。
で、いつものごとくドタバタのうちに騒動に巻き込まれて、古代魔法帝国の遺跡であった墓所で、アーケ&ジェニーという謎の幽霊に取り憑かれてしまう冒険者達。
果たしてどなることやら。
まあ、やっぱりウィブが一番可愛いな(笑)

・第2章「海竜目覚める!?」
というわけで、今回はアーケ&ジェニーを除霊するために必要な、鯨竜の脳みそを得るべく、
海の男イエブハさんと共に、海へと鯨竜狩りに行く冒険者達。
今回の語り手は、ピコのペットであるネズミのポコ・・ちょっとうざめ(笑)
まあこれの元ネタは、白鯨のエイハブ船長だよねえ(笑)
そして、今回もまたもや、ドタバタと大騒動に発展する。
で、お約束としての鯨竜の中の体内探険・・やはり、基本だねえ。

・第3章「黒鹿亭奇譚」
というわけで、今回は立ち寄った宿が結界へと閉じ込められて、色んな異世界での冒険をする冒険者達。
今回の語り手は、幽霊のアーケさん。
偶然異次元への扉が開いて、スペオペワールドや、マカロニウエスタンや、過去や現代やらの異世界を冒険するのも、お約束だねえ。
まあ、パラレルワールド(並列次元宇宙)って奴だな。
しかし、やはり別の異世界に行って、冒険者一行が驚いたり、とまどったりするっていうのは面白いな。
で、今回は異世界を冒険中に、アーケが生きていた古代帝国時代へも行く。
そして、そこで明かされるアーケの過去の一端。
果たして、「世界を転覆させようとする陰謀」とはなんなのであろうか。

・・・疲れた(笑)
やはり、この作風には馴染めないものがあるかも。
今回のはそれぞれの章を、6人のパーティ一同にくっついているキャラである、
カラスのカーマッケン(第1章「草原妖精よ帰れ」)、
ネズミのポコ(第2章「海竜目覚める!?」)、
幽霊のアーケ(第3章「黒鹿亭奇譚」)、
ヴァルキュリア(「傾きのエピローグ」)、
という4つのキャラの視点で物語が語られていく、1人称&3人称の融合みたいなアイデアは非常に良いのだけど、正直、・・ちょいうざかったな(苦笑)
しかもさらにキャラ達が不真面目に話を進めて行くから、不快指数も高まるしね。
まあ、コクーンのようにタリアがいないだけマシか(笑)
キャラとかストーリーとか世界観は嫌いのではないのだが、この作風にはやはりついていけんものがあるかな(苦笑)
神坂一(スレイヤ−ズ)、あかほりさとる(ラムネ&40)以来のコメディ&シリアスタイプな作りだからな。
まあ、弘司さんのイラストと、ウィブは好きなんだけどなあ(笑)
つか、やっぱり弘司さんの絵は好きだなあ。
RPGマガジンの頃から結構好きだったからなあ・・上手くなったものだ(笑)


◆第2巻「縦横無尽の冒険者」

というわけで、ティルトワールド第2巻。
今度は気構えができていたので、それ程嫌ではなかったな(笑)
というわけで、感想〜〜。

・第一章「ユは幽霊のユ」
これって「ウは宇宙船のウ」(レイ・ブラッドベリ)からだね。
というわけで、アーケの除霊のヒントを得るために、アーケの実家があるという雪山へとやってくる冒険者達。
で、アーケの実家では幽霊が住み着いていて、またもやそこでドタバタに巻き込まれるというのが今回のお話。
今回はセルファの魔剣ユンカードーラスV世が語り手である。
で、屋敷の中には色んな幽霊がいるというのは面白かったな。
でも、もっとゴーストバスターズかなにかみたいに種類が豊富でもよかったかな。
で気になったのが、屋敷の探索なんだけども、それをそれ程はしょらないで、
本当に冒険(TRPG)やってるみたいに、地道に探索して行っていたのは臨場感があって良かったよ。
流石に、TRPGのセッションを小説にしただけはあるなあ・・。
あと今回個人的お気に入りシーンはやはり、
呪いで眠っている男へのくちづけの所の、ソアラとウィブのやり取りだねえ。
いやあ、可愛いねえふたりとも(笑)
でも、できればもちっと突っ込んで描写して欲しい所ではあった。
その辺結構淡泊だったりするからなあ。
でまあ、いつものように今回もドタバタといい加減に閉めちゃうのは毎度のことだな(笑)
果たしてアーケの父の言う、「計画」とはなんなのであろうか。

