第六章:ノベルス


個人運営PBM『隔離戦区・神人武舞』 第1回 〜 四国:濠太剌利


Oce1『 She who hesitates to the wave 』

 第2混成団司令部――普通寺駐屯地から東に約20kmの場所に高松空港、否、高松航空基地がある。隔離後に第14飛行隊(※註1)分屯地が設けられ、大型回転翼機CH-47J/JAチヌークが隊員や物資を輸送すべく離着陸を繰り返していた。管制施設の一室を改装した分屯隊長室の主(二等海佐)に、敬礼する。
「――徳島航空基地より出向してきました、第2混成団第14飛行隊・救難飛行隊第3小隊を束ねます、大空燃准空尉です。ご挨拶に伺いました」
 大空・燃(おおぞら・もえる)に答礼を返す二佐。なお階級呼称がともに「陸」で無いのは理由がある。神州結界維持部隊発足において、航空自衛隊の航空団や海上自衛隊の航空集団は、維持部隊航空科(※陸上自衛隊航空科が前身にして根幹)に再編制されている。無論、も同様である。陸自に吸収された形になる為、元海自航空集団操縦士や、元空自操縦士の中には、陸自上がりの操縦士に対して敵愾心を持つ者も少なくない。維持部隊の階級呼称が基本的に陸自のものを準拠しているのに反発して、海佐や海士、空尉や空曹を名乗り続けている者もいる。維持部隊は暴論的なまでの実力且つ個人主義な為に、作戦遂行や余りにも組織維持に当たって問題が無いのであれば、咎められる事は少ない。
「現在、徳島が大変な事になっているというのに、わざわざ済まないな」
「――小松島の件ですね。二佐は海自出身と聞いています。さぞかしご心配でしょうが……第2混成団長より四国全土での第1種警戒態勢が発令されていますのも事実です。……低位を全滅させるレベルの“何か”を探る必要はあるでしょう」
 第2混成団長、綾熊・敏行[あやくま・としゆき]陸将補が先月に四国全域で警戒レベルを引き上げるよう通達。愛媛にて、低位下級超常体の大量死が確認されたからだ。隔離戦区構想において、超常体の殲滅は原則禁じられている。かつて――超常体の頻出地区に対して爆撃機によるナパーム弾を投下する作戦を実行に移した事があった。超常体の出没する地域を、徹底的な爆撃により超常体もろとも根こそぎ焼き払う事で、敵が出現する空間そのものを消し去ろうとしたのだ。それによって確かに一時的には超常体の出現は減ったかのように見えた。
 だが、それが致命的な戦術ミスであった事が後に判明する。その後も統計を取り続けた結果、確かに爆撃を行なった地域の超常体出現確率は低下したものの、そのすぐ近隣の地域で、超常体の発生確率が上昇しているという、ドミノ倒し現象が起きている事が発覚、しかも爆撃によって焦土と化した地域には猛烈な勢いで奇怪な樹木が繁茂し始め地域を覆い尽くし、その地域での超常体発生確率は再び以前と同様に高くなっているという事実が観測されたのだ。
 ……この事により、神州が隔離された今でも、超常体に対して、大掛かりな爆撃や砲撃は余程の非常事態でない限り認められていない。特に数の調整がしやすい低位下級超常体の群れを壊滅させる事は、より強力な存在を招きかねない事として倦厭されていた。
「……確かに、モコイの群れや、ヨーウィーが大量死するのは異常としか言いようが無いな。しかし異常と言えば、全国的に、だ。ここ最近どうかしているぞ」
 海自上がりの分屯隊長は苦笑して見せた。超常体が現われてから20年間も生き抜いてきた大空も同感である。――全国各地で、超常体の大量発生に、積極的攻勢。九州の熊本では魔王クラスと呼ばれるほどの強力な固体が集団を統率し、1地域を支配したという。福岡でも謎の砂漠化現象が起き、飯塚駐屯地が陥落したという話だ。また、問題を引き起こしているのは超常体だけではない……天草では不満分子が叛乱決起している。
「――何か変革の時が来ていると思いますか? 隔離された神州を打破するような……」
「……超常体による人類社会の終焉でないと良いが」
 溜め息を漏らす二佐に、大空も頭を掻きながら同情するしか無い。さておき、
「――何にしろ、敵との遭遇を警戒しつつ、調査だけでなく救助者を捜すのも仕事の内です」
「了解した。松山駐屯地には連絡を入れておく。地上部隊と調整して、無理はするな」
 二佐の言葉に、大空は唇の端を上げて笑うと、
「――実は部隊向上の訓練も兼ねていますので、今回は無茶しませんよ。……勿論、要救助者が居るのであれば人命を最優先しますけどね」

