第六章:ノベルス


同人PBM『隔離戦区・神州結界』 第6回 〜 九州:アフリカ 其伍


C6『 会 心 の 衝 撃 』

 
 栄養補給用の間食として配られたパック入り流動食を吸い込みながら、手作業を休め無い。機器に不具合が無いかを入念に確認し終えて、ようやく神州結界維持部隊西部方面航空隊・第3対戦車ヘリコプター隊第385組長、片山・紫(かたやま・ゆかり)は一息吐いた。油汚れに塗れた手を差し出されたタオルで拭う。
 信頼出来る整備員達に任せているとはいえ、やはり機体には操縦手の癖が染み込んで来るものだ。勿論、整備の専門家を無視して弄り過ぎるのは問題だが、操縦手の意見も聞かずに措かれるのも困ったものだ。
 紫は愛機である攻撃回転翼機(ヘリコプター)AH-1Sコブラを誇らしく見上げた。F転(※戦闘機操縦士から他の職種へ転向する事、また転向した者の事を言う)になって数ヶ月が経つが、今ではすっかり愛着が沸いてきた機体だ。
「そうは言っても、イーグル・ドライバーやファントム・ライダーに返り咲くのが夢なんですけどね〜」
 イーグル・ドライバーとは要撃戦闘機F-15イーグルの操縦手、ファントム・ライダーとは要撃戦闘機F-4EJ改ファントムの操縦手、其れ其れの尊称である。
 尤も前者は極めて高価、後者は老朽化が激しい為に、近い将来に拝領する事は無いだろうと紫自身も諦めの境地に至ってはいる。
 其れはさておき、第385組は先月来に続いての稼動・警戒態勢を維持していた。
 旧信愛女学院に立て篭もっている ゲーデ[――]に対する直接的な攻撃は難しい為に、内部に攻め入る役割は編制中の選抜部隊に任せ、外部への警戒に当たる事を自らの役割と割り切ったのである。
「 …… 外部からの敵超常体の支援が行われない様に警戒。増援を排除していきます」
 紫の言葉に、射手兼副操縦手や整備員達が深く頷いた。後方支援役に腐る事無く、自らに出来る事を誇りを以って、ただやり遂げていくだけだ。
「ゲーデ攻略作戦には参加出来ませんけど、待機も重要な役割の人ですしね」
 苦笑混じりの紫だが、
「いや。待機ばかりとは限らないかも知れない」
 眉間に皺を寄せたまま、熊本城警備部隊長(小隊長:二等陸尉)が顔を覗かせた。
「片山三曹 …… いいや。そう言えば二曹に昇進したのだったな。おめでとう」
 敬礼する紫の袖に縫い付けられた略章に、一瞬だけ顔をほころばせる警備部隊長。だが、直ぐに顔を固くして、
「片山二曹に折り入って、相談しておきたい事があるのだが。…… 余り気分の良い話では無いが」
 警備部隊長の物言いに、紫も顔をしかめる。
「先の、放送を聞いていただろう」
「ええ。あの叛乱部隊の …… 」
 天草叛乱首謀者、松塚・朱鷺子[まつづか・ときこ] ―― 処罰の七天使が1柱“ 神の杖(フトリエル)”の爆弾発言を受けて、神州各地の部隊は大混乱に陥っていた。元より隔離された国土で、勝ち過ぎず負け過ぎずの果てしなき戦いを強いらせられていたのだ。潜在的な不満は誰しも有していた。朱鷺子の爆弾発言は、其の堪忍袋に止めを刺したも同義。各地で朱鷺子に賛同すべく叛乱決起する者、また脱柵・離反する者も多く出ているという。
「 ―― どうも一部の空気が悪く感じられる。もしかしたら健軍の西部方面総監部から通達された熊本城への人員・物資移送が仇になる可能性がある」
「叛乱や暴動が城内で起きる危惧があるんですね」
 紫の問い掛けに、警備部隊長はバツの悪い顔をしたまま、短く頷いてみせた。
「篭城戦が予定されている現状で、人員や物資の喪失は致命傷になる。城を失えば尚更だ」
 ちなみに熊本城の天守閣が焼け落ちたのは、西南の役での戦火ではなく、原因不明の失火である。
「 ―― ましてや、此処には藤崎八旛の九州結界とやらもある。セクハラ大魔神と悪評を得ているが、ああ見てもゲーデは腐っても高位上級の超常体だ。効果の程は兎も角、松塚の叛乱に煽動された者達が狙わないとも限らない」
「 …… 其んな話を何故、私に」
「城内で一番機動力があり、また攻撃力が高いのは、片山二曹のアタックヘリ隊だ。対空武器は把握しているだけでも、此方で押さえておく。―― だから、いざという時は頼むぞ。責任は私が持つ」
 警備部隊長の真剣な眼差しに、紫は一度目を伏せる。だが再び開いた時には力強い光を怯えていた。
「片山以下、第385組は、此れより熊本城の厳重警戒態勢に移行致します! ―― 状況開始ッ!」

