日記タイトル


お酒と煙草


お酒を飲む席では、何故か煙草を吸っている人が多い。
コンピュータ業界は、どうも他の業界より喫煙人口が多いようだが、飲み会となると日頃吸っていない人が紫煙をくゆらせているのをよく目にする。

私は学生時代、がつくほどの嫌煙家だったが、就職してからは状況に慣れてしまったというのもあり、あまり気にならなくなってしまった。
そして、現在では私の泥酔度のバロメータの一つとして、

「他人の煙草を奪おうとするか否か」

というのができてしまった。
どうもいい気分で酔ってしまうと、「煙草をふかしてみたい」という欲求に駆られてしまうようなのだ。そして、周囲も面白がって私に煙草を勧めるので、かなりの高確率で「エセ喫煙者」となってしまう。

ふかすだけとはいえ身体に悪いことはわかりきっているので、我に返ると大変心苦しいのだが、その「つい」という気の緩みが禁煙できない喫煙者の気持ちを表しているのだろうか。そう考えると、お酒の席でだけ煙草を吸う人の存在も納得できるかもしれない。


さて、その日も私はお酒を飲んで上機嫌となり、最近喫煙者となった某S氏からマイセンを一本奪い取ってこれまた上機嫌でぷかぷかとふかしていた。しかし、私がふかしているのを見た女の先輩が、私の上機嫌に水を浴びせ掛けるような言葉を発した。

「emuちゃん、それ、持ち方逆だよ」

みんなが私の煙草を持つ手を見て、一瞬後に「本当だ」と言ってげらげら笑い出した。私はただただきょとんとしていたのだが、隣の某S氏の持ち方と比べてみると、確かに逆に持っていた。吸い口を手の甲側に向けて煙草を指にはさんでいたのだ。

日頃喫煙者を観察しているわけではないので、適当に持っていたというのが実のところなのだが、真似事ではあってもやっぱり格好良く吸いたいのが人情である。私は恥ずかしくなり、煙草を消してしまった。

店を出る頃は、「もう酔っ払っても煙草なんて吸わない」という気分でいたのだが、酔いが醒める頃には「でもまた酔っ払ったらやるんだろうな」という確信めいた複雑な心境になった。

また吸う機会が来たとき、煙草の持ち方を忘れていないのを祈るばかりである。



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