*        *        *

 愛媛・西条方面にて壊滅した第15042班。唯一の生存者である 石丸・隆児[いしまる・りゅうじ]陸士長に依然、注目が集まっている。現在、石丸が臨時配置されている先の第15041班は、他所の部署からも物見遊山な野次馬共が集まってきて大騒ぎになっていた。
「――儚系記憶喪失と謎のヒーロー、一粒で二度美味しいキャラっスね! ……ナイスです。グッジョブって感じっス!」
 親指を立てると、笑顔で第一声。若干ウェーブのかかった髪に、ほんわか和み系の眼元。童顔な 藤原・ノノ(ふじわら・―)二等陸士は黄色い声を上げるが、
「――ヒーローって? わっ、私がですか? おめおめと1人生き残った恥さらしとも言われています」
 石丸はややネガティブで返してくる。そんな石丸の肩を叩くのは、大尾田・晋明(おおおた・くにあき)二等陸士。典型的な日本人顔に、眼鏡。
「――困難な状況で、唯一人生き残ってくれていただけでも充分ヒーローの資格はある。……なお、決してヒーホーではない」
「……はぁ」
 良い事を言っているんだろうが、最後で訳が判らない。とにかくも大尾田は石丸を見直すと、
「フライング・ポリプの情報を集めている。石丸からの目撃証言も聞きたい」
 先日に壊滅させたと思われる新種の高位下級超常体。翼を持たずして空を飛び、半ポリプ状の肥大した体から絶え間なく癌細胞のように触肢を出したり引っ込めたり。そして発声器官らしきものもないのに、どこからとも無く吹き出す音と風。突風なのに受けたものは物理科学を無視して引き寄せられてしまうという。
「……いや、しかし、申し訳ありませんが、救出される前の記憶を全く思い出せないんですよ」
 平謝りの石丸に、大尾田は溜め息を吐いた。なお階級を見直せば解ると思うが、石丸の方が上位のはずである。
「――モコイ壊滅の原因として、フライング・ポリプが怪しいと思っているのだが……。モコイ壊滅の危機は許せん!」
「……何で、モコイっスか?」
 大尾田のモコイ好きは松山で有名であるが、ノノは敢えて質問する。と、大尾田は拳を握り締めて、
「モコイ好きなんだ。モコイが! モコイには世話になった、メガテンで!」
 ちなみにモコイの初出は『デビルサマナー ソウルハッカーズ』(1997)。「〜だね、チミ」というマイペースかつ小馬鹿にしたガインくん口調で有名。
「……今日から大尾田二士の事を“ガインくん”と呼ばせて貰うっス」
「――それは実にグッドだね、チミ」
 何故か、嬉しそうな笑顔を浮かべる大尾田。いいのか、それで?
「……ええと、なかなか話が進まないようなので口を挟ませてもらうけど、いいかしら?」
 大尾田とノノの遣り取りに、困惑する石丸。状況に見かねた、夏目・和子(なつめ・かずこ)一等陸曹が声を掛けた。
「――げっ、警務隊っスよ」
「後ろめたいところが無ければ、慌てる必要は無い。ましてや俺が常時持ち歩いているカメラは、超常体を撮る為のものであり、いかがわしい隠し撮りや盗撮用では無い!」
「……やけに説明的な台詞ありがとうっス」
「当然、キャラ立ては大事だ」
 ややメタめいた会話に、やはり取り残される感がある和子と石丸。和子の片腕的存在、城戸・玲[きど・あきら]陸士長が咳払いをしてくれた事により、ようやく我に帰る事が出来た。
「……ええと、フライング・ポリプについても問題だけど、私が問題視しているのは、あなたが保護される前に目撃された怪人の事よ」
 フライング・ポリプにより全滅を覚悟した第15041班を救ったという、謎の怪人。証言によれば、蝙蝠を模したアイマスクをして、全身は硬質ラバー製と思われるボディスーツに身を包んでいたという。
「……怪人についても断片でもいいから、何か思い出せないかしら?」
 和子の問い掛けに、だか石丸は申し訳無さそうな顔で頭を横に振るだけ。頬に手を当てて、溜め息を吐く和子に、
「……んー、記憶が無いってのが嘘か本当かも判らないですし、何とも言えませんけど……。取り付いている憑魔核が関係しているのは間違いないっスよね?」
「間違いないかどうかは断定出来ないけど、確かに同じ雷電系よね。……って、どこから聞き付けたの?」
「知らぬは本人だけで、多分、駐屯地中の耳に入っている話っスよ」
 ノノは悪びれずに答えると、和子は困った顔。ノノは更に囁くように、
「……りゅーちゃん士長自身の意識じゃなく、憑魔の意識が怪人なのかも? だとするとまだ完全に乗っ取られた訳じゃないのかもー? それとも憑魔核が特別なんスか……むむ、謎だらけっス」
「憶測を並べるのはいいけど、余り言い触らしたりはしないでね。完全侵蝕ともなれば……」
 者ではなく、物……つまりは超常体と看做されて、射殺許可が出される。警務科ともなれば責任重大だ。和子が注意を喚起するのは当然だった。言われてノノもバツの悪い顔をする。話を変えるように、
「……しかし怪人は気になる事を言っていたらしいっスね?」
「ウルルの封印がどうのと言っていたそうよ」
「むー、ウルルの封印って……ウルルは、オーストラリアのエアーズロックっスよねぇ? 現地アボリジニでは聖地とされていたみたいですし、何かあるんスかね? アボリジニの神話ではドリームタイム……天地創造が有名ですけど」
 首を傾げる、ノノ。天井を仰ぎながら、
「……神州結界での世界対応の事を考えると、四国内でエアーズロックと似通った……例えば、何かが封印されてそうな山とか渓谷とか……」
「――とにかく、それらしきものを探せばと怪人にも遭えるでしょう」
「……何か思い付く所でもあるっスか?」
 ノノの探るような視線に、だが和子は笑顔で受け流すと玲を連れて去っていった。暫らくノノは頬を膨らませたが、
「……とりあえず現状では情報が少な過ぎるっス。仮称『蝙蝠男』が出現しそうな場所を、地道にえっちらおっちら巡ってみるしかないっスね」
「そうだな。先二度の戦闘と仮称『蝙蝠男』と遭遇した場所を中心に探索だ」
 それまで黙って話を聞いていた大尾田もまた頷く。
「……もしかして、私も同行しなければならないんでしょうか?」
 恐る恐る石丸が挙手しながら質問。大尾田もノノも当然とばかりの視線を返す。
「……というか、りゅーちゃん士長が所属している第15041班自体に同様の命令が下っているっスよ」
「俺達は自主参加するつもりだったが……所属班にも同じ命令が下っているだろうな」
 のけぞる石丸。……再確認するが、一応、石丸の方が階級は上官である。まぁ、気にしなくても問題全くないのだが。

