◆約束の柱、落日の女王 全1巻4(70点)
著者(いわなぎ一葉)、イラスト(AKIRA)
というわけで、第16回ファンタジア長編小説大賞準入選受賞作の「約束の柱、落日の女王」
隣国の脅威が迫るシュラトス王国女王クリムエラの前に、一人の戦士カルロと名乗る男が現れ、そして次第に二人は心引かれ合うことになるって話。
非常に真面目なファンタジーであり、純粋なラブストーリー。
ケレン味や派手さはなく地味で淡々としてはいるが、それらを丁寧に描き出していて、なかなかに好印象であった。
正直、もう一押しの「派手さ」が欲しかったり、ちょっと初っ端の構成が読みにくかったり、詰め込んでるがゆえに駆け足な印象な所もあるんだけども、一本のファンタジー映画のようなバランス感覚の良さがあり、面白かった。
クリムとカルロの時を越えた「出会い」から始まり、孤独で人を信じてなかった二人が少しづつ触れ合うことで、互いが互いを変えて行き、そして世界も変えて行くという描写はお約束だがさわやかで、痛快でもある。
最後は「二人は幸せになって、ハッピーエンドて万々歳」って感じではなかったが(笑)、切なさと悲しさの残るラストはなかなかに印象的であった。