*        *        *

 二ヵ月ぶりに会った上官は、やや頬の肉がこけてはいるが、全体的には前より引き締まった雰囲気を身にまとっていた。敬礼をして出迎える。
「 ―― お久しぶり! 堂屋敷警部!」
 有坂・みゆ(ありさか・―)二等陸士の言葉に、西部方面警務隊所属、堂屋敷・助五郎[どうやしき・すけごろう]三等陸尉は答礼を返しながら、笑う。
「ああ、自分の事を思い出してくれて助かった。もしかしたら、此のまま呼び出されずに、自分の預かり知らない処で事件が解決すると不安だったんだ」
 堂屋敷の嘆息に、みゆは朗らかに笑うと、
「本当にお勤め、御苦労様! …… 網走刑務所の居心地はどうだった?」
「何で、網走か。熊本にも刑務所はあるぞ! というか、其れだと自分は犯罪者扱いじゃないか!」
「警部、あたしを襲おうとしたじゃない。強姦未遂。しかも未成年者への猥褻行為」
 猫目チックな瞳を輝かせ、みゆが意地悪な指摘をする。堂屋敷が一瞬言葉が詰まった。
「あれは …… 其の、ゲーデに操られてだな」
 紅潮した顔で、しどろもどろの堂屋敷。
「さて。警部を虐める冗談は兎も角」
「 …… 虐められていたのか、自分は」
 気落ちする堂屋敷を無視して、みゆは続ける。
「本当に大丈夫? また操られたら …… 」
「大丈夫だ。憑魔を自分の支配下に置ける様に、精神修行をしてきた。…… させられてきた」
 暗い表情を浮かべる堂屋敷に、みゆは何故か心配になって口を挟む。
「 …… 大宮の化学学校に送られたんだよね? それとも三宿の衛生学校?」
 みゆにとってはちょっとした興味で、深い意味は無かったのだが、堂屋敷は虚ろな瞳で、
「 …… 習志野」
「空挺に!」
 思わず悲鳴を上げる、みゆ。
 第1空挺団。長官直轄の機動運用部隊で、前世紀では日本唯一の落下傘部隊(エアボーン)。名言は『空挺なめるな!』と『細心大胆』。信条は『精鋭無比』。東部方面隊第1師団・習志野駐屯地に所在。訓練が苛酷な為『第1くるってる団』もしくは『あぼーん』等と呼ばれる事も。
 何で、憑魔に寄生されただけで、其の様な苛酷な部隊に編入されたかは解からないが、堂屋敷が精悍な雰囲気を漂わせている理由としては納得出来た。
 だが、青褪めた表情のまま頭を振ると、
「 ―― 特戦群」
「えっー! 『精強無比』のっ!」
 特殊作戦群。魔人や高位超常体、ゲリラ・コマンド制圧を目的とした、長官直轄の特殊部隊 …… という噂だ(※ 註)。
 堂屋敷は冷たい笑みを浮かべると、
「詳しくは語れないんだが …… 其処でみっちり修行してきたから、多分大丈夫だ」
「そっ、そうですね。其れに、今回はあたしも氣が使える様になったので、警部がもしも操られたとしても正気に戻せるかと。有馬陸士も操氣系だし、さらにもう1人、操氣系魔人が志願してくれるとかいう事なので、手は足りているはずだよ」
「そうか。其れは安心だ。…… で、作戦開始時間まで多少はあるが、其の有馬巡査長は? 彼に挨拶と、そして作戦の詳細を直接聞ければと思ったんだが」
「ちょっと野暮用があるって言っていたけど? 作戦案の詳細ならば、あたしも道すがら説明出来るよ」
 みゆの言葉に、堂屋敷は頭を掻く。宜しく頼むとみゆに頭を下げた。
「あ、そうだ。ついでに警部も一緒に手伝って欲しい事が。―― 行動前に熊本城の銅像の数と位置を調べておこうかと。神社とかにたくさんあるそうなので、減っていないかどうかを確認しておきたくて。何となく、加藤清正公のとか怪しいんだよね」
 唇に指を当てて、考える仕草。
「銅像? 何でまた?」
「んーと。追い詰めてもまた乗り換える可能性があるので、ゲーデ本体が逃げ出したら、近くの銅像に先回り、とかしたいかな、と」
「 …… 自分は、銅像には取り憑かないと思うが。関節部が稼動しなければ、意味が無いぞ」
 堂屋敷の指摘に、みゆは暫し硬直。音が聞こえる様なぎこち無い動きで首を向けると、
「 …… 漫画やアニメみたいに、自在に動くとか?」
「 ―― 無理だろ。聞けば、奴が現在依り代にしているマネキンは稼動可能で、自在にポーズを付けられるそうだぞ」
 顔を見合わせると、みゆと堂屋敷は乾いた声で笑うのだった。