*        *        *

 徳島・旧小松島海上保安部――現SBU(Special Boarding Unit:特別警備隊)徳島分隊が魔群(ヘブライ神群)超常体に征圧されて、すぐに高知駐屯地の第50普通科連隊に出動要請が入った。最優先目的は超常体の殲滅である。……そこに「待った」を掛けたのが、SBU高知分遣隊だった。
 SBUは2004年に江田島に密かに発足された、旧海上自衛隊由来の特殊部隊だ。旧海上保安庁の勢力を吸収し、沿岸部における特殊超常体殲滅活動に従事している。船舶や舟艇が著しく制限されている神州においてSBUは数少ない操船技術や水中作戦の専門家達であった。SBUはその後、神州各地に密かに分遣隊を設立しており、四国には高松・徳島・高知・宇和島の計4つが置かれている。高松・宇和島が宮島攻略戦の応援に借り出されている中、徳島の奪還・救出に残った高知が乗り出すのは当然の事であろう。だが――
「……古今東西、海と陸は仲が悪くてな。ましてや海自は陸自を前身・根幹とする維持部隊に吸収されるだけでなく、隔離政策から船舶・舟艇の取り扱いが厳しくなった。……そんな元海自にとってSBUは最後の誇りだ。元陸自に作戦の主導権を寄越したくないというのが分遣隊長の考えなのだろう」
 SBU高知分遣隊・第9班イ組長、有馬・喜十郎(ありま・きじゅうろう)海士長は重い溜め息を吐くと、
「……わしからすれば、愚かとしか言いようがないものじゃが」
 彫りの深い顔立ちの有馬は、自慢の口髭と共に豊かな髪は後ろで束ねられており、還暦を迎えたとは思えぬ程の日焼けした肌に、引き締まった筋肉によろわれた躯付きをした老年だ。
「……はぁ。僕は、皆が協力すれば、それだけ傷付く人が減ると思うんですけど」
「はっ! 戦いで怪我するのは覚悟の上だろうが。傷付くのを恐れていて躊躇すれば、それだけ戦いが長引き、その分だけ仲間が傷付く。速さこそが勝利を呼ぶ。お前みたいに分厚い装甲にこもって、ノロノロ歩いている人間には解らないだろうがな」
 未だ最前線にある老体が引き連れて歩くのは、部下にして弟子でもある 大山・積太郎(おおやま・せきたろう)一等海士と、北条・慎吾[ほうじょう・しんご]一等海士の凸凹コンビだ。特に巨漢の大山と並ぶと、小柄な北条が益々幼く見えてしまう。体格差に劣等感でもあるのか、弟弟子でありながら北条はよく大山を馬鹿にして皮肉な口を開いており、師として有馬の悩みどころであった。
「――有馬さんだったか。御無沙汰だな」
 軽く左手を挙げる壮年の姿に、有馬は目を細めた。右腕の袖が、動きに合わせて揺れている。第50普通科連隊・第15063班長、散坂・孤士郎(さんさか・こしろう)一等陸曹に対して、大山が慌てて敬礼した。有馬も軽く敬礼を送りつつ、
「久しいな、散坂一曹。おぬしも徳島行きか?」
 一回り半も歳の差があるとはいえ、共に隔離後から生き残ってきた戦友である。だが有馬は孫や部下、そして弟子に恵まれたが、散坂は二度も所属部隊の壊滅にあったと聞く。生き残った代償に右腕と左足を失った散坂の岩を削った様な顔に浮かべられている、いつも何かを耐えている様な表情に、有馬は危ういものを感じ取っていた。
「……また、死に場所を求めておるのか?」
 問い掛けに、散坂は無言で返す。有馬には充分。溜め息を漏らすと、頭を横に振った。
「――第50普通科連隊の動きはどうなっておる」
「徹底的な殲滅を主張している。超常体の群れに取り残されているだろう生存者の生死も問わずだ」
 散坂の言葉に、大山の顔面が蒼白。しかし有馬は非難を口に出させない。素早く問いを重ねる。
「……おぬし自身はどう思っておる?」
「何故、超常体が人質を取るのかは理解出来ないが、未だ生きている若者を見捨てるには忍びない」
 視線を返す散坂に、有馬は唇の端を上げて笑った。
「……何か?」
「いや、おぬしらしいな、と思うてな。じゃが、おぬしの認識は人質となっているが、第50普通科連隊も間違ってはおらん。――生存者は恐らく魔人であり、しかも完全侵蝕されて堕ちている可能性が高い」
「……敵に回っているのか」
 完全侵蝕された魔人は、もはや『者』ではなく『物』であり、一個の超常体として人類の敵となる。……従い、問答無用の射殺許可が下りる事が絶対だ。この対象は散坂も有馬も、そして大山や北条も当てはまる。
「――詳しい情報が欲しい。有馬さん、提供を頼む」
「そのつもりで、わしは来たんじゃよ」
 有馬が意地悪く笑うと、大山が運んでいた荷物を机に上げる。中身はSBUの資料書類。徳島分遣隊の魔人リスト。徳島基地の内部構造詳細地図。Etc.etc.
「――巳浜?」
 資料に目を通していた散坂の眉間に皺が刻まれる。巳浜・由良[みはま・ゆら]海士長――1人だけリストから特別に分けられている少女。
「……徳島基地から脱出してきた者の報告では、巳浜だけは特別扱いされていたらしい。デビチルという身上から、高位上級が使うという強制侵蝕から逃れている可能性が大きいじゃろう」
 デビチル、二世魔人、デビル・チルドレン。――前世紀に悪魔を扱った某ソフト会社が携帯遊技機で発表したゲームのタイトル……ではなくて。片方にでも親に魔人を持つ子供は生来ながら魔人であり、彼等はデビル・チルドレンと俗称される。生まれながらの魔人はそれだけに憑魔能力を自在に扱い、能力も高い。操氣系からも憑魔の気配を察せられないという特徴がある。だが反面、侵蝕率の上昇も早く、超常体と化す危険も極めて高かった。それでも侵蝕を強制的に引き起こす波動に対する耐性が報告されてもいる。
「それに、高位上級――いわゆる魔王クラスが2体も重要視しているらしい事から、巳浜は処断でなく、救助した方が後の作戦行動に有用じゃな……って、どうした?」
 伝説にある七十二柱の魔界王侯貴族、五芒公 デカラビア[――]と水域侯 フォルネウス[――]を自称する2体の魔人。高位下級超常体ビーストデモンを召喚したそうだが、実質的に2人だけで徳島分遣隊は壊滅したと言っても良いだろう。だが説明の途中で散坂の眉間に皺がより一層深く刻まれているのに気付いて、有馬が怪訝な表情を浮かべた。散坂は溜め息を吐くと、
「――超常体が魔王を名乗ったという未確認情報はこちらも得ていたが……強力な高位上級を2体同時に相手する事になった混乱から生じた誤認ではないか?」
 維持部隊に広まっているオカルト説――超常体が、ある種の群れを形作るのは今や周知の事実であり、神州に対応する世界各地の神話・伝承に似通っていると言われている事を、或る程度は散坂も認めているが、そこからくる「超常体の群れを統率しているのは、伝承や神話で謳われる主神級の存在であり、そいつさえ倒せば、超常体が居なくなるのでは」という希望には疑念を抱いていた。それでも、
「……超常体が意思を持ち会話出来るという事、そして各々の性質の片鱗を把握出来たという情報は、作戦に組み込む事が可能だな」
「第50普通科連隊が主張している、作戦決行の日時はどうなっておる?」
「一応、SBUの顔も立てる方向性で居るはずだ。それでも、巳浜を保護するならば、早めに手を打っておいた方が良い。他にも救える者がいたら尚更だ」
「ふむ。……わしの部隊は威力偵察も兼ねる事になっておる。散坂の部隊も協力してくれるのであれば、大助かりじゃな」
「――了解した。現場の者だけでも話を通しておく必要は確かにある」

*        *        *

 剣山――西日本第二の高峰を 三笠・修司(みかさ・しゅうじ)陸士長が率いる第15普通科連隊・第15071班乙組は登っていた。何故、登るのか? そこに山があるからだ。
「――違うわっ!」
 思わず、何処ともないところへとツッコミを入れてしまう三笠。疲れているんやろか?と頭を振る。隔離前まで剣山は最も登り易い山の一つと知られていたが、超常体の群れや環境の変化から現在はそうでもない。それでも野外での活動を好む三笠と、第15071班がこれしきの山で根を上げるはずはなかった。ならば気の所為だろう。
「……まぁ、ハズレを承知で来とるからなぁ」
 愛媛に現われた怪人が漏らした“ウルル”という呟き。ウルルとは俗にエアーズロックと呼ばれ、濠太剌利大陸のほぼ中央のウルル-カタ・ジュダ国立公園内に存在する、世界で2番目に大きい一枚岩だ(第一位はマウント・オーガスタスことバリングラ)。神州世界対応論に基づいて、四国でウルルに該当する位置を特定すべく、手始めに三笠は胡散臭いトンデモ伝説がある剣山をメインで捜索していた。
 ――曰く、剣山ピラミッド説!
 ――曰く、聖櫃が隠されている!
 ――曰く、ソロモンの財宝が眠っている!
「……そう、しかも超常体出現はノストラダムスの予言に記されていた通りだったんや!」
「「「――なっ、何だって、キ●ヤシ!」」」
 実際に超常体が最初に公式記録された1999年8月13日は、ユリウス暦で7月に当たる。――1999年、大いなる七の月、空から恐怖の大王が来るだろう、アンゴルモワの大王を蘇らせるために――ああ、素晴らしきはトンデモ説!
 ……それは、ともかく。
「ようやく、着いたで、観測所」
 かつて剣山山頂には富士山頂に次ぐ、日本で2番目に高い標高にある測候所があったという。1991年に自動化され無人となり、1994年に名称が剣山観測所に変更されたが、建物や屋外の観測機器の多くは撤去されないどころか、隔離後はパトロール隊の休憩施設として重宝されている。現在も、管理している隊員が顔を出して三笠達を出迎えた。
「……ここ最近でオカシな事ですか?」
 首を捻っていた隊員だったが、暫らくして手を打ち合わせると、
「そういえば、数ヶ月前に男女のカップルが訪れましたね。何か探し物をしていたらしいのですが、結局『ここはハズレだー』と泣き叫びながら下山しました」
「……何を探していたか、覚えとらんか?」
「剣とか……ほら、剣山の由来は、安徳天皇が剣を頂上に奉納したという伝説ですから。その剣を安置した場所は宝蔵石という巨石で封印されているとか」
「そ、その宝蔵石ちゅうのは、今、何処に!?」
「いや、飽く迄伝説ですし、実際には無いですよ。少なくとも本官は見た事がありません」
 三笠は肩を落として、重い息を吐いた。それでも諦めずに剣山付近を調査したが、結局、空振りに終わる。
「……やっぱり石鎚山が本命やったかな」
 西の方――愛媛を見遣るのだった。ちなみに愛媛にも剣山はある。が、トンデモ説で語られているのは徳島の方であったりなかったり。……どうも色々と混同されている気がしない訳でもない。まったくもってトンデモ説らしいと言えた。