・第二章「流れよ我が涙、と神官は言った」
これは「流れよ我が涙、と警官は言った」(フィリップ・K・ディック)からだね。
というわけで、今回はケセレス城を探すために奮闘する冒険者達である。
今回の語り手は幸運の神様、コヒ=ア様・・暇な神様だ(笑)
ケセレス城とは、かつて古代帝国時代に建っていた城で、その城主は帝国に対して反乱を起こしたらしい。
そして、その城跡には暗黒神ダラディスの神殿が建てられたのだそうだ。
で、そのダラディス神の神殿を探すためにみんなは色々と騒動に巻こまれるのであった。
まあ、主に幽霊退治だね。
で、今回はグンバルの家族たちが登場、まあ、なかなかいい味を出していた。
今回は、ソーヤ母親とグーグル叔父さんぐらいが出番であったが、他の家族も見てみたかったね。
で、どうやらグンバルはアーケの事を少なからず思っているらしい。
これからの展開が楽しみである。
そして、とうとう見つけたダラディス神殿では、グーグルが扉を開け放ち、古代帝国の力を解放させてしまう。
はてさてどうなることやら。

・第3章「古代魔法帝国の攻防」
これは「銀河帝国興亡史」(アイザック・アシモフ)からかな?
と思って読んだら、ネタがまんま一緒だ(笑)
もろパロディなのな、笑ったよ(笑)
というわけで、今回は前回の魔法装置の影響で過去の世界である古代魔法帝国へと飛ばされる冒険者達。
今回の語り手は、再びカラスのカーマッケン。
奴の語りは軽妙で、一番面白いなあ。
しかし、今回は怒涛の展開でなかなかに面白い。
特に、ラストあたりの混沌の荒れ野での緊迫感、クライマックスぶりはなかなかのもの。
そういや、今回はアシモフの銀河帝国興亡史からのパロディだが他にも数箇所あって笑った。
特にバビル2世の所とか、ヒーローもの風のポコの歌とか(笑)
まあ、パロディもたまにはいいよね(笑)
あと、今回登場のアレーリャはなかなかに可愛い。
特に「〇〇は天才的だって言われるんですが、〇〇は下手で。でも一所懸命やってます」っていう、口癖がいいね。
まあ、今のギャルゲーとかでは日常的に使われている方法論だけどな。

で、ラストでなかなかの引きをした今巻。
次巻はティルト・ワールド最終巻。
楽しみである。


◆第3巻「天地無用の冒険者」

というわけで、ティルト・ワールド最終巻。
今回は締め。
んじゃ、逝ってみよ〜!!

・第一章「混沌の長い午後」
で、この章は混沌の荒れ野で大変なことになった一行が、一度村に戻って、そこで帝国の巡回隊から魔法力遮断の護符をかっぱらって、
でもって、再び塔に戻ってミュールたちを退治する話。
この章はあっさり生きていた(?)グンバルが語り手。
てっきり、ミュールたちとの決戦かと思いきや、これもあっさり混沌水晶で倒してしまった。
まあ、アドリブで進行するTRPGを元にしているだけあって、その辺がいいかげんだったりするのはお約束だな。
今回はミュールの塔が、バビルの塔のパロディで、3つの僕(ロデム、ポセイドン、ロプロス)と、コンピューターがいたのが笑った。

・第二章「十三月一日では遅すぎる」
で、この章はサーブ・ブルータという人物を探して、「なんでもないさ研究所」、略してナサ研究所に潜入調査。
今回の語り手はセルファ。
研究所で、鋼鉄魔像が大暴れしてっていうのは、お約束。
きっと鉄人28号やら、Gロボやら、ガンダムやらのパロディなのであろうが、どれがどれやらちとわからなかったな。
で、今回はアーケそっくりの人工霊体が出てきて、グンバルもとうとう霊体になっていまうのであった。
ラストの「一三月一日では遅すぎるのだ!」っていうのは、ちと付け足しぽかったね。

・第三章「宇宙が僕の手の中に」
で、最後であるこの章はサーブ・ブルータと、アーケのオリジナルであるカーマを説得して、
星界船を作り、星界で「ファイブリアと天井」とをつないでいる紐をつなぎ直しにいくって話。
「宇宙紐理論」とは、相変わらずスチャラカな設定だな(笑)
で、最後の語り手はやっとこ出番のウィブ。
なんかいきなり一年月日が流れたり、でもってラストには530年過ぎたりとなかなか凄い展開。
一応、秘密やら謎もここで明かされるしね。
しかし、せっかくウィブが語り手だったが、ソアラとの恋愛絡みのネタがあんまなかったのは残念である。
まあ、そういう作品じゃねえけど(笑)
そういや、お椀型の「ハテナ号」っていうのの元ネタはなにかな?
黄金バットのスーパーカーかな?

というわけで、話は「アビスワールド」へと続くようである。
まあ相変わらずのスチャラカぶりはちと引いたが、まあまあ面白かった。
いきなりのタイムスリップで過去の魔法帝国の時代へ行ったりとか、
最後には「星界」に行って紐をつなげると行った、SF(笑)的シークエンスはなかなかに面白かったしね。
そこかしこのパロディも笑えるしね・・わからない人には激しくわからないが。
まあ、こういうスチャラカな感じや、パロディテイストたっぷりなのも、TRPGのシナリオならではだなあとも思うからね〜。
つうわけで次からはアビスワールドか。
ウィブが出なくて、タリアが出まくりなんだよね・・ちょっと鬱だ(笑)


戻る