*        *        *

 何となく気後れしてしまって、咳払い。
「此んなの、オレの柄じゃないッスよ」
 西部方面総監部のある健軍駐屯地に隣接している、旧陸上自衛隊熊本地区病院。病室の扉を前にして、有馬・亮太郎(ありま・りょうたろう)一等陸士が花束を抱えていた。
 逡巡する事暫し、やっとの事で意を決すると有馬は扉を叩く。
「御免、入るッスよ!」
「 …… えっ。はっ、はい。いや、ちょっと待ってくださ …… 」
 室内の少女の声が止める間も無く、というか緊張の余り理解出来ず、有馬は決意の勢いに任せて扉を開いた。―― 直立不動で挨拶。
「オレ、いや、自分は第42普通科連隊第882班所属の有馬亮太郎であるッス! お見舞いに参上 …… あれ?」
 ようやく室内を見た有馬の目に映ったのは、慌てて着替えようとした少女の半裸。紅潮した肌に、純白の下着が良く栄える。いや、純白では無い。パンティにはワンポイント ――
 慌てて視線を逸らす有馬。少女は悲鳴を上げる事も忘れて、
「 …… 見、見ましたか?」
「見てないッス! 熊ちゃんマークのワンポイントなんて見てないッスよ!」
「見ているじゃないですかっ!」
「 …… あ」
 泣きそうな声に、有馬は必死にフォローというか、自己弁護というか、アレだ。性風紀の取り締まりが厳しい神州世界。不可抗力とはいえ、少女に悲鳴を上げられてしまえば、捕縛され、査問会出頭は間違い無い。此れから始まる作戦参加等、以っての外だ。
「いや、其の、何と言うか、本当に済まないです。お詫びに此の花をどうぞ! いや、本来はお見舞いのつもりだったのですけど」
 余りの動転に語尾が、丁寧な『ですます』調になっているのも気付かない有馬。
 だが、少女は泣きそうな顔で睨んではいるが、
「 …… もう、良いですよ。先輩に裸を見られたのは、此れが最初じゃないですし。どうでもいいです」
 そう、彼女は、先の信女突入において、有馬が保護した少女。裸エプロンならぬ裸サスペンダーの。有馬の両眼は彼女の恥ずかしい秘部を凝視し、また(ゲーデの影響もあったとはいえ)押し倒して、燃え滾る昂ぶりをぶち撒けようという劣情にも襲われた程だ。何を今更なという少女の投遣りな口調に有馬は焦る。
「というか、記憶が …… 」
「はい。超常体に組み敷かれたり、信女の先輩達には色んな処を舐め回されたり、助けに来てくれたはずのおじさん達(※ゲーデに操られた第883班)には辱められたり …… アタシ、汚れてしまったんだなって。死んでしまいたいなって。だから今更、貴方に裸や下着を見られた処で、どうでもいいやって」
「 ―― 其んな事無いッス! 君は汚れてなんか無いッス! 確かに此んな糞ったれな世界ッスけど、生きてりゃ良い事もあるもんッスよ。だから、死にたいなんて、つまんねー事考えるもんじゃねーッスよ!!」
 有馬の言葉に、だが少女は悲しく俯くばかり、
「でも、此のままでは、アタシ、お嫁に行けません。恋人だって出来もしないでしょうに、此んな汚れたアタシなんて皆、離れていくだけですよ」
「 …… 其んな事無いッスよ」
 労わる様に有馬は声をかける。そして心配となって顔を寄せる。―― 其の時、何か悪寒を感じたのは気の所為か? 思わず身震いしてしまった有馬に、
「 …… でしたら ―― 有馬先輩でしたよね? 責任をとって、アタシと付き合って下さい!」
 飛び込む様に、抱きついてきた。立場逆転。
「 ―― えーっ!」
「アタシの家では、異性に裸を見られたら、相手を殺すか、其れとも結婚するしか無いんです!」
「何処の漫画世界ッスかー!」
 中々に強かな性格だった様だ。
「いや、でも、オレ、此れから作戦開始するんで」
「ゲーデ攻略戦ですよね。知っています。…… 無理を言って、アタシも参加させてもらう事にしました。先生や先輩、同級達の敵討ちがしたいんです!」
 そして少女は襟を開いて、胸元の憑魔核を見せる。
「ゲーデに植え付けられた憑魔核 ―― 操氣系です。お役に立って見せます」
 真剣な表情で、有馬の返事を待っている。打って変わった真面目な空気に、有馬は深く頷いてしまった。
「 ―― 元・信女生徒、真壁・美奈[まかべ・みな]。階級は二等陸士。此れより有馬先輩のパートナーとして、生涯尽くします!」
 敬礼する少女 ―― 美奈を前にして、有馬は天井を見上げるしかなかった。