*        *        *

 西日本最高峰にして、山岳信仰(修験道)で知られ、日本七霊山の1つとされる石鎚山は、正確には最高峰に位置する天狗岳と弥山、そして南尖峰の一連の総体山である。石鎚山の頂は通常、天狗岳の事を指すが、弥山から天狗岳までの登山道が少し狭い事や、天狗岳の頂に多人数が留まれるスペースが無い事もあり、約300m手前の弥山に石鎚神社山頂社がある。
「……で、石鎚神社は名の通り、石鎚山を神体山とする神社で、愛媛県西条市に鎮座する本社・口之宮、中宮・成就社、頂上社、土小屋遙拝殿の総称だ」
 大尾田が説明する隣で、ノノがしきりに拍手。大尾田は得意気に鼻を鳴らす。
「ガインくん、意外に物知りっスね」
「意外に、とは聞き捨てならないが、これでも『もえたん』から、ネクロノミコンの一節まで暗唱出来る雑学の持ち主だ。……自称だが」
 自分で実際に調べてこない限り、『趣味・特技』欄に該当するものが無ければ、飽く迄、自称扱いである。次回以降は厳しくいくので注意。
「……何か、今、メタ的説明が挿入された気がするっスが――『もえたん』って?」
「――ああ、夢の中で見た英単語帳の事だ(※註2)
 カメラを構えて撮影するように周辺を警戒しつつ、当然のように語る大尾田。ノノは顔を引き付かせた。頬に冷たい汗が流れるのを自覚する。
「……夢っスか」
「そう、夢の中だ。……って、何故、距離を開ける?」
「何故って……どう見ても、どう聞いても、どう考えても危ない人っスよ、ガインくん!?」
 互いに喚き散らすノノと、大尾田に対して、今まで黙って聞いていた第15041班員が、
「「「――お前等、五十歩百歩だよ!!!」」」
 ついに堪忍袋の緒が切れて、激しくツッコミ。
「酷いっス! 一同、総ツッコミ!」
「酷くない、酷くない……というか、お前等、元の班はどうした?」
 痛む頭を押さえながら、第15041班長たる陸曹長が尋ねてくる。だが大尾田もノノも悪びれもせず、
「単独行動の許可は貰ってきている」
「調査、捜索に人手は必要っスから!」
 超常体との長い戦いから、維持部隊では暴力的なまでに個人かつ実力主義が認められている。階級や権限等を少しぐらい逸脱したとしても、充分な戦果を上げれば黙認されてきた。……尤も、この個人かつ実力主義によって全体が危険に陥った事例もある為、全てが受け入れられているものでもないが。
「……そのうち、うちの班に押し付けられるんじゃないだろうな。こいつと同じく」
 陸曹長は横目で、石丸を見る。周囲から説明を求められて、しどろもどろになっている。些細な事からでも何か記憶を取り戻せたらと思ったのだが……。愛媛・西条――石丸の原隊であった第15042班が壊滅したと推測されている場所である。第15041班だけでなく、低位超常体壊滅の原因やフライング・ポリプの戦力分析、そして謎の怪人との接触を求めて、捜索していた。和子率いる、松山駐屯地警務隊2班もそうだ。
「――夏目一曹。警務隊が駐屯地を離れるというのも珍しいな?」
「私としては、やはり怪人が第15042班壊滅に関わっていると思っているからね」
 陸曹長の言葉に、和子は困ったような笑みを浮かべる。警務隊は神州結界維持部隊・長官直轄の部隊の1つであり、陸自警務科と日本国警察組織機関が統合された、つまりは神州結界内での警察機関である。警護・保安業務の他、規律違反や犯罪に対する捜査権限(と査問会の許可による逮捕や拘束権)を有する。少なくとも前線に赴いて捜査するのは異例だ。勿論、和子は危険を承知として班にFN5.56mm機関銃MINIMIを装備させるだけでなく、自身も9mm機関拳銃エムナインを装備している。
「とにかく百聞は一見に如かずと言うし……」
「――現場百回」
「お百度参りっス」
「――犯人は現場に舞い戻る」
「丑の刻がベターっスよ」
「……色々と間違ったものが混ざっているわよ」
 横から茶々を入れる2人に、和子は呆れた口調。陸曹長も遠ざけるように、邪険な扱いで手を振ると、
「……お前等。いっそうの事、夏目一曹の警務隊でお世話になって来い」
 当然、抗議するノノと大尾田だったが、陸曹長はこれ以上関わりたくないとばかりに知らぬ振り。和子は苦笑した後、視線の先――崩れた鳥居を見詰めた。
「……石鎚神社本社」
 今や訪れる者も無く、繁茂する植物に覆われた敷地の奥に、本殿が眠っている。石鎚神社の祭神は、石土毘古[いわつちびこ]――伊邪那岐・伊邪那美より産まれ出た、由緒正しき、土石を司る神である。
( ……そして、エアーズロックは一枚岩という違いはあるけれども、石の神である石土毘古神と神体山である岩槌山は面白いほどに符合する。――神州世界対応論。あながち一笑には出来ないかも知れないわね)
 合図を送ると、警務隊2班は神社敷地内へと足を踏み入れる。勘付いたノノと大尾田が、そして第15041班が警戒しつつ続いた。
「……ここが本殿」
 寂れていたが、何故か感極まるものを受け止めて和子は社殿を見上げる。――瞬間、
「……ッ!」
 活性化に似た痛みと痺れが全身を貫いた。和子だけではない。玲も、ノノも、そして石丸も眉間に皺を寄せて痛みと痺れに耐えている。そして幻聴。
『 ……我を解放せよ。跳梁する闇より、我を解き放て』
 脳裏に浮かんだのは暗雲に包まれた山の頂。燃える三眼を持つ“何か”が鎌首をもたげて嘲笑っている。
「――風が嫌な臭いを運んできたっス!」
 幻覚に囚われていたのは一瞬。風の感触の違いから異変に気付いたのは玲とノノだった。遅れて、先程のとは違う痛みを伴って憑魔核が活性化する。
「……来たぞ。各人、身を隠して逃げる用意だ」
 何処からともなく聞こえてきた笛のような音に、一同は身を屈めて遮蔽を取った。外れた音程が狂ったように甲高く響く笛のような音。木々の葉が合唱するかのようにざわめいた。大尾田がカメラに収めながら、
「――あ、あれがまさか!?」
「そうだ。あれが……フライング・ポリプだ!」
 消えたり顕れたりを繰り返す、半ポリプ状の浮遊物体。翼を持たずして空を飛び、絶え間なく癌細胞のように肥大した体から触肢を出したり引っ込めたりしている。また発声器官らしきものもないのに、どこからとも無く風と音を吹き出していた。
「何だ、心が騒ぐ……」
 何故か心踊るものを感じて、思わず大尾田は叫びそうになった。だが大声を出して気付かれればアウト。フライング・ポリプの数は3。高位下級に位置付けられた超常体は1匹でも数個班に相当する。
「……逃げられそうにもないわね」
 位置取りを頭に浮かべた和子は呟く。手信号で部下に背負わせていた器具を準備。また携帯情報端末を開いて、緊急通信。運が良ければ付近を探索しているだろう他部隊が応援に駆けつけてくれるかも知れない。
「――どうするっスかね」
 伏射ち体勢のまま89式5.56mm小銃BUDDYで狙いを付けながら、ノノは漏らす。
