
大阪の困惑
先日、出張で生まれて初めて大阪へ行った。
私は物心ついてからずっと横浜で育ち、そもそも関西方面に行ったことが今までに三回しかない。
一回目は中学の修学旅行で京都に行ったとき、二回目は高校の修学旅行で通過したとき(実際に行ったのは萩と倉敷)、そして三回目は高校の卒業旅行で淡路島に行ったときである。まぁつまり大阪にはかすりもしなかったということだ。
一度は行ってみたいと、常日頃思ってはいた。
はからずも学生時代の交際相手は大阪生まれの大阪育ちで、上京したことを「都落ち」と呼んで恥じていた。当然阪神ファンだったし、とにかく大阪というのは凄いところらしいと吹き込まれていたところはあったかもしれない。
でも、御堂筋にあるという食い倒れ人形とか、大きなカニは是非見てみたいと思っていたことは事実である。
残念ながら今回の出張では夜遅くに大阪入りし、朝から夕方まで拘束され、即東京に戻るスケジュールだったため、御堂筋に行くという望みはかないそうもなかったが、それでもできうる限り大阪という都市を見てやろうという意気込みで新幹線に乗った。余談ではあるが、行き帰りの新幹線は「のぞみ」であったにもかかわらず、最近話題の新型車両ではなかったのがちょっと残念だった。
新大阪の駅からタクシーで宿のある梅田方面に向かった。大阪というだけで景色をじっくり見る価値があると思っていたので、同行の客先担当者の世間話に生返事をしながら流れる景色を眺めていた。
と、宿の程近くまで来たところで、私の視線は釘付けになってしまった。
「なんで風俗の隣にTSUTAYAなんてあるのさ!?」
あるいは隣ではなかったかもしれないし、風俗ではなくそっち系のホテルだったかもしれない。しかし梅田の一角(しかも大通り沿い)のその風景は、おのぼりさん状態の私を震撼させるに充分すぎるほどだった。しかもご丁寧にその近くにはマック(関西ではマクド)まである。
あらゆる文化の同居。そんな言葉が浮かんだ。
ひょっとするとこのような形態を取った街は大阪だけではないのかもしれない。しかし私はそこに大阪の底知れぬパワーを感じ取ったような気がした。
それは翌朝、梅田(=大阪)駅近辺の地下街を歩いたときも、帰りに地下鉄で新大阪の駅に出たときも変わりなかった。東京に似ているようで微妙に違う街並み。その微妙な違いがどうしても
「ここは大阪やねん。文句あっか!?」
という主張に感じられてならなかった(※関西弁適当です。間違ってたらごめんなさい)。
少なくとも、こんな短い滞在で大阪を語り尽くすことは絶対できないことだけは確かである。今度は仕事ではなく「本当の大阪を拝む旅」をしてみたいと強く思いつつ、東京行きの新幹線に乗った。
※余談のようだが、大阪ヒルトンの地下二階にあったトンカツ屋?のネギトロ丼は私的には絶品だった。「本当の大阪を拝む旅」が実現したときにはまた是非食したいものである。
※月末には、今回と同様のタイトなスケジュールで福岡に行くことも決まっている。九州に足を踏み入れるのも初めてだから、今から楽しみである。
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