*        *        *

 愚図ついた天気が続く梅雨時だが、観測班の予測通りに久し振りのまとまった晴れ間が覗いた。
 信女突入ゲーデ攻略作戦が決行されるのと同じ頃、健軍駐屯地の西部方面総監部、そして熊本城内でも事件が発生していた。
 健軍駐屯地に低位上級の有翼人型超常体エンジェルスが襲来。朱鷺子に賛同し、叛乱決起した者達が非戦闘員を人質にして、西部方面総監、加藤・忠興[かとう・ただおき]陸将を狙ってきた。だが予測していた加藤は警衛を指揮して迎撃。人質救出の際に深手の傷を負うものの、死者を1人も出す事無く解決した。
 熊本城本丸天守閣及び二の丸広場でも、朱鷺子に賛同して叛乱決起部隊が物資や弾薬の集積所を襲撃したものの、警備部隊は容赦無く5.56mmNATOを贈呈。但し叛乱者の暴発や、戦闘中の誤射、そして流れ弾で非戦闘員の一部にも死者が出るという惨事にも発展した。
 後日、熊本城警備部隊長は査問会に掛けられたが、弁護もあり、止むを得ない結果であった事が認められた事で、咎無しで収められた ……。
 だが、此れ等の事件は陽動に過ぎなかったのである。

 熊本城本丸天守閣にて暴動が起きている同時刻。
 鎧に似た外骨格に包まれた高位中級超常体パワーと、対照的に透き通る様な肌を持つ高位中級超常体ヴァーチャーが、藤崎台球場跡を見下ろしていた。
 …… 超常体? 否、完全侵蝕されて変形した魔人だ。手には89式5.56mm小銃BUDDYを構えて、周囲を警戒している。
「 …… 此処が、藤崎八旛の九州結界の中心地か。―― フトリエル姉上、ひいては“ ”の御為に、手中に収めねばならん」
「然り。…… 同志や兄弟達が、身を張って、愚か者共の目を引き付けている間に、聖別を ―― 」
 ヴァーチャーの掌から電光が漏れる。其の両手が球場へと向けられ、眩い光が放たれようとした矢先に、
『 ―― 愚かなのは、貴方達です!』
 突如、舞い上がったコブラがM-197 3連装回転式(ガトリング)20mm機関砲を発射して薙ぎ払う。直撃を受けたヴァーチャーが挽き肉となって、宙にバラ撒かれた。
 パワーがBUDDYの引鉄を絞り、3点射。機長兼操縦手たる紫は、コブラを巧みに操ると直撃を回避。そして前座席の射手に命じて、パワーを捉えさせようとした。が、パワーも背に生えた翼で、俊敏に動き回る。
「機動性ならば、サイズの分、此方が上だ! 覚悟!」
 右脇にBUDDYを抱えると、空いた左手に氣で創り出した大剣を握る。鋼板を容易く切り裂くパワーの刃はコブラの胴体を前後に分断しようと迫った。が、
「F転だからといって、舐めないで下さい!」
 紫の神業的操縦。コブラは空中で寝転がる様に、刃から逃げて見せた。更に一気に加速浮上。宙返りをする。此れにはパワーだけでなく、同乗している射手も唖然とする他ない。
 AH-64Dアパッチ・ロングボウが宙返り出来る程運動性に優れているのは聞いた事があるが、コブラでしてみせた人物は世界でも屈指だろう。
 そして宙返りをして、急速降下するコブラの正面には虚を突かれたパワーの姿が。紫は思わず足で蹴って前座席の射手を叱咤。我に帰った射手がパワーの捕捉に成功すると、
「 ―― ファイアー!」
 機長の号令下で、ガトリングが唸りを上げ、更に70mmロケット弾が発射された。パワーが慌てて逃げる間もない。パワーの張った氣の障壁と、外骨格が20mm機関砲弾を弾いてみせたものの、ロケット弾が直撃。爆風で吹き飛ばされていった。だが、其れでも傷付いた翼で何とか宙空で姿勢を保とうしている。
「 ―― 未だ動けるんですか!?」
 流石は高位中級超常体に変質してしまった魔人と言えよう。だが、氣力が保ったのは其処迄だった。続く猛攻の末に、ついに力尽きたパワーは大地に落下。受身も取れずに激突して、動きを止めた。
「 ―― やっと倒しましたよ。でも、あんなのがもう数体いたら …… 」
 唾を飲み込む。本丸防衛の支援に向かっていた僚機と共に、紫は熊本城上空を見張る。
「第2波、第3波を警戒! 敵超城体を寄せ付けないように! 迎え撃て!」
 紫の号令が響く。彼方の空にエンジェルスを確認し、第385組は熊本の空を駆け巡るのだった。