「このまま見逃してくれれば、それに越した事は無い。正直言って相手が悪過ぎる」
 報告によれば武器は発する風と触肢。対象を吹き飛ばすのでなく逆に引き寄せる、おかしな風だ。そして触肢に撫でられた対象は瞬時に罅割れて炭化する。問題なのは、銃弾の効果が一切無いという事。
「……しかし、観察すればするほど変な話だ」
 記録画像を充分に撮った大尾田は、得物をカメラから対人狙撃銃レミントンM24に変えて照準眼鏡を覗き込んだ。銃弾の効果は無いとされるが、7.76mmNATOならばどうだろう? フライング・ポリプを捉えたが、そこで疑問を発した。
「――超常体といえども、この世界の物理法則から基本的に外れる事は無い。体組織はこの世界にあるものばかりだ」
 故に死骸は消えずに、放っておけば腐るし、また適していれば食用に回される。
「……憑魔能力の発動原理も怪しいものだが、一応、能力自体は物理的に解明されているものが多い」
 精神効果のある祝祷系にしても可視光線を操作して、感覚器官を惑わすものだし、視覚からの刺激で催眠誘導するものだ。幻風系にしても空気分子を振動させて音を発したり、気流を操って空を飛んだりする。結局は物理法則から極度に逸脱しているものは無い。
「――ならば、フライング・ポリプは何だ? まさしくラヴクラフトが記したような狂気と悪夢の産物としか言いようが無い」
 消えたり顕れたりを繰り返す、肉塊。重力を無視して宙に浮かび、引き寄せる風を吹き出す。物理法則を無視した、もしくは逆らっている能力。
「何にしても考察は後。今は切り抜ける事が肝心ね」
「……あれ? そういえば、りゅーちゃん士長は何処に隠れたっスか? 視界内にはいないっスけど」
 ノノの疑念に答える者は無かった。石原本人からも応答が無い。慌てて陸曹長が個人携帯短距離無線機で各員の位置を確認。
「――石原士長、応答せよ。石原!?」
「……陸曹長、敵が勘付いたわ。応戦体勢に!」
 癇に障る音を奏でながらフライング・ポリプが引き寄せる風を吹き出す。隠れていた場所から引きずり出された班員が悲鳴を上げた。
「――各員、射てっ! 効き目が無くても良い! せめて敵の注意を散らせろ!」
 玲がMINIMIで5.56mmNATOをバラ撒く。負けじとノノがBUDDYの連射。が、観察眼に優れる大尾田は吐き捨てるように呟いた。
「――駄目だ、効いていない」
 着弾の衝撃で揺らぎはするけれども、フライング・ポリプ自身の健在は変わらず。今はこちらの勢いに押されているが、弾が尽きればなすすべも無いだろう。切り札として和子が準備していた火炎放射器が向けられたものの、
「――! まさか、炎も駄目だなんて……」
 炎を浴びたフライング・ポリプの体表面が崩れた時には歓声が上がったものの、すぐに悲鳴に取って返られた。焦げた体組織を脱ぎ捨てただけに過ぎず、新たに顕わになった表面は無傷に近い。
「……勝ち目が無い」
 焦る一同に、だが時は無情だ。素早く弾倉を交換して撃ち続けても、足止めにしかなっていなかった。
『――救援に来たぞ!』
 天からの救け! 見上げれば、大空が駆る大型輸送回転翼機MH-53MペイブロウIVが照射してくれていた。米海兵隊の大型侵攻輸送用回転翼機CH-53Eスーパースタリオンや、SBUの掃海輸送回転翼機MH-53Eの兄弟機に当たり、大量の物資や人員の空輸だけでなく、装甲板を取り付けて火器を搭載する事で、戦闘捜索および救難を可能にせしめる大物だ。――が、
「――降りてくるな。死ぬぞ!」
「とにかく、そこから撃ちまくってくれ。風に気を付けろ!」
 ハッチから降下しようとした支援戦闘要員を押し止める。状況を理解した支援戦闘要員はMINIMIで上空から5.56mmNATOを撃ち込んで行く。今のうちに撤退をすべく走り出す一同。――それを笑い飛ばす輩が出た。
「HAHAHAHA! お困りのようだね、諸君!」
 いつのまにか社殿の屋根に立っているのは、蝙蝠を模したアイマスクをして、全身は硬質ラバー製と思われるボディスーツに身を包んでいる怪人。
「出たっスね、蝙蝠男! 今更になって!」
「その、ショッ●ー怪人みたいな呼び名は、よしてくれ。――そうだな、私の事は……」
 何故か、ポージング。笑顔に白い歯が光った。
「――へ・ん・じ・ん・バット! 蝙人バットと愛を込めて呼んでくれ!」
「……どうでもいいから、この場を何とかして」
 玲がMININIを振り回しながら冷静に蝙人バットに要求。皆も頷くと、
「仕方無い。特別サービスだ! ――必殺、デンジャラス・スパーリング・アタック!」
 蝙人バットが両腕を翼のように大きく左右に広げると、電撃が周囲へと放たれる。落雷に慌てて逃げ惑う一同。大空もペイブロウを緊急回避させる。
「……って、無差別範囲攻撃は止めろっス!」
「だがフライング・ポリプに効いている!」
 先ほどまでの頑強さが嘘のように、電撃を受けたフライング・ポリプは脆くなっていた。雷撃を受けた箇所が肉片となって飛び散ると、金切り声を上げてフライング・ポリプは急速に後退――逃げ出していく。
「……スタンガンが有効そうっスね」
「近接ならばスタンロッドも良いかもしれないわね」
 呆然と感想を述べ合う、ノノと和子。そして気付いた時には、蝙人バットは消えていた。代わるように見付かったのは……
「――陸曹長。石丸を発見しました。……失神しています」
「――叩き起こせ」
 どやされて申し訳無く謝っている石丸の姿に、ノノは疑いを強くしていく。だが蝙人バットと同一人物という確証はどこにも無い。というか、あのラバースーツを何処に隠し持っていたかすら判らないし。
「……謎っス」
「謎というならば――あなたも聞こえたわね」
「解放しろという声っスね? でも石槌山の頂に向かうには、西条からは難しいっスよ」
 登山ルートは、西条方面の成就社からと、伊予方面からの土小屋遥拝殿の2つに分けられる。しかし成就社へは隔離前はロープウェイを利用していたが、
「……今もロープウェイが存在している可能性は極めて低く」
「また。残存していたとしても稼動出来ないっス」
「……となれば伊予方面からしかない」
「他にも手立てがあると思うけど……」
 和子は笑みを浮かべると、上空待機するペイブロウに手を振った。確かに空を飛べば、あっという間に辿り着けるだろう。だが気掛かりはある。下手をすれば撃墜される危険が高い。だから航空科へ無理強いは出来なかった。
「――そういえばモコイやヨーウィーの大量死が確認されたのは西条ではなく、伊予だったな。……何故、おれはここに居るのだろう?」
 大尾田が首を傾げる。飽きれたようにノノは、
「……知らないっスよ。夢のお告げとかじゃ?」
 2人の遣り取りに苦笑しつつも、和子は蝙人バットの動向に一層の警戒を抱くのだった……。

*        *        *

 陸自出の上級幹部と、海自出のSBU分遣隊長との間でようやく折り合いが着いたのは4月中旬に入ってからだった。
「……まったく。潮と同じく、時の変化も早いのは同じ事じゃろうに。時間を与えれば、それだけ不利になると何故判らん」
 有馬のぼやきに、北条もまた憤りの表情で同意。攻略部隊は、小松島競輪場跡地に陣を敷くと本格的な攻略へと乗り出した。敵超常体もすぐさま応戦をし、神田瀬川を挟んで県道178号線と南小松島と新港を結ぶ橋上では激しい銃火が交わされていた。
「――いかんな。このままではミリカホールに取り付く事も出来んぞ」
 SBU高知分遣隊第9班イ組は、旧小松島海上保安部庁舎攻略を目標とする本隊とは別働して、生存者の確認と救出に動くつもりであった。通称ミリカホール――小松島市保健センターはSBU徳島基地に隣接しており、その内部設備ともども今も健在である。だが当然、敵超常体は見逃す訳もなく有効利用しているようだった。これだから魔人兵を相手にすると分が悪い。魔人は単体(戦車や戦闘機等も含める)において最強の戦力である。何故なら、彼等は(当たり前だが)人並みの知恵があり、知識があり、武装するからだ。武装して無くとも、身体其のものが凶器である。
「……上流から回り込んでいるはずの部隊はどうなっておるんじゃ?」
「――低位超常体多数並びにビーストデモン、魔人兵の反撃に遭い、足止めされている模様!」
「……組長! ビーストデモンがこちらにも向かってきています!」
 悲鳴を上げる部下達を、一喝して落ち着かせると
「ミリカホールに取り付く事は出来んかったが、陽動としては問題なかろう」
 向かってくるビーストデモンの巨体へと89式装甲戦闘車ライトタイガーの砲塔両側面に搭載された79式対舟艇対戦車誘導弾が発射される。重MATの直撃を与えたところに駄目押しとばかりに有馬は担いだ84mm無反動砲カール・グスタフからHEAT対戦車弾を叩き込んでやった。口の端に笑みを形作っていた有馬に、探知を買って出ていた北条が叫ぶ。
「――師匠! 敵魔人も接近! 数は2、強化系と異形系のペア」
「……む。魔王は来なかったようじゃな――って、あの2人に射撃体勢をとらすな! パンツァーファウストが来るぞ」
 悲鳴と怒号が走る。車載されている74式7.62mm機関銃が荒れ狂った。敵魔人が抱える110mm個人携帯対戦車榴弾パンツァーファウストIIIが炸裂してしまったら、こちらも被害を抑えられなくなる。集中砲火を浴びせ、更にはタイガーが35mm機関砲という咆哮を上げた。対岸で灰燼が舞い、視界が遮られる。周囲の超常体を巻き込む弾雨と砲撃に、さすがに沈黙した。
「――やったか」
「……師匠、まだ1体残っています!」
 地を這うような異形系魔人の動き。視界が遮られた一瞬の間隙を突いて肉薄してくる。北条の叫びが無ければ恐らく間に合わなかっただろう。折畳銃床式BUDDYを突き付けてくる腕を押さえて、
 ――憑魔覚醒。侵蝕開始。半身異化状態に移行。
 押さえる掌から力が発せられて、異形系魔人の腕が石化していく。硬直した指がBUDDYの引鉄を絞る事は無い。そのまま腕を伝って全身へと細胞組織が石化していくところを、
「――むっ! その覚悟、見事じゃ!」
 異形系魔人は痛みに躊躇せずに、刀拳で石化部位を切断。そして有馬が詰め寄る前に大きく退いた。北条が追い討ちを掛けるべくBUDDYを突き付けるが、
「――ッ!!」
 突如として北――小松島ステーションパークから広がり、押し寄せてくる痛みと衝撃に息が詰まる。有馬も北条も脂汗を流しながら崩れ落ちてしまった――強制侵蝕現象。幸いにして非魔人の部下が援護射撃を加えてくれた御蔭で、異形系魔人は反撃の機会を逃し、悔しさをにじませながらも退いてくれたが。
「……師匠、大丈夫ですか?」
 いち早く回復した北条が、有馬の乱れ狂いそうな憑魔核を整調してくれた。荒い息を吐きながら、有馬は奥歯を噛み締める。別方面から敵地に侵入した部下を想った。
(孫よ……。死ぬ事は許さんっ!必ず、生きて戻るのじゃぞ!)
 異形系魔人は退いたが、先ほどの強制侵蝕現象に攻守逆転。超常体が活気付き、猛反撃に出てくる。
「――ここは退くが勝ちか……?」
「師匠! あの馬鹿からようやく合図ありました」
 必至に応戦していた北条が彼方に、救難信号キットに備えられている発煙筒からの合図を指し示す。目視した有馬は頷くと、
「――許可が下り次第、後退する。各員、仲間を見殺す事無いよう撤退の準備開始」
 怒鳴りながら、M16A2閃光・音響手榴弾のピンを抜くと、レバーを外しながら放り投げた……。