*        *        *

 秒単位で正確に統一された時計が、作戦開始を報せる。信女を包囲していた一角 ―― 壷井橋に配置していた第823班が、96式装輪装甲車クーガーに搭載された96式40mm自動擲弾銃を撃ち放つ。発射された対人装甲擲弾が門扉を破壊すると、BUDDYを構えた普通科隊員達が突入を開始した。M16A1閃光音響手榴弾から放たれる音と衝撃。続いてBUDDYの射撃音が重なり、信女に潜むゲーデ勢力との交戦が発生した事が遠くからでも判った。
『 ―― 甲隊、交戦中。信女玄関口にて敵魔人3名を視認。歳の頃は10代前、信女犠牲者と思われる。死神の姿は無し。繰り返す。甲隊、交戦中 …… 』
『 ―― 此方、第822班。六工橋を引き続き封鎖中。周辺に増援を含む敵の姿無し。警戒を怠らず』
 通信機からの各隊の状況に、信女の裏手たる池田屋ビル前を封鎖していた第882班長(二等陸曹)が頷く。振り返ると、
「 ―― 乙隊。状況を開始せよ」
「乙隊、状況を開始するッス」
 敬礼もそこそこに信女に潜入を図る、有馬をはじめとする選抜隊員達。
「表に集中しているのは、3名。エロ魔神を含めて残り3体程が中に隠れているッスね。手筈通り、自分が単身で先行偵察 ―― ポイントマンをするから後から続いて欲しいッス」
「了解した。バックアップは任せてくれ。だが無理はするな、有馬巡査長」
 有馬の言葉に、愛用のニューナンブM60を片手に堂屋敷が頷く。
「 …… じゅ、巡査長ッスか、オレ。堂屋敷三尉って、噂通りの警察オタクな人なんスね」
「違うよ。『 警部 』と呼んであげて」
 半ば諦め気味にみゆが補足すると、有馬は気の無い返事をした。同伴していた美奈は複雑な表情。
 さておき有馬は片目に装着した暗視装置V8で視界を映す。暗がりでも良好な視界を確保すると、身を低くして駆け出す。美奈が心配げに、有馬の後ろ姿を見送っていたが、みゆは肩を叩くと、
「 ―― 大丈夫だよ。あなたが記してくれた屋内図も頭に叩き込んでいるから、内部の様子がある程度把握出来ている分、潜入は楽だし」
 だからと言って、後援態勢を疎かには出来ない。有馬が慎重且つ大胆に先行する後ろを、みゆが美奈の記憶を頼りに遮蔽物や死角を巧みに利用して追い掛ける。堂屋敷は後方や側面を警戒し、いざという時の退路を確保しながら進んでいった。
 正面入口から響く銃撃音。敵の注意を充分に引き付けてくれている様だ。逸る心を押さえつつ、有馬は破壊構造物探索機で室内を丹念に探っていく。
 敵が何処に隠れ潜んでいるか判らない。操氣系魔人に至っては、己の氣配を殺す事も可能だ。ましてゲーデは祝祷系能力を有しており、視覚情報も誤魔化して背景に融け込む事も出来る。息を殺し、待伏せされているのは確実だろう。
 対する有馬、みゆ、そして美奈も氣配を押さえて行動しているつもりだが、光学迷彩を張っているとは言え堂屋敷の気配は隠せ無い。
 だからこその、慎重に慎重な潜入策。相手を探るのは、息遣いや心拍、床擦れといった微かな音。そして匂い。聴覚と、嗅覚を働かせて猟犬と化す。
( しまったッス。音響探知器の方が良かったスね )
 或いは赤外線探知機とか。内心で冷汗を掻きながらも、臆面に出さずに有馬は歩を進める。
 銃撃音だけが響き渡り、自我が空気に融け込み、重い水の中を進む様な錯覚。数十分とも、数時間ともおぼつかなくなった狂った状況の中、有馬の眉が微かに動いた。後方にハンドシグナルを送る。
 ―― 院長室の入口脇に張り付いて、閃光音響手榴弾のピンを抜く。転げ入れる様にして投げた。激しい閃光と、衝撃 ――。
「突入! ――って、うぷぅッッ!!」
 閃光と衝撃で無力化した処を、跳び込んで肉薄するつもりだった有馬の胴体が激しくのけぞった。閃光と音響に掻き消された、激しい銃撃音が有馬に叩き込まれていたのだ。9mm機関拳銃エムナインの乱射。防弾チョッキと咄嗟に張った氣の膜で貫通は免れたが、痛みが有馬の息を止まらせた。
 衝撃に動きが止まった有馬へと、更に円弧を描いての鋭い回し蹴りが炸裂する。側頭部に叩き込まれた踵は、有馬が被っていた88式鉄帽を破砕する程の威力を秘めていた。
 手榴弾の爆発と同時に、院長室から跳び出て有馬を襲ったのは、体育館でゲーデと絡み合っていた操氣系の女性。一糸纏わぬ身だが、其の理知的な容貌と均等の取れた肉付きが、淫猥さではなく、美術品の様な荘厳性を覚えさせる。
 操氣系魔人は右の貫き手で倒れ伏している有馬に止めを刺そうとしてきたが、反射的な動きで足を蹴り上げる事で退かせた。そして痛む部位を押さえながら、有馬は立ち上がる。出血はしているものの、見た目ほどは痛みは重くない。割れた鉄帽を脱ぎ捨て、
「 …… 悪ぃけど、頑丈なのだけが取柄なんスよ。せいぜい、付き合ってもらうッスよ!」
 脳震盪もなし。五体満足。だが、あとで衛生科で検査してもらおう。そう、結論付ける刹那に、軽やかなフットワークで詰め寄る。対する敵魔人は一歩下がる動作で間合いを取ると同時、身を低くした事で溜めのモーション。左手を引くと同時に、右拳を突き出す。ボクシングスタイルとは違う、打撃法。
「 ―― 空手ッスか」
 有馬が繰り出したジャブが敵魔人の腹部を乱打。だが、紙一重の寸止めだ。完全侵蝕されて手遅れだとしても、やはり女を殴るには抵抗がある。拳に纏わせた氣を送り込む事で、気絶狙い。だが敵魔人の拳は、掠めた有馬の頬を裂くほどのもの。
「 …… 女は殴りたくないとか、最早其んなレベルじゃないッスね」
 歯噛みする。敵魔人は下段の払い蹴りで以って迫り来る。ボクシングスタイルの有馬にとって下半身への攻撃は苦手と言えた。
「が、飽く迄、苦手なだけッス!」
 下段払い蹴りを、リズムを合わせて拳の腹で押し止め、そして横に払う。体勢を崩した処を、其れよりも身を低く、深く沈み込んで、
「暫く、眠ってくれッス。ジェットアッパー!」
 跳び起き上がる様にして顎狙いのアッパー。実際は紙一重で掠ってもいないのだが、拳に纏わせた氣で顎先が弾いた。激しく脳が揺さ振られ、敵魔人は膝から崩れ落ちた。幾ら操氣系魔人とは言え、脳震盪からの回復は出来ない。暫くは起き上がれまい。
 勝利の余韻に軽く息を吐く有馬だったが、今度は背を突き飛ばされる。水平方向に数m飛んだ。
 振り返ると、其処には誰も居ない。いや、何かが居るのは肌で感じられる。
「 ―― ゲーデっスか。姿を消して、氣配も消しての攻撃ッスか。卑怯ッスね」
 口に溜まった血を吐き捨てて、有馬は立ち上がる。視覚に頼らず、目を閉じた上で、『氣』によって中心核を探知しようとする企みは、
「 …… どうやら、そう簡単には、させて貰えないッスね」
 悪態を吐きながらも、有馬は両の握り拳を構えて、前傾姿勢で小刻みに足を動かす。朧気ながらもゲーデの存在を感じ取れるが、巧みに核の位置を誤魔化している様だ。流石は、腐っても高位上級超常体。
 繰り出されて来る、ステッキによる乱れ突き。其の刹那にのみ放たれる殺気を感じ取って、反射的に身体が動く。だが、幾つかの避け切れなかった打突を受けて、有馬の身体は満身創痍。
「其れでも、膝を屈する訳にはいかないッスよ」
 唇の端に、血を泡を吐きながらも必死に堪える有馬。だが我慢もそろそろ限界。ゲーデの嘲笑いとおぼしき声が響き、ついに最後の一撃が繰り出されようとした!
「 ―― 捉えた!」
 堂屋敷が声を張り上げたと同時に閃光が走り、有馬の周囲を眩い輝きが包んだ。何故か視界を奪う様な痛みは無い。其れでも目を細めた有馬の眼前に、醜悪な姿のマネキンが浮かび上がって来た。
 ボディアーマーに身を包んだ、鉄製のマネキン。貼りついた無数の肉腫から、赤黒い根を張り出した神経組織の様なものが広がり、其れがマネキンに絡みついている。雄の性器を模した様な張り型状の一際大きな肉腫が蠢いていた。
「 …… つくづく、セクハラな奴ッスね」
 悪態を吐く有馬の前で、姿を晒されたゲーデが憤りの声を上げる。強烈な氣が放射された!
 堂屋敷が激痛に顔を歪ませ、再びゲーデの姿が薄れ掛ける。痛みと衝撃に苦しんでいるのは、堂屋敷だけでは無い。みゆや美奈、其れに有馬の憑魔核も蠢く。
 ―― 憑魔異常進行。強制侵蝕現象。
 みゆと有馬は、己の憑魔核を必死に自意識下に押さえ込もうとした。氣を操るに長けた魔人故に正常な状態に戻るが、堂屋敷は膝を屈しかけていた。
 其んな堂屋敷の背へと、組んだ両手を思いっきり振り下ろす美奈。悪い憑き物を文字通り叩き落すかの一撃。背から圧迫された肺が空気を吐き出された堂屋敷は、貪るように息を吸い込む。荒療治を受けて、堂屋敷の氣は正調に戻っていた。ゲーデのまやかしが再び掻き消される。
 姿を晒され、更に奥の手が無効化されたゲーデは俊敏な動きで脱出を図ろうしていた。が、伏射ち体勢になったみゆが、無数の5.56mmNATOを叩き込む事で、動きを封じる。
「くたばれ、エロエロ魔人〜!」
 空になった30発弾倉を素早く交換して、逃げ出す機会も与えること無く乱射し続ける。被弾するゲーデは奇妙な舞いを踊っているかの様だった。
 其の雨の中を、被弾する事も構わずに有馬がゲーデに詰め寄る。5.56mmNATOが頬を掠め、肌を削り、肉を抉るが、氣の膜を張り、痛覚を消した有馬の覚悟を足止めるには足りない。
「 ―― 此の一撃は、同じ男としては同情するけど、人間としては当然の報いッス! くたばれッス!」
 先程と同じく深く沈み込んでのモーション。だが其のアッパーカットは、ゲーデ下腹部に在る核を打ち抜き、突き貫き、叩き潰した。
 急所を破壊されたゲーデは声にならぬ断末魔の叫びを上げると、肉腫は塵と変わり、霧散した。
 有馬は適当な布で拳を拭うと、
「 ―― 勝ったー! エイ●リアーン!」
 両手を高く掲げて、往年の勝利ポーズ。美奈が有馬の胸に飛び込み、みゆと堂屋敷が背中を叩き合って、勝利を祝う。
「 ―― 状況終了! ゲーデ討伐に成功した!」
 連絡を受けて、包囲陣に歓声が沸き起こった。