 小松島ステーションパーク跡に乗りつけた96式装輪装甲車クーガーから第15063班が降りて、素早く展開。たぬき像を横目にしながら、散坂の合図で駆け抜ける。上流まで迂回した第15063班は途中で荷物を降ろすと、そのままステーションパークからの突入を試みたのである。敵超常体は攻略部隊との応戦に掛かりきりで、南側に多く集まっている。このまま一気に要救助者の元へと辿り着こうという散坂だったが、
「……そうは問屋が卸さねぇんだ。第一、俺様のライブ演奏を無視して先に進めるはずがねぇ」
 髪を逆撫でにして固め、耳には星型のピアスをした男が、アコースティックギターを片手に通せんぼ。袖まくりをした腕へと多重に絡まっていた貴金属のリングが、身震いする度に耳障りな音を奏でている。
「……デカラビアだったかな?」
 眉を潜めながら散坂が問い掛けると、
「応さ! だが俺様はただのデカラビア様じゃねぇ。スーパーで、エクセントリックなデカラビア。略して――スパエク・デカ!」
 ……馬鹿だ、馬鹿が居る。散坂はわざとらしく大きく溜め息を吐くと、
「人間だった頃の記憶が未だ残っているのか……恐らくは電脳遊戯や、絵物語の類が好きな若者達であったのだろうな」
「何、そこ、俺様を不憫そうな目で見ていやがる!」
 デカラビアは猛抗議するが、散坂の援護射撃をしたのは意外な人物。
「……無理はないでござろう。オヌシを見ていればカワイソウに思えて仕方無し」
 班を挟み込む形で、通り過ぎた脇路から現われた男は、鮫のような眼差しでデカラビアを見遣る。
「テメェだって同類だろうが! 第一、俺様のパンクでロックな魂が解ってたまるか」
 向けられたBUDDYを意にも介さず、罵るデカラビアと、重い溜め息を吐く鮫顔の男フォルネウス。
「……しかし、今頃、アコースティックは無いよな」
格好だけで、何処がロッカーなんだか」
「見掛け倒し。攻撃的ファッション性は脆弱さを隠す裏返しとも言いますしね」
「……へなちょこ」
 ここぞとばかりに、第15063班員が口々にデカラビアを評価。デカラビアは瞬時に沸騰。顔を真っ赤に染めると、
「――てめぇら、いい度胸だ! 英語で言うと、ナイス度胸!」
「……英語ではござらん」
「うるせぇっ! フォルネウス、こいつ等は俺様が直々に殺す。てめぇも雑魚魔人も手出しするな!」
「……好きにするが良かろう」
 デカラビアはギターを構えると、ピックで弦を弾く。そしてシャウト!
「――俺様の歌を聴けっ!」
 空間が震動し、そして指向性を伴って爆発する。だが事前に察した第15063班員は、爆発に巻き込まれる前に背を向けて逃げ出していた。フォルネウスが逃げ道を防ぐかと心配したが、
「……行け」
 一瞥されただけで難無く脇を通過していく。そんな第15063班員を喚きながら追い掛けていくデカラビア。
「……安易な挑発でござる。茶番にて候」
 フォルネウスは独り残った散坂に向き直る。
「して、ヌシは独りでソレガシを引き止めておくつもりでござるか」
 散坂は無言で半身に構える。失った右腕を後ろに、無骨な鉄の棒で形造られた左義足を前に。対するフォルネウスは構えを取らず、だが目を細める。――瞬間、散坂の左義足が土を蹴り、石は炎の飛礫となってフォルネウスを襲う。身をかわすフォルネウスに詰め寄ると、左貫手を炎の矢尻と化しての猛き攻め。フォルネウスは背に隠し持っていたのか、流れる動作で貫手を刃に当てる。そのまま外に払って、内へと潜り込もうとするフォルネウスに、散坂は失ったはずの右腕側を前に出した。……手足を失った者は、しばしば、それが未だ在るかのような感覚で動く事があるという。散坂の動きもそれかと踏んだフォルネウスだったが、
「――古流・荒神、零式・改」
 炎で形造られた右腕の先は、鋭い貫手となってフォルネウスの胸部へと吸い込まれていった……。

 ミリカホール北側に位置する旧警察官舎(現SBU隊員寮)A棟とB棟の間を縫って、大山が駆け抜ける。第15063班に途中降ろされた大山は、有馬他――主力が攻め立てている南側、2柱の魔王を引き付けてくれている散坂の西側からの奇襲。これらに助けられる形で突き進んでいた。ボディアーマーに身を包み、防弾シールドと重火器をそれぞれの腕に保持する大山を見咎めるモノはそう居ない。
 事前に監禁場所と推定していた目的地に辿り着くと、手にする96式40mm自動擲弾銃で遠慮無く壁をぶち抜いた。崩れ落ちる瓦礫を意に介さず、突入を図る。ここまでやったら、後は強引に推し進めるしかない。
「――何? ……『一人戦車』かっ!」
 爆発音を聞きつけ、様子を見に来た元SBU女性隊員――現・敵魔人兵が大山の姿に目を見開いた。同じSBU隊員だ。基地は違っても、大山の噂は聞き及んでいたらしい。大山の徒名を叫ぶと、黒色の立入検査服装にボディアーマーを着込んでいる彼女は、手のH&K MP5A4サブマシンガンを躊躇わず発砲。だが防弾シールドとボディアーマーに護られた大山の勢いを9mmパラペラム程度で止められるはずがない。舌打ちしてMP5A4を捨てると、敵魔人兵は掴みかかろうとしてきた。
( ――確か、彼女は爺ちゃんと同じ地脈系!)
 掌握されれば、如何に大山が防御を固めていようと一瞬にして粉砕される。大山は腹の底からの雄叫びを上げると、突進を更に加速。地脈系魔人兵の手を、触れられるかどうかの紙一重でかわすと奥襟を掴んだ。反射的に身構える所作を逆利用しての倒し技――大外刈りを決める。背中から倒れていく彼女は受身を取ろうとするが、大山は身体を背に回り込むと掌を合わせる形で両手を組み、前腕を相手の喉に当てる。完全に決まった技はもがく間も与えずに絞め落とす。魔人といえども(異形系を除けば)体構造は変わらないのだ。
「……御免」
 股間を濡らして気絶している敵魔人兵を見下ろして謝ると、大山は先を急ぐ。事前の調査では、由良の同期だというから、彼女が監視役だったのだろう。本当ならば射殺許可が出ているが、由良の目の前で友人を殺す事になるのは忍びないと大山に躊躇いが生まれ、結果、逃げ出すように由良の探索に移る。由良はすぐに見付かった。
「…………Zzz...」
 美しく長い黒髪の少女がマンボウのヌイグルミを抱えて眠っていた。寝巻き代わりのシャツが乱れており、決して胸は豊かではないが、それでも見える女性の肌に、大山は思わず赤面。気配を感じ取ったのか片手で寝惚け眼をこすり、もう片手で伸びをしながら由良は起き上がる。
「……おはよう、積ちゃん」
「――あっえーと……助けに来た。って僕の事を?」
「うん。知っているよ、夢の中で見ていたから」
 欠伸をしながら立ち上がる由良。
「……夢?」
「うん。積ちゃんが来るまでに色々な夢を見たよ。夢の中で、あたし、お魚になって、大きな海のお母さんと一緒に泳いでいたの」
「――海のお母さん?」
「海のお母さんは、陸のお父さんを待ち焦がれていたの。むかしむかし、偉い人に離れ離れにさせられたんだって。でも、ようやく逢えるのね。『約束』の日はもうすぐだから」
 適当に拾った制服を着ながら由良は話し続けるが、大山は目のやり場に困って、しどろもどろ。
「……でもね、虹色の蛇も語り掛けてくるの。『お前は今、分岐点の前に居る』って。蛇に誘われて空を泳いでいたら、女の子が暗い洞窟の奥底に下りていくのが見えたよ。女の子の後ろ姿を、綺麗な顔立ちの、でも厭らしい闇を抱えた男が眺めていたけど……あたしの存在に気付いてビックリしてた」
「と、とにかく――ここから脱出する」
「うん、りょーかい」
 着替え終わった由良を連れて外に出る。由良は気絶している友人に手を振り、「またね★」と挨拶をしていた。大山は救難信号キットを発信した。
「……散坂一曹達も御無事なら良いが」
 大山の独白に、由良は小首を傾げると、
「――駄目。オジサンは由良のお友達に殺されちゃったみたい。……ゴメンネ」

 炎の貫手は、フォルネウスの胸部に吸い込まれ、内臓を焼き尽くすはず……だった。驚愕に散坂の目が見開かれる。――フォルネウスが中に着込んでいた抗弾チョッキすらも貫いた荒神の手刀を阻んだのは、ヌメリを帯びた粘膜状の物質。炎と熱を発する貫手を絶え間なく粘液が覆い隠し、また逃がしていく。
「――氷水系」
 ある種の両生類は体表面の粘膜で、高熱・猛火の中でも僅かな時間だが動き回る事が出来るという。サラマンダーの由来である。似たような原理でフォルネウスは散坂の一撃を防ぎ、また動きを止めたのだ。
「……用心の為に備えて無ければ危うかった。残念でござったな。これがなくともソレガシとオヌシとでは相性が悪過ぎた。憑魔の相生相剋関係――オヌシのと違って、ソレガシのは一撃で死に至らしめる」
 不可視の刃が放たれた。それがフォルネウスの力で生み出された極薄、高圧の水と解った時、散坂の頭は宙に舞っていた……。

 ――由良の救出に成功したが、2柱の魔王は健在。また頑強な敵超常体の反撃に遭い、SBU徳島基地攻略は果たせなかった。
「……そうか。散坂一曹の生死は不明か。いや、解っておる。敵地に独り残って無事でいられるはずがあるまい。――また1人、わしは戦友を失ったか」
 何とか脱出に成功した散坂の部下達から悔し涙を見せながらの報告を受け、有馬は呟いた。デカラビアとフォルネウスを引き離したものの、手も足も出ずに逃げるしか出来なかったという。散坂は部下の生存を最優先と考えていたようで切り札のカール・グスタフや破片手榴弾を全て預けていた。またデカラビアが放った強制侵蝕の空間震動に対しても、魔人がいなかった事が逆に幸いして逃げ切れた一因でもあったようだ。
「――デカラビアに銃弾は全く通用しません。全て反射されます。またHEAT砲弾すらも反射こそされませんでしたが、無傷でした……」
 多くの犠牲を出しながらもクーガーに辿り着いた彼等はそのまま散坂の死も確認出来ぬまま逃げ出したらしい。
「……死に場所を求めていたとはいえ、余りにも早過ぎはせんか、孤士郎よ――」
 哀しみを堪えながらも、有馬の目尻には光るものを隠せなかった……。

*        *        *

 武器科のオヤジはケースを粗雑にテーブルの上に置くと、顎をしゃくりあげて確認するよう促してきた。ケースを開ける三笠の手が震え、知らずに喉を鳴らして唾を呑み込んでいる。
「これがバーレットM82」
 全長約145cm、重量約13kgのセミオート式で12.7mm×99弾を用いる対物狙撃銃。焼夷弾や徹甲弾等の各種弾頭の使用も可能。銃口には大きめのマズルブレーキが付いている。重量がある為、伏射姿勢が一般的。
「……対物狙撃銃は、分隊支援火器や多目的機関銃、重機関銃、それにロケットやグレネードランチャー等と同じ重火器に分類している。功績で手に入れたいのなら、そちらだ。武装リストの『陸上自衛隊の装備』に主要分類例が出ている」
「――誰に言っとるんや?」
 武器科オヤジのメタ発言に、律儀にツッコミを入れてから三笠はバーレットを手にした。
「……で、これからどないしようか?」
 高知駐屯地に戻った三笠は思案に暮れる。徳島の剣山での収穫は無かった。聞けば、愛媛の石槌山方面で動きがあるようだが……。
「――何だ? バーレットなんか求めていたのは、大海獣を倒す為かと思ったぞ」
「……何、冗談言うてはるんや?」
 笑い飛ばしてから、三笠は顔を蒼褪める。
「レヴィアタンも動き出したんか!」
 七つの大罪が1つ“嫉妬”を司りし大魔王 レヴィアタン[――]。1999年に太平洋グァム島沖に出現し、迎撃に当たった米海軍第7艦隊を敗走せしめた海竜。ワニのような大きな顎に、蛇のような首、そしてクジラのような巨体と、亀のような甲羅。目撃者によれば、巨大な首長竜型海獣だったという。戦術核の爆発にも耐えた、本物の怪獣だ。
「――土佐清水の通信隊が確認した。現在、足摺岬。巡航速度は遅いが、今月下旬には室戸、来月上旬に蒲生田岬。そして……」
「来月中旬辺りにはSBU徳島基地やな」
 三笠の言葉に、武器科オヤジは首肯する。
「高知だけでなく普通寺も慌てている。とはいえ、宮島や徳島SBU基地の攻略戦も同時進行している為、四国SBU全隊を迎撃に回す訳にもいかないそうだ」
「……どこも大変やなぁ」
 思わず、他人事のように呟いて見せるのだった。

 

■選択肢
Oce−01)愛媛・伊予方面から石鎚山に
Oce−02)愛媛・西条方面から石鎚山に
Oce−03)蝙人と追跡/調査/対決する
Oce−04)石丸隆児士長の記憶を探ろう
Oce−05)SBU徳島基地奪還(戦略)
Oce−06)2柱の魔王を攻略す(戦闘)
Oce−07)SBU高知基地で巳浜由良と
Oce−08)大海獣レヴィアタン迎撃準備
Oce−FA)四国地方の何処かで何か


■作戦上の注意
 当該ノベルで書かれている情報は取り扱いに際して、噂伝聞や当事者に聞き込んだ等の理由付けを必要とする。アクション上でどうして入手したのかを明記しておく事。特に当事者でしか知り得ない情報を、第三者が活用するには条件が高いので注意されたし。
 選択肢-06と-07の違いは、06が徳島基地攻略を主体としたもので、戦略・戦術的役割を重要視する。07は特に対魔王戦を最優先したものである。06でも対魔王戦に参加出来ない訳でもないが、07よりは戦闘に集中出来ないと考えて欲しい。また救出・保護された巳浜由良は検査の為に5月上旬までSBU高知基地にて待機中である。攻略戦に参加しないので注意する事。
 なおスタンガン並びにスタンロッドは、ハンドガンと近接武器と看做し、消費功績Pも同様とする。ただし備え付けバッテリーの使用はそれぞれ3回分まで。予備バッテリー(3回分)の交換を必要とする。予備バッテリーはこれまた予備弾倉と同じ扱いとなる。

※註1)第14飛行隊……現実世界では第2混成団から第14旅団への改編に伴い、海上自衛隊徳島航空基地に併設する形で2009年度までに新設置予定。なお普通寺駐屯地近郊に基地を誘致する動きもあったらしい。
 神州世界では超常体と地勢状の問題から早い段階で設置されている。ただし「15」が割り振られる予定であったが、色々あって「14」に。

※註2)もえたん……三才ブックスより発売された英語学習と二次元アニメ調美少女を組み合わせた参考書。2003年発売なので当然、存在していない。
 現実世界で2000年以降の作品は、神州世界では存在しないものが多いのに注意(※幾つかの性格タイプを除いてキャラクターが其れを知る手段は無い)。


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