*        *        *

 翌日、病室の寝台に有馬は転がされていた。打ち身や切り傷・銃創の他、検査したら腕や脚が骨折し掛けていた事が判明。部位を固めるギプスには第882班の仲間達から好き勝手に落書きがされていた。頭の方は異常無しなのが、救いか。
「ああ、暇ッスね〜。班長や同僚達が、篭城戦に向けて防備を固めている最中、オレだけ、此んなにのんびりしていて良いんッスか?」
 魔人は傷の治りが、そうで無い者よりも早いが、其れでも第882班長から暫く安静を言い渡されたのである。御褒美の休暇代わりなのかも知れない。
「 ―― 有馬先輩、着替えの時間ですよ。お手伝いしますね」
 三つ編みのお下げを揺らしながら、嬉しそうに美奈が服を脱がそうとしていく。
「いや、1人で出来るッスよ!」
「何を恥ずかしがっているんですか。私の裸は見た癖に、自分は見せたくないなんて不公平です!」
 見たとか、不公平とか、何か違う様な気がする。
 美奈はすっかり恋人気取り ―― と言うか其れを通り越して、押しかけ女房として有馬を世話を買って出ていた。周囲も、2人の関係を(有馬の意見は聞かずに)公認しているのだから、始末に置けない。
「オレは、未だ18ッスよ。独身生活に終止符を打つには早過ぎるッス」
「あ、先輩はそうなんですか。私は今月で14になりました。だから4歳違いですね」
 せめて、あと2年 ……。いやいや、そうでなくて。どうして、こうなってしまったのか、訳が判らずに有馬は涙するのだった。

 健軍駐屯地・西部方面警務隊本部。何故、自分は此処に居るのか自問しながら、みゆは書類整理に追われていた。
「 …… いつから、あたしは警務隊所属になってしまったのかなぁ?」
「既成事実というやつじゃないか? あ、其処の棚から事例15324番の書類を取ってきてくれないか」
 溜まっていた書類仕事を片付けている堂屋敷を恨みがましい目で睨み付けてから、みゆは仕方無く資料を手渡す。
「ああ、ありがとう。有坂巡査。―― 松塚の爆弾発言で脱柵者や暴動、命令違反が相次いだからな。各地の警務隊はおおわらわだそうだ」
 そう言えば、堂屋敷以外の警務科隊員も書類仕事に追われているか、実際に現場に駆り出されているかのどちらかだ。猫の手も借りたい程の状況に放り込まれた、みゆの抗弁等、誰も聞かないはずである。
「で、警部。此れからどうするの?」
「どうするって?」
 眉を微かに動かして、堂屋敷が訪ねる。
「 …… レンジャー部隊や方面直轄の普通科連隊から精鋭を選別しているという噂が流れているけど。習志野での体験がある警部にも声が掛かっているんじゃないかなって」
「さて。今の処、そういう辞令は下りていないが。其れに新たな相方を置き去りにして、動き回る訳にもいかんだろう」
 新たな相方? 思わず自分を指差したみゆに、堂屋敷は笑顔で頷いた。
「 ―― 西部方面隊の、熊本の治安は、俺達が護るぞ、有坂巡査!」
「 …… うわ。聞いてないよ〜!!」
 天井を仰いで、みゆは嘆息と共に崩れ落ちた。

 泥水の様な珈琲を啜りながら、紫が憮然と呟く。
「何だか、カップルやコンビが多量発生している気がします …… 私だけ独り身?」
 部下のコブラの射手や操縦手、整備員が手を休めて怪訝な顔をするが、紫は溜め息を吐くだけ。
「 …… どうした、片山二曹? 浮かない顔をして」
 今後の警備態勢について打ち合せる為に顔を覗かせた熊本城警備部隊長が尋ねて来る。ああ、そう言えば、私の身近にいる男性は、此の人ですよね。紫は熊本城警備部隊長を横目で見る。まじまじと左手の薬指を見詰めてから、また深く溜め息を吐いた。
「 …… 既婚者だったんですね」
「 …… 其れがどうかしたのか?」
「いえ、別に。―― 其れよりも今後の警備態勢ですが …… 藤崎八旛の九州結界の防衛達成により、熊本城を中心とした半径3kmは比較的安全域と考えても良いんですよね?」
「ああ。だが、此処が引き続き狙われているのには変わりは無いがな。天草の叛乱部隊は虎視眈々と狙っているようだ。阿蘇の 健磐龍命[たけいわたつのみこと]が復活したから手を出してくるのは難しいだろうという希望的観測はあるが」
 崎津天主堂に立った光の柱 ――“ 燭台 ”を消すべく戦力を傾けた鎮圧部隊だが、フトリエルと高位上級超常体ケルプによって阻まれた。フトリエルが振るう懲罰の杖により鎮圧部隊は壊滅。生き残った者達も天草五橋を落とす余力もなく、三角まで撤退した。
 当然“ 神の御軍(みいくさ) ”が追撃してきたが、阿蘇の健磐龍が封印から解放された事と、熊本城にある藤崎八旛の九州結界が死守された事で、容易に熊本に上陸する事は叶わなくなった様だ。現在、宇土や八代、そして長崎にて防衛戦が続いている。
「いざという時は、非戦闘員の多くは阿蘇特別戦区に疎開させる予定だ。超常体は討ち払われ、また駐日阿軍(※駐日アフリカ連合軍)も全面的に協力を約束してくれているからな。…… 佐世保の米海軍とは大違いだ。あそこは松塚の爆弾発言から沈黙を決め込んでいる。“ 外 ”からの補給輸送も当てにならない様になった」
 つまり、コブラを飛ばす燃料も、熊本城に貯蔵している分が最後という事だ。紫の肩が更に落ちる。
「 …… とりあえず、人吉の大魔王 バールゼブブ[――]が討ち倒されて、南の脅威が無くなっただけでも喜ばしい事かも知れませんね」
 そうだな、と警備部隊長は同意してくれた。暫く警備案を煮詰める為に相談するのだった。

 ―― そして夏至の日。世に言われる、黙示録の戦いが始まった。高位の超常体が、神州の支配権を巡って相争い始める。天を覆う、神の御軍。地を覆う、魔の群隊。人々は拠点を死守するのに精一杯だった。
 だが藤崎八旛の九州結界が維持された熊本城下町は防備が固められ、傷付き疲れた者達に暫しの休息を与えてくれるのだった ……。

 


■状況終了 ―― 作戦結果報告
 熊本封印作戦は、今回を以って終了します。
『隔離戦区・神州結界』第8師団( 九州 = 阿弗利加 )編の最終回を迎えられた訳では在りますが、当該区域作戦の総評を。
 前半は、後手に回りがちではありましたが、其れでも敵の目的と死守すべき対象の情報を、足で稼いで入手した有坂陸士の努力は賞賛に値します。
 また一貫として支援警備態勢を固めた片山二曹がいなければ、突発的とも思われる敵の襲撃に対応出来なかったかも知れません。
 後半から参戦した有馬陸士は、ゲーデを打ち倒すのに決定的な役割を果たしていました。余りのクリティカルな参入に、のた打ち回ったのは抜群の秘密です(^^;)。可愛い年下の彼女のゲットは御褒美か其れとも嫌がらせなのか、評価は皆様にお任せ致します。
 当初は、もう少し怪奇・猟奇色を強くするつもりでしたが、蓋を開ければセクハラ表現のオンパレード。自分の力不足を痛感しております。ちなみに、もっとエロエロなのを期待するのは勘弁して下さい(^^;)。
 其れでは、御愛顧ありがとうございました。
 此の直接の続編は、当分先になると思います。とりあえずは、時間を少し溯りまして、同時期に福岡・大分、そして沖縄での作戦に御参加頂ければ幸いです。
 重ね重ねになりますが、ありがとうございました。

註)特殊作戦群: …… 現実世界においては2003年に発足した陸自初の本格的特殊部隊。国内でのテロ、其れに類する不正規戦に備えて創設された。米国のデルタ・フォースを範としているらしいが、規模・武装の詳細は不明。精強無比。
 神州世界において特殊部隊は幾つか在るが『魔人駆逐を主任務にした部隊』の代表は、実は此れ。


Back